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「甘い保守シリーズ14」(2008/05/15 (木) 21:06:43) の最新版変更点
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<p>131:GWな保守を致すかしら<br /><br />
「てーへんだ、てーへんだ!」<br />
「………三角形の」<br />
「底辺だ、かしら?」<br />
「ちーがーうー………!お父様と、みっちゃん先生が………!」<br />
「出かけたみたいね。残されてるパンフレットからして、動物園か水族館、遊園地かしら」<br />
「複合体のレジャー施設かも知れないな。校外学習の下調べなんじゃないか」<br />
「………えと。普通に、デートって可能性は………?」<br />
「………おぉ」「………あぁ」<br />
「鳩が豆鉄砲食らったような顔、しなくても………」<br />
「そう言えば、そんな可能性もあるのか。にしても、何もこんな人混みが出来る時期に行かなくても」<br />
「是だから、ひきこもりは………!」<br />
「お前に言われたかないよ。大体、この歳になって、動物園とか水族館とか」<br />
「………楽しそう、だと思う」<br />
「………いかないぞ、僕は」<br />
「むぅ………………」<br />
「――でも、確かに気になるかしら。三人で、みっちゃんと槐先生を見つけてみない?」<br />
「『見つける』って簡単に言うけどなぁ………」<br />
「あら、パンフレットの置き方から、道順は絞れるわ。車も車庫にあるから、移動範囲も――」<br />
「――ある程度絞れる、か。なるほど、そう考えると面白そうだな。やってみるか」<br />
「ぅ………?なんか………うーん………………?」<br /><br />
「………疲れた。結局、動物園と水族館は回ったけど見つからなかったなぁ」<br />
「それはそうかしら。あれだけの情報で人二人を探すのなんて至難の業だもの」<br />
「………ぉぃ」<br />
「――薔薇水晶、楽しんでもらえたかしら?」<br />
「うんっ。とっても楽しかった!………ぁ、じゃあ、やっぱり、探すつもりなんて――」<br />
「最初からなかったんだな………。僕はお前の掌の上で歩きまわっていた訳だ。ったく、降参だよ」<br />
「ふふ、学園一の策士・カナは、楽してずるしてGWを楽しんだのかしら♪」</p>
<hr /><p> <br /><br />
132:GWな保守を致すわよぅ<br /><br />
「ねぇねぇ、今日の朝方から沢山色んな物が届いてるんだけど………」<br />
「は?いや、僕じゃないぞ。そもそも、普通の通販じゃ祝日には届かない筈だし………」<br />
「でも、お姉ちゃんも知らないのよね………」<br />
「差出人とか、その住所は?」<br />
「それが………インクが滲んじゃってるみたいで、見えないのよ」<br />
「何となく怖いな………。あ、中に入っている物はわからないのか?」<br />
「それは、何とか。えと、針とか糸とか――」<br />
「あぁ、やっぱり僕じゃない」<br />
「それと………って、どうして其処で判断できるのぅ?使いそうなものなんだけど」<br />
「僕は、使えそうなものは注文しない」<br />
「きっぱりと断言するのも、お姉ちゃんどうかと思うの」<br />
「ぅ………。ゃ、えと、『それと』――他に何があるんだ?」<br />
「女性用の衣服、下着、それからラクロスの――」<br />
「いや、どう考えても僕じゃないだろう!?」<br />
「そ、そうよね。てっきり新しい道を見つけちゃったとか思ってなかったわよぅ?」<br />
「やかましい。――とりあえず、邪魔にならない様にリビングにでも」(ピンポーン<br />
「あ、あら、また来ちゃったみたいね………」<br />
「………僕が出るよ。配送の人に聞いてみたら、わかるかもしれないし」<br />
「ん、お願いね。………でも、是………欲しいモノばっかりなのよね………??」<br />
「――――手の込んだことしやがって………」<br />
「??――どうしたのぅ?」<br />
「あぁ、送られてきたダンボール、開けてもいいぞ」<br />
「え?じゃあ、差出人がわかったの?」<br />
