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「二日目-6」(2010/01/19 (火) 19:40:00) の最新版変更点
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<p>私達はカードキーを受け取り、鞄を引きずりながら部屋へと向かう。<br />
体は疲れているが、気が張っているからかあまり重たくは感じない。<br />
このホテルは四人部屋で私と水銀燈に蒼星石、翠星石が同じ部屋を使う事になっているわ。<br />
金糸雀、雛苺、雪華綺晶に薔薇水晶は隣の部屋だった。<br />
それぞれの陣地をきめて、私達四人はベッドに倒れこんだ。<br /><br />
翠「はぁ~……疲れたです……」<br />
銀「夜はこれからよぉ。まだまだ寝かせてあげないわ」<br />
翠「やーですぅ~~~」<br />
銀「うふふふふふ」<br />
紅「全く貴女達は……」<br /><br />
ワキワキと手を動かして、翠星石の寝ているベッドにダイブするのは水銀燈。<br /><br />
銀「うふふふふふ……翠星石っていい匂い……」<br />
翠「クンカクンカするのはやめやがれですぅ~~」<br />
紅「下品よ、水銀燈」<br />
銀「いいじゃなぁい……ちょっとしたスキンシップよぉ」<br />
蒼「……あの……最初にシャワー借りるけど、良いかな?」<br />
紅「あら、別に構わないわよ」<br /><br />
着替えを胸元に抱きかかえてる蒼星石が私達に聞いてきた。<br />
私達は簡単にOKの返事をする。<br />
蒼星石が浴室に入ったのかドアの閉まるバタンという音がして、すぐ後に水の流れる音が聞こえてきた。<br /><br />
蒼「♪~♪~」<br /><br />
鼻歌でも歌ってるみたい。……今ならジュンに会いに行く事ができるわね。<br />
やっぱり、改めてお礼をきちんと言わないといけないわ。<br />
私はベッドでジタバタやっている水銀燈と翠星石に一声かけて、ジュンの部屋へと向かった。</p>
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<p>えーと……確か男子は三階に泊まっていたはずよ。<br />
私はエレベーターに乗って『3』のボタンを押した。<br />
ちなみに女子は八階に泊まっているわよ。まったく、会い辛いったらないわ。<br />
そんな事を考えているうちにエレベーターのドアが開いた。三階に到着したようだ。<br />
ジュンたちの部屋はどこだったかしら……ああ、ここだ。<br />
私はコンコンと、どっしりとした木でできたドアをノックした。<br /><br />
仗助「へ~い……どちらさんっスか?」<br />
紅「私よ。開けて頂戴」<br />
仗助「ああ、この声は真紅か。分かったぜ」<br /><br />
ガチャリとドアを開けて出迎えてくれたのは仗助君。<br />
シャワーを浴びた直後なのか、髪の毛が萎びたワカメの様に垂れ下がっている。<br /><br />
仗助「やっぱり、桜田に用か?」<br />
紅「ええ。ジュンはいるかしら」<br />
仗助「夜のデートですかい? お盛んだな」<br />
紅「もう、茶化さないで頂戴。……けど、そんなところよ」<br />
仗助「ふゥ~ん。ま、呼んでくるから待ってなよ」<br /><br />
そう言って仗助君は部屋の奥に消えていった。<br />
奥のほうから他の四人の話し声が聞こえてくる。<br />
部屋の様子を伺うに、どうやら男子は五人部屋みたいだ。<br />
しばらくすると、青いジャージに着替えたジュンが廊下を通ってやってきた。<br /><br />
紅「遅いわ。もう少し早くこられなかったの?」<br />
ジュン「悪かったな。着替えに手間取ったんだよ」<br />
紅「ま、いいわ。ちょっと出ましょう」</p>
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<p>ジュン「で、何の用事?」<br />
紅「彼女が彼氏に会いに行くのに理由が必要かしら?」<br />
ジュン「……無いけど」<br />
紅「…………改めて御礼を言いに来たわ。ありがとう」<br /><br />
私は首を上げ、夜空を見つめる。<br />
たくさんの星が宝石の様に散りばめられており、陳腐な表現だが、とても綺麗だ。<br />
まるで天女の衣のようだ。<br /><br />
ジュン「……どういたしまして」<br /><br />
ジュンも私と同じ様に夜空を眺めている。<br />
……その横顔が、とても凛々しくかっこよく見えた。今なら出来そうな気がする。<br /><br />
紅「ふふ、ジュン」<br />
ジュン「何だよ」<br />
紅「……ご褒美よ。ありがたく受け取りなさい」<br /><br />
この時熱に浮かされていたのかもしれない。<br />
……私はジュンの横顔に、そっと口づけた。<br /><br />
ジュン「なっ、何するんだよ!」<br />
紅「だから、ご褒美よ」<br />
ジュン「ッッッ~~~~!!」<br /><br />
慌てふためくジュンにしれっと返す。<br />
