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「巴短編8」(2008/06/15 (日) 15:10:03) の最新版変更点
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<p align="left">巴(剣の道に生きる乙女として…この技の修得欠かせない…)<br /><br />
巴(心を落ち着かせて…集中…邪念を振り払い…澄んだ心で気を高め…)<br /><br />
巴(目で見ようとしては駄目…奥の奥、研ぎ澄まされた心の目で真実を解き明かす…今!!)<br /><br />
ジ「ん…なんか視線を感じた気が…」<br />
翠「気のせいじゃねーですか?」<br /><br /><br />
巴「はあ…はあ…やっと桜田君のトランクスまで見えた…!これで…あと一枚!」</p>
<hr /><p><br /><br /><br />
巴が透視能力を覚醒させたようです。<br /><br />
巴「いける…今の私なら。精神の水面に放たれた小石ですら、私の心には僅かなさざ波も立てる事はない…」<br /><br />
巴「拘束制御術式第零号解放…状況A、クロムウェル発動による承認認識…眼前布の完全透視の間、能力使用完全解除開始…はぁっ!!」<br /><br /><br />
梅「やあ桜田!今日もいい天気だね!」<br />
ジ「あ~先生…どうもです」<br />
梅「むむ!?先生、何やら熱い視線を感じるよ!青春だなぁ!」<br />
ジ「きっと気のせいですよ」<br /><br />
巴「~~~~~~~~~!!??%◎★$℃¥@△→※〒¢くぁwせdrfgyふじこlp;」<br /><br /><br />
ジ「なぁ雛苺。今日も巴は休みなのか?もう5日連続だぞ?」<br />
雛「トモエはこころにいえることのない深い傷をおってしまったの」<br />
ジ「はぁ」<br />
雛「まいばん乙女の涙で自分のまくらをぬらしてるのよ…」<br />
ジ「難儀だなぁ…」</p>
<hr /><p align="left"><br /><br />
肌にまとわりついてくる……なんとなく変な空気。<br />
私は、ここに足を踏み入れたときから、それを感じていた。<br />
みんなの平然とした表情から察するに、気づいているのは、私だけらしい。<br /><br /><br />
――高校の修学旅行のグループ行動で訪れた、古い都の、古ぼけた博物館。<br /><br /><br />
「あれ? みんな……どこ?」<br /><br /><br />
――狭い館内で、いつの間にか、独り。<br /><br /><br />
手近なドアを開けると、そこはセピア色の木造家屋――研究室のような場所だった。<br />
目の前の机には、こちらに背を向けて座っている、男性の姿。<br />
ここは、どこ? そう訊ねるより僅かに早く、男性は振り返って、優しく微笑んだ。<br /><br />
「やあ、よく来てくれたね。君が、僕の新しい助手を務めてくれる子かい」<br />
「えっ? さ……桜田くんっ?!」<br /><br />
その男性は、幼なじみの男の子と、よく似ていた。面差しとか、背格好とか。<br />
でも、いま目の前にいる男性のほうが、ずっと年かさだと思う。<br />
多分……30前後くらいかな。無精ヒゲも濃いし、口振りも、どこか古めかしい。<br /><br />
「おや……どうして、僕の名前を? 君とは、どこかで逢っていたかね」<br />
「いえ、あの…………多分、初対面だと思いますけど」<br />
「だよねえ。僕はこう見えても、考古学者だからね。記憶には自信があるのだよ」<br /><br />
考古学者――言われてみれば、うらぶれた風貌も、それらしく見えてくる。 <br /><br />
男性は、ゆっくりと私の前に歩いてきて、静かに右手を差し伸べてきた。<br />
私も同じようにして、握手する。<br />
彼の手は、女の子のものかと錯覚するほど、しっとりと潤っていた。<br /><br />
「あらためて名乗ろう。僕の名前はだね」<br />
言って、彼が据え付けの黒板に書いた字は……<br /><br />
「桜田……た、たけのこ?!」<br />
