「第十一話  『Rescue me』」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

第十一話  『Rescue me』」(2007/11/04 (日) 23:58:24) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

<p> <br>  <br> 生まれ変わった、僕の大切な一人娘だ――<br> 雪華綺晶の中で、あの人形師が吐いた言葉が、コールタールの如くどろりと渦巻いている。<br> 自転車に飛び乗り、頭痛を堪えて必死にペダルを漕いでいたときも。<br> 総身、冷や汗まみれになりながら、這々の体で屋敷に戻ってきたときも。<br> 使用人部屋のベッドに着の身着のままで倒れ込んでから、寝ても覚めても、ずっと。<br>  <br> かなり眠っていたらしい。窓の外は、夜の闇で満たされていた。雨も降ったようだ。<br> 雪華綺晶は深く息を吐いて、額に貼りつく髪を掻きあげた。<br> コリンヌに薬を飲ませてもらったのに、頭痛は幾らも収まっていない。<br> そればかりか、右眼の奥底に、虫が這い回るようなムズ痒さを感じるほどだ。<br> どうにも不快で、彼女は苛立たしげに眼帯を毟りとると、瞼をぐしぐし擦った。<br>  <br> それにしても……この突発的な変調は、何だというのだろう?<br> あの山小屋と、人形師の青年と、薔薇水晶という名を思い返しただけで、<br> 泥土の底から濁り水が滲みだしてくるように、新たな痛みが全身を蝕んでゆく。<br>  <br> 私は、だぁれ? ――分からない。……解らない。<br> コリンヌと出逢う前のことなど、憶えていない。何ひとつとして。<br> 私は本当に、薔薇水晶なの? ――判らない。イライラが、チリチリした痛みに変わってゆく。<br> とにかく、なんでもいい。確かなものが欲しかった。自分が自分であり続ける証が。<br>  <br>  <br> ベッドを抜け出すと、雪華綺晶は寝汗を吸って重たい服を替えもせず、部屋を出た。<br> 常夜灯の薄明かりに浮かぶ柱時計の針は、23時になろうとしている。<br> しんと寝静まる屋敷を抜けだし、彼女は自転車の置いてある納屋へと向かった。<br> その様子を、屋敷の窓から窺っている人影があったことなど、つゆ知らずに。<br>  <br>  <br>  <br>   第十一話 『Rescue me』<br>  <br>  <br>  <br> 同じ部屋に寝起きする雛苺は、雪華綺晶が起き出した際に、目を覚ましていた。<br> その時は、てっきりトイレに行ったのだと思っていた。が、彼女は戻ってこない。<br> 訝しんでいたところに、勝手口のドアが開け閉めされる微かな音を、聞きつけたのだ。<br> 雪華綺晶は雛苺に気づかず、そぼ降る煙雨の中、自転車に跨って屋敷の門を出ていった。<br>  <br> 「きらきーったら……こんな真夜中に、どこ行くつもりなの?」<br>  <br> 彼女の目的など、見当もつかない。が、若い娘が夜中に彷徨くなんて、危険すぎる。<br> 騒動でも起こそうものなら、雪華綺晶は問答無用で、屋敷を追い出されてしまうだろう。<br> そうなれば、歳の近い友だちができて喜んでいたコリンヌも、悲しむに違いない。<br> 早く連れ戻さないと! 雛苺はカーディガンを羽織って、部屋を飛び出した。<br>   <br>   ~  ~  ~<br>  <br> 日付が変わって更に2時間後、雪華綺晶は漸く、あの人形師の住まいに辿り着いた。<br> 途中、道を間違えてしまったために、予定よりも、かなり遅い到着だった。<br> おまけに、霧雨の中を走ってきたものだから、服も髪もズブ濡れで寒い。