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母親メイデン」(2008/06/26 (木) 19:05:46) の最新版変更点

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<p align="left">み「カナー、カナってば」<br /> 金「みっちゃんちょっと待ってね。今はお姉さんとお話してるから」<br /> 銀「浮かない顔ね」<br /> 金「みっちゃんがあれ着ろこれ着ろ言ってくるのかしら」<br /> み「それはもうカナがかわいいから!」<br /> 銀「ふぅん、普通は自分が着たいでしょうにね」<br /> み「カナってばもー、てれちゃって」<br /> 銀「まぁ、でもそれくらいならいいんじゃない?」<br /> 金「うん、でも、でも」<br /> 銀「なによぉ?」<br /> 金「自分の娘にあだ名で呼ばれるのってどうなのかしらTT」<br /> 銀「隙が多すぎるのよ」<br /> み「カナこんどはこのふくをきてみてー!」<br /><br /> 母親メイデン1/8<br /><br /> マスター→子ということで一つ。</p> <p align="left"></p> <hr /><p align="left"><br /> 母親メイデン2/8<br /><br /> 銀「(小声)ただいま~っと…」<br /> め「おかえりなさい」<br /> 銀「寝てなかったの!?」<br /> め「…」コク<br /> 銀「今日は遅くなるから寝てなさいって行ったじゃないの」<br /> め「やだ」<br /> 銀「なんで?」<br /> め「…」<br /> 銀「…」<br /> め「お歌…歌ってほし…ぃ」<br /> 銀「歌って…それだけのために?」<br /> め「…」コク<br /> 銀「しかたないわねぇ」<br /> 銀「♪からたちの花が咲いたよ…♪」<br /> め「…」<br /> 銀「青いあおい…♪」<br /> め「zzz…」<br /> 銀「眠れなかったのよね、本当は寂しがりやなんだから」<br /> 銀「まったく、寝顔は天使みたいね」</p> <p align="left"></p> <hr /><p align="left"><br /><br />  母親メイデン3/8<br /><br /> の「あぅぅ…ジュンくん…」<br /> ジ「ぐすっ…」<br /> 真「どうしたの?」<br /> の「あの、ジュンくん幼稚園でめぐちゃんにからかわれたんです」<br /> 真「いいこね、のり。でも私はジュンに聞いているの」<br /> 真紅はしゃがみ、泣きべそをかいてうつむくジュンと目線を合わせる。<br /> 真「さ、言ってごらんなさい」<br /> ジ「のりねえちゃんに…ふくかんがえてあげたら…めぐちゃんに『おんなのこみたいおかしい』って」<br /> 真「それから?」<br /> ジ「へんとか、よわむしとか、おねえちゃんがきたら、あっちいっちゃった」<br /> 真「それでおわり?」<br /> ジュンはこくりと頷く。<br /> 真「そう」<br /> 真紅は手を伸ばした。しつけに厳しい真紅がジュンを叩くのかと思って、のりはどきどきした。<br /> 真紅はジュンの頭にぽんと手を乗せる。<br /> 真「女の子にやり返さない貴方は優しいわ」<br /> そのまま、自分の胸にジュンを引き寄せ、ジュンの頭をなでながら言った。<br /> 真「よく頑張ったわね、ジュン。貴方はなにひとつ恥じる事はない。だから、誇り高く胸を張りなさい」<br /> 真紅の胸から離れた時、ジュンはもう泣き止んでいた。<br /> 真紅は立ち上がり、ジュンと手をつなぐ。ジュンの指の感触は長く、華奢で、そして暖かかい。<br /> 真「その指はきっと魔法の指だわ 今に王女のローブだって作れるわ」<br /> ジ「…うん」<br /> 真紅の嬉しそうな笑顔につられて、ジュンはにこりと笑った。<br /> 真「いい子ね。ジュン」 </p> <p align="left"></p> <hr /><p align="left"><br />  母親メイデン4/8<br /><br /> 槐が床に腹這いになって、画用紙に向かっている。<br /> 薔「何を…描いてるの?」<br /> 槐「ふくです。おかあさま」<br /> 薔「海…」<br /> 槐「それはふぐです」<br /> 薔「ぶたさん…」<br /> 槐「それはにく。