「筍だよ、ジュンって読むんだ。子供の頃は、チビ筍って苛められたものさ。<br />
どうやら、ウチは小柄な男ばかり生まれる家系らしくてねえ。<br />
両親は背が高くなるよう願って、この字を使ったんだろうけどさ」<br /><br />
はた迷惑な話だとは思わないかね?<br />
……と、真顔で同意を求められても、なんと返せばいいのやら。<br />
曖昧に笑ったら、バカにしたと思われそうだし……ここは無難に頷いておいた。<br /><br />
「あの……私、柏葉巴です。普通の高校生で――字は、こうです」<br />
「ふむふむ。いい名前だね。凛とした、もののふの魂を感じさせるよ」<br />
「私、女の子なんですけど」<br />
「いや、これは失敬。やれやれ……まいったな。<br />
どうにも口で失敗することが多くてね。僕自身、困っているのだよ」<br />
「でしょうね」<br /><br />
なんと言うか……不器用な性格まで、桜田くんと似ているなんてね。<br />
この男性とは、初対面で、赤の他人だったハズなのに――<br />
いつの間にか、旧知の仲のように感じ、振る舞っている私がいた。<br /><br />
「君のこと、巴くんと呼んでも構わないかね?」<br />
「はい、どうぞ。私は、どう呼んだらいいんでしょうか?」 <br /><br />
なんとなく、彼の放つ独特の雰囲気に、私は呑み込まれていた。<br />
この場所に自分が立っていることを、なんの疑問にも思わないままに。<br /><br />
「僕のことは、好きに呼んでくれていいよ。教授とでも、先生とでも」<br />
「たけのこ――でも?」<br />
「それだけは却下」<br />
「ふふ……分かりました。それじゃあ、桜田くん……では?」<br />
「少し馴れ馴れしすぎる気もするが――まあ、そう呼んでくれたまえ」<br /><br />
どうして、ほのぼの会話なんかしてるんだろう……私。<br />
こんなコト、してる場合じゃないのに。<br />
博物館ではぐれた、みんなのトコに帰らなきゃいけないのに。<br /><br />
「それじゃあ、巴くん! 早速で悪いが、老禅遺跡まで、発掘調査に行くぞ」<br />
「え? ちょ……いきなりすぎませんか?」<br />
「なにを言うんだ。諺にもあるだろう。『老禅は急げ』とね」<br />
「知りません」<br /><br /><br />
――そして始まる、摩訶不思議なアドベンチャー。<br /><br /><br />
「桜田くんっ! ここに、斜光器土偶が」<br />
「おお、でかしたぞ巴くん! これは、まさしく縄文時代の老禅姪殿だ」<br />
「姪……って、女の子なんですか、これ?」<br />
「そうだよ。この胸を見たまえ。ボイーンって盛り上がってるだろう」<br />
「なんか……その言い方、やらしい」<br />
「誤解だ! 決して、やましい気持ちなんてないぞ」<br />
「本当かなぁ」 <br /><br /><br />
――まったりと過ぎゆく日常。<br /><br /><br />
「ねえ、桜田くん。書架から、江戸時代の春画が山ほど出てきたんだけど……」<br />
「ちょわぁー! そそ、それはだね。そう! 考古学的資料なのだよ。<br />
当時の生活や風俗を知る、貴重な手懸かりだとは思わないかね?」<br />
「でも……葛飾北斎の『喜能會之故眞通(きのえのこまつ)』って――」<br />
「人間、たまには幻想も必要だよ。僕の持論だがね」<br />
「つまり、桜田くんは触手陵辱系が好き、と」<br />
「なんのコトかな?」<br /><br /><br />
――覆される常識。<br /><br /><br />
「あ……新聞が届けられてる。今日のニュースは――<br />
え? ウソ……なに、これ?」<br /><br />
紙面の上端にある日付の年号は、明治。<br /><br /><br />
――甦る記憶。<br /><br /><br />
「そう言えば、桜田くんの両親も考古学者で、世界を飛び回ってると言ってたわ。<br />
じゃあ、もしかしたら、この時代の桜田くんは……彼のお祖父さん?」<br /><br /><br />
――そして訪れるロマンス。 <br /><br /><br />