「ほらよ、エアメール。――コレクトコールの番号、短縮の『1』であってたよな?」<br />
「ぁ………そっか、だから、私達が欲しいものが贈られてきたんだ………ふふ」<br />
「………ふん。さっさと帰って来いってんだ。ほら、かけるぞ――」<br /><br />
改題 ―こどもの日の保守を致すわよぅ―</p>
<hr /><p> <br /><br />
133:GWな保守を致すんだよ<br /><br />
「あは………あはははははは………筆が進む進む………」<br />
「………蒼星石、少し休んだ方が良くはないか?」<br />
「あはは、結菱先生、こんにちはー、お日柄も宜しくー♪」<br />
「………く、手遅れだったか」<br />
「………手遅れって酷いですね。今の現実に戻ってきたくないだけです」<br />
「十分、手遅れだと思うがね。――しかしまぁ、GWだと言うのに、何故連日学園に来てるのだ?」<br />
「飼育係と庭園部、生徒会、料理部の仕事を引き受けたら………絶妙なまでに全部、違う日で………」<br />
「ふむ………日の確認すらしなかったのかね?」<br />
「ボク自身、此処に何日かは来る予定だったんですよ。家じゃ原稿進まないし………」<br />
「なるほど、その『何日か』で頼まれた四つの用事が片付くと思っていたんだな」<br />
「はい………あぁぁぁ、折角のGWが終わっちゃう!」<br />
「――当初の目的が成せそうな事だけが、唯一の救いか」<br />
「あ、いえ。目的の原稿は進んでません。一行も」<br />
「………筆が進む、と虚ろに呟いていなかったか?」<br />
「長編を仕上げるつもりだったんですが、何故か短編ががしがしと出来てしまいまった」<br />
「遠い目をされてもなぁ………」<br />
「だって、一人書いちゃうと他の子(キャラクター)の話も書いてあげたいじゃないですか!」<br />
「私に力説されても困るのだが」<br />
「――わかってますよ、自業自得だって事くらい。………でも、ちょっとは遊びたかったなぁ………」<br />
「………ふむ。愚痴位なら、差し入れが聞いてくれよう」<br />
「物に語りかけるほど、手遅れじゃないですっ」<br />
「者ではあるな。――そろそろ来る頃だろう」<br />
「………へ?」<br />
「――失礼します。結菱先生、『ボク 危篤 スグコイ』って何の暗号ですか………」<br />
「暗号も何も、言葉どおりだ。――さ、蒼星石、『差し入れ』だぞ」<br />
「………ありがとうございます。差し入れって事は、食べちゃってもいいんですか?」<br />
「はっはっは――お気に召すまま」<br />
「え、蒼星石?お前も呼ばれてたのか………って、ぅわ、虚ろな目で近づいてくるなぁ!?」</p>
<hr /><p><br />
<br />
134:甘える保守を致すわぁ<br />
(水銀燈が誰かに甘えているようです。当ててみてください)<br /><br />
「――ねぇ、洗濯物は此処で良いのぉ?」<br />
「――――」<br />
「そぅ、あ、ついでに畳んでおくわぁ」<br />
「――――」<br /><br />
「ゴミもたくさん出てるわねぇ………ちゃんと分別してぇ――」<br />
「――――」<br />
「そ、そぅおぅ?大したことじゃないわよぉ」<br />
「――――」<br /><br />
「お料理も………出来るんだけど………そ、その良かったらぁ………」<br />
「――――」<br />
「一緒に………つくってもらえないかしらぁ?」<br />
「――――」<br />
「うふふ、ありがとぉっ!」<br /><br />
「………なにか、凄く釈然としない光景を見ている様な気がする」<br />
「そ?――私には、なんとなく納得出来るのだわ」<br />
「そんなもんか?」<br />
「あの子、同年代に対してはお姉さんしてるから………偶には、誰かに甘えてみたいんでしょう」<br />
「ふーん………でも、なんであいつなんだ?」<br />
「年上で優しいからじゃない?――それと。自分の姉を『あいつ』呼ばわりは止めるのだわ」<br /><br />
「――熱っ、お鍋、もう冷めてると思ったのにぃ」<br />
「水銀燈ちゃん、水で指を冷やさなくちゃ駄目よぅ。――まだ、痛い?」<br />
