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「甘い保守シリーズ3」(2008/05/15 (木) 19:36:25) の最新版変更点
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<p>甘ぁい保守を致すのだわ2<br>
<br>
「そろそろ日も暮れてきたし、いい加減決着をつけない?」<br>
「戦績も五分ってとこか。よし、次がラスト。―勝者は」<br>
「―何でも一つ敗者に命じる事が出来る。忘れないで頂戴ね」<br>
「お前こそ。と、ジョーカーはどうする?」<br>
「どちらでも構わないわよ。―なんなら、貴方が最初から持っていても、ね」<br>
「…五分だってのに、大層なご自信で。―OK、ジョーカーはなしな」<br>
「ふふ、変に負けず嫌いね。―さぁ、カードを配って頂戴」<br>
「誰かさんと一緒でね。―ん、配り終わったぞ」<br>
「さて―…あら、これは……」<br>
「役なしにでもなったか?僕は……よし、まずまずかな」<br>
「―残念ね。貴方がどんな手であろうと、私の勝ちよ」<br>
「…へ?まさか、ロイヤルストレートフラッシュ?…いや、それはないよな…」<br>
「それよりも上よ。―どうする?最後の足掻きでカードをチェンジする?」<br>
「……(…ブラフ?ブラフ…だよなぁ。絶対にあり得ないし…)―いいや、是で良い」<br>
―――「「では、オープン。―フォーカードだ。 ―フォー・オブ・ア・カインドなのだわ」」<br>
「……やっぱりブラフじゃないか。確かに強いけど」<br>
「いいえ、ブラフではないわ。クワッドトエルヴズよ」<br>
「………ぐぁ。……………負けた。―でも、ロイヤルよりは弱いだろ?」<br>
「強いわよ。だって、『クイーン』なんだもの」<br>
「…………………物凄く自分ルールだと思うけど、なんかとっても納得した」<br>
「そ。所で、貴方のカードは?」<br>
「惜しかったんだけどな。11のフォーカード―あぁ、13でも負けてるんだっけか」<br>
「…………ふ…む。―前言撤回、私の負けよ。さっさと何をして欲しいか言いなさい」<br>
「へ?いや、普通のルールでも負けてるんだけど―」<br>
「『Q』は何よりも、例えばジョーカーよりも強いわ。唯一つ、『J』を除いて、ね―――(ちゅ…。<br>
―是でご満足?」<br>
「……僕はな。―で、『召使』的には『女王』の命令を聞こうと思うんだけど」<br>
「そ、いい心がけね。―じゃあ、貴方からも……口付けを頂戴」</p>
<p> </p>
<hr>
<p> </p>
<p>楽しい保守を致すのだわ<br>
「ね、真紅、真紅ぅ、貴女にはこれなんかどぉう?」<br>
「どれかしら…MQ・ライブステイのRD473?ちょっと派手じゃない?」<br>
「んー、名前や服の色とも合ってるから、似合うと思うわぁ」<br>
「そう、ね。でも、それならネオクライマックスのRD457を狙いたい所だわ」<br>
「あ、確かにそっちの方が似合いそうね。でも、手に入るかしらぁ?」<br>
「それが問題なのよね…。妥協してKATE・トランスNのRD1かRD3とか…」<br>
「………」<br>
「却下。貴女にセルフは似合わないわよぉ」<br>
「速攻でダメだし…。じゃあ、AUBE・アクアドレスのRS528」<br>
「………」<br>
「いい感じねぇ。私も偶にはそっち系使ってみようかしらぁ…」<br>
「貴女、いつもPK系統ばかりだものね。―でも、似合ってるんだし、いいんじゃないかしら?」<br>
「………」<br>
「うふ、ありがとぉ。―んー、それでもやっぱり、試してみたいのよねぇ…」<br>
「だったら、私の使ってみる?RD系統でも淡いのはあるんだし…」<br>
「いいのぉ?ね、ね、じゃあ、早速ぅ…」<br>
「………」<br>
「ん…自分でしなさいよ、ったく。―動かないで頂戴よ…」<br>
「んぅ……うふふ、ありがとぉ、真紅ぅ」<br>
「………傍で聴いていると、何というか」<br>
「――?何?何かおかしな事でも言ってたかしら?」<br>
「いや、ご馳走様。―ところで、さっきから何の話してるんだ?」<br>
「わかってなかったのぉ?―ルージュ…口紅の話よぉ」<br>
「……まだ戦闘機とかゲームの話とか言われた方が納得できた。ネオとかオーブとか…」<br>
「薔薇水晶じゃあるまいし。―じゃ、水銀燈。放課後は―」<br>
「ん、勿論付き合うわぁ、真紅」<br>
「お前らは仲がいいのか悪いのか、よくわかんないな。―ま、楽しそうだからいいか」<br>
「何言ってるの。貴方もーついてくるのだわ -ついてくるのよぉ」<br>
「マジデスカ。はぁ…あいあいさー」</p>
<p> </p>
<hr>
<p> </p>
<p>痛い保守を致すんだよ<br>
(以下の文章には、特定の方にとって残虐・グロテクスな表現があります。ご注意下さい)<br>
<br>
「……『…暮らした』と。―んーぅ、やっと完成…っ」<br>
「蒼星石?珍しいな、お前が内職って」<br>
「え、あ、聞こえちゃった?あはは…。―役の練習ばっかりで、本業が進んでなかったからね」<br>
「演る方じゃなくて、書く方だもんな、本来は。どれどれ…」<br>
「ぅわわ、ま、まだちゃんと見なおしてないから…!」<br>
「……………………ん、斜め読みだけど、面白いんじゃないか?」<br>
「そ、そうかな。そう言ってもらえると嬉しいな」<br>
「うん、言葉が奇麗だ。表現も奇麗だ。人物の内面も出てた。それから―」<br>
「………………………嫌味?」<br>
「だから―、つまり―、それで―、だから―、でも―、だから―……へ?」<br>