「巴くん、すまない。君まで危険に巻き込んでしまって」<br />
「そんな……桜田くん。気に病まないで」<br />
「だが、僕のような朴念仁ならともかく、若い身空の君を――」<br />
「私が望んだことだから。どんな結果でも、私は後悔しないわ」<br />
「…………巴くん。君は、とても強い人だね」<br /><br /><br />
――告げられる想い。<br /><br /><br />
「もしも、2人……生きてここを出られたのならば……<br />
巴くん。僕と、一緒になってくれないだろうか」<br />
「ええっ?! で、でも――」<br /><br /><br />
(そうしたら、私……桜田くんのお祖母ちゃんってコトに……。<br />
でも、ここで断って、今の桜田くんが死ぬ気になってもまずいわ。<br /><br />
ど、どうしよう。巴、困っちゃうぅ~)<br /><br /><br />
――それぞれの決断が引き寄せる未来は、いかに。<br /><br /><br /><br />
ダイジェスト版『巴トリッパー(仮)』<br /><br /><br />
本編は近いうちに。 <br /><br /><br /><br /><br />
な / ______<br />
ぁ 訳/  ̄ヽ<br />
ぁな / \<br />
ぁ い レ/ ┴┴┴┴┴| \<br />
ぁ じ / ノ ヽ | ヽ<br />
ぁ ゃ> ―( 。)-( 。)-| |<br />
んぁ > ⌒ ハ⌒ | / <br />
!ぁ> __ノ_( U )ヽ .|/<br />
ん |ヽエエエェフ | |<br />
\ | ヽ ヽ | | |<br />
√\ ヽ ヽエェェイ|/<br />
\ `ー― /ヽ</p>
<p align="left"> </p>
<hr /><br /><br />
「おはよう、柏葉」<br />
「おはよう、桜田くん」<br />
今日も私は彼と挨拶を交わす。<br />
朝、高校へ登校する時のいつもの言葉といつもの風景。<br /><br />
でも、数か月前からその風景が変わった。<br />
彼の隣に寄り添う少女が現れたのだ。<br />
彼女の名前は真紅。碧い瞳と金色の髪をもつ、気高く美しい少女。<br /><br />
「おはよう、巴」<br />
「おはよう、真紅」<br />
彼の恋人の真紅と挨拶を交わす。<br /><br />
少し先を歩く二人の背中を見ながら、私は思う。<br />
――本当は私も桜田くんの隣を歩きたいの…。<br />
でも、彼女の友達である私にはそんなことは言えない。<br />
――ずっと前から好きでした…。<br />
彼の友達でもある私は、そんなことは絶対に言えない。<br /><br /><br />
友達から恋人へと変わった桜田くんと真紅。<br />
今もずっと友達のままで変わらない桜田くんと私。<br />
そして、変われないこの想い…。<br /><br />
――ねぇ、桜田くん、私も貴方が好きなんだよ。<br />
言葉にはできないけど、貴方が鼓動を揺らすから、<br />
私は今日も胸の中でそっと伝えるの。<br /><br />
――私なら、此処です。少しだけでいいから、振り向いて…。<br /><br /><br />
【私なら】【此処です】
<p> </p>
<p> </p>
<hr /><br /><br />
「桜田くん、一緒に帰ってもいいかな?」<br />
月曜日、JUNは学校の帰り道で巴に出逢った。<br /><br />
「桜田くん、お買い物?」<br />
火曜日、JUNは自宅近くのスーパーで巴と出逢った。<br /><br />
「桜田くんもそういう雑誌を読むのね…」<br />
水曜日、JUNは本屋で巴と出逢った。<br /><br />
「桜田くんも苺大福を買いに来たの?」<br />
木曜日、JUNは不死屋で巴と出逢った。<br /><br />
「桜田くん、勉強熱心なのね」<br />
金曜日、JUNは図書館で巴と出逢った。<br /><br />
「桜田くん、今日は真紅と一緒なのね……」<br />
土曜日、JUNは映画館で巴と出逢った。<br /><br />
「おはよう、桜田くん」<br />
日曜日、JUNが目を覚ますと何故かそこには巴がいた。<br /><br />