<br> 思わず放ったクシャミは、深夜と言うこともあって、殊更に大きく響きわたった。<br> 慌てて口元を手で覆ってから、彼女は「バカみたい」と自嘲する。<br> もう眠りに就いているだろう青年を、叩き起こしにきておきながら、今更……。<br>  <br> ログハウスの玄関口に、明かりなど灯されていない。多分、室内も同じだろう。<br> ……と思いきや。よく見れば、仄かな光が、窓の奥に弱々しく揺らめいていた。<br> 作業台にランプを置いて、あの人形を修理してくれているのかも知れない。<br>  <br> 雪華綺晶は意を決して、ドアをノックすると、返事も待たず、そっと開いた。<br> 猫のように、僅かな隙間から身を滑り込ませた彼女を、甘く秘やかな声が出迎える。<br>  <br>  <br> 「……おかえり。きっと戻ってくれると、信じていたよ」<br>  <br> 青年は、テーブルの端に座らせたあの銀髪の人形と、向かい合っていた。<br> 慣れた手つきで、だが決して事務的ではない指づかいで、人形のドレスを整えている。<br> 仕上げに襟元のリボンを結び直すと、青年は漸く、満足そうに柔らかく微笑んだ。<br> なんて優しい眼差しなのかしら。雪華綺晶は少しだけ、緊張を和らげた。<br>  <br> 「見てごらん、この子を。綺麗に直って、穏やかな寝顔をしているだろう」<br>  <br> 確かに、ちゃんと修理してもらえたようだ。コリンヌも、きっと喜ぶだろう。<br> だが、彼女の唇から漏れたのは、安堵にほど遠い重い息。「でも、お金がまだ……」<br>  <br> 「そんなもの、気にしなくたっていい」<br>  <br> 金に興味などない。そんな口振りで、彼は雪華綺晶に椅子を勧め、奥の作業机に向かった。<br>  <br> 「まだ名乗っていなかったね。僕は、槐。生業は、見てのとおりだ。<br>  その人形は、僕の師匠が手がけた薔薇乙女シリーズの第一作『水銀燈』だよ」<br>  <br> 世間話ともつかないことを口にしながら、彼は何かを手にして戻ってきた。<br> 乾いた音を立てて、それが雪華綺晶の前に置かれる。手製らしい白樺のフォトスタンドだ。<br> ランプの灯りを映すガラスの奥には、セピア色の世界が、こぢんまりと広がっている。<br> その中では、薔薇を模した眼帯で左眼を隠した髪の長い女の子が、<br> 悪戯っぽく微笑みながら、若い男性と腕を組んでいた。<br> シャッターを切る寸前、抱き付かれたのだろう。男性の驚いた顔が、真相を物語っている。<br>  <br> トクン――色褪せた四角い世界を食い入るように見つめる雪華綺晶の胸が、一拍した。<br> 写真の中の娘は、確かに、雪華綺晶と似ていた。それこそ鏡写しと呼べるくらいに。<br> けれど、真に彼女を驚かせたのは、一緒に写っている男性の方――<br> それは紛れもなく、つい最近、コリンヌに紹介されて知ったばかりの人物だった。<br>  <br> 「日本の貿易商の、結菱二葉くんだ。かれこれ……もう2年来の交流になるのか。<br>  彼は足繁く、アンティークドールの買い付けに、ここを訪れてくれてね」<br>  <br> 槐は遠い眼をしながら、雪華綺晶の小さな肩を、そっ……と、大きな手で包み込んだ。<br>  <br> 「薔薇水晶は、花も恥じらう年頃の17歳。二葉くんは壮健な18歳だった。<br>  お互いに一目惚れだった――と、僕は思っている。とても仲が良くってね。<br>  彼と逢う毎に、僕の娘は綺麗になっていったものさ。本当に、恋は最高の化粧品だよ」<br>  <br> 二年前と言えば、結菱二葉がフォッセー邸に身を寄せていた時期と合致する。本人に相違あるまい。<br> では、彼の気持ちは、コリンヌと薔薇水晶、どちらに傾いていたのだろう?