「………………嫌味だ。絶対、嫌味だ。褒めてくれたと思ったのに…」<br>
「え、え、え?な、なんでそんな睨んで…!?」<br>
「――ふむ、確かに、今の君の言い方だと、蒼星石の気に障るだろうな」<br>
「そ、そうなのか?―ぅわ、結菱先生、何時の間に!?」<br>
「はい、彼にひどく苛められました。言葉の暴力がボクを苛みます…」<br>
「どれ…むぅ、…気にするほど、語尾の連続、接続詞の多用はない様に思考するが…」<br>
「ほんとですか!?えへへ、よかっ…………『思考』…!?」<br>
「起承転結の文章の衝撃点の配置の―――」<br>
「接続後の繰り返しと無駄に堅い言葉…!うぅ、ちゃ、ちゃんと書きなおしてきますっ!では!」<br>
「……では、って。…いいんですか、先生?授業中ですけど…」<br>
「良いわけはないな。すまんが、連れ戻してきてくれないか?」<br>
「はぁ、それは構いませんけど…。よくわかりませんでしたけど、さっきのは罰なんですか?」<br>
「いや、私の短編が一向に進まない八当た……罰に決まっているじゃないか(きらん☆」<br>
「誤魔化せてません。何というか…大人げがない…」<br>
「獅子は子を千尋の谷に突き落とすと言う。そんなニュアンスで一つ。では、頼んだぞ」</p>
<p> </p>
<hr>
<p> </p>
<p>楽しい保守を致す…<br>
―広い草原に少年の声がこだまする。呼応するモノは、蒼の剣士と夥しい数の魔物―<br>
「なんだよ、これ…なんで…僕はただの高校生だぞ!」<br>
「でも、君にボクの声は届いた。答えてくれた。一緒に戦って、『マエストロ』!」<br>
―少年は出会う。蒼の剣士と、紫の巫女に。それは偶然に似せられた必然―<br>
「私は薔薇水晶。時の挟間の巫女。そして、かの…彼は時の挟間の護人、蒼星石…」<br>
「トキノ…ハザマ?くそ、訳わかんないよ…」<br>
―戸惑い、傷つき―それでも、少年は戦わざるを得ない。真実を知り、己の世界に戻る為に―<br>
「―なぜ…?貴方は…もうここにいない筈。蒼星石の導きで旅経った筈…」<br>
「…守られてばっかりってのも、な。僕は…時の挟間の修繕人―『マエストロ』…なんだろ」<br>
―旅の中で経験する戦い、触れる温もり―<br>
「敵の雄たけび…!?大丈夫か、蒼星石!…って…お前…女の子…?」<br>
「来てくれたんだ!……へ?――――!!?く、くるなみるなあっちにいってー!」<br>
―そして、旅の果てに知る。受け入れなくてはいけない事実を―<br>
「そんな…あんたは…!あんたは、時の挟間の巫女の―薔薇水晶の父親だろう!?」<br>
「少年―いや、『マエストロ』よ。今の私は、挟間の破壊者だ。―さぁ、死ぬがよい」<br>
―全ては、時のダイスが操るままに―<br>
<br>
「つ、疲れた…。なんで卓上遊戯でこんなに体力がなくなるんだ…」<br>
「あはは…。でも、初めての割には上手にキャラクターになり切れてたと思うよ」<br>
「こくこく。ご褒美。のど飴」<br>
「ん、サンキュ。…テーブルトークRPGって言うんだっけ、これ?」<br>
「あぁ、略してTRPG。私も久しぶりに引っ張り出されたが…なんとかなったな」<br>
「GMお疲れ様です。シナリオ作成者のボクとしては、大満足の結果でしたよ」<br>
「因みに、ルート分岐によっては、ばらしーとくっつくのもあった…。がっでむ…」<br>
「条件は五分なのだからむくれるな、ばらしー。次は草笛先生も誘ってみよう。上手いのだ、彼女は」<br>
「意外な様な納得出来る様な。…そう言えば、あんまりサイコロ使いませんでしたね」<br>
「………ごめん。使ったシステムがアレでソレでナニだから。いや、ボクは好きだけど…」<br>
「役者もこなす君ならばそうだろうな。しかし、『熱血専門』…よく持っていたな…」</p>
<p> </p>
<hr>
<p> </p>
<p>疑う保守を致すかしら<br>
「……金糸雀、金糸雀。ちょっと……」<br>
「?何かしら、薔薇水晶?……口数の少なさは何時も通りだけど、今日は顔に縦線まで…」<br>
「…感情が出にくい私の精一杯の表現。えへん。…じゃなくて」<br>
「話の腰を折っちゃってごめんなさない。で、何かしら?」<br>
「昨日、……お父様が帰ってこなかった」<br>
「あー……槐先生から、みっちゃんが大変に潰れたから面倒みる…って、連絡があったのかしら」<br>
「うん、……私の方にもかかってきた」<br>
「んー…家に帰って来れなくなるほどの潰れっぷりは久しぶりかしら」<br>
「………………怪しい」<br>
「ビールや日本酒、ウォッカとかなら幾ら飲んでも潰れないのに、どうしてカクテルで…え?」<br>
「…お父様は男の人。…みっちゃん先生は女の人。で、二人で外泊。だから……」<br>
「えーと……つまり、その、男女の云々……?」<br>
「こくこく。…金糸雀は何か知ってる……?」<br>
「ぅ…カナは知らないわ。まだみっちゃんに昨日の説教もできてないし…」<br>
「…私も知らない。………どうしよう」<br>
「どうしよう…って、そんな、まだ、それと決まった訳じゃ…」<br>
「でもっ――……ぅー、ぅー、……」<br>
「……少し意外かしら。槐先生が強度の親馬鹿なのは周知の事実だけど、貴女も負けず劣らず―」<br>
「ぅ…だって…。ぅー…金糸雀の意地悪…」<br>
「くす、よしよし。―でも、私も心配に…と言うか、本当の事を知りたくなってきたのかしら」<br>
「……一緒に聞いてくれる?一人だと…なんか怖い……」<br>
「ん、わかったわ。……もぅ、裾なんか握らないのかしら」<br>
「あぅ…だって……ぅ?」<br>
「―裾なんかじゃなくて、手を握るかしら。ね、そっちの方がいいでしょ?」<br>
「うんっ。……では、れっつごー」<br>
