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甘い保守シリーズ12」(2008/05/15 (木) 20:11:18) の最新版変更点

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<p>夢見る保守を致しますわ<br /><br /> 「――と、言う訳で。斯様な夢を昨夜、見たのです」<br /><br /> 「ま、まぁ………ちょっとだけ、不気味ねぇ。で、でーも、それだけよぉ」<br /> 「水銀燈、語尾が震えてるかしら。――何が意味があるのかも………?」<br /> 「あぁぁぁあ、あるわけねぇですぅ!夢なんて記憶の寄せ集めにしかすぎねぇですよ、チビカナ!」<br /> 「その手の話、苦手だもんねぇ、翠星石。ボクは―不謹慎だけど―小説のネタにできそうかなぁって」<br /> 「たしかにそうぞうりょくをかきたてられるかもしれないのだわ」<br /> 「うゅ、真紅、袖を引っ張られちゃうと伸びちゃうからメなのよ」<br /> 「雛苺、意外に冷静………。ばらしーは、ちょびっと苦手。あぁ、この妄想力が恨めしい………!」<br /><br /> 「――なぁ、その夢だけどさ」<br /> 「はい、どうされましたか?」<br /> 「夢の舞台――寂れた洋館が不気味って訳じゃないんだよな?」<br /> 「それも一因かと思いますが、どちらかというと――<br />  出てくる人物の方にワタクシは不気味さを感じましたわ」<br /> 「ヒナはお友達になりたいなぁって思ったの」<br /> 「まぁ、雛姉様は………。――貴方様はどう思われましたか?」<br /> 「んー………『納得いかない』」<br /> 「………は?えと、それはどういう………?」<br /> 「出てきた人物って、女の子なんだよな?」<br /> 「ええ、二人――双子の様な………。微笑みの表情で立っているだけなのに、何所か空恐ろしい」<br /> 「………うん。で、なんだっけか。雰囲気的には」<br /> 「がらんどうの容れ物、その可憐さは何所か歪な――まさに、西洋人形が命を吹き込まれた様」<br /> 「やっぱり、その感想に納得いかない」<br /> 「何故!?」</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 夢見る保守を致すですぅ(前スレ―夢見る保守を致しますわ―→翠ルート)<br /><br /> 「――おい、翠星石、翠星石ってば」<br /> 「あぅぅ………えぅぅ………やぁですぅ、やぁ………zzz」<br /> 「………ごくり。翠星石、可愛い………」<br /> 「――えーと、蒼星石さん?」<br /> 「………冗談だよ、冗談。とりあえず、――起きて、翠星石」<br /> 「むにゃ………ぅー………?――ふぁ、しょーしぇいせき、おはよーですぅ」<br /> 「………くっ、なんて破壊力!食べちゃいたい………っ!」<br /> 「『食べちゃいたい』じゃありません。ったく………翠星石、寝ぼけてないで覚醒しろ」<br /> 「んぁ………なんで、ちびにんげんがいるですかぁ………?」<br /> 「それは此処が学園だからです。――ほらよ、ハンカチ」<br /> 「とりあえず、うけとりますがぁ………――って、ちちちび人間、何乙女の寝顔見てやがるですか!?」<br /> 「見られたくないなら学校で寝るな。………ところで、何か夢でも見てたのか?」<br /> 「しゅ、春眠暁を覚えず、ですぅ………」<br /> 「なんでお前は理系の癖にそういう格言はさらっと出てくるんだ」<br /> 「おじいさんの影響だと思うよ。――で、翠星石、さっきの話だけど」<br /> 「夢、ですか。そうですね、よく覚えてねぇですけど見てたような気がするですぅ」<br /> 「んー………で、どんな内容だった?」<br /><br /> 「えーと………たけのこがびっしり生えてる村を何度も行ったり来たり。<br />  で、その次は、きのこが一面に生えまくった山を昇ったり降りたり………。<br />  覚えている最後は、茶色い泥でコーティングされてる様な竹藪を突っ走ってたですよ。<br />  それだけですのに………なぜか、とっても切なかったですぅ」<br /><br /> 「………あぁ、なるほど。確かに、ダイエット中の翠星石には切ないかもね」<br /> 「体の一部がな。――ほら、購買行くぞ」<br /> 「はぇ?――って、さり気にばらすなです、そうせいせ――(ぐぅ」<br /> 「夢に見るまで我慢するなってば。さっさと涎拭いて、購買にお菓子買いに行くぞ」<br /> 「………へ?――うぁぁぁぁ、見るなです、見るなですぅぅぅ!?(ごしごし」</p> <hr /><p><br /><br /> 夢見る保守を致すわぁ(前スレ―夢見る保守を致しますわ―→銀ルート)<br /><br /> 「ほら、今日、雪華綺晶が変な事言ってたじゃなぁい?」<br /> 『………あぁ、見た夢が不気味だったって言ってたな』<br /> 「でぇ、ちょっと思い出しちゃったって言うか、気になったと言うかぁ」<br /> 『わからないでもないけどな。それで?』<br /> 「『それで』………って、つれないわねぇ」<br /> 『あのな。今何時だと思ってやがる!?』<br /> 「26時よぉ。所謂、丑三つ時」<br /> 『芸能人かなんかかお前は。――んな時間に電話してくるなよなぁ』<br /> 「なによぉ、起きてたんだからいいじゃなぁい」<br /> 『じゃあ今から寝る。お休み』<br /> 「え、え、え?