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「甘い保守シリーズ13」(2008/05/15 (木) 20:19:21) の最新版変更点
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<p>121:怖い保守を致すのだわ<br /><br />
「なにか………いきなり水銀燈が震えているのだけれど」<br />
「気にしないで良いわよ――さ、次は誰が話してくれるの?」<br />
「(次?)――んー、じゃあ、真紅。頼めるか?」<br />
「私から?いいけれど………そうね、じゃあ、こんな話を。<br />
――ある男性………T氏としましょうか。<br />
彼は、その日が来るまでごく平凡に暮らしていたのだわ。<br />
普通に仕事をし、平均的な収入を得、平坦な毎日を過ごしていたの。<br />
だけど………彼は、出会ってしまったの。<br />
<br />
自分と、顔も声も――全てが同じ人物に」<br /><br />
「あぁ、ドッペルゲンガーか」<br />
「『自分と同じ顔の人は三人はいる』とも言うわね」<br />
「………落ちを先に言わないで欲しいのだわ」<br />
「ふふ、無様ねぇ、真紅。そんな話、みんな知ってるわよぉ」<br />
「うぐ………でも、初めて聞いた時は怖かったのだわ!」<br />
「それが無様って言うのよぉ。大体、顔も声も同じ人間なんて、早々――」<br />
「………水銀燈、水銀燈」<br />
「何よぉ、めぐぅ?今、いい所なんだからぁ」<br />
「テレビをぽちっとなっと」(ピッ<br />
― ラクス・クライン、デース ―<br />
「――!!?? ちょ、ちょっと、今の声、私とそっくりぃ!?」<br />
ピッ)「発声の仕方は違うけど、似てるわよね。あーぁ、水銀燈もあと少しで見納めかぁ」<br />
「な、なんで拝んでるのよぉ!?あぅぅぅ………」<br />
「………めぐ先生、何故か時々、水銀燈には凄く意地悪なのだわ」<br />
「いや、今のはやきもちだろ。多分」 </p>
<p> </p>
<hr /><p><br /><br /><br />
122:怖い保守を致すわぁ<br /><br />
「怖くないぃ、怖くないぃ………」<br />
「水銀燈、煩い。――真紅ちゃんが話したんだから、次は貴女が話しなさいな」<br />
「焼餅だろうけど、容赦がないんだよなぁ。まぁ、次の話は頼むよ」<br />
「うぅ、わかったわぁ………んー、あんまり知らないけどぉ………。<br />
とある田舎町のお話。<br />
その町には、西欧からの移住者が多く住んでたのよぉ。<br />
自由の国に来ても、そこは封建的な制度に縛られていたわぁ。<br />
小さないがみ合いは日常茶飯事、だけど、なんとか人々は平穏に暮らしていたの。<br />
<br />
――町の近くの森から、異形の者………首なし騎士が現れるまでは………」<br /><br />
「………って、貴女も真紅ちゃんの事言えないじゃないの。デュラハンでしょ?」<br />
「あ、めぐ先生、違うと思うのだわ。多分――」<br />
「ぶっぶぅ、先読みは外れよぉ、めぐぅ。格好悪ぅい♪」<br />
「………………」<br />
「す、水銀燈、それ位にした方が………僕もめぐ先生と同じ様に考えたし………」<br />
「このお話に出てくるお化けは―正式名称は不明だけど―『スリーピーホロウ』って言うのよぉ」<br />
「………………ふーん」<br />
「大体、『デュラハン』ってヨーロッパのお化けでしょぉ?<br />
自由の国―アメリカのお話だって、最初に言ってるじゃないのよぉ」<br />
「………そうなのよね。私も其処で気が付いたんだけど………マイナーなお話だと思うのだわ」<br />
「ぁん、真紅はちょっと黙ってなさぁい。珍しくめぐに『教えて』あげてるんだからぁ♪」<br />
「水銀燈、あんまり調子に乗らない方が………」<br />
「――そう、ありがとう、水銀燈。代わりに、私も一つお話してあげるわ」<br />
「あらぁ、貴女に何が教えられるのぉ、先読み外れのめぐセンセェ?」<br />
「ふふふ、貴女と似たような話なんだけどね。 腹 な し ジ ャ ン ク の お話」<br />
「………………って、めぐぅぅぅぅ!?」<br />