「――金糸雀、薔薇水晶。槐先生と草笛先生のとこ―美術教官室に行くのか?」<br>
「―?あら、聞かれていたかしら。少し恥ずかしい様な。―えぇ、今から真相に暴きに行くわ」<br>
「僕もさっきの授業の提出物があるから行くよ。……まぁ、何というか。親の心子知らず…ってか」<br>
「…………かしら?」 ――――「真相」は近いうちに。</p>
<p> </p>
<p> </p>
<hr>
<p> </p>
<p><br>
熱い保守を致すわよっ(―疑う保守を致すかしら―の前夜)<br>
<br>
「ねぇ、槐先生…そろそろ……ね」<br>
「……草笛先生、少し酔い過ぎだ。それに、体を預けるな。胸が当たってる」<br>
「いいじゃないですかぁ、私は気にしませんよ?」<br>
「私が気になる。―仕方ない、お相手しよう」<br>
「うふふ、そうこないと。―夜はまだ、始まったばかりなんですから…」<br>
<br>
「…ナ……………ナ………………っ」<br>
「………ー……し……………ば………っ」<br>
「カナカナカナカナカナカナカナっ」<br>
「ばらしーばらしーばらしーばらしーっ」<br>
「―くぅっ、…流石にやりますね。無呼吸連呼にもちゃんと感情が籠っています…」<br>
「―ふぁ…はぁ…。当たり前だ。―それに、君とて同じであろう…」<br>
「勿論。槐先生のばらしーちゃんへの愛は知っていますが、是だけは譲れませんから」<br>
「金糸雀君への君の愛も並大抵のものではない―が、私も負けられん」<br>
「―では、揺るがしてあげましょう。カナの愛らしさで」<br>
「………何っ!?」<br>
「カナは…最近、私が落ち込んでたりすると、そっとヴァイオリンの優しい音色で癒してくれるんです」<br>
「ぐ……っ。年上の君に何という柔らかく暖かい対応……。―いい、実に…、いい」<br>
「でっしょぉっ!?も、疲れも悩みも吹っ飛ぶってもんなんですよ!」<br>
「―しかし、だがしかし……ばらしーの可愛らしさも知ってもらわんと困るなっ」<br>
「確かにばらしーちゃんも可愛らしいですが。……普段よりも更に上の可愛らしさがあるとでも!?」<br>
「ある。―あの子は、猫舌でな。ココアを飲む時はカップの取っ手を持ち、ふーふー…と」<br>
「か、可愛いっ!私も見たい!」<br>
「ふ…。しかも、だ。それでも熱さが残っていて、舌をぺろりと出して外気温で冷やしているのだ…っ」<br>
「くぅぅ……っ。ですがですがですが!―カナなんて――――!」<br>
「ごふ……っ。それならば、ばらしーは―――――!」<br>
(みっちゃん先生は酔っていますが、普段からこんなです。<br>
槐先生は素面ですが、いつでもこのモードに入れます。二人ともアホです)</p>
<p> </p>
<p> </p>
<hr>
<p> </p>
<p> </p>
<p><br>
楽しい保守を致すわよっ(―疑う保守を致すかしら―の数分後)<br>
<br>
「で、だ。…美術教官室に着いたけど、入らないのか?」<br>
「もうちょっと待ってかしら。…薔薇水晶、大丈夫?」<br>
「………ん。だいじょぶ。覚悟完了。……でも、手は握ってて…」<br>
「そのつもりかしら。えーと、じゃあ……」<br>
「了解、開けるぞ。―槐先生、草笛先生、失礼します。提出物持ってきました…って…」<br>
「………どしたの?」<br>
<br>
「―昨日から延々と語っていますが!私のカナへの愛は駄々漏れしても有り余るほどありますから!」<br>
「―ふ…私の脳のメモリはばらしーで100%…いや、100%中の100%っ!」<br>
「「……………」」<br>
「先攻・私!―四日前!カナは朝の星占いで一番になって純真無垢な笑顔!私は鼻血が出そうでした!」<br>
「ぬぅ…っ、成人女性に其れ程までにダメージを与えるとは…っ!」<br>
「訂正!カナには気づかれませんでしたが、出てました!」<br>
「流石だ、草笛先生っ―後攻・私!…ばらしーが最後に夜尿をしたのは七歳の夏!」<br>
「その時のばらしーちゃんはっ!?」<br>
「世界地図を描いたんだねと慰めたら、その日一日口をきいてくれなかった!」<br>
「恥じらい、恥じらいですか!?あぁぁ、可愛いっ!」<br>
<br>
「…………………みっちゃん」「……………………………おとーさま」<br>
「――カナっ!ばらしーちゃん!?」「―ばらしー!金糸雀君っ!?」<br>
「……昨日からずっと議論してるんだって―さっきの授業中もずっとこんな感じだったんだよ」<br>
「…………すっごく申し訳ないのかし―!?」「………恥ずかし―!?」<br>
「カナー!会いたかったわっ!ぁあ、ばらしーちゃんも可愛いぃ!」<br>
「ばらしー…寂しい思いをさせたね。そして、金糸雀君―私は君を過小評価し過ぎていたようだ…っ」<br>
「うぁぁ…頬が摩擦で―」「擦り切れるかしらー!?」<br>
「……見ようによっては、仲の良い家族だよなぁ」<br>
「奇麗に纏めてないでっ―」「助けてっ………ぅぁぁぁ………」<br>
(―切ない保守を致すわよっ―と同一人物です)</p>
<p> </p>
<p> </p>
<hr>
<p> </p>
<p><br>
楽しい保守を致すなの<br>
「なぁ、柏葉。僕達はとうに一桁の年齢は過ぎている」<br>
「そうね。……雛苺なんか一部分だけ成長し過ぎているし…」<br>
「ん、何か言ったか?」<br>
「いいえ、特には」<br>
「なら良いんだけど。…でだ―なんでまたそんなメンツでおまま事…いや、納得せんでもないけど」<br>
「……雛苺が『久しぶりにしたいのっ』って言ってるんだから、やらなきゃ」<br>
「確定事項ですか…はぁ…僕は何の役を演じればいいんだ?」<br>
「…くす。―えーと、それは…雛苺に聞いてみないと…」<br>