ようふくです。どれすです。ぷれたぽるてなんです」<br /> 薔「…ジュン君?」<br /> 槐はコクリと頷く。<br /> 槐「わがらいばるはきょうもぜっこうちょうで、ぼくもまけていられません」<br /> 薔「がんばって」<br /> 槐「はい」<br /> 薔「じゃあ…ご飯作るね」シュルリ<br /> 槐「くっ」ガバァ<br /> 槐は突然起き上がった。<br /> 薔「…お絵描き、は?」<br /> 槐「エプロン姿だけはみのがさん!!!」<br /> 槐(ちょっとしせいをかえただけです)<br /> 槐「ふぅ、ごまかせた」<br /> 薔「声…逆」<br /> 槐「はうあ!」 </p> <p align="left"></p> <hr /><p align="left"><br />  母親メイデン5/8<br /><br /> ジュンが二人いるのは仕様です。<br /><br /> 翠「さて、洗い物でも片付けますか」<br /> 翠星石はエプロンを手に取る。<br /> 翠「あれ、小麦粉ですかね?」<br /> 翡翠色のエプロンの裾あたりに、白い物が付いている。翠星石はエプロンをたぐった。<br /> 翠「薔薇?」<br /> エプロンには白い糸で綺麗な薔薇が縫い取られている。<br /> 翠(草原に薔薇が一輪咲いてるみたいですね。)<br /> ジ「ぼくがししゅーしたんだよ!」<br /> 食器棚の陰から、ひょっこりとジュンが顔を出した。<br /> ジュンが期待のまなざしで翠星石を見ている。<br /> 翠「ふうん、まぁまぁがんばったじゃないですか。…あ!汚れた手でエプロンに触ってないでしょうね!?」<br /> ジ「ちゃんとてあらったよぅ!」<br /> ジュンが必死で抗弁するのも聞かず、翠星石はジュンに両手を広げさせ、表裏よく観察した。<br /> 翠「今日はちゃんといいつけを守ったようですね」<br /> 翠星石は内心ほっとした。本当のところ、針を手にさしていないか念入りに調べていたのだ。<br /> 翠「さ、お母さんはお菓子を作るから、他のところで遊んでなさい」<br /> ジ「スコーン?」<br /> 翠「もちろんですぅ」<br /> ジ「やったぁ!」<br /> ジュンはキッチンから出て行く。<br /><br /> 翠星石は静かにキッチンの扉を閉じた。そのまま何かを堪えるようにかがみこむ。<br /> 翠「くぅ~」ジタバタ<br /> 翠星石は携帯を取り出し、一番よく使う短縮を押した。<br /> 翠「もしもし、蒼星石ですか、ちょぉっと聞いてくださいよ、家のチビがですね…」 </p> <p align="left"></p> <hr /><p align="left"><br /> 母親メイデン6/8<br /><br /> 麦藁帽子に半ズボン、吊りベルトに白いシャツ、手にはバケツさらにその中にはスコップ如雨露種、鋏。<br /> 一葉は立派な小さな庭師だった。<br /> 庭師らしく、胸を張って一葉は言う。<br /> 「にわしです」<br /> かわいい、と言いかけてから、蒼星石は言い直した。<br /> 「立派だよ」<br /> 一葉は力んで言う。<br /> 「あおいばら」<br /> 「うん」<br /> 「ぼくがたくさんさかせます」<br /> 「ふふ、頑張って」<br /> 一葉は撫でられている間、猫のように目を細めていた。<br /> 「はい」<br /> 元気よく一葉がうなずく。そのまま庭に行こうとして…やっぱりやめて、蒼星石をちらちら見ている。<br /> 「?…あ」<br /> 蒼星石は一葉をもう一度撫でてやった。<br /> 一葉が出て行った後、蒼星石の顔は綻んだ。<br /> 「本当は甘えんぼなんだから…誰に似たのかな?」 </p> <div class="mes" align="left"> <hr /></div> <div class="mes" align="left"> </div> <div class="mes" align="left">母親メイデン7/8<br /><br /> ペタペタ…<br /> 雛苺が幸せそうに笑っている女の子の油絵を描いている。<br /> 頬をばら色に塗っていたら、後ろから話しかけられた。<br /> 「こりんぬさんですか?」<br /> 「さん、だなんてめーなのよ、あなたのおねえちゃんなんだから」<br /> 雛苺の注意を巴は聞こえないふりをする。<br /> 「ばらとぬいぐるみがいっぱいですね」<br /> 雛苺が微笑む。