「………なんで水銀燈が泣きそうになってるかわからないけど。まぁ因果応報か」</p>
<hr /><p align="left"><br />
123:美味しい保守を致すなの<br /><br />
「今日の晩御飯はお寿司なのー♪」<br />
「ぐる寿司(回転寿司)だけどな」<br />
「いいじゃない。どうせ、高いもの食べても味なんか其れほどわからないんだし」<br />
「さらっと毒を吐くな、毒を」<br />
「トモエ、はい、お茶なの」<br />
「――ありがとう、雛苺。はい、貴方も。おじぼり」<br />
「ん、サンキュ。と、雛苺、どれから食べる?」<br />
「うゅ?うと、うーと………あ、ハンバーグがあるの、それ食べるの♪」<br />
「………なんであるんだ」<br />
「最近の回転寿司じゃ珍しくないよ?――はい、どうぞ」<br />
「わーい♪あむあむもぐもぐっ」<br />
「――柏葉は?僕はとりあえず、赤だしを頼むけど」<br />
「あ、じゃあ私も頼んでもらえる?それと、えと、サーモンを………」<br />
「ん?サーモンなら流れててるじゃないか。是で――」<br />
「トモエは、わさび苦手なの。他にも辛いのも酸っぱいのも苦いのも苦手なの」<br />
「ひ、雛苺!?」<br />
「んじゃあ、赤だし二つとサーモンさび抜きを一つ、と」<br />
「あ、ゃ、苦手ってほどじゃ………!食べようと思えば………!」<br />
「そこまで必死にならんでも」<br /><br />
「あれも美味しいの、是も美味しいの♪」<br />
「ふふ、嬉しそう、雛苺。――でも」<br />
「口元、マヨネーズでぐちゃぐちゃなのはちょっとな。口、閉じてろよ」<br />
「んー………って、二人とも、ヒナを子供扱いしてるの!ひどいの!」<br />
「いや、そんな事は」「うん、決して」<br />
「むぅぅぅ。――あ、そうだ………ね、ね、――苺を、た・べ・て、なの♪」<br />
「な!?ひ、雛苺、そんな淫らな………!で、でも………私のも………食べていいよ………?」<br />
「だからなんで、回転寿司にイチゴケーキと柏餅があるんだ」</p>
<hr /><br /><br /><br />
124:切ない保守を致しましょう<br /><br />
「――貴方の話、よっぽど怖かったみたいね」<br />
「仕切り直しって言って、二人して顔を洗いに行くほどではないと思いますが………」<br />
「あら、それはしょうがないんじゃないかしら。洗面所には、必ず鏡があるでしょう?」<br />
「………それもそうですね」<br />
「あの子達が帰ってくるまでもう少しかかりそうね――そうだ、こんな話を知ってる?」<br />
「僕はその手の話、苦手じゃありませんよ?」<br />
「いいから。――1人の女の子がいました。<br />
その子は、幼い頃からずっと病に伏せっていて――段々と、死を望む様になっていきました」<br />
「………めぐ先生、それは――」<br />
「――そんな折、少女は不思議な出会いをしました。<br />
黒い翼を背に生やした、天使のお人形さんに」<br />
「………人形?水銀燈は――」<br />
「落ち着いて。――今のは、私がよく見る夢。とてもとても長い夢。<br />
だけど………時々思うの。本当の私は、夢の中の私なんじゃないか………って」<br />
「『胡蝶の夢』………ですか」<br />
「流石ね。――時々の、更に時々。私は、夢の私になりたいなって思うの」<br />
「………なんでですか?」<br />
「夢の中の私は、『天使さん』と契約を交わしていたもの――それに」<br />
「なんて理由ですか。ったく、ほんとに、あいつの事が好きなんですね」<br />
「勿論よ。――それに、貴方と逢わずに済んだもの」<br />
「………って、物凄く酷い事を言ってませんか!?」<br />
「ふふ。………でも、酷いのは、貴方なのよ。だって――」<br />
ガララ)「――お待たせぇ。真紅は購買に行くって言うから、先に戻ってきたわぁ」<br />
「ん、あ、水銀燈………」<br />
「………だって、水銀燈を盗っちゃうんだもの。ほんと、酷いわ」<br />
「!?な、ななななな何を言い出すのよぉ、めぐぅ!?」<br /><br />
――だって、夢の中でも味わったことのない、胸の痛みを教えるんだもの………――
<p> </p>
<hr /><p> </p>
<p>125:美味しい保守を致すなの</p>
<p>「今日の晩御飯はお寿司なのー♪」<br />
「ぐる寿司(回転寿司)だけどな」<br />
「いいじゃない。どうせ、高いもの食べても味なんか其れほどわからないんだし」<br />
「さらっと毒を吐くな、毒を」<br />
「トモエ、はい、お茶なの」<br />
「――ありがとう、雛苺。はい、貴方も。おじぼり」<br />
「ん、サンキュ。と、雛苺、どれから食べる?」<br />
「うゅ?うと、うーと………あ、ハンバーグがあるの、それ食べるの♪」<br />
「………なんであるんだ」<br />
「最近の回転寿司じゃ珍しくないよ?――はい、どうぞ」<br />
「わーい♪あむあむもぐもぐっ」<br />
「――柏葉は?僕はとりあえず、赤だしを頼むけど」<br />
「あ、じゃあ私も頼んでもらえる?それと、えと、サーモンを………」<br />
「ん?サーモンなら流れててるじゃないか。是で――」<br />
「トモエは、わさび苦手なの。他にも辛いのも酸っぱいのも苦いのも苦手なの」<br />
「ひ、雛苺!?」<br />
「んじゃあ、赤だし二つとサーモンさび抜きを一つ、と」<br />
「あ、ゃ、苦手ってほどじゃ………!食べようと思えば………!」<br />
「そこまで必死にならんでも」</p>
<p>「あれも美味しいの、是も美味しいの♪」<br />
「ふふ、嬉しそう、雛苺。――でも」<br />
「口元、マヨネーズでぐちゃぐちゃなのはちょっとな。口、閉じてろよ」<br />
「んー………って、二人とも、ヒナを子供扱いしてるの!ひどいの!」<br />
「いや、そんな事は」「うん、決して」<br />
「むぅぅぅ。――あ、そうだ………ね、ね、――苺を、た・べ・て、なの♪」<br />
「な!?ひ、雛苺、そんな淫らな………!で、でも………私のも………食べていいよ………?」<br />
「だからなんで、回転寿司にイチゴケーキと柏餅があるんだ」</p>
<hr /><p><br />
126:GWな保守を致すなの<br /><br />
「えへへー、遊園地、楽しいの♪」<br />
「ま、遊園地って言っても、近所の小さい所だけどな」<br />
「いいじゃない、雛苺が楽しんでいるんだから」<br />
「巴様に同意ですわ。それに、ワタクシも、初めてですので………」<br />
「へ?雪華綺晶、お前、遊園地来た事なかったのか?」<br />
「あ、いえ、そう言う訳でもないのですが………」<br />
「うとね、雪華綺晶は外国の遊園地にはたくさん行ってるのよ」<br />
「ひ、雛姉様、恥ずかしいですわ………」<br />
「羨ましいの。今度は、ヒナも連れて行ってほしいわ」<br />
「………近い方のなら、まぁ、そのうち」<br />
「――ふふ、その時はワタクシも巴様も連れて行って下さいな」<br /><br />
「ホラーハウス、あまり怖いものでもありませんでしたわね」<br />
「暗がりに浮かぶ、西洋人形然とした少女二人………僕でも、怖いかもしれない」<br /><br />
「さ、流石にこの年でメリーゴーランドはちょっと恥ずかしかったかも………」<br />
「お、お前が『雛苺が乗るんだから以下略』って乗り込んでいったんだろ!」<br /><br />
「――おーぃ、そこの少年少女たちっ!」<br />
「………ん?聞き覚えのある声が――って、みっちゃん先生と槐先生。こんにちは」<br />
「あぁ、こんにちは。今日は四人で――?」<br />
「ええ、ワタクシと雛姉様、巴様と………」<br />
「僕も………付き添いみたいな感じですけど」<br />
「ふーん、ついでみたいな感じで言うね。でも、周りにはそー思われてないんじゃないかなぁ」<br />
「………?どういう事ですか、先生?」<br />
「巴君と雪華綺晶君――二人の少女とデートしていると思われているようだ。雛苺君を緩衝材にして」<br />
「へ………?ぁ………言われてみれば。じゃ、じゃなくて!僕にそう言うつもりは――!」<br />
「というか、ヒナもレディなの!少女なの!むぅぅぅぅっ」</p>
<p> </p>
<hr /><p><br /><br />
127:GWな保守を致すわぁ<br /><br />
「ひのふの………うーん、そこそこ絞り込めた感じねぇ」<br />
「そこそこ………って、お前、もう何時間色んな服屋回ってると思ってるんだ………」<br />