「うゅ?貴方は勿論、旦那さんなの」<br>
「お父さん役ってとこか。……えーと、奥さん役はどちらが?」<br>
「お嫁さんは、ヒナなの。えへへ~」<br>
「…うん、可愛いよ、ヒナ。じゃあ、私は―」<br>
「娘役…とか、か。同じ年齢の娘……なんかこう、微妙な背徳感が…」<br>
「……『お父さん、殴るよ、竹刀で。全力で』」<br>
「……『すまん、悪かった、無表情でプレッシャーを感じさせないでくれ』」<br>
「違うの、違うの!二人とも、そうじゃないのよ!」<br>
「……?じゃあ、『お父さん』の妹役とか、『お嫁さん』の姉役とか…?」<br>
「Non、巴もヒナと一緒―お嫁さんなのよ!」<br>
「へ?いや、ちょっと待て、個人的には役特かなって思わなくもー」<br>
「―とりあえず、貴方は黙ってて。…でも、その、やっぱり変だと思うんだけど…」<br>
「どうして?ヒナも巴も、お嫁さんになりたいのよ?」<br>
「え、あ、え!?ひ、雛苺、いきなり何を言うの!?」<br>
「ふぇ……違うの??」<br>
「落ち着けよ、柏葉。雛苺が言っているのは、どー考えても『like』だろうさ」<br>
「鼻の下を縮めてから言って。―そうなの、雛苺?」<br>
「うゆ?―ヒナは、みーんなが楽しいのがいいのよっ」<br>
「―だとさ。どうする?」<br>
「……雛苺がそう言うなら、仕方無い…かな。その……え、と…―」<br>
「―likeもloveも、『好き』な事に変わりないの。だから、ヒナも巴も、お嫁さん♪」</p>
<p> </p>
<p> </p>
<hr>
<p> </p>
<p><br>
甘ぁい保守を致すですぅ<br>
<br>
「こりゃまた…見事に真っ赤っかに咲いてるなぁ…」<br>
「何の話です?―あぁ、道端の曼珠沙華ですか。綺麗ですねぇ」<br>
「奇麗って…いやまぁ、わからんでもないけど。僕は彼岸花って言い方の方がよく聞くぞ」<br>
「…こいつには無数に名前があるですよ。曼珠沙華も彼岸花も、そのうちの一つですぅ」<br>
「……そうなのか?その二つくらいしか知らないんだけど…」<br>
「あだ名っぽいですけどね。ネガティブなモノも多いですが、リコリスなんて洒落たのも」<br>
「それはポジティブな名前っぽいな」<br>
「毒性抜きに考えれば、育てやすく綺麗な花ですからねぇ。色々、品種改良もされてるですよ。<br>
それに、道端に植えられているモノは害虫除けの人為的なモノですし」<br>
「へぇ…相変わらず、花や草はよく知ってるな。僕も多少は覚えてきたけど…」<br>
「へ?―おめぇ、男の割に、そういうの興味あるですか?」<br>
「…………いつも、お前から教えられてるからな。それに…」<br>
「それに…なんです?」<br>
「――嫌いじゃない奴の好きなモノは、まぁ知ってても損はしないだろうし…」<br>
「え……?え、えと…それって……」<br>
「あ、いや、深い意味はないぞ?それに、覚えていったら結構面白いし…っ」<br>
「くす……わかったですぅ。―じゃあ、問題を出してやるですよ。…こいつの花言葉は?」<br>
「『悲しい思い出』と…『また会う日を楽しみに』だっけ?―暗いのが多いよな」<br>
「また…器用に忘れましたねぇ…。……それだけじゃ、ないですよ」<br>
「器用ってどういう意味だよ?―えーと、なんだったかな…」<br>
「………仕方ないですね。ヒントをくれてやるですぅ」<br>
「ぐ…。しかしまぁ、助か―って、お前、顔がちか―!?」<br>
「口を開けるなですぅ。―ヒント、有難く受け取るですよ…『想うは―――(ちゅっ」<br>
「―なるほど、確かに器用に忘れてたな。……でも、僕はお前と離れるつもりはないぞ」<br>
「『言葉』なんて聴き手の受け取り様ですぅ。―まぁ、そういうなら、『ヒント』を返すですぅ」<br>
<br>
―曼珠沙華の花言葉は、「悲しい思い出」「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」ですぅ―</p>
<p>21:楽しい保守を致すのだわ<br /><br />
「ね、真紅、真紅ぅ、貴女にはこれなんかどぉう?」<br />
「どれかしら…MQ・ライブステイのRD473?ちょっと派手じゃない?」<br />
「んー、名前や服の色とも合ってるから、似合うと思うわぁ」<br />
「そう、ね。でも、それならネオクライマックスのRD457を狙いたい所だわ」<br />
「あ、確かにそっちの方が似合いそうね。でも、手に入るかしらぁ?」<br />
「それが問題なのよね…。妥協してKATE・トランスNのRD1かRD3とか…」<br />
「………」<br />
「却下。貴女にセルフは似合わないわよぉ」<br />
「速攻でダメだし…。じゃあ、AUBE・アクアドレスのRS528」<br />
「………」<br />
「いい感じねぇ。私も偶にはそっち系使ってみようかしらぁ…」<br />
「貴女、いつもPK系統ばかりだものね。―でも、似合ってるんだし、いいんじゃないかしら?」<br />
「………」<br />
「うふ、ありがとぉ。―んー、それでもやっぱり、試してみたいのよねぇ…」<br />
「だったら、私の使ってみる?RD系統でも淡いのはあるんだし…」<br />
「いいのぉ?ね、ね、じゃあ、早速ぅ…」<br />
「………」<br />
「ん…自分でしなさいよ、ったく。―動かないで頂戴よ…」<br />
「んぅ……うふふ、ありがとぉ、真紅ぅ」<br />
「………傍で聴いていると、何というか」<br />
「――?何?何かおかしな事でも言ってたかしら?」<br />
「いや、ご馳走様。―ところで、さっきから何の話してるんだ?」<br />
「わかってなかったのぉ?―ルージュ…口紅の話よぉ」<br />
「……まだ戦闘機とかゲームの話とか言われた方が納得できた。ネオとかオーブとか…」<br />
「薔薇水晶じゃあるまいし。―じゃ、水銀燈。放課後は―」<br />
「ん、勿論付き合うわぁ、真紅」<br />
「お前らは仲がいいのか悪いのか、よくわかんないな。―ま、楽しそうだからいいか」<br />
「何言ってるの。貴方もーついてくるのだわ -ついてくるのよぉ」<br />
「マジデスカ。はぁ…あいあいさー」</p>
<p> </p>
<hr /><p> </p>
<p>22:痛い保守を致すんだよ<br />
(以下の文章には、特定の方にとって残虐・グロテクスな表現があります。ご注意下さい)<br /><br />
「……『…暮らした』と。―んーぅ、やっと完成…っ」<br />
「蒼星石?珍しいな、お前が内職って」<br />
「え、あ、聞こえちゃった?あはは…。―役の練習ばっかりで、本業が進んでなかったからね」<br />
「演る方じゃなくて、書く方だもんな、本来は。どれどれ…」<br />
「ぅわわ、ま、まだちゃんと見なおしてないから…!」<br />
「……………………ん、斜め読みだけど、面白いんじゃないか?」<br />
「そ、そうかな。そう言ってもらえると嬉しいな」<br />
「うん、言葉が奇麗だ。表現も奇麗だ。人物の内面も出てた。それから―」<br />
「………………………嫌味?」<br />
「だから―、つまり―、それで―、だから―、でも―、だから―……へ?」<br />
「………………嫌味だ。絶対、嫌味だ。褒めてくれたと思ったのに…」<br />
「え、え、え?な、なんでそんな睨んで…!?」<br />
「――ふむ、確かに、今の君の言い方だと、蒼星石の気に障るだろうな」<br />
「そ、そうなのか?―ぅわ、結菱先生、何時の間に!?」<br />
「はい、彼にひどく苛められました。言葉の暴力がボクを苛みます…」<br />
「どれ…むぅ、…気にするほど、語尾の連続、接続詞の多用はない様に思考するが…」<br />
「ほんとですか!?えへへ、よかっ…………『思考』…!?」<br />
「起承転結の文章の衝撃点の配置の―――」<br />
「接続後の繰り返しと無駄に堅い言葉…!うぅ、ちゃ、ちゃんと書きなおしてきますっ!では!」<br />
「……では、って。…いいんですか、先生?授業中ですけど…」<br />
「良いわけはないな。すまんが、連れ戻してきてくれないか?」<br />
「はぁ、それは構いませんけど…。よくわかりませんでしたけど、さっきのは罰なんですか?」<br />
「いや、私の短編が一向に進まない八当た……罰に決まっているじゃないか(きらん☆」<br />
「誤魔化せてません。何というか…大人げがない…」<br />
「獅子は子を千尋の谷に突き落とすと言う。そんなニュアンスで一つ。では、頼んだぞ」</p>
<p> </p>
<hr /><p> </p>
<p>23:楽しい保守を致す…<br /><br />
―広い草原に少年の声がこだまする。呼応するモノは、蒼の剣士と夥しい数の魔物―<br />
「なんだよ、これ…なんで…僕はただの高校生だぞ!」<br />
「でも、君にボクの声は届いた。答えてくれた。一緒に戦って、『マエストロ』!」<br />
―少年は出会う。蒼の剣士と、紫の巫女に。それは偶然に似せられた必然―<br />
「私は薔薇水晶。時の挟間の巫女。そして、かの…彼は時の挟間の護人、蒼星石…」<br />
「トキノ…ハザマ?くそ、訳わかんないよ…」<br />
―戸惑い、傷つき―それでも、少年は戦わざるを得ない。真実を知り、己の世界に戻る為に―<br />
「―なぜ…?貴方は…もうここにいない筈。蒼星石の導きで旅経った筈…」<br />
「…守られてばっかりってのも、な。僕は…時の挟間の修繕人―『マエストロ』…なんだろ」<br />
―旅の中で経験する戦い、触れる温もり―<br />
「敵の雄たけび…!?大丈夫か、蒼星石!…って…お前…女の子…?」<br />
「来てくれたんだ!……へ?――――!!?く、くるなみるなあっちにいってー!」<br />
―そして、旅の果てに知る。受け入れなくてはいけない事実を―<br />
「そんな…あんたは…!あんたは、時の挟間の巫女の―薔薇水晶の父親だろう!?」<br />
「少年―いや、『マエストロ』よ。今の私は、挟間の破壊者だ。―さぁ、死ぬがよい」<br />
―全ては、時のダイスが操るままに―<br /><br />
「つ、疲れた…。なんで卓上遊戯でこんなに体力がなくなるんだ…」<br />
「あはは…。でも、初めての割には上手にキャラクターになり切れてたと思うよ」<br />
「こくこく。ご褒美。のど飴」<br />
「ん、サンキュ。…テーブルトークRPGって言うんだっけ、これ?」<br />
「あぁ、略してTRPG。私も久しぶりに引っ張り出されたが…なんとかなったな」<br />
「GMお疲れ様です。シナリオ作成者のボクとしては、大満足の結果でしたよ」<br />
「因みに、ルート分岐によっては、ばらしーとくっつくのもあった…。がっでむ…」<br />
「条件は五分なのだからむくれるな、ばらしー。次は草笛先生も誘ってみよう。上手いのだ、彼女は」<br />
「意外な様な納得出来る様な。…そう言えば、あんまりサイコロ使いませんでしたね」<br />
「………ごめん。使ったシステムがアレでソレでナニだから。いや、ボクは好きだけど…」<br />
「役者もこなす君ならばそうだろうな。しかし、『熱血専門』…よく持っていたな…」</p>
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<p>24:疑う保守を致すかしら<br /><br />