「柏葉…。お前、なんでこんな所にいるんだ?」<br />
JUNの問いかけに巴は意味ありげな微笑みを浮かべた――。<br />
「クスッ。知りたいの?」<br /><br /><br />
紅「巴、恐ろしい子!」
<p align="left">巴(剣の道に生きる乙女として…この技の修得欠かせない…)<br /><br />
巴(心を落ち着かせて…集中…邪念を振り払い…澄んだ心で気を高め…)<br /><br />
巴(目で見ようとしては駄目…奥の奥、研ぎ澄まされた心の目で真実を解き明かす…今!!)<br /><br />
ジ「ん…なんか視線を感じた気が…」<br />
翠「気のせいじゃねーですか?」<br /><br /><br />
巴「はあ…はあ…やっと桜田君のトランクスまで見えた…!これで…あと一枚!」</p>
<hr /><p><br /><br /><br />
巴が透視能力を覚醒させたようです。<br /><br />
巴「いける…今の私なら。精神の水面に放たれた小石ですら、私の心には僅かなさざ波も立てる事はない…」<br /><br />
巴「拘束制御術式第零号解放…状況A、クロムウェル発動による承認認識…眼前布の完全透視の間、能力使用完全解除開始…はぁっ!!」<br /><br /><br />
梅「やあ桜田!今日もいい天気だね!」<br />
ジ「あ~先生…どうもです」<br />
梅「むむ!?先生、何やら熱い視線を感じるよ!青春だなぁ!」<br />
ジ「きっと気のせいですよ」<br /><br />
巴「~~~~~~~~~!!??%◎★$℃¥@△→※〒¢くぁwせdrfgyふじこlp;」<br /><br /><br />
ジ「なぁ雛苺。今日も巴は休みなのか?もう5日連続だぞ?」<br />
雛「トモエはこころにいえることのない深い傷をおってしまったの」<br />
ジ「はぁ」<br />
雛「まいばん乙女の涙で自分のまくらをぬらしてるのよ…」<br />
ジ「難儀だなぁ…」</p>
<hr /><p align="left"><br /><br />
肌にまとわりついてくる……なんとなく変な空気。<br />
私は、ここに足を踏み入れたときから、それを感じていた。<br />
みんなの平然とした表情から察するに、気づいているのは、私だけらしい。<br /><br /><br />
――高校の修学旅行のグループ行動で訪れた、古い都の、古ぼけた博物館。<br /><br /><br />
「あれ? みんな……どこ?」<br /><br /><br />
――狭い館内で、いつの間にか、独り。<br /><br /><br />
手近なドアを開けると、そこはセピア色の木造家屋――研究室のような場所だった。<br />
目の前の机には、こちらに背を向けて座っている、男性の姿。<br />
ここは、どこ? そう訊ねるより僅かに早く、男性は振り返って、優しく微笑んだ。<br /><br />
「やあ、よく来てくれたね。君が、僕の新しい助手を務めてくれる子かい」<br />
「えっ? さ……桜田くんっ?!」<br /><br />
その男性は、幼なじみの男の子と、よく似ていた。面差しとか、背格好とか。<br />
でも、いま目の前にいる男性のほうが、ずっと年かさだと思う。<br />
多分……30前後くらいかな。無精ヒゲも濃いし、口振りも、どこか古めかしい。<br /><br />
「おや……どうして、僕の名前を? 君とは、どこかで逢っていたかね」<br />
「いえ、あの…………多分、初対面だと思いますけど」<br />
「だよねえ。僕はこう見えても、考古学者だからね。記憶には自信があるのだよ」<br /><br />
考古学者――言われてみれば、うらぶれた風貌も、それらしく見えてくる。 <br /><br />
男性は、ゆっくりと私の前に歩いてきて、静かに右手を差し伸べてきた。<br />
私も同じようにして、握手する。<br />
彼の手は、女の子のものかと錯覚するほど、しっとりと潤っていた。<br /><br />
「あらためて名乗ろう。僕の名前はだね」<br />
言って、彼が据え付けの黒板に書いた字は……<br /><br />
「桜田……た、たけのこ?!」<br />
「筍だよ、ジュンって読むんだ。子供の頃は、チビ筍って苛められたものさ。<br />
どうやら、ウチは小柄な男ばかり生まれる家系らしくてねえ。<br />
