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<p>2ページめ<br /> 家の近くの駅から東京駅に向かい、そこから新幹線に乗り替えて某県の駅を<br /> 目指し、そこからローカル線、バスを乗り継ぎ、やっと田舎のとあるバス停に<br /> 真紅と雛苺姉妹が降り立ったのは夕方の6時でした。見渡せば小高い山の稜線が<br /> 踊り、青く育った稲を育む水田が広がっています。その風景はまるで例の<br /> ジブリ映画でした。心なしか、都会の空気とここの空気は違う、と真紅は思いました。<br /> ヒグラシのなく声が聞こえます。<br /> 雛「涼しいの~」<br /> 真「そうね…まだ迎えが来ていないようね」<br /> 真紅は、お父様から、バス停につけば迎えが来ておくようにしておく、と言われていたのですが、<br /> ここには誰もいません。<br /> 雛「あ!車が来るの~」<br /> 雛苺が今しがたバスが走り去って行った方を見ると、黒い高級車が一台こちらに<br /> 向かってくるのが分かりました。<br /> 田舎には似つかわしくない黒塗りのセンチュリーは、二人の立つ前でゆっくりと停車し、<br /> 運転席のドアから出てきたのは…<br /> 真「白崎さん、お久しぶりね」<br /> 雛「あ~ウサギ兄さんなの~」<br /> 上等なタキシードに身を包んだ別荘管理人の若い男は、二人に丁寧な礼をしました。<br /> 白「ようこそ真紅様、雛苺様、お久しぶりで御座います。お父様からお二人をバスの<br /> 最終便がここに到着する時間にお迎えするようにと仰せつかっていたのですが、<br /> 遅れまして申し訳ございません」<br /> 真「ありがとう。これからお世話になるわ」<br /> 白「お疲れでしょう、ではお乗りください。お荷物はこちらへ」<br /> 二人とその荷物を新たに乗せたセンチュリーは、暗くなり始めた田舎道を別荘目指して<br /> 走り出しました。この白崎というお兄さん、歳は28で、普段はこの県の結菱関連の企業に<br /> 勤めていますが、二週間に一度くらいの割合で、この地の結菱家所有の別荘管理のために<br /> ちょくちょく訪れています。この夏の間は、結菱グループ会長すなわち真紅達のお父様の<br /> 直々の指令で、真紅と雛苺のための執事としてお勤めをするのです。ちなみにセンチュリーは<br /> もちろん結菱グループが用意したものです。<br /> 真紅は、後方に走り去る窓の外に、水田やそれを潤す清流、小さな祠、石段の<br /> 向こうにある神社、そして木々に隠れるようにして建つ病院のような建物を見ました。<br /> コンビニや自動販売機なんてものはどこにもありません。街灯ももちろん水銀灯ではなく、<br /> 裸電球です。いかにも田舎へ来ましたって感じですね。二人はここに来るのは初めてでは<br /> ないのですが、やはり都会暮らしの彼女たちには新鮮な光景です。と言っても、<br /> 雛苺は真紅の隣でかすかな寝息を立てていました。久しぶりの新長旅でちょっと疲れたの<br /> でしょうね。タイヤが砂利を踏む音と振動は良い子守唄です。<br /> やがてセンチュリーは木々の生い茂る中を走る小さな道に入り…少しして、照明を点灯<br /> させたままの、小ぶりの洋館の前に止まりました。戦前からあるこの洋館は、照明が消えて<br /> いれば間違いなく心霊スポットにされそうな感じです。<br /> こうして、真紅と雛苺は、一夏を過ごす本拠地に辿り着いたのでした。<br /><br /> 「事は滞りなく進みましたよ」<br /> 「そうか…。分かっていると思うが、くれぐれも気取られないよう注意してほしい。<br /> …その時が来るまではな」<br /> 「滅多なことでは…大丈夫でしょう」<br /> 「うむ。ではよろしく頼む。もう切るぞ」<br /> 「はい。それでは」<br /> つづく</p>

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