ね、ねぇ、ちょっとくらいお話しましょうよぉ………」<br /> 『………ちょっと待ってろ』(プツっ………ツーツー)<br /><br /> 「あ、ぇぅ………切れちゃったぁ………。<br />  メグも真紅も寝てるだろうしぃ………」<br /><br /> ひゅるるるるる、っばんっばん<br /><br /> 「ひゃぅ!?――うぅぅ、お化けなんてなぁいさぁ、お化けなんてうーそさぁ――♪」<br /><br /> trrrrrr,trrrrrr,<br /><br /> 「ひゃああ、なによぉ、なんなのよぉ!?――………って、電話ぁ?」(ピッ<br /> 『――携帯からだと、金額嵩むだろ』<br /> 「………ぁ。で、でもいいのぉ?」<br /> 『家電に変えた時点で察しろ。――お前が眠たくなるまで、つきあうよ』<br /> 「………うふふ、ありがとぉ………」</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 夢見る保守を致すのだわ(前スレ―夢見る保守を致しますわ―→紅ルート)<br /><br /> 「――あら………意外と面白いじゃない、この本」<br /> 「本って言うか、漫画だろ。将棋漫画な筈なんだけど、何故かバトル――」<br /> 「先を言わないのでいいのだわ」<br /><br /> 「喉渇いてきたなぁ………」<br /> 「ポットに紅茶が入っているのだわ。無論、私のも淹れてくれるんでしょう?」<br /> 「せめて論じさせろよ………。ったく、僕をなんだと思ってるんだ」<br /> 「聞きたい?」<br /> 「結構です」<br /><br /> 「ちょっとお腹がすいてきたわね」<br /> 「………こんな時間に余計なもの食ったら、太るぞ」<br /> 「それもそうね。我慢するのだわ」<br /> 「この辺が翠星石と違う所なんだろうなぁ」<br /> 「あの子だったら、『是くらい大丈夫ですぅ』とか言って――」<br /> 「――『大丈夫じゃなかったですぅ』に続きそうだな」<br /> 「なんでもいいけど、口真似が全然似てないのだわ」<br /><br /> 「なぁ、ところでさ」<br /> 「何よ?」<br /> 「僕は何時まで起きておけばいいんだ」<br /> 「私が今日の雪華綺晶の話を忘れるまで――って、思いださせないで欲しいのだわ!」<br /> 「僕の所為かよ!?………おじさんとおばさん、早く出張から帰ってきてくれ………」<br /> 「家が隣なんだから我慢なさい――くしゅっ」<br /> 「………膝かけでも持ってくるか。深夜はまだ寒いもんな」<br /> 「是は花粉症よ。――暖かさは、貴方の背中から貰っているのだわ」<br /><br /> ――改題 寒くて熱い保守を致すのだわ</p> <hr /><p><br /><br /><br /> ほのかな保守を致すですぅ<br /><br /> 「むぅ………此処の古本屋さんは棚が高すぎですぅ………届かない………」<br /> 「ジャンプして取ってみようか、翠星石?」<br /> 「確かにお前ぇの方が届きそうですが………スカートなんですから、止めとくですよ」<br /> 「それもそうだね。ちょっと店員さんに脚立借りてくるよ――」<br /> 「すまねぇですぅ。 ………うーん、でも、背伸びしたら取れそうな………」<br /> 「………翠星石?」<br /> 「ぬ、く、もう少し、もう少し………!」<br /> 「おーい、翠星石ってば――って」<br /> 「うーーーーーー――って、きゃ――!?」 ――(ットン)<br /> 「………なんとか間に合った。あのなぁ、何をそんなに無理して………」<br /> 「あ、どもです――って、ち、チビ餓鬼じゃないですか!?かかかか勝手に触れるなですぅ!」<br /> 「そんなに怒るなよ………受け止めてなきゃこけてたんだぞ、お前」<br /> 「な、なぁーにを言ってやがるですか!この翠星石に限ってそんなおまぬけな事………!」<br /> 「はいはい。――で、上の方にある本取ろうとしてたのか?」<br /> 「なんですか、そのてきとーな返事は!?――ま、まぁ、そーですぅ。今、蒼星石が――」<br /> 「えーと、どれだ?」<br /> 「『好きな人に贈るお菓子の作り方』ってあsdfghjkl!?」<br /> 「そういうとこ、お前も女の子だよなぁ。――と、ほらよ」<br /> 「す、翠星石はどっからどう見ても立派な淑女ですよ!………って、え?」<br /> 「え?じゃなくて。是が欲しかったんじゃないのか?」<br /> 「そう、ですけど………。翠星石の後ろに立ちながら、よく届いたですね………」<br /> 「背伸びしたけどな」<br /> 「………ありがと、ですぅ」<br /> 「珍しく素直に――ん、どういたしまして」<br /> 「――翠星石、脚立借りてき………ぅわ、こんな所で乙女抱きされてる!?」<br /> 「ち、違っ!?蒼星石、誤解ですよ!?」<br /> 「そーいや、誰に贈るんだ、是見て作ったの?」<br /> 「お前ぇでs――だぁぁぁ、違うです、違うですぅぅぅぅぅ!?」</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 怖い保守を致しましょう(20歳未満の方は見ない方が賢明です)<br /><br /> 「時季外れに怪談?――どうでもいいけど、此処は保健室なんだけど」<br /> 「いいじゃないのよぉ、どぉせ万年暇な部屋なんだからなぁ」<br /> 「………言ってくれるじゃないの」<br /> 「ま、まぁまぁ、めぐ先生――」<br /> 「――抑えて欲しいのだわ。