<br> 少なくとも、薔薇水晶が彼を慕っていたことは、写真を見ても明らかだった。<br> だって、ほら……こんなにも嬉しそうに、幸せそうに笑っているのだから。<br>  <br> 雪華綺晶は喉元に手を当てて、写真の中の、溌剌とした若者たちに魅入っていた。<br> 汗ばむ掌の下――濡れた服の裏、胸の奥で、得体の知れない何かが疼き始めている。<br> 気管から胃の辺りが焼けるように熱く、ヒリヒリと痛むほどだ。<br> 自覚のないままに呼吸は荒くなり、不意に訪れた火照りに、ただ戸惑うばかりで――<br>  <br>  <br> 「私は、なぜ……? この気持ちは、なんなの?」<br> いつの間にか、琥珀色の瞳は、熱い液体の底に沈んでいた。<br>  <br> 「許しておくれ――薔薇水晶」<br> 喉の奥から呻くように絞り出して、槐は嗚咽する雪華綺晶の肩を、力強く抱き寄せた。<br> 「僕が未熟だったばかりに……きみを、護れなかった」<br>  <br> どういう意味なの? それ以前に、私はどうして、何も憶えていないの?<br> 訊くべきでは、ないのかも知れない。けれど、雪華綺晶は震える声で問い返していた。<br> 自分が何者なのか、それを確かめたいがために、夜も構わずここまで来たのだから。<br>  <br> 長い沈黙を経て、槐は苦渋を濃く滲ませた声で、決然と囁いた。<br>  <br>  <br> 「今度こそ、きみの苦しみの全てを、取り除いてあげる」<br>  <br>  <br></p> <hr>  <br>  <br>   第十一話 終<br>  <br>  <br>  【3行予告?!】<br>  <br> もう一度、僕を愛して。思い出は欲しくない。貴女を、取り戻したい――<br> きみの帰りを待つ……それだけの為に、僕はこの二年間を、祈りながら生きてた。<br> 蔑まれてもいい。あの頃みたいに、愛くるしく笑っておくれ。一度だけで構わないから。<br>  <br> 次回、第十二話 『Pray』<br>  <br>  
<p> <br>  <br> 生まれ変わった、僕の大切な一人娘だ――<br> 雪華綺晶の中で、あの人形師が吐いた言葉が、コールタールの如くどろりと渦巻いている。<br> 自転車に飛び乗り、頭痛を堪えて必死にペダルを漕いでいたときも。<br> 総身、冷や汗まみれになりながら、這々の体で屋敷に戻ってきたときも。<br> 使用人部屋のベッドに着の身着のままで倒れ込んでから、寝ても覚めても、ずっと。<br>  <br> かなり眠っていたらしい。窓の外は、夜の闇で満たされていた。雨も降ったようだ。<br> 雪華綺晶は深く息を吐いて、額に貼りつく髪を掻きあげた。<br> コリンヌに薬を飲ませてもらったのに、頭痛は幾らも収まっていない。<br> そればかりか、右眼の奥底に、虫が這い回るようなムズ痒さを感じるほどだ。<br> どうにも不快で、彼女は苛立たしげに眼帯を毟りとると、瞼をぐしぐし擦った。<br>  <br> それにしても……この突発的な変調は、何だというのだろう?<br> あの山小屋と、人形師の青年と、薔薇水晶という名を思い返しただけで、<br> 泥土の底から濁り水が滲みだしてくるように、新たな痛みが全身を蝕んでゆく。<br>  <br> 私は、だぁれ? ――分からない。……解らない。<br> コリンヌと出逢う前のことなど、憶えていない。何ひとつとして。<br> 私は本当に、薔薇水晶なの? ――判らない。イライラが、チリチリした痛みに変わってゆく。<br> とにかく、なんでもいい。確かなものが欲しかった。自分が自分であり続ける証が。<br>  <br>  <br> ベッドを抜け出すと、雪華綺晶は寝汗を吸って重たい服を替えもせず、部屋を出た。