「……金糸雀、金糸雀。ちょっと……」<br />
「?何かしら、薔薇水晶?……口数の少なさは何時も通りだけど、今日は顔に縦線まで…」<br />
「…感情が出にくい私の精一杯の表現。えへん。…じゃなくて」<br />
「話の腰を折っちゃってごめんなさない。で、何かしら?」<br />
「昨日、……お父様が帰ってこなかった」<br />
「あー……槐先生から、みっちゃんが大変に潰れたから面倒みる…って、連絡があったのかしら」<br />
「うん、……私の方にもかかってきた」<br />
「んー…家に帰って来れなくなるほどの潰れっぷりは久しぶりかしら」<br />
「………………怪しい」<br />
「ビールや日本酒、ウォッカとかなら幾ら飲んでも潰れないのに、どうしてカクテルで…え?」<br />
「…お父様は男の人。…みっちゃん先生は女の人。で、二人で外泊。だから……」<br />
「えーと……つまり、その、男女の云々……?」<br />
「こくこく。…金糸雀は何か知ってる……?」<br />
「ぅ…カナは知らないわ。まだみっちゃんに昨日の説教もできてないし…」<br />
「…私も知らない。………どうしよう」<br />
「どうしよう…って、そんな、まだ、それと決まった訳じゃ…」<br />
「でもっ――……ぅー、ぅー、……」<br />
「……少し意外かしら。槐先生が強度の親馬鹿なのは周知の事実だけど、貴女も負けず劣らず―」<br />
「ぅ…だって…。ぅー…金糸雀の意地悪…」<br />
「くす、よしよし。―でも、私も心配に…と言うか、本当の事を知りたくなってきたのかしら」<br />
「……一緒に聞いてくれる?一人だと…なんか怖い……」<br />
「ん、わかったわ。……もぅ、裾なんか握らないのかしら」<br />
「あぅ…だって……ぅ?」<br />
「―裾なんかじゃなくて、手を握るかしら。ね、そっちの方がいいでしょ?」<br />
「うんっ。……では、れっつごー」<br />
「――金糸雀、薔薇水晶。槐先生と草笛先生のとこ―美術教官室に行くのか?」<br />
「―?あら、聞かれていたかしら。少し恥ずかしい様な。―えぇ、今から真相に暴きに行くわ」<br />
「僕もさっきの授業の提出物があるから行くよ。……まぁ、何というか。親の心子知らず…ってか」<br />
「…………かしら?」 ――――「真相」は近いうちに。</p>
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25:熱い保守を致すわよっ(―疑う保守を致すかしら―の前夜)<br /><br />
「ねぇ、槐先生…そろそろ……ね」<br />
「……草笛先生、少し酔い過ぎだ。それに、体を預けるな。胸が当たってる」<br />
「いいじゃないですかぁ、私は気にしませんよ?」<br />
「私が気になる。―仕方ない、お相手しよう」<br />
「うふふ、そうこないと。―夜はまだ、始まったばかりなんですから…」<br /><br />
「…ナ……………ナ………………っ」<br />
「………ー……し……………ば………っ」<br />
「カナカナカナカナカナカナカナっ」<br />
「ばらしーばらしーばらしーばらしーっ」<br />
「―くぅっ、…流石にやりますね。無呼吸連呼にもちゃんと感情が籠っています…」<br />
「―ふぁ…はぁ…。当たり前だ。―それに、君とて同じであろう…」<br />
「勿論。槐先生のばらしーちゃんへの愛は知っていますが、是だけは譲れませんから」<br />
「金糸雀君への君の愛も並大抵のものではない―が、私も負けられん」<br />
「―では、揺るがしてあげましょう。カナの愛らしさで」<br />
「………何っ!?」<br />
「カナは…最近、私が落ち込んでたりすると、そっとヴァイオリンの優しい音色で癒してくれるんです」<br />
「ぐ……っ。年上の君に何という柔らかく暖かい対応……。―いい、実に…、いい」<br />
「でっしょぉっ!?も、疲れも悩みも吹っ飛ぶってもんなんですよ!」<br />
「―しかし、だがしかし……ばらしーの可愛らしさも知ってもらわんと困るなっ」<br />
「確かにばらしーちゃんも可愛らしいですが。……普段よりも更に上の可愛らしさがあるとでも!?」<br />
「ある。―あの子は、猫舌でな。ココアを飲む時はカップの取っ手を持ち、ふーふー…と」<br />
「か、可愛いっ!私も見たい!」<br />
「ふ…。しかも、だ。それでも熱さが残っていて、舌をぺろりと出して外気温で冷やしているのだ…っ」<br />
「くぅぅ……っ。ですがですがですが!―カナなんて――――!」<br />
「ごふ……っ。それならば、ばらしーは―――――!」<br />
(みっちゃん先生は酔っていますが、普段からこんなです。<br />
槐先生は素面ですが、いつでもこのモードに入れます。二人ともアホです)</p>
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26:楽しい保守を致すわよっ(―疑う保守を致すかしら―の数分後)<br /><br />
「で、だ。…美術教官室に着いたけど、入らないのか?」<br />
「もうちょっと待ってかしら。…薔薇水晶、大丈夫?」<br />
「………ん。だいじょぶ。覚悟完了。……でも、手は握ってて…」<br />
「そのつもりかしら。えーと、じゃあ……」<br />
「了解、開けるぞ。―槐先生、草笛先生、失礼します。提出物持ってきました…って…」<br />
「………どしたの?」<br /><br />
「―昨日から延々と語っていますが!私のカナへの愛は駄々漏れしても有り余るほどありますから!」<br />