両親は背が高くなるよう願って、この字を使ったんだろうけどさ」<br /><br />
はた迷惑な話だとは思わないかね?<br />
……と、真顔で同意を求められても、なんと返せばいいのやら。<br />
曖昧に笑ったら、バカにしたと思われそうだし……ここは無難に頷いておいた。<br /><br />
「あの……私、柏葉巴です。普通の高校生で――字は、こうです」<br />
「ふむふむ。いい名前だね。凛とした、もののふの魂を感じさせるよ」<br />
「私、女の子なんですけど」<br />
「いや、これは失敬。やれやれ……まいったな。<br />
どうにも口で失敗することが多くてね。僕自身、困っているのだよ」<br />
「でしょうね」<br /><br />
なんと言うか……不器用な性格まで、桜田くんと似ているなんてね。<br />
この男性とは、初対面で、赤の他人だったハズなのに――<br />
いつの間にか、旧知の仲のように感じ、振る舞っている私がいた。<br /><br />
「君のこと、巴くんと呼んでも構わないかね?」<br />
「はい、どうぞ。私は、どう呼んだらいいんでしょうか?」 <br /><br />
なんとなく、彼の放つ独特の雰囲気に、私は呑み込まれていた。<br />
この場所に自分が立っていることを、なんの疑問にも思わないままに。<br /><br />
「僕のことは、好きに呼んでくれていいよ。教授とでも、先生とでも」<br />
「たけのこ――でも?」<br />
「それだけは却下」<br />
「ふふ……分かりました。それじゃあ、桜田くん……では?」<br />
「少し馴れ馴れしすぎる気もするが――まあ、そう呼んでくれたまえ」<br /><br />
どうして、ほのぼの会話なんかしてるんだろう……私。<br />
こんなコト、してる場合じゃないのに。<br />
博物館ではぐれた、みんなのトコに帰らなきゃいけないのに。<br /><br />
「それじゃあ、巴くん! 早速で悪いが、老禅遺跡まで、発掘調査に行くぞ」<br />
「え? ちょ……いきなりすぎませんか?」<br />
「なにを言うんだ。諺にもあるだろう。『老禅は急げ』とね」<br />
「知りません」<br /><br /><br />
――そして始まる、摩訶不思議なアドベンチャー。<br /><br /><br />
「桜田くんっ! ここに、斜光器土偶が」<br />
「おお、でかしたぞ巴くん! これは、まさしく縄文時代の老禅姪殿だ」<br />
「姪……って、女の子なんですか、これ?」<br />
「そうだよ。この胸を見たまえ。ボイーンって盛り上がってるだろう」<br />
「なんか……その言い方、やらしい」<br />
「誤解だ! 決して、やましい気持ちなんてないぞ」<br />
「本当かなぁ」 <br /><br /><br />
――まったりと過ぎゆく日常。<br /><br /><br />
「ねえ、桜田くん。書架から、江戸時代の春画が山ほど出てきたんだけど……」<br />
「ちょわぁー! そそ、それはだね。そう! 考古学的資料なのだよ。<br />
当時の生活や風俗を知る、貴重な手懸かりだとは思わないかね?」<br />
「でも……葛飾北斎の『喜能會之故眞通(きのえのこまつ)』って――」<br />
「人間、たまには幻想も必要だよ。僕の持論だがね」<br />
「つまり、桜田くんは触手陵辱系が好き、と」<br />
「なんのコトかな?」<br /><br /><br />
――覆される常識。<br /><br /><br />
「あ……新聞が届けられてる。今日のニュースは――<br />
え? ウソ……なに、これ?」<br /><br />
紙面の上端にある日付の年号は、明治。<br /><br /><br />
――甦る記憶。<br /><br /><br />
「そう言えば、桜田くんの両親も考古学者で、世界を飛び回ってると言ってたわ。<br />
じゃあ、もしかしたら、この時代の桜田くんは……彼のお祖父さん?」<br /><br /><br />
――そして訪れるロマンス。 <br /><br /><br />
「巴くん、すまない。君まで危険に巻き込んでしまって」<br />
「そんな……桜田くん。気に病まないで」<br />
「だが、僕のような朴念仁ならともかく、若い身空の君を――」<br />
「私が望んだことだから。どんな結果でも、私は後悔しないわ」<br />
「…………巴くん。君は、とても強い人だね」<br /><br /><br />
――告げられる想い。<br /><br /><br />
「もしも、2人……生きてここを出られたのならば……<br />
巴くん。僕と、一緒になってくれないだろうか」<br />
「ええっ?! で、でも――」<br /><br /><br />
(そうしたら、私……桜田くんのお祖母ちゃんってコトに……。<br />
でも、ここで断って、今の桜田くんが死ぬ気になってもまずいわ。<br /><br />
ど、どうしよう。巴、困っちゃうぅ~)<br /><br /><br />
――それぞれの決断が引き寄せる未来は、いかに。<br /><br /><br /><br />
ダイジェスト版『巴トリッパー(仮)』<br /><br /><br />
本編は近いうちに。 <br /><br /><br /><br /><br />
な / ______<br />
ぁ 訳/  ̄ヽ<br />
ぁな / \<br />
ぁ い レ/ ┴┴┴┴┴| \<br />
ぁ じ / ノ ヽ | ヽ<br />
ぁ ゃ> ―( 。)-( 。)-| |<br />
んぁ > ⌒ ハ⌒ | / <br />
!ぁ> __ノ_( U )ヽ .|/<br />
ん |ヽエエエェフ | |<br />
\ | ヽ ヽ | | |<br />
√\ ヽ ヽエェェイ|/<br />
\ `ー― /ヽ</p>
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<hr /><p><br /><br />
「おはよう、柏葉」<br />
「おはよう、桜田くん」<br />
今日も私は彼と挨拶を交わす。<br />
朝、高校へ登校する時のいつもの言葉といつもの風景。<br /><br />
でも、数か月前からその風景が変わった。<br />
彼の隣に寄り添う少女が現れたのだ。<br />
彼女の名前は真紅。碧い瞳と金色の髪をもつ、気高く美しい少女。<br /><br />
「おはよう、巴」<br />
「おはよう、真紅」<br />
彼の恋人の真紅と挨拶を交わす。<br /><br />
少し先を歩く二人の背中を見ながら、私は思う。<br />
――本当は私も桜田くんの隣を歩きたいの…。<br />
でも、彼女の友達である私にはそんなことは言えない。<br />
――ずっと前から好きでした…。<br />
彼の友達でもある私は、そんなことは絶対に言えない。<br /><br /><br />
友達から恋人へと変わった桜田くんと真紅。<br />
今もずっと友達のままで変わらない桜田くんと私。<br />
そして、変われないこの想い…。<br /><br />
――ねぇ、桜田くん、私も貴方が好きなんだよ。<br />
言葉にはできないけど、貴方が鼓動を揺らすから、<br />
私は今日も胸の中でそっと伝えるの。<br /><br />
――私なら、此処です。少しだけでいいから、振り向いて…。<br /><br /><br />
【私なら】【此処です】</p>
<p> </p>
<p> </p>
<hr /><p align="left"><br /><br />
「桜田くん、一緒に帰ってもいいかな?」<br />
月曜日、JUNは学校の帰り道で巴に出逢った。<br /><br />
「桜田くん、お買い物?」<br />
火曜日、JUNは自宅近くのスーパーで巴と出逢った。<br /><br />
「桜田くんもそういう雑誌を読むのね…」<br />
水曜日、JUNは本屋で巴と出逢った。<br /><br />
「桜田くんも苺大福を買いに来たの?」<br />
木曜日、JUNは不死屋で巴と出逢った。<br /><br />
「桜田くん、勉強熱心なのね」<br />
金曜日、JUNは図書館で巴と出逢った。<br /><br />
「桜田くん、今日は真紅と一緒なのね……」<br />
土曜日、JUNは映画館で巴と出逢った。<br /><br />
「おはよう、桜田くん」<br />
日曜日、JUNが目を覚ますと何故かそこには巴がいた。<br /><br />