<br> 常夜灯の薄明かりに浮かぶ柱時計の針は、23時になろうとしている。<br> しんと寝静まる屋敷を抜けだし、彼女は自転車の置いてある納屋へと向かった。<br> その様子を、屋敷の窓から窺っている人影があったことなど、つゆ知らずに。<br>  <br>  <br>  <br>   第十一話 『Rescue me』<br>  <br>  <br>  <br> 同じ部屋に寝起きする雛苺は、雪華綺晶が起き出した際に、目を覚ましていた。<br> その時は、てっきりトイレに行ったのだと思っていた。が、彼女は戻ってこない。<br> 訝しんでいたところに、勝手口のドアが開け閉めされる微かな音を、聞きつけたのだ。<br> 雪華綺晶は雛苺に気づかず、そぼ降る煙雨の中、自転車に跨って屋敷の門を出ていった。<br>  <br> 「きらきーったら……こんな真夜中に、どこ行くつもりなの?」<br>  <br> 彼女の目的など、見当もつかない。が、若い娘が夜中に彷徨くなんて、危険すぎる。<br> 騒動でも起こそうものなら、雪華綺晶は問答無用で、屋敷を追い出されてしまうだろう。<br> そうなれば、歳の近い友だちができて喜んでいたコリンヌも、悲しむに違いない。<br> 早く連れ戻さないと! 雛苺はカーディガンを羽織って、部屋を飛び出した。<br>   <br>   ~  ~  ~<br>  <br> 日付が変わって更に2時間後、雪華綺晶は漸く、あの人形師の住まいに辿り着いた。<br> 途中、道を間違えてしまったために、予定よりも、かなり遅い到着だった。<br> おまけに、霧雨の中を走ってきたものだから、服も髪もズブ濡れで寒い。<br> 思わず放ったクシャミは、深夜と言うこともあって、殊更に大きく響きわたった。<br> 慌てて口元を手で覆ってから、彼女は「バカみたい」と自嘲する。<br> もう眠りに就いているだろう青年を、叩き起こしにきておきながら、今更……。<br>  <br> ログハウスの玄関口に、明かりなど灯されていない。多分、室内も同じだろう。<br> ……と思いきや。よく見れば、仄かな光が、窓の奥に弱々しく揺らめいていた。<br> 作業台にランプを置いて、あの人形を修理してくれているのかも知れない。<br>  <br> 雪華綺晶は意を決して、ドアをノックすると、返事も待たず、そっと開いた。<br> 猫のように、僅かな隙間から身を滑り込ませた彼女を、甘く秘やかな声が出迎える。<br>  <br>  <br> 「……おかえり。きっと戻ってくれると、信じていたよ」<br>  <br> 青年は、テーブルの端に座らせたあの銀髪の人形と、向かい合っていた。<br> 慣れた手つきで、だが決して事務的ではない指づかいで、人形のドレスを整えている。<br> 仕上げに襟元のリボンを結び直すと、青年は漸く、満足そうに柔らかく微笑んだ。<br> なんて優しい眼差しなのかしら。雪華綺晶は少しだけ、緊張を和らげた。<br>  <br> 「見てごらん、この子を。綺麗に直って、穏やかな寝顔をしているだろう」<br>  <br> 確かに、ちゃんと修理してもらえたようだ。コリンヌも、きっと喜ぶだろう。<br> だが、彼女の唇から漏れたのは、安堵にほど遠い重い息。「でも、お金がまだ……」<br>  <br> 「そんなもの、気にしなくたっていい」<br>  <br> 金に興味などない。そんな口振りで、彼は雪華綺晶に椅子を勧め、奥の作業机に向かった。<br>  <br> 「まだ名乗っていなかったね。僕は、槐。生業は、見てのとおりだ。<br>  その人形は、僕の師匠が手がけた薔薇乙女シリーズの第一作『水銀燈』だよ」<br>  <br> 世間話ともつかないことを口にしながら、彼は何かを手にして戻ってきた。<br> 乾いた音を立てて、それが雪華綺晶の前に置かれる。