「あらぁ、たった五店舗じゃないのぉ」<br />
「のべ回数で言ってみろ」<br />
「………30回位かしらぁ?」<br />
「数字を聞いて、眩暈がしてきた………」<br />
「――だらしないわね。………と、水銀燈。悪いけれど、もう何着か似合いそうなのを持ってきたのだわ」<br />
「休日を!思いっきり寝て過ごすはずだったGWを!丸一日潰させといて――!」<br />
「煩い。家でゴロゴロしている位なら、私達の荷物持ちをしていた方が有意義でしょう」<br />
「せめて疑問形で聞いてくれ………」<br />
「――ま、手加減はしているみたいよ。普段はもっと周るし」<br />
「めぐ先生………。適当に気にいったのを買う僕には、それだけ時間をかけるのがわかりません」<br />
「私もどちらかというと、貴方よりだけどね。<br />
趣味に『ウィンドウショッピング』が罷り通るんだから、時間をかけるのもしょうがないんじゃない?」<br />
「――あらぁ………是もいいわねぇ。あ、そうだ、真紅ぅ、こっちは貴女の方が似合いそうよぉ?」<br />
「――どれかしら?………ちょっと、大胆すぎない?」<br />
「――偶にはいいじゃないのよぉ。私だって、珍しくロングスカート探してるんだしぃ」<br />
「――………そうね、試着してみる位ならいいのだわ」<br />
「………おぉぉぉ、また時間がかかりそうな遣り取りをorz」<br />
「崩れ落ちなくても。――しょうがないわね、じゃあ、ちょっとばかりこの時間を有意義にしてあげる」<br />
「………へ?」(――シャッ、シャッ)<br />
「………って、めぐ、何カーテン開けてるのよぉぉぉぉ!?」<br />
「………あ、貴方も活目してないで――!」「し、真紅ぅ、それよりも締めた方がぁ………」<br />
「ぁ、や、あ、あとで覚えておくのだわ!」<br />
「………………くろと、しろ………………」<br />
「有意義でしょ?」<br />
「はい、頑張れそうです!」<br />
「「なにを――よぉ!? ――だわ!?」」</p>
<p> </p>
<hr /><p><br />
128:理不尽な保守を致すわぁ<br /><br />
「水銀燈、今日、ちょっと付き合ってくれない?本屋さんに行きたいんだけど」<br />
「じゃあ、駅前にでも行きましょうか?大型スーパーとそこそこ大きめの本屋さんもあるしぃ」<br />
「了解よ。………ま、それほど欲しいって訳でもないんだけどね」<br />
「そうなのぉ?めぐが自発的に動くのって珍しいと思うんだけどぉ」<br />
「そうなの。内容は知ってるしね。――とりあえず、行きましょうか」<br /><br />
「………ないわね」<br />
「新書なら入り口前に平積みされてるけどぉ?」<br />
「あぁ、小説じゃなくて漫画なの。うーん、本屋さんの方に向かいましょう」<br /><br />
「それにしても、毎月毎月ほんとにたくさん発行されてr」<br />
「ないわ。………家の近所にも本屋はあるから、そっちに行きましょ」<br />
「早っ!?ちょ、ちょっと、ほとんど見てないじゃないのよぉ」<br />
「――『私』がその表紙を見間違えるわけないもの」<br /><br />
「ない………此処にもない………」<br />
「まぁ、大型書店になかったんだから、しょうがないわよねぇ」<br />
「く………っ、仕方ない………できれば避けたかったけど、学園(職場)近くに回るわ」<br />
「って、雨、降ってきそうなんだけどぉ?」<br />
「恒例ね。――ほら、急ぐわよ」<br />
「????」<br /><br />
「――あったのぉ?………表情から察するに、駄目だったみたいねぇ」<br />
「ふ、ふふ………たった十日見逃してただけで………GW唯一の休みが徒労に………フフ」<br />
「(ほんとは欲しかったのねぇ………)――いい加減帰りましょうよぉ。洗濯物も出しっ放しだしぃ」<br />
「………水銀燈。そうね、帰りましょう………帰ったらお説教してあげる………フフフ、アハハハハハ」<br />
「な、なんで怒ってるのよぉ!?というか、私に説教!?理不尽にもほどがあるわぁ!」<br />
(七店巡ってもみつからなかったよ、新装版。ゥワァンorz)</p>
<p> </p>
<hr /><p> </p>