「――うぅん、大丈夫。ありがとぅ、のりっ♪」<br />
(甘えてるだけです。百合じゃないです)</p>
<hr /><p><br /><br />
<br />
135:過保護な保守を致しましょう<br /><br />
「ぁ――おぅい、めぐちゃん、お久しぶりよぅ」<br />
「………?――あ、のりさん。久しぶりね」<br />
「最近はどう?体の調子はいいの?実習は上手くいってる?ご飯はちゃんと――」<br />
「………質問は一つ一つお願い。あと、此処、図書館」<br />
「え?………あら、周りの視線が痛い、かも」<br />
「ね?――学食にでも行きましょうか。あそこなら話しやすいし」<br /><br />
「――指導案をまとめて、寝るのが遅くなった時以外は、体調も悪くないわ。<br />
実習は………どうなのかしらね。怒られてないから、大丈夫なんじゃない?<br />
ご飯も、昼食以外はちゃんと摂っているわ。学園の学食、馬鹿みたいに混むんだもの」<br />
「駄目よぅ、ちゃんと食べないと。ぁ、そうだ、それじゃあ、私が作って――」<br />
「ほんとに作りそうだから、却下」<br />
「えぇぇ!?………でも、三人分作るのも四人分作るのも変わらないわよぅ?」<br />
「あのね………私は貴女の弟でも、お隣さんでもないのよ?」<br />
「お友達よぅ?」<br />
「………過保護すぎるのよね。周りが周りだから、仕方無いと思うけれど。――そう言えば」<br />
「あ、あはは………。ん、なぁに?」<br />
「先日、水銀燈が世話になった様ね。迷惑じゃなかった?」<br />
「そんな事ないわよぅ、家事も随分と上手だし、とっても助かったわ」<br />
「そう………だったら、構わないけど。<br />
あの子、しっかりしている様に見えて抜けてるとこあるから。<br />
適当にすればいい所も、人に見られながらだと全力でやっちゃって失敗しちゃったり」<br />
「………ふふふ」<br />
「………何よ?」<br />
「めぐちゃんも、私の事言えないわよぅ。十分、過保護だと思うなぁ」<br />
「………かも、ね」<br /><br />
(めぐとのりは大学生。んで、めぐは教育実習中です)</p>
<hr /><p> </p>
<p> 136:浪漫な保守を致すぞ<br /><br />
(カタカタカタ………)「………ふむ。これは………」<br />
「結菱先生?――珍しいですね、パソコンに向き合ってるの」<br />
「ん、あぁ………少し、話のネタの詳細を探していてな」<br />
「………今、普通に授業中ですよ?」<br />
「私の授業はないのだ、堅い事を云うな。――それに、君とて」<br />
「まぁ、そうですね。暇つぶしに来たんです」<br />
「だろう?新人の頃ならともかく、手だれてくると空き時間は暇だからな」<br />
「私は偶々ですよ?――って、何を調べてるんですか。画面がエラい事になっていますよ」<br />
「教育実習の期間や時期を調べようと思ったのだが………検索ワードが拙かったらしい」<br />
「ですねぇ。全面ピンクな文字じゃないですか」<br />
「保健医とはそんなにいいものかね?私にはピンとこないのだが」<br />
「そりゃまぁ。<br />
『保健の授業?私がおしえ(ry』っていうシチュは男子共通の憧れかと!<br />
白衣もまたそそるもんですよ」<br />
「しかしだな、白衣ならば理科系当の先生方もきているのではないか?」<br />
「ぜんっぜん違いますよ!<br />
理科系の先生方のは薬品の匂いがついちゃってるじゃないですか。<br />
それに、実験とかで汚れちゃってますし」<br />
「保健医にもエタノール(消毒薬)の匂いがついてると思うがなぁ」<br />
「そういう問題じゃないんです。シチュエーションですから」<br />
「ふむ………私もまだまだという事か」<br />
「精進してくださいね」<br />
「――………先程から、何の話をしているのだ?」<br />
「む、槐先生か。いやなに、保健医の魅力を師事してもらっていたのだ」<br />
「いやいや、私ごときが師事だなんて。センセもわかりますよね、保健の先生の魅力っ」<br />
「私は若奥様一択d――ではなく。理解があり過ぎるのもどうかと思うぞ、みつ先生」<br />
「あっはっはっ」</p>