手製らしい白樺のフォトスタンドだ。<br> ランプの灯りを映すガラスの奥には、セピア色の世界が、こぢんまりと広がっている。<br> その中では、薔薇を模した眼帯で左眼を隠した髪の長い女の子が、<br> 悪戯っぽく微笑みながら、若い男性と腕を組んでいた。<br> シャッターを切る寸前、抱き付かれたのだろう。男性の驚いた顔が、真相を物語っている。<br>  <br> トクン――色褪せた四角い世界を食い入るように見つめる雪華綺晶の胸が、一拍した。<br> 写真の中の娘は、確かに、雪華綺晶と似ていた。それこそ鏡写しと呼べるくらいに。<br> けれど、真に彼女を驚かせたのは、一緒に写っている男性の方――<br> それは紛れもなく、つい最近、コリンヌに紹介されて知ったばかりの人物だった。<br>  <br> 「日本の貿易商の、結菱二葉くんだ。かれこれ……もう2年来の交流になるのか。<br>  彼は足繁く、アンティークドールの買い付けに、ここを訪れてくれてね」<br>  <br> 槐は遠い眼をしながら、雪華綺晶の小さな肩を、そっ……と、大きな手で包み込んだ。<br>  <br> 「薔薇水晶は、花も恥じらう年頃の17歳。二葉くんは壮健な18歳だった。<br>  お互いに一目惚れだった――と、僕は思っている。とても仲が良くってね。<br>  彼と逢う毎に、僕の娘は綺麗になっていったものさ。本当に、恋は最高の化粧品だよ」<br>  <br> 二年前と言えば、結菱二葉がフォッセー邸に身を寄せていた時期と合致する。本人に相違あるまい。<br> では、彼の気持ちは、コリンヌと薔薇水晶、どちらに傾いていたのだろう?<br> 少なくとも、薔薇水晶が彼を慕っていたことは、写真を見ても明らかだった。<br> だって、ほら……こんなにも嬉しそうに、幸せそうに笑っているのだから。<br>  <br> 雪華綺晶は喉元に手を当てて、写真の中の、溌剌とした若者たちに魅入っていた。<br> 汗ばむ掌の下――濡れた服の裏、胸の奥で、得体の知れない何かが疼き始めている。<br> 気管から胃の辺りが焼けるように熱く、ヒリヒリと痛むほどだ。<br> 自覚のないままに呼吸は荒くなり、不意に訪れた火照りに、ただ戸惑うばかりで――<br>  <br>  <br> 「私は、なぜ……? この気持ちは、なんなの?」<br> いつの間にか、琥珀色の瞳は、熱い液体の底に沈んでいた。<br>  <br> 「許しておくれ――薔薇水晶」<br> 喉の奥から呻くように絞り出して、槐は嗚咽する雪華綺晶の肩を、力強く抱き寄せた。<br> 「僕が未熟だったばかりに……きみを、護れなかった」<br>  <br> どういう意味なの? それ以前に、私はどうして、何も憶えていないの?<br> 訊くべきでは、ないのかも知れない。けれど、雪華綺晶は震える声で問い返していた。<br> 自分が何者なのか、それを確かめたいがために、夜も構わずここまで来たのだから。<br>  <br> 長い沈黙を経て、槐は苦渋を濃く滲ませた声で、決然と囁いた。<br>  <br>  <br> 「今度こそ、きみの苦しみの全てを、取り除いてあげる」<br>  <br>  <br></p> <hr>  <br>  <br>   第十一話 終<br>  <br>  <br>  【3行予告?!】<br>  <br> もう一度、僕を愛して。思い出は欲しくない。貴女を、取り戻したい――<br> きみの帰りを待つ……それだけの為に、僕はこの二年間を、祈りながら生きてた。<br> 蔑まれてもいい。あの頃みたいに、愛くるしく笑っておくれ。一度きりでも、構わないから。<br>  <br> 次回、第十二話 『Pray』<br>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: