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『ラジオからの靴音』」(2007/10/28 (日) 01:56:58) の最新版変更点

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<p>これは僕が中2の冬に体験した話だ…<br> <br> <br> ーーコツーーン…コツーーン…<br> <br> ジ(あぁ…またか…)<br> 僕の耳に響いてくる音、それは枕元に置かれたラジカセからである。<br> 当時僕はお気に入りの深夜のラジオ番組があり、毎週金曜は決まってその番組を聞きながら寝ていた。<br> ところが、ある日を境にラジオから奇妙な音が聞こえ始めたのだ。<br> <br> その始まりは番組の途中で睡魔に負け、次に目を覚ました時であったのを覚えている。<br> <br> ジ(あぁ…僕寝ちゃったんだなぁ…)<br> <br> 最後まで番組を聞けなかった悔しさもあったけど、それにも勝る眠気に再び夢の中に旅立とうとした時だった…<br> <br> ーーコツーン…<br> ジ(……ん?)<br> <br> 僕は突然飛び込んできた奇妙な音に耳を止めた。<br> <br> ーーコツーン……コツーン……コツーン…<br> <br> ジ(なんだ…?この音…)<br> <br> よくよく耳を傾けると、その音はラジオのスピーカーから聞こえていた。<br> <br> 広い通路かどこかを底の高い革靴かなにかで歩くような音…それが小さく、だが一定の間隔を置きながらコツーン…コツーンと聞こえてくるのだ。<br> <br> ジ(あぁ、きっとCMか何かかな…?)<br> <br> 僕は自分でそう納得すると猛烈な睡魔も手伝いすぐに眠りに落ちた。<br> <br> <br> 翌日…<br> ジ「おはよう。」<br> 銀「あらぁ、ジュンおはよう。ねぇねぇ、ジュンは昨日のFM○○聞いたぁ?」<br> ジ「あぁ、途中まで聞いてたんだけどうっかり寝ちゃったんだよなぁ。」<br> <br> 銀「うふふ、ジュンもお子ちゃまねぇ…金曜のあの時間帯は面白い番組が多いのよぉ?」<br> ジ「寝不足で授業中寝てばっかのお前に言われたくないぜwww」<br> 銀「あはははwww」<br> <br> 友人である水銀燈は僕と同じく深夜ラジオを聴くのが好きで、面白い番組の翌日はこうやってよく会話に花を咲かせていた。<br> <br> ジ「あ、そういやさ…」<br> 銀「ん、なぁにぃ?」<br> <br> 僕はふと昨夜のことを思い出し、水銀燈に訪ねてみた。<br> <br> <br> ジ「多分、夜中の3時頃だと思うんだけど…変わったCMなかったか?」<br> 銀「変わったCMぅ?どんな?」<br> ジ「何かさぁ…固い床を歩く靴音みたいな…コツーン、コツーンっての。」<br> 銀「なに、それぇ?ジュンが聴いてたのってFM○○よねぇ?<br> その局なら3時頃私も聴いてたけど…そんなの無かったわよぉ?」<br> <br> ジ「マジか?」<br> 銀「嘘言ってどうするのよぉ…ジュン、寝ぼけてたんじゃなぁい?」<br> ジ「う…う~ん、そうかも…」<br> <br> 如何せん夢うつつな状態であったため、僕ははっきりとした自信もなく水銀燈の言うように寝ぼけていたんだと思うしかなかった…。<br> ところが、その次の週も靴音は聞こえ、その翌日水銀燈にそのことを話したら再び寝ぼけていたと笑われた。<br> <br> ジ「ん…んぅ…」<br> そしてまた次の金曜の深夜、まどろみながら目を覚ました僕はまたもラジオを最後まで聴くことができず眠りに落ちていたことに気付く。<br> ジ(あぁ…また聴きそびれちゃったなぁ……<br> …まぁいっか、寝直…)<br> <br> ーーコツーーン…<br> <br> ジ(…ん?)<br> その時、僕の耳にまたもやあの奇妙な靴音が聞こえてきたのだ。<br> ーーコツーン…コツーン…コツーン…<br> <br> ジ(…あぁ…またか…)<br> <br> 今度は意識もはっきりとしており、その音が寝ぼけた上での幻聴ではないことが確信できた。<br> <br> ジ(よし、確かラジカセにテープが入ってたはず…こいつを録音してやる!)<br> <br> 僕はラジカセの録音スイッチに手を伸ばそうとした。<br> <br> ところが…<br> <br> 『ぐっ…』<br> ジ(……あれ?…んっ!くっ…!!<br> 何だよ!?これ…!)<br> <br> なんと、僕の体は羽交い締めにでもされたかのようにピクリとも動かせなくなってしまっていたのだ。そう、僕は生まれて初めて金縛りというものを体験したのである。<br> <br> ジ(くそっ!くそぉっ!冗談じゃないぞ!誰か!?)<br> ジ「ぁ…ア……カ…」<br> <br> これは普通じゃない…そう感じた僕はパニックになり家族の助けを呼ぼうとしたが、声が出ないのだ。<br> <br> その時である…<br> <br> ー…コツーーン…コツーン…コツーン…コツーン…<br> <br> ジ(!?)<br> <br> なんと、ラジオから聞こえてくる靴音が徐々に大きく鮮明になってきたのだ。<br> <br> ーーコツーン…コツーン…コツーン…コツーン…コツーン、コツーン…<br> <br> それも、段々と自分の方に近付いてくるように聞こえるではないか。<br> <br> ーーコツーン…コツーン…コツーン、コツーン…<br> <br> ジ(やめてくれ!来るな…来るな、来るな来るな来るな来るな来るなぁああああああ!!)<br> 僕は心の中で必死に叫んだ。<br> <br> コツーン、コツーン、コツーン!コツーン!!………………………<br> <br> <br> <br> …ふいに音が止んだ…<br> <br> ジ(か…帰った…のか…?)<br> 僕がそう思い息をつこうとしたときであった…<br> <br> <br> ーーザザ…ソンナワケナイダロ…ザザ…<br> <br> <br> ジ(!!!??)<br> <br> 『そんなわけないだろ』<br> <br> ……しゃがれた男の声で確かにそう聞こえたのだ。<br> そのおぞましい声を聞いた途端、体から全ての力が抜けるように僕は意識を失ってしまった…。<br> <br> 翌日、目を覚ました僕はそのことを学校の友人たちに話したが皆半信半疑であった。<br> <br> ところが、母の妹…僕の叔母に当たる人が家に来た際そのことを話してみると…<br> み「…え?ジュンジュンも?」<br> と言われた。<br> 僕の家は母の実家で、現在僕が使っている部屋は昔叔母が使っており<br> 驚いたことに、叔母も若い頃に僕と全く同じ経験をしていたのだという。<br> <br> あの体験から10年近くになるが、あれからラジオからの不思議な音はパタリと聞こえなくなった。<br> <br> けれど、もしかしたら今も日本のどこかであの不思議な靴音が響いているのではないかと思う事がたまにあるのだ…。</p>

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