水銀燈も、場所を借りているんだから、失礼な事を言わない様に」<br /> 「貴方達がそう言うんなら従うけどぉ。嘘は言ってないわよ?」<br /> 「いや、だから、お前な………」<br /> 「もう良いわよ。でも、ほんとになんでこんな時期に?」<br /> 「それは………。その、私も水銀燈もその手の話が苦手だから」<br /> 「今のうちに強くなっておこうと思ってぇ………」<br /> 「あら、殊勝じゃない。――じゃあ、貴方も?」<br /> 「あ、いえ、僕は付き添いというか………語り手と言うか」<br /> 「ネットばっかりやってるから、そういう話は詳しいものね」<br /> 「るさい、真紅………と、言いたい所だけど、強ち否定できない」<br /> 「あ、でも、めぐも詳しそうよねぇ」<br /> 「どうしてかしら、水銀燈?」<br /> 「そぉいう湿っぽい話好きそうだものぉ。それに、髪型とかも純和物の怪談に出てきそうだしぃ」<br /> 「………ふーん」<br /> 「だから、なんでお前はそう、めぐ先生には突っかかるんだ………」<br /> 「甘えてるんだと思うのだけれど………。あの、めぐ先生、余りお気になさらず」<br /> 「ありがとう、真紅ちゃん。ぜんっぜん気にしてないわよ?」<br /> 「………怖いです、先生」<br /> 「貴方までひどいわね。――そうだ、ちょっと耳ふさいどいてくれる?真紅ちゃんも」<br /> 「「………?」」<br /> 「私はいいのぉ?」<br /> 「いいわよ。こほん―― む ら さ き か が み 」<br /> 「………へ?――って、あぁぁぁぁぁぁぁ、わ、忘れてたのにぃぃぃ!?」<br /> 「「………??」」</p> <hr /><p><br /><br /> ほのかな保守を致しますね<br /><br /> 嬉しさも怒りも悲しみも、楽しみも。<br /> 貴方には全て頂きました。<br /> 嬉しさも怒りも悲しみも、楽しみも。<br /> 貴方とは全てを共にしてきました。<br /> 嬉しさも怒りも悲しみも、楽しみも。<br /> 貴方と全てを分かち合いました。<br /> 色々な事があって。<br /> 沢山の事を乗り越えて。<br /> ――是からも、お願いいたしますね。<br /> 「――って言う作文が、家から出て来たですよ」<br /> 「お前から蒼星石に、か?」<br /> 「翠星石はこんな恥ずかしい文章書かねぇですぅ!」<br /> 「それもそうか。じゃあ………ぁー………昔、贈ったものじゃないか?」<br /> 「昔?誰が誰に??」<br /> 「呼びかけが『貴女』じゃなくて『貴方』だから、まつ先生から柴崎先生に」<br /> 「………なるほど。まぁ、納得出来るですね」<br /> 「結婚前後に書いたものじゃないかな?そこはかとなく甘ったるいし」<br /> 「あ、それはたぶん違うですぅ」<br /> 「………なんで?」<br /> 「だって、この紙、真新しいですよ。古いのは段々と色がぼけて来るですぅ」<br /> 「それもそうだな。………ところで、本日、先生たちは?」<br /> 「デートですぅ」<br /> 「………あぁ、うん。二人でどっかに出かけたんだな」<br /> 「違いますよ、はっきり『デートに行ってくる』って言ってたです」<br /> 「………………凄いな」<br /> 「何がですか??」<br /> 「いや、えーと………相当に毒されてるな、お前………」<br /> 「だぁら、何がですかぁ!?」</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 怖い保守を致すのだわ<br /><br /> 「なにか………いきなり水銀燈が震えているのだけれど」<br /> 「気にしないで良いわよ――さ、次は誰が話してくれるの?」<br /> 「(次?)――んー、じゃあ、真紅。頼めるか?」<br /> 「私から?いいけれど………そうね、じゃあ、こんな話を。<br />  ――ある男性………T氏としましょうか。<br />  彼は、その日が来るまでごく平凡に暮らしていたのだわ。<br />  普通に仕事をし、平均的な収入を得、平坦な毎日を過ごしていたの。<br />  だけど………彼は、出会ってしまったの。<br />  <br />  自分と、顔も声も――全てが同じ人物に」<br /><br /> 「あぁ、ドッペルゲンガーか」<br /> 「『自分と同じ顔の人は三人はいる』とも言うわね」<br /> 「………落ちを先に言わないで欲しいのだわ」<br /> 「ふふ、無様ねぇ、真紅。そんな話、みんな知ってるわよぉ」<br /> 「うぐ………でも、初めて聞いた時は怖かったのだわ!」<br /> 「それが無様って言うのよぉ。大体、顔も声も同じ人間なんて、早々――」<br /> 「………水銀燈、水銀燈」<br /> 「何よぉ、めぐぅ?今、いい所なんだからぁ」<br /> 「テレビをぽちっとなっと」(ピッ<br /> ― ラクス・クライン、デース ―<br /> 「――!!?? ちょ、ちょっと、今の声、私とそっくりぃ!?」<br /> ピッ)「発声の仕方は違うけど、似てるわよね。あーぁ、水銀燈もあと少しで見納めかぁ」<br /> 「な、なんで拝んでるのよぉ!?あぅぅぅ………」<br /> 「………めぐ先生、何故か時々、水銀燈には凄く意地悪なのだわ」<br /> 「いや、今のはやきもちだろ。多分」 </p> <hr /><p><br /><br /><br /> 怖い保守を致すわぁ<br /><br /> 「怖くないぃ、怖くないぃ………」<br /> 「水銀燈、煩い。