<br /> 「うん、コリンヌがさびしくないようにって」<br /> 「でもこのえのとき、ひないちごさんさびしそうです」<br /> 「Non、雛は嬉しいのよ」<br /> 雛苺は胸に手を当てた。<br /> 「今でも、コリンヌは私の中にいるのだもの。絵を描けば、それを確かめられるのよ」<br /> 雛苺の背中に小さな熱い感触。巴が抱きついていた。</div> <div class="mes" align="left">「わたしはひないちごさんとずっといっしょです」<br /> 「ありがとうなの。でもね。巴は巴の好きなだけここにいて、そして好きな場所に行っていいのよ」<br /> 「そんなのないです」<br /> 「ジュン君のそばとか」<br /> 「…」<br /> 巴はしばらく黙り込んだ。<br /> 「でも、わたしがどこかにいったら、ひないちごさんひとりぼっちです」<br /> 「だいじょうぶ。雛はぜーんぜんへいきよ。心はどこでも繋がっているし」<br /> ペタペタ…<br /> 「雛は雛の選んだ場所にいるのだから」<br /><br /> それから雛苺は何度かおかあさんってよんでほしいの。と言ったが、巴はやはり聞こえないふり。<br /> しかし雛苺は慌てない。<br /> 雛苺はこの問題に10年でも20年でもじっくり取り組むつもりだった。<br /> 明日の続く限り。</div> <div class="mes" align="left"> </div> <div class="mes" align="left"> <hr /></div> <div class="mes" align="left"><br /><br /> 母親メイデン8/8<br /><br /> 友達のみっちゃんと一緒に考えた方法。<br /> 母親の気持ちを確かめる質問。<br /><br /> 「おかあさまはわたしがかわいいですか?」<br /> 「勿論ですよ。どんなお人形だって貴女には敵いません」<br /><br /> 「おかあさまはわたしがすきですか?」<br /> 「勿論ですよ。世界中に叫んだっていいくらいです」<br /><br /> 「じゃあ、じゃあ、おかあさまはわたしをあいしていますか?」<br /> 「勿論ですよ。食べちゃいたいくらい」<br /> 「もしもし、じどうそうだんじょですか?」<br /><br /> おしまい</div>
<p align="left">み「カナー、カナってば」<br /> 金「みっちゃんちょっと待ってね。今はお姉さんとお話してるから」<br /> 銀「浮かない顔ね」<br /> 金「みっちゃんがあれ着ろこれ着ろ言ってくるのかしら」<br /> み「それはもうカナがかわいいから!」<br /> 銀「ふぅん、普通は自分が着たいでしょうにね」<br /> み「カナってばもー、てれちゃって」<br /> 銀「まぁ、でもそれくらいならいいんじゃない?」<br /> 金「うん、でも、でも」<br /> 銀「なによぉ?」<br /> 金「自分の娘にあだ名で呼ばれるのってどうなのかしらTT」<br /> 銀「隙が多すぎるのよ」<br /> み「カナこんどはこのふくをきてみてー!」<br /><br /> 母親メイデン1/8<br /><br /> マスター→子ということで一つ。</p> <p align="left"> </p> <hr /><p align="left"><br /> 母親メイデン2/8<br /><br /> 銀「(小声)ただいま~っと…」<br /> め「おかえりなさい」<br /> 銀「寝てなかったの!?」<br /> め「…」コク<br /> 銀「今日は遅くなるから寝てなさいって行ったじゃないの」<br /> め「やだ」<br /> 銀「なんで?」<br /> め「…」<br /> 銀「…」<br /> め「お歌…歌ってほし…ぃ」<br /> 銀「歌って…それだけのために?」<br /> め「…」コク<br /> 銀「しかたないわねぇ」<br /> 銀「♪からたちの花が咲いたよ…♪」<br /> め「…」<br /> 銀「青いあおい…♪」<br /> め「zzz…」<br /> 銀「眠れなかったのよね、本当は寂しがりやなんだから」<br /> 銀「まったく、寝顔は天使みたいね」</p> <p align="left"> </p> <hr /><p align="left"><br /><br />  母親メイデン3/8<br /><br /> の「あぅぅ…ジュンくん…」<br /> ジ「ぐすっ…」<br /> 真「どうしたの?」