<hr /><p> </p>
<p> <br />
137:GWな保守を致すわよっ(同~かしら、の裏話)<br /><br />
「――薔薇水晶、そろそろ帰るぞ」<br />
「ん。金糸雀、金糸雀、イルカの曲芸、凄かった。ばらしーもやってみたい………!」<br />
「調教師かしら?なるのは大変そうだけど………」<br />
「うぅん、イルカの方」<br />
「そっちかよ。――でも、ほんと何所に何しに行ったんだろうな、みっちゃん先生と――」<br />
「槐先生、ね。遊園地の方だったかしら?」<br />
「遊園地は、行かないでいい。ばらしー、行った事ある気がする。ちっちゃい頃に」<br />
「聞いてない。――ま、今度正解を尋ねようか」<br /><br />
「――しかし、良かったのか?折角の休日をこんな所で過ごして」<br />
「『こんな』とは酷いですねぇ。小粒ながらも面白かったじゃないですか。――それに」<br />
「まさかこの歳でメリーゴーランドに乗せられるとは思わなんだがな。――?」<br />
「第一目的は、此処に来た時点で達成できてますから」<br />
「………『今までのデータを消去して、セーブしますか』?」<br />
「あっはっは、私はそこまで女の子女の子してませんよ。ただの『上書き保存』です」<br />
「君ならばそうだろうな。………ん、喫煙所はどこだったか………」<br />
「覚えられてないんですか?ほかの施設は全部………」<br />
「以前に来た時は、止めていた時だったから。存在を確認すらしなかった」<br />
「………さいですか。えーと、確か、向こうにあった気が………あ、ほら」<br />
「うむ………」(ガサガサ<br />
「………マイセン?ホープでは?」<br />
「吸えれば何でも構わん。依存しているだけだからな」<br />
「わかってるんなら止めましょうよ。口も、臭くなりますし」<br />
「………止めた方がいいかね」<br />
「いいですね」<br />
「そうか。では、止めよう」<br />
「………はい。――そろそろ、帰りましょうか」<br />
「あぁ………――今度は、あの子にも『上書き保存』させに来よう」</p>
<hr /><p> </p>
<p>138:不思議な保守を致すわよぅ<br /><br />
「ん………ふぁ………――あらぁ………もうおひる………?」<br />
「――盛大に寝ぼけてるだけだ。まだ朝だよ」<br />
「ぁ、おふぁよぉ………でも、めざましどけーは12じよぅ?」<br />
「………あぁ、間違えた。まだ夜なんだ。夜の12時。だから、眠たかったら寝とけ」<br />
「ぅー………おそと、あかるいきがするんだけど………ふぁ」<br />
「あぁもぉ、眠くないなら起きる、眠いなら寝る!どっちだ!?」<br />
「ねむいぃぃ………」<br />
「――お休み、………今日は好きなだけ寝てくれ」<br /><br />
「――ちょっと、この掃除機、狭い所に入らないんだけど」<br />
「――先っぽを外せよ。ったく、その歳になって掃除機の使い方も知らないなんて」<br />
「――う、うるさいのだわ!それより、洗濯物は?」<br />
「――もう取り込んでるよ。後は飯の準備………あ、真紅は掃除続けていてくれな」<br />
「――………一瞬の沈黙が気になるのだけれど。まぁ、従うわ」<br /><br />
「ふぁ………んー………ろくじ………――って、18時!?た、大変、寝過ぎちゃったわ!」<br />
「――あら、起きてしまったのね、のり。もう眠くはなくて?」<br />
「真紅ちゃん………?――えぇ、寝過ぎちゃった位だけど………」<br />
「そ。じゃあ、顔を洗って、リビングでもう少しのんびりしているのだわ」<br />
「え、え、でも、お洗濯もお掃除も、あぁぁ、晩御飯の用意も――!」<br />
「洗濯と掃除は終わっているのだわ。ご飯もそろそろ………」<br />
「――あぁ、後30分くらいで出来るぞ。寝起きですぐには食べれないから、丁度よかったな」<br />
「え………?えと、なにがどぅ………??」<br />
「………僕は、別にどうでもよかったんだけどな」<br />
「相変わらず、そういう態度なのね。――いつもありがとう、のり」<br />
「………ぁ。――ふふ、じゃあ、今日は『息子』と『娘』に甘えちゃうわ。――ありがとぅ」<br /><br />