――真紅ちゃんが話したんだから、次は貴女が話しなさいな」<br /> 「焼餅だろうけど、容赦がないんだよなぁ。まぁ、次の話は頼むよ」<br /> 「うぅ、わかったわぁ………んー、あんまり知らないけどぉ………。<br />  とある田舎町のお話。<br />  その町には、西欧からの移住者が多く住んでたのよぉ。<br />  自由の国に来ても、そこは封建的な制度に縛られていたわぁ。<br />  小さないがみ合いは日常茶飯事、だけど、なんとか人々は平穏に暮らしていたの。<br />  <br />  ――町の近くの森から、異形の者………首なし騎士が現れるまでは………」<br /><br /> 「………って、貴女も真紅ちゃんの事言えないじゃないの。デュラハンでしょ?」<br /> 「あ、めぐ先生、違うと思うのだわ。多分――」<br /> 「ぶっぶぅ、先読みは外れよぉ、めぐぅ。格好悪ぅい♪」<br /> 「………………」<br /> 「す、水銀燈、それ位にした方が………僕もめぐ先生と同じ様に考えたし………」<br /> 「このお話に出てくるお化けは―正式名称は不明だけど―『スリーピーホロウ』って言うのよぉ」<br /> 「………………ふーん」<br /> 「大体、『デュラハン』ってヨーロッパのお化けでしょぉ?<br />  自由の国―アメリカのお話だって、最初に言ってるじゃないのよぉ」<br /> 「………そうなのよね。私も其処で気が付いたんだけど………マイナーなお話だと思うのだわ」<br /> 「ぁん、真紅はちょっと黙ってなさぁい。珍しくめぐに『教えて』あげてるんだからぁ♪」<br /> 「水銀燈、あんまり調子に乗らない方が………」<br /> 「――そう、ありがとう、水銀燈。代わりに、私も一つお話してあげるわ」<br /> 「あらぁ、貴女に何が教えられるのぉ、先読み外れのめぐセンセェ?」<br /> 「ふふふ、貴女と似たような話なんだけどね。 腹 な し ジ ャ ン ク の お話」<br /> 「………………って、めぐぅぅぅぅ!?」<br /> 「………なんで水銀燈が泣きそうになってるかわからないけど。まぁ因果応報か」</p> <hr /><p align="left"><br /> 美味しい保守を致すなの<br /><br /> 「今日の晩御飯はお寿司なのー♪」<br /> 「ぐる寿司(回転寿司)だけどな」<br /> 「いいじゃない。どうせ、高いもの食べても味なんか其れほどわからないんだし」<br /> 「さらっと毒を吐くな、毒を」<br /> 「トモエ、はい、お茶なの」<br /> 「――ありがとう、雛苺。はい、貴方も。おじぼり」<br /> 「ん、サンキュ。と、雛苺、どれから食べる?」<br /> 「うゅ?うと、うーと………あ、ハンバーグがあるの、それ食べるの♪」<br /> 「………なんであるんだ」<br /> 「最近の回転寿司じゃ珍しくないよ?――はい、どうぞ」<br /> 「わーい♪あむあむもぐもぐっ」<br /> 「――柏葉は?僕はとりあえず、赤だしを頼むけど」<br /> 「あ、じゃあ私も頼んでもらえる?それと、えと、サーモンを………」<br /> 「ん?サーモンなら流れててるじゃないか。是で――」<br /> 「トモエは、わさび苦手なの。他にも辛いのも酸っぱいのも苦いのも苦手なの」<br /> 「ひ、雛苺!?」<br /> 「んじゃあ、赤だし二つとサーモンさび抜きを一つ、と」<br /> 「あ、ゃ、苦手ってほどじゃ………!食べようと思えば………!」<br /> 「そこまで必死にならんでも」<br /><br /> 「あれも美味しいの、是も美味しいの♪」<br /> 「ふふ、嬉しそう、雛苺。――でも」<br /> 「口元、マヨネーズでぐちゃぐちゃなのはちょっとな。口、閉じてろよ」<br /> 「んー………って、二人とも、ヒナを子供扱いしてるの!ひどいの!」<br /> 「いや、そんな事は」「うん、決して」<br /> 「むぅぅぅ。――あ、そうだ………ね、ね、――苺を、た・べ・て、なの♪」<br /> 「な!?ひ、雛苺、そんな淫らな………!で、でも………私のも………食べていいよ………?」<br /> 「だからなんで、回転寿司にイチゴケーキと柏餅があるんだ」<br /><br /><br /></p> <hr /><br /><br /><br /> 切ない保守を致しましょう<br /><br /> 「――貴方の話、よっぽど怖かったみたいね」<br /> 「仕切り直しって言って、二人して顔を洗いに行くほどではないと思いますが………」<br /> 「あら、それはしょうがないんじゃないかしら。洗面所には、必ず鏡があるでしょう?」<br /> 「………それもそうですね」<br /> 「あの子達が帰ってくるまでもう少しかかりそうね――そうだ、こんな話を知ってる?」<br /> 「僕はその手の話、苦手じゃありませんよ?」<br /> 「いいから。――1人の女の子がいました。<br />  その子は、幼い頃からずっと病に伏せっていて――段々と、死を望む様になっていきました」<br /> 「………めぐ先生、それは――」<br /> 「――そんな折、少女は不思議な出会いをしました。<br />  黒い翼を背に生やした、天使のお人形さんに」<br /> 「………人形?水銀燈は――」<br /> 「落ち着いて。――今のは、私がよく見る夢。とてもとても長い夢。<br />  だけど………時々思うの。本当の私は、夢の中の私なんじゃないか………って」<br /> 「『胡蝶の夢』………ですか」<br /> 「流石ね。――時々の、更に時々。私は、夢の私になりたいなって思うの」<br /> 「………なんでですか?」<br /> 「夢の中の私は、『天使さん』と契約を交わしていたもの――それに」<br /> 「なんて理由ですか。ったく、ほんとに、あいつの事が好きなんですね」<br /> 「勿論よ。――それに、貴方と逢わずに済んだもの」<br /> 「………って、物凄く酷い事を言ってませんか!?」<br /> 「ふふ。………でも、酷いのは、貴方なのよ。だって――」<br /> ガララ)「――お待たせぇ。真紅は購買に行くって言うから、先に戻ってきたわぁ」<br /> 「ん、あ、水銀燈………」<br /> 「………だって、水銀燈を盗っちゃうんだもの。ほんと、酷いわ」<br /> 「!?な、ななななな何を言い出すのよぉ、めぐぅ!?」<br /><br /> ――だって、夢の中でも味わったことのない、胸の痛みを教えるんだもの………――
<p>111:お勉強な保守を致すなの<br /><br /> 「はーい、んじゃ、この前に受けてもらったセンター模試の結果返すわよっ!」<br /> 「――で、だ。お前ら、どうだった?」<br /> 「あ、あらぁ、学校の勉強なんて社会に出れば関係ないモノよぉ」<br /> 「………水銀燈は軒並み50%未満、か。まぁあんまり勉強してる姿見ないもんなぁ」<br /> 「うーん………悪くもないけれど、良くもないかしら」<br /> 「金糸雀は大体平均点位?その日の好不調で変わりそうだな」<br /> 「ひーひっひっひ、学園一の才女、翠星石は勿論高得点に決まってるですぅ」<br /> 「あぁうん、理系科目はな。というか、なんでお前は勉強する時、教科書を逆さまにするんだ」<br /> 「ジンクスじゃない?――ボクは、翠星石とは反対に文系科目はいいんだけど………」<br /> 「数学と理科がかなり辛い事に………。プレッシャーに弱いもんな、蒼星石」<br /> 「――私?無論、全科目80%オーバーなのだわ。勉強してるもの」<br /> 「臆面もなく言い切れるとこが凄いけど、確かに点数も凄まじい」<br /> 「ぅゆ………ヒナは駄目だったの。ぜーんぶ、最初の問題で時間の半分以上使っちゃったの」<br /> 「あー………まぁ、模試だし。時間配分を気にする事覚えたんだから、次は大丈夫だろ」<br /> 「見て、見て、凄く上手に描けた………♪」<br /> 「お前はテスト時間何やってんだ。あぁ、そういや、薔薇水晶はセンター受けないんだっけか」<br /> 「そういう問題では………。ワタクシは、ほどほどに、ですわね」<br /> 「点数にばらつきが………って、なるほど。昼飯食う前と後か。雪華綺晶らしいっちゃらしい」<br /> 「――んじゃあ、結局、一番良かったのは真紅なんだな。いつもっちゃいつもだけど」<br /> 「残念ながら、私じゃないのだわ。僅差ではあるけれど」<br /> 「………へ?じゃあ、誰が??」<br /> 「それが――雛姉様なんですわ。全科目で」<br /> 「はぁ!?でも、あいつ、『駄目だった』って………」<br /> 「考えた所はね。時間がなくて適当にマークした所、全問正解だったみたいよ」<br /> 「ぜんもん………?………運がいい………どころじゃないよなぁ………」<br /> 「雛苺、普段のテストでも、選択問題は満点。………それなんて村雨?」<br /><br /> 「うゅ~、適当に塗った所が当たってても嬉しくないのー!」</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 112:飛んでる保守を致すわよっ<br /><br /> 「よりによって………金糸雀のコンクールの日に大遅刻………」<br /> 「――まぁったく、外せない用事だったってのはわかっちゃいるけどさぁ!」<br /> 「その件に関しては後で土下座でも何でもしますから、早く出発してください!」<br /> 「彼の言う通りだな。――みつ先生、事故らん程度に急いでくれ」<br /> 「わかってますよ、槐先生っ!――シートベルト、皆締めた?後部座席の二人も忘れないでねっ」<br /> 「ん………了解。ぐぃぃん、が………?ぅーぅー………!」<br /> 「あぁ、ばらしー!必死に締めようとする姿もくぁいらし――」<br /> 「薔薇水晶、ちょっと固まっとけよ――よし、OKだ」<br /> 「のぉぉぉぉぉぉ!?親の私ですら体に触れると躊躇ったn」<br /> 「槐先生、煩いです」<br /> 「あっはっは、情けないですねぇ、槐センパイ」<br /> 「………おとーさま、さっさとシートベルト締めて」<br /> 「………………(しくしくしく」<br /> 「―――――あぁもぉ、こんな時に限って渋滞かよ!?」<br /> 「ぅー………!バズーカで吹っ飛ばしたぃぃ………!」<br /> 「二人とも、焦ったってしょうがない。それに、吹き飛ばしたら余計に時間がかかる」<br /> 「あっはっは、全くですねぇ。こう言う時こそ、落ち着かないと」<br /><br /> 「ぬぅぅぅぅ、ロケットランチャーで吹き飛ばせないのか!?」<br /> 「だぁぁぁぁ、前の車、追い越し車線で減速するなぁ!」<br /> 「あ、あの、先生たち、時間はないですけど、落ち着いて………?」<br /> 「二人とも、眼が座ってる………きけんがあぶないかも………?」<br /> 「みつ君、音を変える――急いでくれっ」<br /> ―― Nobady gonna take my car ――<br /> 「あっはっは、あっはっはっはっ、前半削りましたねぇ――あいあいさぁっ!」<br /> 「――って、うわ、アクセルベタ踏み!?」