<br /> の「あの、ジュンくん幼稚園でめぐちゃんにからかわれたんです」<br /> 真「いいこね、のり。でも私はジュンに聞いているの」<br /> 真紅はしゃがみ、泣きべそをかいてうつむくジュンと目線を合わせる。<br /> 真「さ、言ってごらんなさい」<br /> ジ「のりねえちゃんに…ふくかんがえてあげたら…めぐちゃんに『おんなのこみたいおかしい』って」<br /> 真「それから?」<br /> ジ「へんとか、よわむしとか、おねえちゃんがきたら、あっちいっちゃった」<br /> 真「それでおわり?」<br /> ジュンはこくりと頷く。<br /> 真「そう」<br /> 真紅は手を伸ばした。しつけに厳しい真紅がジュンを叩くのかと思って、のりはどきどきした。<br /> 真紅はジュンの頭にぽんと手を乗せる。<br /> 真「女の子にやり返さない貴方は優しいわ」<br /> そのまま、自分の胸にジュンを引き寄せ、ジュンの頭をなでながら言った。<br /> 真「よく頑張ったわね、ジュン。貴方はなにひとつ恥じる事はない。だから、誇り高く胸を張りなさい」<br /> 真紅の胸から離れた時、ジュンはもう泣き止んでいた。<br /> 真紅は立ち上がり、ジュンと手をつなぐ。ジュンの指の感触は長く、華奢で、そして暖かかい。<br /> 真「その指はきっと魔法の指だわ 今に王女のローブだって作れるわ」<br /> ジ「…うん」<br /> 真紅の嬉しそうな笑顔につられて、ジュンはにこりと笑った。<br /> 真「いい子ね。ジュン」 </p> <p align="left"> </p> <hr /><p align="left"><br />  母親メイデン4/8<br /><br /> 槐が床に腹這いになって、画用紙に向かっている。<br /> 薔「何を…描いてるの?」<br /> 槐「ふくです。おかあさま」<br /> 薔「海…」<br /> 槐「それはふぐです」<br /> 薔「ぶたさん…」<br /> 槐「それはにく。ようふくです。どれすです。ぷれたぽるてなんです」<br /> 薔「…ジュン君?」<br /> 槐はコクリと頷く。<br /> 槐「わがらいばるはきょうもぜっこうちょうで、ぼくもまけていられません」<br /> 薔「がんばって」<br /> 槐「はい」<br /> 薔「じゃあ…ご飯作るね」シュルリ<br /> 槐「くっ」ガバァ<br /> 槐は突然起き上がった。<br /> 薔「…お絵描き、は?」<br /> 槐「エプロン姿だけはみのがさん!!!」<br /> 槐(ちょっとしせいをかえただけです)<br /> 槐「ふぅ、ごまかせた」<br /> 薔「声…逆」<br /> 槐「はうあ!」 </p> <p align="left"> </p> <hr /><p align="left"><br />  母親メイデン5/8<br /><br /> ジュンが二人いるのは仕様です。<br /><br /> 翠「さて、洗い物でも片付けますか」<br /> 翠星石はエプロンを手に取る。<br /> 翠「あれ、小麦粉ですかね?」<br /> 翡翠色のエプロンの裾あたりに、白い物が付いている。翠星石はエプロンをたぐった。<br /> 翠「薔薇?」<br /> エプロンには白い糸で綺麗な薔薇が縫い取られている。<br /> 翠(草原に薔薇が一輪咲いてるみたいですね。)<br /> ジ「ぼくがししゅーしたんだよ!」<br /> 食器棚の陰から、ひょっこりとジュンが顔を出した。<br /> ジュンが期待のまなざしで翠星石を見ている。<br /> 翠「ふうん、まぁまぁがんばったじゃないですか。…あ!汚れた手でエプロンに触ってないでしょうね!?」<br /> ジ「ちゃんとてあらったよぅ!」<br /> ジュンが必死で抗弁するのも聞かず、翠星石はジュンに両手を広げさせ、表裏よく観察した。<br /> 翠「今日はちゃんといいつけを守ったようですね」<br /> 翠星石は内心ほっとした。本当のところ、針を手にさしていないか念入りに調べていたのだ。<br /> 翠「さ、お母さんはお菓子を作るから、他のところで遊んでなさい」<br /> ジ「スコーン?」<br /> 翠「もちろんですぅ」<br /> ジ「やったぁ!」<br /> ジュンはキッチンから出て行く。<br /><br /> 翠星石は静かにキッチンの扉を閉じた。そのまま何かを堪えるようにかがみこむ。<br /> 翠「くぅ~」ジタバタ<br /> 翠星石は携帯を取り出し、一番よく使う短縮を押した。