「―ふ…私の脳のメモリはばらしーで100%…いや、100%中の100%っ!」<br />
「「……………」」<br />
「先攻・私!―四日前!カナは朝の星占いで一番になって純真無垢な笑顔!私は鼻血が出そうでした!」<br />
「ぬぅ…っ、成人女性に其れ程までにダメージを与えるとは…っ!」<br />
「訂正!カナには気づかれませんでしたが、出てました!」<br />
「流石だ、草笛先生っ―後攻・私!…ばらしーが最後に夜尿をしたのは七歳の夏!」<br />
「その時のばらしーちゃんはっ!?」<br />
「世界地図を描いたんだねと慰めたら、その日一日口をきいてくれなかった!」<br />
「恥じらい、恥じらいですか!?あぁぁ、可愛いっ!」<br /><br />
「…………………みっちゃん」「……………………………おとーさま」<br />
「――カナっ!ばらしーちゃん!?」「―ばらしー!金糸雀君っ!?」<br />
「……昨日からずっと議論してるんだって―さっきの授業中もずっとこんな感じだったんだよ」<br />
「…………すっごく申し訳ないのかし―!?」「………恥ずかし―!?」<br />
「カナー!会いたかったわっ!ぁあ、ばらしーちゃんも可愛いぃ!」<br />
「ばらしー…寂しい思いをさせたね。そして、金糸雀君―私は君を過小評価し過ぎていたようだ…っ」<br />
「うぁぁ…頬が摩擦で―」「擦り切れるかしらー!?」<br />
「……見ようによっては、仲の良い家族だよなぁ」<br />
「奇麗に纏めてないでっ―」「助けてっ………ぅぁぁぁ………」<br />
(―切ない保守を致すわよっ―と同一人物です)</p>
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27:楽しい保守を致すなの<br /><br />
「なぁ、柏葉。僕達はとうに一桁の年齢は過ぎている」<br />
「そうね。……雛苺なんか一部分だけ成長し過ぎているし…」<br />
「ん、何か言ったか?」<br />
「いいえ、特には」<br />
「なら良いんだけど。…でだ―なんでまたそんなメンツでおまま事…いや、納得せんでもないけど」<br />
「……雛苺が『久しぶりにしたいのっ』って言ってるんだから、やらなきゃ」<br />
「確定事項ですか…はぁ…僕は何の役を演じればいいんだ?」<br />
「…くす。―えーと、それは…雛苺に聞いてみないと…」<br />
「うゅ?貴方は勿論、旦那さんなの」<br />
「お父さん役ってとこか。……えーと、奥さん役はどちらが?」<br />
「お嫁さんは、ヒナなの。えへへ~」<br />
「…うん、可愛いよ、ヒナ。じゃあ、私は―」<br />
「娘役…とか、か。同じ年齢の娘……なんかこう、微妙な背徳感が…」<br />
「……『お父さん、殴るよ、竹刀で。全力で』」<br />
「……『すまん、悪かった、無表情でプレッシャーを感じさせないでくれ』」<br />
「違うの、違うの!二人とも、そうじゃないのよ!」<br />
「……?じゃあ、『お父さん』の妹役とか、『お嫁さん』の姉役とか…?」<br />
「Non、巴もヒナと一緒―お嫁さんなのよ!」<br />
「へ?いや、ちょっと待て、個人的には役特かなって思わなくもー」<br />
「―とりあえず、貴方は黙ってて。…でも、その、やっぱり変だと思うんだけど…」<br />
「どうして?ヒナも巴も、お嫁さんになりたいのよ?」<br />
「え、あ、え!?ひ、雛苺、いきなり何を言うの!?」<br />
「ふぇ……違うの??」<br />
「落ち着けよ、柏葉。雛苺が言っているのは、どー考えても『like』だろうさ」<br />
「鼻の下を縮めてから言って。―そうなの、雛苺?」<br />
「うゆ?―ヒナは、みーんなが楽しいのがいいのよっ」<br />
「―だとさ。どうする?」<br />
「……雛苺がそう言うなら、仕方無い…かな。その……え、と…―」<br />
「―likeもloveも、『好き』な事に変わりないの。だから、ヒナも巴も、お嫁さん♪」</p>
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28:甘ぁい保守を致すですぅ<br /><br />
「こりゃまた…見事に真っ赤っかに咲いてるなぁ…」<br />
「何の話です?―あぁ、道端の曼珠沙華ですか。綺麗ですねぇ」<br />
「奇麗って…いやまぁ、わからんでもないけど。僕は彼岸花って言い方の方がよく聞くぞ」<br />
「…こいつには無数に名前があるですよ。曼珠沙華も彼岸花も、そのうちの一つですぅ」<br />
「……そうなのか?その二つくらいしか知らないんだけど…」<br />
「あだ名っぽいですけどね。ネガティブなモノも多いですが、リコリスなんて洒落たのも」<br />
「それはポジティブな名前っぽいな」<br />
「毒性抜きに考えれば、育てやすく綺麗な花ですからねぇ。色々、品種改良もされてるですよ。<br />
それに、道端に植えられているモノは害虫除けの人為的なモノですし」<br />
「へぇ…相変わらず、花や草はよく知ってるな。僕も多少は覚えてきたけど…」<br />
「へ?―おめぇ、男の割に、そういうの興味あるですか?」<br />
「…………いつも、お前から教えられてるからな。それに…」<br />
「それに…なんです?」<br />
「――嫌いじゃない奴の好きなモノは、まぁ知ってても損はしないだろうし…」<br />
「え……?え、えと…それって……」<br />
「あ、いや、深い意味はないぞ?それに、覚えていったら結構面白いし…っ」<br />
「くす……わかったですぅ。―じゃあ、問題を出してやるですよ。…こいつの花言葉は?」<br />