改題 ―母の日の保守を致すわよぅ―</p>
<hr /><p> </p>
<p><br />
139:お菓子な保守を致すなの<br /><br />
「ねぇねぇ、トモエ、あのね、ヒナ、お菓子が作りたいのっ」<br />
「お菓子?――どんなのが作りたいの?」<br />
「うと、えーと………うにゅー!」<br />
「苺大福………そんなに難しくは………あれ、でも、私も作り方知らない………」<br />
「………トモエ?」<br />
「だ、大丈夫よ、雛苺!すぐにわかるから、すぐに!」<br /><br />
「………で、ウチに来たと」<br />
「………うん。パソコンで調べられるでしょう?」<br />
「柏葉の家なら、そういう本の一冊や二冊あるんじゃないか?」(カタカタ<br />
「あるにはあるけど………肝心のページが、色とりどりのうにゅーに染め上げられていて」<br />
「さもありなん――でも、お前の家にもパソコンくらいあるだろ?」<br />
「使い方わからないもの。『ぐふー先生』………が物知りなんだっけ?」<br />
「混ざってる混ざってる。――と、あった。………ほらよ、プリントアウトしたから――」<br />
「一緒に頑張りましょう」<br />
「………ぉぃ」<br />
「――用意できたの、早く早くっ」<br />
「あのな、チビいち………あれ、ぼくはいつのまにあんなみらー○に?」<br />
「うゅ………のりのエプロン、大きくてずれてきちゃうの。………う?」<br />
「雛苺、ちゃんと後ろをしっかり絞ればずれてこないわよ。――私も準備完了、と」<br />
「………これはこれでいいなぁ」<br />
「………対比されているのが少し苛立たしいけど。――ともかく、始めましょう」<br />
「へいへい」<br /><br />
「――是で完成、と。意外と出来るものだね」<br />
「時間と材料があればな。――しかし、なぁ………この苺巨副はなんだ………?」<br />
「雛苺作成。………普通の大きさの、五倍くらい………?」<br />
「えへへ~、おっきなうにゅ~、美味しそうなのっ♪」</p>
<hr /><p> </p>
<p>140:浪漫な保守を致 ―すぞ ―す<br /><br />
「――ふむ………私の時代は、紙媒体としては少なかったからな」<br />
「ほう………では、どのような媒体だったのです?」<br />
「フィルム………映像だな。無論、今の様に数は多くないが、専用の映画館は数多くあった」<br />
「なるほど。でも小さい時によく潜り込めましたね。僕なんか、今でも無理だ………」<br />
「時代がまだ寛容だったんだろう。君の時はどうかね、槐先生」<br />
「私達の時代では紙媒体に移っていました。それでも中々手に入れる事は難しかったですが」<br />
「そうなんですか?」<br />
「そうなんだ。――公園の片隅、雑木林の中、人影少ない浜辺………。<br />
そこに打ち捨てられたソレ等を、私達は我先にと奪い合った」<br />
「熱い………戦いだったんだろうな」<br />
「えぇ、それはもう。………大概が雨風に晒されてボロボロでしたけどね。<br />
――さて、君の場合はどうなのだ?」<br />
「僕達は………パソコン、と言うかネットです。少なくとも、僕は」<br />
「なんと………なんと不憫な事か………!」<br />
「全くです………あの背徳感、そして高揚感は、それでは得られんだろう」<br />
「ほどほどにはあったと思いますが――<br />
………それでも、先生たちに比べれば、落ちるかもしれませんね」<br /><br />
「………さっきから、握りこぶし固めて何の話をしてるんです、結菱先生?」<br />
「はっはっは、蒼星石は知らなくてイイーンダヨ?」<br />
「………おとーさまも、物凄い誇らしげに語ってたけど………?」<br />
「ふふふ、薔薇水晶、いやさ、ばらしー。女子供は知っちゃいけない話なんだ」<br />
「――そりゃ、初めてのエロ体験なんてわかって欲しくないでしょうねぇ、あっはっは」<br />
「って、ばらさないでくさいよ、みっちゃん先生!?」<br />
「………ふーん」<br />
「………へー」<br />
「あぁ、冷たい視線!?いや、しょうがないんだって!男はそんなもんなんだって!ねぇ!?」</p>