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「この町大好き!増刊号1」(2008/07/14 (月) 15:35:17) の最新版変更点
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―※―※―※―※―<br /><br /><br />
平和な学園に忍び寄る黒い影……<br /><br />
今だ!僕らの薔薇水晶!<br />
正義の力を見せる時だ!<br /><br /><br />
―※―※―※―※―<br /><br /><br />
と……<br /><br /><br />
そんなこんなで、番外編。<br /><br />
今回の主人公は、ちょっぴり無口な薔薇水晶。<br /><br />
いやはやコレは、どうなる事やら。<br /><br />
イーニ、ミーニ、マイニーモー。神様の言うとおり……?<br /><br /><br /><br /><br />
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ この町大好き! ☆ 増 刊 号 ☆ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ <br /><br /><br />
<br /><br />
「てめぇら!騒ぐんじゃねぇ!!!ぶっ殺すぞ!! 」<br /><br />
平和な学園に突如として乱入してきた謎のテロリスト…。<br /><br />
彼らのお陰で、授業は中止。<br />
そこまでは…まあ、良かったのかもしれない。<br />
でも……<br />
例の如く。いや、お約束と言うべきか……<br />
私たちは人質にとられてしまった。<br /><br />
「大丈夫ですか…ばらしーちゃん…? 」<br />
教室の隅に集められた生徒達。その一人のきらきーが、私に小さく声をかけてきた。<br />
「……………うん…… 」<br />
私は小さく答え、そして彼女に視線を向ける。<br /><br />
「…なら、良かったですわ。……それにしても…このままでは、お昼ご飯が食べられませんわね… 」<br />
私が元気な事に安心したのか、彼女はいつものペースでちょっと笑みを浮かべた。<br /><br />
やっぱり、きらきーの笑顔は素敵。<br />
とっても優しい目をしてるから、大好き。<br /><br />
そう思い、状況も忘れて頬が緩みかけた時…―――<br /><br />
「てめぇ!!何喋ってやがる!!黙ってろって言っただろうが!!! 」<br />
テロリストがそう言い、ガチャリと銃口を向けてきた。<br /><br />
日常とはあまりにかけ離れた、銃という武器。人を殺める道具。<br /><br />
それを向けられ…きらきーは、「ひっ」と小さく息を飲み、細かく震えだした。<br />
<br /><br />
大丈夫。きらきーは…私が守るから…<br />
私は心の中で呟きながら、そっと彼女の肩を抱きしめる。<br /><br />
そして精一杯、テロリストを睨みつけた。<br /><br />
だが…テロリストは、私の事なんか見ていなかった。<br />
その視線は……その視線を辿ると、テロリストの見つめる先には……きらきーのフトモモ。<br /><br />
テロリストの顔に、下卑た笑いが浮かび始める。<br />
想像したくはないが……この、エロテロリストめ……!!<br /><br />
テロリストは銃口をこちらに向けたまま、徐々に…だが、確実に近づいてくる。<br /><br />
私は、大好きなこの学園を守りたい。<br />
大好きなきらきーを守りたい。<br />
きらきーのフトモモを守りたい!<br /><br />
その為に…例え……私がどうなろうとも……<br /><br />
「……きらきー………ごめんね…… 」<br />
そう言い、そっと、きらきーの髪を撫でる。<br />
私の腕の中で、彼女は怯えた表情のまま、キョトンと私を見つめ返した。<br /><br />
私は……眼帯を外し……左目に封印されし『力』を解放する!!<br /><br />
私の中に眠っていた『力』が、圧倒的なエネルギーの嵐を巻き起こし、眩い光を放t<br /><br /><br />
◆ ◇ ◆ ◇ ◆<br />
<br />
<br />
「―――しーちゃん?…ばらしーちゃん?…もう、お昼休みですわよ? 」<br /><br />
ハッ!?<br />
私は、きらきーの声で我に返った。<br /><br />
どうやら4時間目の途中から始まった妄想タイムは、延長ギリギリ、昼休みに突入してしまったみたい。<br /><br />
今回の妄想は、かなりの力作だった。<br />
私が謎の力で、敵を千切っては投げのハードアクション。名付けて『沈黙の学園』!!<br />
いつしかハリウッドで映画シリーズ化される日も来るんじゃないかしら?<br /><br />
「ばらしーちゃん?…また、ボーっとして…… 」<br />
雪華綺晶が呆れたように声を上げる。<br />
「………ごめん…… 」<br /><br />
このまま妄想に浸っていると、きらきーに置いていかれちゃう。<br />
きらきーは美人な上に優しい、完璧人間だけど…ご飯の事になると目の色が変わる不思議な子。<br /><br />
私は席を立ち、きらきーと一緒に学園の中にある食堂へと向かう事にした。<br /><br /><br />
◆ ◇ ◆ ◇ ◆<br /><br /><br />
「いつもの、お願いしますわ 」<br />
きらきーが食堂のカウンターで、いつもと同じように、いつもと同じ物を注文した。<br />
<br /><br />
彼女が言う、『いつもの』<br />
それは、この食堂の『第6定食』で、デザートに苺が付いているのが人気の秘密。<br />
そう言えば、いつだったか…きらきーは、苺の『ヘタ』の部分を『足』と間違えて呼んでた。<br />
意外とお茶目な所もあるんだね。<br /><br />
そんな風に考えていると…<br />
「で、ばらしーちゃんは何になさいますの? 」<br />