「柏葉…。お前、なんでこんな所にいるんだ?」<br />
JUNの問いかけに巴は意味ありげな微笑みを浮かべた――。<br />
「クスッ。知りたいの?」<br /><br /><br />
紅「巴、恐ろしい子!」<br /><br /><br /></p>
<hr /><br /><br />
ちょいグロ<br /><br /><br />
気づいたら、夜の闇に沈みかけた森の中の道を、たった独り歩いていた。<br />
わたし……桜田くんと、近所の小学校で催される町内の夏祭りに来てた……はず。<br />
だけど彼は、どこにもいない。<br /><br />
「人混みに流されて、はぐれちゃったのかな」<br /><br />
だとしても、森の中にまで押し流されるワケがない。この状況は、やはり変だ。<br />
携帯電話で、彼と連絡をとろうとするけれど、圏外。<br />
立ち止まって耳を澄ますと、盆踊りの歌が、かなり遠くに聞こえた。<br /><br />
「ここって……もしかして、小学校の裏山?」<br /><br />
子供の頃は、よく遊んだ場所だったけれど、最近では滅多に近づくこともなくて。<br />
記憶にある光景と、いま目の前にある景色は、なかなかひとつに結びつかない。<br />
もちろん、夜だから――ってことも、あるだろうけれど。<br /><br /><br />
「とにかく、戻らなきゃ。桜田くんも、きっと探してくれてるはず」<br /><br />
山にいるのだったら、下る方向へ進めば、どこかに出られるだろう。<br />
私は短絡的に考えて、点々と電灯の灯る山道を、下り始めた。<br />
――と、次の瞬間!<br /><br /><br />
がさっ! がさがささ……。<br /><br /><br />
向かって右手の森の中で、ナニかが蠢いた。<br />
私の直感が、警鐘を鳴らす。<br /><br />
こんな人っ気のない山の中に隠れているのは、ロクな人間じゃない。<br />
まあ、人間とは限らないけれど……この辺で野犬の噂は聞かないし。<br />
ノラ猫にしては、茂みを掻き分ける音が大きすぎた。<br /><br />
――考えられるのは、やっぱり、痴漢。<br /><br />
「だ、誰っ!」<br /><br />
暗闇に向かって誰何する声は、情けないけれど戦慄いていた。<br />
こんな時に限って、いつも持ち歩いてる竹刀は、手元にない。<br />
周りを一瞥したけれど、武器になりそうな物もなかった。<br /><br />
「誰なの! ふざけないで!」<br /><br />
誰かに聞こえることを願いながら、叫びつつ、後ずさる。<br />
とにかく声を出していないと、全身の力が、一気に流れ出してしまいそうだった。<br />
茂みの奥からは依然として、葉を毟り、小枝をへし折る音が近づいてくる。<br /><br />
――そして。<br />
真っ黒い影が、わたしの前に飛び出してきた。バッタみたいに、ばさり……と。<br />
でも、違った。バッタなんかじゃなかった。<br /><br />
「ひいっ!」<br /><br />
わたしは、喉の奥から悲鳴を絞りだして、あわや、腰を抜かしそうになった。<br />
5メートルほど前方に現れたソレは、全長2メートルは優にある、ゴキブリだった。<br /><br />
なぜ、こんなのが居るのかなんて、考える余裕はない。<br />
生理的な嫌悪から身を翻し、山道を駆け登った。でも、浴衣だから走りにくい。<br /><br />
背後から、がさがさがさ……耳障りな音が、ものすごい速さで近づいてくる。<br />
追ってくる。追いすがってきてる。<br />
逃げなきゃ! でも、浴衣の裾が絡みついて、足がもつれそう。息が苦しい。<br /><br />
それでも、立ち止まるなんて無理。<br />
あの巨大ゴキブリに囓られるなんて、絶対にイヤ。<br /><br /><br />
やがて、目の前に小さな橋が見えてきた。<br />
近所では有名な、縁結びのスポット【巴橋】だ。<br />
わたしの名前も、この橋に因んで付けたのだとか――<br /><br />
もしかしたら、これって運命なのかな。<br />
わたし、産まれたとき既に、ここで死ぬことを定められてたのかな。<br />