<br /> 「喋らない方がいいわよ、舌噛むから!―― I`m a highway star ――ってね!」<br /> 「この道、高速じゃないぃぃ………」</p> <hr /><p><br /><br /> 113:楽しい保守を致すなの2<br /><br /> 「今日はかくれんぼで遊ぶのよ♪」<br /> 「いや、あの、だから。僕らもういい年………」<br /> 「雛苺が以下略。異議は?」<br /> 「あーはいはい、わかりましたよ、やればいいんだろ」<br /> 「不服?――でも、少し不安なんだよね………」<br /> 「頼むから竹刀を常備しないでくれ。………不安って?」<br /> 「ちゃんとできるかどうか、なんだけど………」<br /> 「………たかが、かくれんぼだろ?別に――」<br /> 「うゅ、じゃあね、じゃあね、最初は貴方が鬼さんなの」<br /> 「じゃんけんすら無しかよ!?――ったく………ほら、二人ともさっさと隠れろ」<br /><br /> 「――さて。やっぱ柏葉が見つけにくいか。雛苺は目立つだろうし。<br /> ん、雛苺も小さいから隠れるのは上手いか?………あ、いや、まさか。<br /> まぁ、………試してみるか。おーい、雛苺ー?」<br /> 「はいなのっ♪」「あ、雛苺、返事しちゃ駄目」<br /> 「………お前らなぁ。――ともかく、鬼、交代な」<br /> 「はーい、ヒナが鬼するのっ、いーち、にーぃ、――」<br /> 「早っ!?柏葉、さっさと隠れるぞっ」<br /><br /> 「――うに………ぅー………どこー?」<br /> 「(………お前じゃないんだから、ごみ箱の中には入れないだろ)」<br /> 「(雛苺も、ごみ箱には入らない)」<br /> 「(大真面目に反論するな。論点は其処じゃない。――と?)」<br /> 「うゅ………いないの………ヒナ、一人ぼっちなの………ぐす」<br /> 「!?――雛苺、私達は、此処にいるわ!」「だぁぁぁぁ、僕まで道づれにするなぁ!?」<br /> 「――あ、二人ともいたの、みつけたのっ♪」<br /> 「ふふ、雛苺は凄いわね。もう見つけられちゃった」<br /> 「いいのか。お前らはそれでいいのか」</p> <hr /><p><br /> 114:夢見る保守を致しますわ<br /><br /> 「――と、言う訳で。斯様な夢を昨夜、見たのです」<br /><br /> 「ま、まぁ………ちょっとだけ、不気味ねぇ。で、でーも、それだけよぉ」<br /> 「水銀燈、語尾が震えてるかしら。――何が意味があるのかも………?」<br /> 「あぁぁぁあ、あるわけねぇですぅ!夢なんて記憶の寄せ集めにしかすぎねぇですよ、チビカナ!」<br /> 「その手の話、苦手だもんねぇ、翠星石。ボクは―不謹慎だけど―小説のネタにできそうかなぁって」<br /> 「たしかにそうぞうりょくをかきたてられるかもしれないのだわ」<br /> 「うゅ、真紅、袖を引っ張られちゃうと伸びちゃうからメなのよ」<br /> 「雛苺、意外に冷静………。ばらしーは、ちょびっと苦手。あぁ、この妄想力が恨めしい………!」<br /><br /> 「――なぁ、その夢だけどさ」<br /> 「はい、どうされましたか?」<br /> 「夢の舞台――寂れた洋館が不気味って訳じゃないんだよな?」<br /> 「それも一因かと思いますが、どちらかというと――<br />  出てくる人物の方にワタクシは不気味さを感じましたわ」<br /> 「ヒナはお友達になりたいなぁって思ったの」<br /> 「まぁ、雛姉様は………。――貴方様はどう思われましたか?」<br /> 「んー………『納得いかない』」<br /> 「………は?えと、それはどういう………?」<br /> 「出てきた人物って、女の子なんだよな?」<br /> 「ええ、二人――双子の様な………。微笑みの表情で立っているだけなのに、何所か空恐ろしい」<br /> 「………うん。で、なんだっけか。雰囲気的には」<br /> 「がらんどうの容れ物、その可憐さは何所か歪な――まさに、西洋人形が命を吹き込まれた様」<br /> 「やっぱり、その感想に納得いかない」<br /> 「何故!?」</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 115:夢見る保守を致すですぅ(前スレ―夢見る保守を致しますわ―→翠ルート)<br /><br /> 「――おい、翠星石、翠星石ってば」<br /> 「あぅぅ………えぅぅ………やぁですぅ、やぁ………zzz」<br /> 「………ごくり。翠星石、可愛い………」<br /> 「――えーと、蒼星石さん?」<br /> 「………冗談だよ、冗談。とりあえず、――起きて、翠星石」<br /> 「むにゃ………ぅー………?――ふぁ、しょーしぇいせき、おはよーですぅ」<br /> 「………くっ、なんて破壊力!食べちゃいたい………っ!」<br /> 「『食べちゃいたい』じゃありません。ったく………翠星石、寝ぼけてないで覚醒しろ」<br /> 「んぁ………なんで、ちびにんげんがいるですかぁ………?」<br /> 「それは此処が学園だからです。――ほらよ、ハンカチ」<br /> 「とりあえず、うけとりますがぁ………――って、ちちちび人間、何乙女の寝顔見てやがるですか!?」<br /> 「見られたくないなら学校で寝るな。………ところで、何か夢でも見てたのか?」<br /> 「しゅ、春眠暁を覚えず、ですぅ………」<br /> 「なんでお前は理系の癖にそういう格言はさらっと出てくるんだ」<br /> 「おじいさんの影響だと思うよ。