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<p>BLACK ROSE 第六話<br /><br /> 「…梅岡。君がやったんじゃあないだろうな」<br /> 「心配しなくても槐君、僕はやってないよ」<br /><br /> 現在謁見の間で二人の男が言い争っている。<br /> この国には騎士団が二つ存在しており、梅岡と槐はそれぞれの団長である。<br /> そして二人に挟まれる形で玉座に座っているのが結菱王である。<br /><br /> 「では梅岡。何故大臣の護衛に新兵を選んだのかね?荷が重過ぎると思うが」<br /> 「経験の少ない新兵に経験を積ます良い機会だと思い、実行しました」<br /> 「だったら何故もう一人熟練の兵を護衛に付けなかった!?新兵一人では何にもならんだろう!」<br /><br /> さっきから問い掛けに対してのらりくらりと梅岡は避けている。<br /> 現状ではこいつが一番怪しい人物だ。<br /> 私は一気に畳み掛けることにする。<br /><br /> 「そもそも新兵に経験を積ますのと、大臣の身の安全、どっちが大事なんだ!?」<br /> 「あの日はその殺された兵一人しかいなかったんだよ。仕方なくだよ。<br />  ただ、あの場に私がいなかったことが、何よりも辛い」<br /> 「随分と口が回るんだな。昨晩の間に言い訳を考えてきたのかい?」<br /> 「止めないか。喧嘩なら外で好きなだけするがいい。誰も止めはせん」<br /><br /> いかにも面倒臭そうな声で結菱王が割って入る。<br /> いつものことだ。結菱は何か事件が起こっても、国事が行われる時も、何もしないのだ。<br /> そう、今回も。<br /><br /> 「…申し訳ありません」<br /> 「梅岡の件は不問とする。いつもの様にしてくれて結構だ」<br /> 「――っな」<br /> 「ありがとうございます。では失礼します」<br /><br /> 梅岡が結菱王に対してペコリ、と頭を下げる。<br /> 私は梅岡を睨めつけてやったが、梅岡はそれを見てニッコリと会釈をした。<br /><br /> 「…それでは私も失礼します」<br /> 「ああ」<br /><br /> 正直怒りを抑えるのが限界だった。<br /> つい、部屋を出て少し歩いた所の壁を殴ってしまった。<br /> 壁を殴り、想像以上のその痛さで悶絶していると、一人の兵士がこちらに向かってきた。<br /><br /> 「あのー…大丈夫ですか?」<br /> 「ん?…ああ、大丈夫だよ。わざわざ呼んですまないな」<br /> 「それで、僕を呼んだ理由は?」<br /><br /> この男は山本といい、私の騎士団の一員である。<br /> 戦闘面に関しては少々頼りないが、情報収集、隠密行動ならもってこいである。<br /> もちろん、私が彼を呼んだ理由は一つだけだ。<br /><br /> 「君には極秘で任務を与える。絶対に口外するなよ。梅岡の動向と、最近怪しい人物が<br />  この国に入り込んでいないか調査してもらいたい。そして、兵士の襲われた事件と大臣が<br />  殺された事件、これらの二つに関連性があるのか。そして、同一犯によるものかだ」<br /> 「承知しました。今から始めましょう。では」<br /> 「ああ。何か分かり次第すぐに報告してくれ」<br /><br /> 彼は伝える事を伝えられると、すぐに行動を開始した。<br /> だが、私は兵士が襲われる事件と大臣が殺された事件は同じ人物による意図的な殺人だと考えている。<br /> 彼らが死ぬことによって、得をする人間がこの国にいる。絶対に。<br /><br /><br /> 「ふぁーあ。あら、皆起きてたのぉ」<br /> 「ええ、貴女が一番遅いわよ。余程疲れてたのね」<br /> 「まぁ昨日は色々あったからねぇ…」<br /><br /> 見ると、昨日の散らかっていた部屋がきっちりと片付いている。<br /> 先に起きていた彼女達が片付けたのだろう。<br /><br /> 「…あら、ジュンと翠星石達はどうしたのぉ?」<br /> 「貴女が起きてくる前に仕事を探しに行ったわよ。今日は迷宮に入らず、依頼を受けようかと思って」<br /> 「依頼ぃ?あんまりお金儲けにはならないわねぇ。私パスで」<br /> 「…貴女は守銭奴かしら?良いじゃない、困っている人を助けるのは」<br /><br /> 水銀燈は誰が守銭奴よぉ!と怒鳴ろうとしたその時、<br /> 仕事探しに出歩いていたジュン達がドアをバン、と乱暴に開けて入ってきた。<br /><br /> 「ハァ…ハァ…おお、起きてたのか水銀燈。ちょうど良いや。二人とも急いで支度をしてくれ!」<br /> 「ちょっと、どうしたのよぉ?息切れまでして。何かあったのぉ?」<br /> 「兎も角、僕に付いてきてくれ。仕事が入ったんだよ。それも大きな!」<br /><br /><br /> 何でもジュンの話では、貴族から依頼をされたそうだ。<br /> 詳しい内容は本人に今から聞くところらしい。<br /><br /> 「ジュン!大遅刻ですよ!もっと急ぎやがれですぅ!」<br /> 「仕方ないじゃないか、これでもこっちは急いでたんだよ!」<br /> 「まぁまぁ落ち着いて。それで、そのオディールさんはどこにいらっしゃるのかしら?」<br /><br /> この辺りの地区はとても大きな屋敷が乱立している。<br /> その中でも一際大きくそびえるのが、依頼主の住むこの屋敷だ。<br /><br /><br /> 「どうぞ、お掛けになって」<br /> 「ええ、そうさせてもらうわ」<br /><br /> 外から見た屋敷も大きいが、中に入ってみると更に驚かされる。<br /> よく分からないが、値段の高そうな家具が部屋に置いてあり、目移りしてしまう。<br /> それに、執事が何人も私達を出迎えてくれたのにも驚いた。<br /><br /> 「…それで、依頼内容は何なのかしら?」<br /> 「人の捜索をお願いします。雛苺という女の子です」<br /> 「はぁ?人の捜索ぅ?こんなにたくさん召使がいるなら、彼らに探させればいいんじゃないのぉ?」<br /><br /> 「それはもちろんです。しかし、危険な仕事だと思い、貴女達に依頼したのです。昨日の事件を知っていますか?」<br /> 「事件?」<br /><br /> 雛苺という娘は昨晩から屋敷に戻ってこないらしい。<br /> そして、昨晩国の大臣が殺される事件があったそうだ。<br /> それで、雛苺がこの事件に巻き込まれている可能性があるかもしれないとのこと。<br /><br /><br /> 「…ふぅ。面倒ねぇ。こんな広い範囲で見つかる訳ないでしょ…」<br /> 「うん。それに余り詳しい情報は教えてくれなかったね」<br /><br /> オディールは大した情報も言わず、こちらから聞いても、<br /> 言えませんの一点張りだった。<br /> 少し、信用は出来ないが、私達のリーダーは既にやる気満々だった。<br /><br /><br /> 「さぁ、急いで探し出すわよ。解散!」<br /><br /> この依頼には何か裏がありそうだが、そんな事を気にするのは後にして、<br /> 私達は一斉に走り始めた。</p>

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