<p>129:サイカイの保守を致すわぁ(NGワード:yuriyuri ―理不尽な保守を致すわぁ―表話)<br /><br />
「………どこまで、ほっつき歩いてるのよ」<br />
「――めぐ………。別に、私が何処をどう行こうが、私の勝手でしょぅ?」<br />
「それは………っ、………そうだけど」<br />
「ったくぅ、こんな天気の悪い日にそんな薄着でぇ。考えなしもいい所だわぁ」<br />
「………家を出た時は、晴れていたのよ」<br />
「はん、体弱いんだから、常時折り畳み傘ぐらい持っておきなさいな」<br />
「………病院にいた頃よりは、マシになってるわよ」<br />
「なぁに言ってるんだか。マシになってても、人並み以下でしょぅ?」<br />
「それはそうだけど………今日は、殊更険があるわね」<br />
「ふん………――と、十日も放っておいたんだから、当然の――」<br />
「………寂しかったの?」<br />
「だ、誰がぁ!そんな事一言も言ってないわぁ!」<br />
「………そっか。ふふ、帰りましょう、水銀燈」<br />
「何勝手に和んでるのよぉ、私は帰るなんて言って――!」<br />
「乳酸菌飲料あるんだけどなぁ、私だけで飲み切れるかなぁ」<br />
「………し、しょうがないわねぇ、手伝ってあげるわぁ」<br />
「あら、そう?ありがとう、水銀燈」<br />
「感謝しなさぁい。………けして、物に釣られて貴女の家に招かれる訳じゃないわよぉ?」<br />
「はいはい」<br />
「な、なによ、そのおざなりな返事はぁ!」<br />
「だって、私にとって大事なのは、『貴女が私と一緒に来ること』だもの。<br />
目的が私だろうが、物だろうが、どうでもいいわ」<br />
「………おばかさぁん」<br />
「そうかもね。――それと………おかえりなさい、水銀燈」<br />
「ふ、ん………――ただいまぁ、めぐぅ」<br /><br />
(128投下前に乳酸菌飲料買って帰ったら、外食の後に新装版を見つけました。</p>
<hr /><p> <br />
130:GWな保守を致すですぅ<br /><br />
「お、おばば、えとですね、ちょいとちょちょいと五月のお菓子を教えてほしいのですが」<br />
「五月のお菓子??………どういうのがあったかしらね」<br />
「ぅ………そ、そーですね、こぉ、白くて甘くて――」<br />
「うにゅー?」<br />
「苺大福じゃないですよ、柏餅ですぅ!――ぁ………っ」<br />
「ふふ、誰にあげるのかしらね」<br />
「ぇ、ぁ、その、お、おじじですぅ!」<br />
「じゃあ教えません」<br />
「えぇ!?ち、違、ほんとは、その………っ」<br />
「同年代の子達にならともかく、私にまで隠す必要はありませんよ、翠ちゃん」<br />
「あぅぅ………別に隠すとかそういうつもりは………ただ、チビ餓鬼はGWも暇だろうから――」<br />
「――『チビ餓鬼』君に食べてもらうのね」<br />
「………あぁ!?ひ、卑怯ですよ、おばば、誘導尋問ですぅ!」<br />
「はいはい、じゃあ、材料を揃えないといけませんね」<br /><br />
「ふわぁー………さすが、おばばは手慣れてますねぇ。美味しそうですぅ………」<br />
「ありがとう。さ、次は翠ちゃんの番ですよ。私達は出掛けますからね」<br />
「えぇ!?す、翠星石、横で見てただけですよっ?それに材料もおばばが作った分でなくな――!」<br />
「翠ちゃんなら『見てた』だけで作れるでしょう?材料の方も――」<br />
「――あぁ、そろそろ来るんじゃないかの。ばぁさんが作りだした頃に連絡入れたし」<br />
「………へ?おじじ、連絡って………」(ピンポーン<br />
「――こんにちは、柴崎先生。言われたとおり、上新粉と白玉粉、粒あん買ってきましたけど」<br />
「ち、ちちちちちちび餓鬼!?な、なんでお前ぇがいるですか!?」<br />
「いや、なんでって………先生に半ば強制的に来るよう言われたんだけど」<br />
「――ふふ、後は若い二人に任せて………元治さん」<br />
「うむ、ワシらも出かけようかの、まつ」<br />
「いや、どー考えてもお二人の方が………行っちゃったよ。どうしようか、これ」<br />
「し、仕方ねぇです、翠星石がそれを有効利用してやるですよ(――ありがとですぅ、おじじ、おばば)」</p>