――で、翠星石、さっきの話だけど」<br /> 「夢、ですか。そうですね、よく覚えてねぇですけど見てたような気がするですぅ」<br /> 「んー………で、どんな内容だった?」<br /><br /> 「えーと………たけのこがびっしり生えてる村を何度も行ったり来たり。<br />  で、その次は、きのこが一面に生えまくった山を昇ったり降りたり………。<br />  覚えている最後は、茶色い泥でコーティングされてる様な竹藪を突っ走ってたですよ。<br />  それだけですのに………なぜか、とっても切なかったですぅ」<br /><br /> 「………あぁ、なるほど。確かに、ダイエット中の翠星石には切ないかもね」<br /> 「体の一部がな。――ほら、購買行くぞ」<br /> 「はぇ?――って、さり気にばらすなです、そうせいせ――(ぐぅ」<br /> 「夢に見るまで我慢するなってば。さっさと涎拭いて、購買にお菓子買いに行くぞ」<br /> 「………へ?――うぁぁぁぁ、見るなです、見るなですぅぅぅ!?(ごしごし」</p> <hr /><p><br /><br /> 116:夢見る保守を致すわぁ(前スレ―夢見る保守を致しますわ―→銀ルート)<br /><br /> 「ほら、今日、雪華綺晶が変な事言ってたじゃなぁい?」<br /> 『………あぁ、見た夢が不気味だったって言ってたな』<br /> 「でぇ、ちょっと思い出しちゃったって言うか、気になったと言うかぁ」<br /> 『わからないでもないけどな。それで?』<br /> 「『それで』………って、つれないわねぇ」<br /> 『あのな。今何時だと思ってやがる!?』<br /> 「26時よぉ。所謂、丑三つ時」<br /> 『芸能人かなんかかお前は。――んな時間に電話してくるなよなぁ』<br /> 「なによぉ、起きてたんだからいいじゃなぁい」<br /> 『じゃあ今から寝る。お休み』<br /> 「え、え、え?ね、ねぇ、ちょっとくらいお話しましょうよぉ………」<br /> 『………ちょっと待ってろ』(プツっ………ツーツー)<br /><br /> 「あ、ぇぅ………切れちゃったぁ………。<br />  メグも真紅も寝てるだろうしぃ………」<br /><br /> ひゅるるるるる、っばんっばん<br /><br /> 「ひゃぅ!?――うぅぅ、お化けなんてなぁいさぁ、お化けなんてうーそさぁ――♪」<br /><br /> trrrrrr,trrrrrr,<br /><br /> 「ひゃああ、なによぉ、なんなのよぉ!?――………って、電話ぁ?」(ピッ<br /> 『――携帯からだと、金額嵩むだろ』<br /> 「………ぁ。で、でもいいのぉ?」<br /> 『家電に変えた時点で察しろ。――お前が眠たくなるまで、つきあうよ』<br /> 「………うふふ、ありがとぉ………」</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 117:夢見る保守を致すのだわ(前スレ―夢見る保守を致しますわ―→紅ルート)<br /><br /> 「――あら………意外と面白いじゃない、この本」<br /> 「本って言うか、漫画だろ。将棋漫画な筈なんだけど、何故かバトル――」<br /> 「先を言わないのでいいのだわ」<br /><br /> 「喉渇いてきたなぁ………」<br /> 「ポットに紅茶が入っているのだわ。無論、私のも淹れてくれるんでしょう?」<br /> 「せめて論じさせろよ………。ったく、僕をなんだと思ってるんだ」<br /> 「聞きたい?」<br /> 「結構です」<br /><br /> 「ちょっとお腹がすいてきたわね」<br /> 「………こんな時間に余計なもの食ったら、太るぞ」<br /> 「それもそうね。我慢するのだわ」<br /> 「この辺が翠星石と違う所なんだろうなぁ」<br /> 「あの子だったら、『是くらい大丈夫ですぅ』とか言って――」<br /> 「――『大丈夫じゃなかったですぅ』に続きそうだな」<br /> 「なんでもいいけど、口真似が全然似てないのだわ」<br /><br /> 「なぁ、ところでさ」<br /> 「何よ?」<br /> 「僕は何時まで起きておけばいいんだ」<br /> 「私が今日の雪華綺晶の話を忘れるまで――って、思いださせないで欲しいのだわ!」<br /> 「僕の所為かよ!?………おじさんとおばさん、早く出張から帰ってきてくれ………」<br /> 「家が隣なんだから我慢なさい――くしゅっ」<br /> 「………膝かけでも持ってくるか。深夜はまだ寒いもんな」<br /> 「是は花粉症よ。――暖かさは、貴方の背中から貰っているのだわ」<br /><br /> ――改題 寒くて熱い保守を致すのだわ</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 118:ほのかな保守を致すですぅ<br /><br /> 「むぅ………此処の古本屋さんは棚が高すぎですぅ………届かない………」<br /> 「ジャンプして取ってみようか、翠星石?」<br /> 「確かにお前ぇの方が届きそうですが………スカートなんですから、止めとくですよ」<br /> 「それもそうだね。ちょっと店員さんに脚立借りてくるよ――」<br /> 「すまねぇですぅ。 ………うーん、でも、背伸びしたら取れそうな………」<br /> 「………翠星石?」<br /> 「ぬ、く、もう少し、もう少し………!」<br /> 「おーい、翠星石ってば――って」<br /> 「うーーーーーー――って、きゃ――!?」 ――(ットン)<br /> 「………なんとか間に合った。