<br /> 翠「もしもし、蒼星石ですか、ちょぉっと聞いてくださいよ、家のチビがですね…」 </p> <p align="left"> </p> <hr /><p align="left"><br /> 母親メイデン6/8<br /><br /> 麦藁帽子に半ズボン、吊りベルトに白いシャツ、手にはバケツさらにその中にはスコップ如雨露種、鋏。<br /> 一葉は立派な小さな庭師だった。<br /> 庭師らしく、胸を張って一葉は言う。<br /> 「にわしです」<br /> かわいい、と言いかけてから、蒼星石は言い直した。<br /> 「立派だよ」<br /> 一葉は力んで言う。<br /> 「あおいばら」<br /> 「うん」<br /> 「ぼくがたくさんさかせます」<br /> 「ふふ、頑張って」<br /> 一葉は撫でられている間、猫のように目を細めていた。<br /> 「はい」<br /> 元気よく一葉がうなずく。そのまま庭に行こうとして…やっぱりやめて、蒼星石をちらちら見ている。<br /> 「?…あ」<br /> 蒼星石は一葉をもう一度撫でてやった。<br /> 一葉が出て行った後、蒼星石の顔は綻んだ。<br /> 「本当は甘えんぼなんだから…誰に似たのかな?」 </p> <div align="left" class="mes"> <hr /></div> <div align="left" class="mes"> </div> <div align="left" class="mes">母親メイデン7/8<br /><br /> ペタペタ…<br /> 雛苺が幸せそうに笑っている女の子の油絵を描いている。<br /> 頬をばら色に塗っていたら、後ろから話しかけられた。<br /> 「こりんぬさんですか?」<br /> 「さん、だなんてめーなのよ、あなたのおねえちゃんなんだから」<br /> 雛苺の注意を巴は聞こえないふりをする。<br /> 「ばらとぬいぐるみがいっぱいですね」<br /> 雛苺が微笑む。<br /> 「うん、コリンヌがさびしくないようにって」<br /> 「でもこのえのとき、ひないちごさんさびしそうです」<br /> 「Non、雛は嬉しいのよ」<br /> 雛苺は胸に手を当てた。<br /> 「今でも、コリンヌは私の中にいるのだもの。絵を描けば、それを確かめられるのよ」<br /> 雛苺の背中に小さな熱い感触。巴が抱きついていた。</div> <div align="left" class="mes">「わたしはひないちごさんとずっといっしょです」<br /> 「ありがとうなの。でもね。巴は巴の好きなだけここにいて、そして好きな場所に行っていいのよ」<br /> 「そんなのないです」<br /> 「ジュン君のそばとか」<br /> 「…」<br /> 巴はしばらく黙り込んだ。<br /> 「でも、わたしがどこかにいったら、ひないちごさんひとりぼっちです」<br /> 「だいじょうぶ。雛はぜーんぜんへいきよ。心はどこでも繋がっているし」<br /> ペタペタ…<br /> 「雛は雛の選んだ場所にいるのだから」<br /><br /> それから雛苺は何度かおかあさんってよんでほしいの。と言ったが、巴はやはり聞こえないふり。<br /> しかし雛苺は慌てない。<br /> 雛苺はこの問題に10年でも20年でもじっくり取り組むつもりだった。<br /> 明日の続く限り。</div> <div align="left" class="mes"> <hr /></div> <div align="left" class="mes"><br /><br /> 母親メイデン8/8<br /><br /> 友達のみっちゃんと一緒に考えた方法。<br /> 母親の気持ちを確かめる質問。<br /><br /> 「おかあさまはわたしがかわいいですか?」<br /> 「勿論ですよ。どんなお人形だって貴女には敵いません」<br /><br /> 「おかあさまはわたしがすきですか?」<br /> 「勿論ですよ。世界中に叫んだっていいくらいです」<br /><br /> 「じゃあ、じゃあ、おかあさまはわたしをあいしていますか?」<br /> 「勿論ですよ。食べちゃいたいくらい」<br /> 「もしもし、じどうそうだんじょですか?」<br /><br /> おしまい</div>

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