顔はとっくに真っ赤に染まっているが、そんな事は気にしない。出来ない。<br />
私がじっとジュンを見つめていると、冷静さを取り戻したジュンが私の方を向いた。</p>
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<p>紅「あら、どうしたのジュン?」<br />
ジュン「……お返しだ」<br /><br />
え? ……おでこに柔らかい感触を感じる。<br />
この感触はまさか……キスされた?<br />
ジュンも頬を今までに無いくらい真っ赤に染め、私の方を見つめている。<br />
やられたわね……<br /><br />
紅「キスはするのもされるのも恥ずかしいわね」<br />
ジュン「言うな。僕もそうなんだぞ」<br />
紅「けれど……いい気分よ」<br />
ジュン「ああ」<br /><br />
二人でもう一度上を向いた。<br />
紅くなった頬が涼しい風で冷やされる。<br />
そのまま私達は無言でぼーっとしていた。<br />
一時間も経った頃だろうか、私は言った。<br /><br />
紅「……もう夜も遅いわ。カラダも冷えてしまうし、帰りましょう」<br />
ジュン「ジュース買って帰ろうか。僕、おごるぞ」<br />
紅「ふふ、それはありがたいのだわ」<br /><br />
私達はエレベーターに乗り、それぞれの泊まる階で分かれた。<br /><br />
紅「ジュン、おやすみなさい」<br />
ジュン「ああ、おやすみ」</p>
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<p>私が自室の部屋のドアを開ける。<br /><br />
雪「お帰りなさいませ」<br />
翠「お帰りですぅー」<br /><br />
ドア側にいた二人がお帰りと声をかけてくれる。<br />
隣室のメンバーも集まっており、かなり賑やかな状態になっていた。<br />
『アメトーク』を見ているようだ。テレビから人気芸人の声が聞こえてくる。<br />
私がベッドに腰掛けると、皆がニヤニヤ顔で私の顔を見てきた。<br /><br />
紅「な……何? 私の顔に何かついてる?」<br />
銀「今からそれを確かめるのよ」<br /><br />
水銀燈が私の髪をかきあげ、額をむき出しにする。<br /><br />
銀「……やったわねぇ、真紅」<br />
紅「え?」<br />
銀「さっき中庭でジュンと……キスしてきたでしょう?」<br />
紅「な、何でそれを……!!」<br /><br />
私の顔がボンと赤くなる。<br />
水銀燈は私の額をつんつんと突きながら続けた。<br /><br />
銀「額にキスマークがついてるわぁ」<br />
翠「や、やりやがったですね~~~!!」<br />
苺「ちゅーしたのー! おめでとうなの~~!!」<br />
蒼「あはははは、これで第一関門突破だね。真紅」<br />
雪「殿方の唇を額に……羨ましい限りですね」<br />
金「オデコはカナの専売特許かしらー!」</p>
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<p>皆に散々茶化される。<br />
けれど私は照れ隠しの言葉を吐かなかった。今はこの気持ちを照れ隠しなんかで汚したくはないわ。<br />
あと金糸雀、あなただけ突っ込みどころが違うわよ……。<br />
あれ? ……そういえば薔薇水晶が居ないわね。<br /><br />
紅「ねぇ、薔薇水晶はどこにいるの?」<br />
蒼「薔薇水晶は……さっき仗助君とどこかに行ったみたいだよ」<br />
翠「最近雰囲気もいいですし、ニューカップル誕生ですぅ!」<br />
雪「そんなニュータイプみたいに言わなくても……」<br />
薔「……ただいま」<br /><br />
その時、ガチャリとドアを開けて薔薇水晶が入ってきた。<br />
頬はばら色に染まり、全身から嬉しさを滲ませている。<br /><br />
銀「その感じ……成功したみたいねぇ」<br />
薔「……うん」<br /><br />
水銀燈が艶っぽい笑みを浮かべながら言った。<br />
薔薇水晶がコクリと頷く。<br />
部屋の中がどっと歓声で沸きかえった。<br />
……おめでとう、薔薇水晶。<br /><br />
銀「それにしても真紅ぅ……」<br />
紅「何? 水銀燈」<br />
銀「次は唇と唇ねぇ」<br />
紅「…………」<br />
銀「あら、ごめんなさぁい。……そうだ、早いとこシャワー浴びていらっしゃい。汗臭いと嫌われちゃうわよぉ」<br />
紅「……ご忠告どうも」</p>
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<p>私は着替えを抱えてユニットバスに入る。<br />
髪をといて温かいお湯をカラダにぶつける。<br />
カラダのベトベトが洗い流されていく心地よい感覚がした。<br />
そしてベッドで深夜番組を見ながらみんなで雑談。<br />
やはりこの夜のグダグダした時間が一番『修学旅行』と言う感じがする。<br />
しばらくすると、みんな疲れが溜まっているのか、めいめい布団に入りこんだ。<br />
目を閉じるとすぐに瞼が重たくなってきた……</p>