きらきーが声をかけてきた。<br /><br />
私は私で、すっかり注文の事なんか忘れていたから、さあ大変。<br />
何を食べようかな……と、メニューに視線を向ける。<br /><br />
「……………… 」<br />
何にしよう。決められない。あれもこれもと目移りするけど、そんなに一杯食べられない。<br />
もっとゆっくり選ぶ時間が有れば、何か名案が浮かぶのかもしれないけど、あいにくそんな時間は無い。<br />
有限な昼休み。こんな所でモタモタしている訳にはいかない。<br />
となると…こんな時にはやっぱり、ベタかもしれないけど、この一言だね!<br />
「………うどん 」<br /><br /><br />
◆ ◇ ◆ ◇ ◆<br /><br /><br />
食堂の席で、きらきーと向かい合ってのお昼ご飯。<br /><br />
相変わらずきらきーは、元気良くご飯を食べている。<br />
時々、デザートの苺に、ニヤリと笑みを向けている。<br />
そんなに凄味をきかせて食べなくても、ご飯は逃げないよ?<br />
<br /><br />
そんな彼女の食事風景を見てると、何だかこっちまでお腹が一杯になってくる。<br /><br />
でも、それは気のせい。<br />
だって、実際問題として、朝ご飯から何も食べてないから。<br /><br />
私は、ドンブリの中に漂っているうどんを一本、お箸でつまみ上げた。<br /><br />
こうして見てると…長くて、ウネウネしてて……何だか、触手みたい。<br />
これは『私が買ったうどん』…要するに、『私のうどん』だ。つまりそれは…『私の触手』という事だ。<br /><br />
私はチラリと、きらきーの方を窺ってみる。<br />
彼女は今、食事に夢中だ。<br /><br />
今なら…油断してる彼女を……<br />
机の下からこっそり、私の触手を這わせて……そして…きらきーのフトモモに……フトモモに―――ッ!<br /><br /><br />
「…ばらしーちゃん?……うどんが…のびてしまいますわよ? 」<br /><br />
ハッ!?<br />
私はまたしても、きらきーの言葉で現実に帰ってきた。<br /><br />
ありがとう、きらきー。<br />
もう少しで、私はアッチ側の人間になる所だったよ……<br /><br /><br />
◆ ◇ ◆ ◇ ◆<br /><br />
<br />
昼食も終わり、きらきーと二人で教室へと向かう最中に……<br />
頭のネジがぶっ飛んでいる、と有名な新聞部の翠星石と出くわした。<br /><br />
「おお!雪華綺晶と薔薇水晶じゃねーですか!ウチの部員ども、見なかったですか? 」<br />
「あら翠星石、ごきげんよう… 」<br /><br />
どうやら、いつものトンデモ発言で部員に逃げられた翠星石。<br />
彼女と雪華綺晶が廊下の隅で立ち話を始めた。<br /><br />
「――――と、いう訳ですぅ。…それにしても…何か、どデカイ事件でも起こらねーですかねぇ… 」<br />
そう言い、翠星石は……気のせいかも知れないけど……いや、間違いなく……<br />
確実に、私を見て言った!<br /><br />
まさか…私の『沈黙の学園』(妄想)を、この子は知っている!?<br /><br />
私は動揺を極力抑えながら……<br />
それでも、手の平からは蛇口をひねったみたいに汗が流れる。<br /><br />
……ありえない……でも……ひょっとしたら……<br /><br />
私はきらきーと話し込む翠星石を睨みつけながら、心の中で唱える。<br /><br />
(……聞いているんでしょ?……分かってるよ……? )<br /><br />
人の心を読める人間なら…彼女が『能力者』だというのなら…<br />
確実に、これで何らかのリアクションは…少なくとも動揺くらいはする筈。<br />
<br />
<br />
だが… <br /><br />
予想に反して、翠星石は何の反応もしない。<br />
これは…私の勘違いか、余程の訓練を積んできたか。そのどちらかに違いない。<br /><br />
念のため…私は暫くの間、翠星石に向けて思念を飛ばし続けておいた。<br /><br /><br />
◆ ◇ ◆ ◇ ◆<br /><br /><br />
キーンコーンカーンコーン……――――<br /><br /><br />
午後からの授業が始まる5分前を告げる予鈴の音が、高らかに鳴り響く。<br /><br />
「おお!?もう5時間目が始まっちまうですよ!てめーらも遅刻するなですよ! 」<br /><br />
翠星石はそう言うと、出会ったときと同様に、元気良く走り去って行った。<br /><br />
「……ふふ…相変わらず、元気な方ですわね… 」<br />
きらきーが少し微笑んで言う。<br />
「………うん……… 」<br />
私も、それに答えるけど…ずっと思念を飛ばしていたので、ちょっと疲れてしまった。<br /><br />
そんな風に、ちょっと疲れた顔をしてる私を、きらきーは心配そうに覗き込む。<br />
「ばらしーちゃん…大丈夫? 」<br />
<br />
<br />
やっぱり、きらきーは優しいね。<br />
私は彼女に心配をかけないように、コクンと頷く。<br /><br />
それを見てきらきーも、安心したように、嬉しそうに、笑みを浮かべた。<br />
「心配なさらなくても…彼女は、ばらしーちゃんの心を読んだりしてませんわ… 」<br /><br />
きらきーがそう言うなら、きっとそうなのだろう。<br /><br />
ん?…あれ?何かが変な………??<br />
………<br />
……まあ、いいや。<br /><br /><br />
そんな事より、そろそろ5時間目が始まっちゃう。<br /><br />
私はきらきーと二人で、教室へ向かってテクテク歩く。<br /><br /><br />
うん。<br />
今日も学園は平和だね♪ <br /><br /><br /><br /><br /><br />
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