あのなぁ、何をそんなに無理して………」<br /> 「あ、どもです――って、ち、チビ餓鬼じゃないですか!?かかかか勝手に触れるなですぅ!」<br /> 「そんなに怒るなよ………受け止めてなきゃこけてたんだぞ、お前」<br /> 「な、なぁーにを言ってやがるですか!この翠星石に限ってそんなおまぬけな事………!」<br /> 「はいはい。――で、上の方にある本取ろうとしてたのか?」<br /> 「なんですか、そのてきとーな返事は!?――ま、まぁ、そーですぅ。今、蒼星石が――」<br /> 「えーと、どれだ?」<br /> 「『好きな人に贈るお菓子の作り方』ってあsdfghjkl!?」<br /> 「そういうとこ、お前も女の子だよなぁ。――と、ほらよ」<br /> 「す、翠星石はどっからどう見ても立派な淑女ですよ!………って、え?」<br /> 「え?じゃなくて。是が欲しかったんじゃないのか?」<br /> 「そう、ですけど………。翠星石の後ろに立ちながら、よく届いたですね………」<br /> 「背伸びしたけどな」<br /> 「………ありがと、ですぅ」<br /> 「珍しく素直に――ん、どういたしまして」<br /> 「――翠星石、脚立借りてき………ぅわ、こんな所で乙女抱きされてる!?」<br /> 「ち、違っ!?蒼星石、誤解ですよ!?」<br /> 「そーいや、誰に贈るんだ、是見て作ったの?」<br /> 「お前ぇでs――だぁぁぁ、違うです、違うですぅぅぅぅぅ!?」</p> <hr /><p><br /><br /><br /> 119:怖い保守を致しましょう(20歳未満の方は見ない方が賢明です)<br /><br /> 「時季外れに怪談?――どうでもいいけど、此処は保健室なんだけど」<br /> 「いいじゃないのよぉ、どぉせ万年暇な部屋なんだからなぁ」<br /> 「………言ってくれるじゃないの」<br /> 「ま、まぁまぁ、めぐ先生――」<br /> 「――抑えて欲しいのだわ。水銀燈も、場所を借りているんだから、失礼な事を言わない様に」<br /> 「貴方達がそう言うんなら従うけどぉ。嘘は言ってないわよ?」<br /> 「いや、だから、お前な………」<br /> 「もう良いわよ。でも、ほんとになんでこんな時期に?」<br /> 「それは………。その、私も水銀燈もその手の話が苦手だから」<br /> 「今のうちに強くなっておこうと思ってぇ………」<br /> 「あら、殊勝じゃない。――じゃあ、貴方も?」<br /> 「あ、いえ、僕は付き添いというか………語り手と言うか」<br /> 「ネットばっかりやってるから、そういう話は詳しいものね」<br /> 「るさい、真紅………と、言いたい所だけど、強ち否定できない」<br /> 「あ、でも、めぐも詳しそうよねぇ」<br /> 「どうしてかしら、水銀燈?」<br /> 「そぉいう湿っぽい話好きそうだものぉ。それに、髪型とかも純和物の怪談に出てきそうだしぃ」<br /> 「………ふーん」<br /> 「だから、なんでお前はそう、めぐ先生には突っかかるんだ………」<br /> 「甘えてるんだと思うのだけれど………。あの、めぐ先生、余りお気になさらず」<br /> 「ありがとう、真紅ちゃん。ぜんっぜん気にしてないわよ?」<br /> 「………怖いです、先生」<br /> 「貴方までひどいわね。――そうだ、ちょっと耳ふさいどいてくれる?真紅ちゃんも」<br /> 「「………?」」<br /> 「私はいいのぉ?」<br /> 「いいわよ。こほん―― む ら さ き か が み 」<br /> 「………へ?――って、あぁぁぁぁぁぁぁ、わ、忘れてたのにぃぃぃ!?」<br /> 「「………??」」</p> <hr /><p><br /><br /> 120:ほのかな保守を致しますね<br /><br /> 嬉しさも怒りも悲しみも、楽しみも。<br /> 貴方には全て頂きました。<br /> 嬉しさも怒りも悲しみも、楽しみも。<br /> 貴方とは全てを共にしてきました。<br /> 嬉しさも怒りも悲しみも、楽しみも。<br /> 貴方と全てを分かち合いました。<br /> 色々な事があって。<br /> 沢山の事を乗り越えて。<br /> ――是からも、お願いいたしますね。<br /> 「――って言う作文が、家から出て来たですよ」<br /> 「お前から蒼星石に、か?」<br /> 「翠星石はこんな恥ずかしい文章書かねぇですぅ!」<br /> 「それもそうか。じゃあ………ぁー………昔、贈ったものじゃないか?」<br /> 「昔?誰が誰に??」<br /> 「呼びかけが『貴女』じゃなくて『貴方』だから、まつ先生から柴崎先生に」<br /> 「………なるほど。まぁ、納得出来るですね」<br /> 「結婚前後に書いたものじゃないかな?そこはかとなく甘ったるいし」<br /> 「あ、それはたぶん違うですぅ」<br /> 「………なんで?」<br /> 「だって、この紙、真新しいですよ。古いのは段々と色がぼけて来るですぅ」<br /> 「それもそうだな。………ところで、本日、先生たちは?」<br /> 「デートですぅ」<br /> 「………あぁ、うん。二人でどっかに出かけたんだな」<br /> 「違いますよ、はっきり『デートに行ってくる』って言ってたです」<br /> 「………………凄いな」<br /> 「何がですか??」<br /> 「いや、えーと………相当に毒されてるな、お前………」<br /> 「だぁら、何がですかぁ!?」</p>

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