現実ばなれした巨大ゴキブリの、エサになっちゃうのかな。<br /><br />
「イヤっ! そんなのイヤっ!」<br /><br />
たとえ運命だったとしても、わたし、まだ死にたくない。<br />
女の子だもの。花に喩えるなら、やっと蕾になったところなんだもの。<br />
好きになった人と結ばれて、ささやかでいいから、幸せな家庭を持ちたい。<br /><br />
その執念だけが、わたしの脚を、前へ前へと衝き動かす。<br />
石造りの橋を駆け抜けて、背後の様子を横目に確かめた、そのとき。<br /><br /><br />
ぶわぁぁん……。<br />
空を切る重低音が聞こえるや否や、わたしは強烈に突き飛ばされ、地面に叩きつけられた。<br />
背中に、ズッシリと――ナニかが、へばりついてる。<br /><br />
見るまでもなかった。いや、見たくもなかった。<br />
巨大ゴキブリの顔面が、間近にあると想像するだけで、総毛立ってしまう。<br />
それによって、全身の力も、抜けきってしまった。<br /><br />
「い、イヤぁっ! 助けて! 桜田くんっ、助けてぇっ!」<br /><br />
頭の中は、真っ白だった。<br />
泣き喚くことも、大声で助けを求めることも、恥ずかしいなんて思わなかった。<br />
けれど、そうする間も、カチャカチャ……。固いモノが噛み合う音が、近づいてくる。<br />
わたしの首筋に――<br /><br />
「ひぃ……ひぃ……」<br /><br />
声を出したいのに、喉からは空気が漏れるだけ。<br />
歯の根が合わなくて、のし掛かる巨大ゴキブリを、はね除けることもできない。<br />
わたし……もう、だめ。<br /><br /><br />
痛快まる囓りを覚悟した、その途端。<br />
空を裂く鋭利な音。降りかかってくる、ネバネバした液体。そして――<br /><br />
「きゃあぁっ! な、なにぃ、これ?」<br />
「あらあらぁ、騒がしい娘だこと」<br /><br />
わたし以外の、女性の声。<br /><br />
髪や顔にこびりつく粘液を手で拭って、顔を向ける。<br />
そこで、わたしが目にしたのは……<br />
真っ二つに裂かれた巨大ゴキブリと、太刀を手にした銀髪の娘。<br /><br />
「危ないトコだったわねぇ」<br /><br />
彼女は冷たい笑みを浮かべながら、巨大ゴキブリの死体を蹴り飛ばし、救い出してくれた。<br /><br />
「貴女……この辺じゃあ見かけない子ねぇ。旅人ぉ?」<br />
「え? いえ、その……」<br />
「こんなに色鮮やかに染めた浴衣も、見たことないわぁ。どこの村の出身?」<br /><br />
村? 小学校の周りは、町という区切りはあっても、村なんてない。<br />
わたし……からかわれてる?<br /><br />
「ここって、どこ?」<br /><br />
訊ねると、銀髪の娘は「はぁ?」と、眉を顰めた。<br /><br />
「そんなコトも知らないのぉ? どこの田舎者よぉ」<br />
「……ごめんなさい」<br />
「謝られてもねぇ。ま、とりあえず。私の村で、朝までゆっくりするといいわ。<br />
この辺りには、巨大な昆虫がウジャウジャ居るからぁ」<br />
「ありがとう。わたし、柏葉巴です。よろしくおねがいします」<br />
「水銀燈よ。よろしくねぇ」<br /><br />
水銀燈に連れられ、山道から見おろした夜景には、電気も、ビルも、なにも無かった。<br />
――これはまだ、不可思議な体験の序曲に過ぎなかった。<br /><br /><br />
《新連載》<br /><br />
『巴橋★魔法商店街(仮)』 近日公開<br /><br />
ちょいグロだったかも知れない。<br /><br />
な / ______<br />
ぁ 訳/  ̄ヽ<br />
ぁな / \<br />
ぁ い レ/ ┴┴┴┴┴| \<br />
ぁ じ / ノ ヽ | ヽ<br />
ぁ ゃ> ―( 。)-( 。)-| |<br />
んぁ > ⌒ ハ⌒ | / <br />
!ぁ> __ノ_( U )ヽ .|/<br />
ん |ヽエエエェフ | |<br />
\ | ヽ ヽ | | |<br />
√\ ヽ ヽエェェイ|/<br />
\ `ー― /ヽ