「『悲しい思い出』と…『また会う日を楽しみに』だっけ?―暗いのが多いよな」<br />
「また…器用に忘れましたねぇ…。……それだけじゃ、ないですよ」<br />
「器用ってどういう意味だよ?―えーと、なんだったかな…」<br />
「………仕方ないですね。ヒントをくれてやるですぅ」<br />
「ぐ…。しかしまぁ、助か―って、お前、顔がちか―!?」<br />
「口を開けるなですぅ。―ヒント、有難く受け取るですよ…『想うは―――(ちゅっ」<br />
「―なるほど、確かに器用に忘れてたな。……でも、僕はお前と離れるつもりはないぞ」<br />
「『言葉』なんて聴き手の受け取り様ですぅ。―まぁ、そういうなら、『ヒント』を返すですぅ」<br /><br />
―曼珠沙華の花言葉は、「悲しい思い出」「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」ですぅ―</p>
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<p>29:甘酸っぱい保守を致すわよっ(みっちゃん追加ディスクver)<br /><br />
「と言う訳で!私と君の個人教授、もしくは先生と生徒のプレイベートレッスンよ!」<br />
「…授業中に課題提出できなくてごめんなさい、だから無理にテンション上げないで下さい。あと…」<br />
「だって、もうお昼休み…カナと一緒に食べる予定だったのにぃ…。―『あと』?」<br />
「みっちゃん先生がそーいう事言っても、あんまり、こう、色気とかがな―」<br />
「失礼な。―だったら、ちょっとした艶っぽい話を聞かせてあげようじゃないの」<br />
「艶っぽい…って、先生の実体験ですか?」<br />
「手は動かし続ける!―そ、私が君やカナと同年代位の…昔話」<br />
「わかってますって。―僕達と…と言う事は、高校生くらい?」<br />
「まぁね。大昔って言ったらシメル。ま、適当に流し聴きしておいてよ」<br />
「一言もそんな事言ってません。まぁ、適度に……」<br />
「君達位―だから、私もそん頃は花も恥じらう乙女だった訳よ。<br />
で、その位の年齢なもんだから、恋に恋しちゃったんだわ」<br />
「なんとなく、想像出来る様な…えーと、相手は…?」<br />
「あはは、多分、想像通りだよ。恥ずかしげもなく何度ラブコール送った事か。<br />
その相手―被害者は、なんと新任の先生で…格好良く見えたのよ」<br />
「実際は違ったんですか?」<br />
「違う―ねぇ。ま、『恋は盲目』ってね。その頃は、その先生も今以上に寡黙だったから<br />
話を続けるのも大変だったんだから」<br />
「……(…あれ?なんか……言葉…語尾に違和感…?)」<br />
「それでも、てけてけとつきまわって話してたら、色々教えてもらえてさ。<br />
―さらっと、子どもがいるって事まで言われちゃってねぇ」<br />
「……結婚されてたって事ですか?」<br />
「ん、そうだね。―そんな訳で、空周りな初恋は終わりを告げました、と。<br />
ありゃ、艶っぽいって言うか、格好悪い話だね、これじゃ」<br />
「初恋……だったんですか?」<br />
「………そだね。あん時ほど馬鹿で間抜けで…純粋なのは…最近までなかった、かな。<br />
結局、その感情が昇華できずに綻んじゃったのかもね」<br />
「…………え?『最近』?」<br />
「ん…繕うのが得意な子…人がいるでしょ?さ、話は終わり。そっちもさっさと終わらせるのよっ」</p>
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30:楽しい保守を致しますわ<br /><br />
「夏が終わりを告げ、秋も深まってまいりましたわね」<br />
「んぅ、そうねぇ。今日は家にきらきーちゃんが来るって聞いてたから、色々揃えてるわよぅ」<br />
「む。お心遣いは有難いのですが、今日はワタクシ、精神面で秋を楽しみたいと思っていますの」<br />
「……なかなか面白い冗談だ」<br />
「貴方様まで!ちゃ、ちゃんと用意もしてきましたのよ。絵画書に書物に―!」<br />
「そうだったの。ごめんなさい、お姉ちゃん、張り切り過ぎちゃって…」<br />
「まぁ、栗や梨はともかく、秋刀魚はやりすぎ…だよなぁ。―どれどれ…へぇ…名前は聞いた事あるな」<br />
「絵画書ですわね。セザンヌやルノワールは有名ですから。他にもミレーのものも持参しておりますわ」<br />
「あらぁ、私でも知っている絵が多いわね。セザンヌさんの果物、美味しそう…」<br />
「―のり様、それでしたら、ルノワールのモノも食欲をそそりますわよ。それから―」<br />
「………おーい」<br />
「………は!?か、絵画はいけませんわ、写実的に描きすぎているので…!」<br />
「わかった、わかったから。―んじゃ、本に切り替えようか」<br />
「そうですわね!―えーと、一応、読みやすいジャンルのものを持ってきましたわ」<br />
「じゃあ、僕は小説。姉ちゃんは文章読むの得意じゃないし…ラノベがいいんじゃないかな」<br />
「うん、わかったわ。―――。―この挿絵に出てくるお料理、作り甲斐がありそうねぇ」<br />
「―此方の作者様も結構なお手前の様で、色々な御馳走を作られておりますわ。じゅる…」<br />
「………雪華綺晶さん、涎が…」<br />
「ひぅ!?ぶ、文章ですとイメージが湧き出てしまって…!」<br />
「それだと、漫画でも無理だよなぁ…。んじゃ、映画でも見るか?」<br />
「そう致しましょう。―あ、ですが、その分野は何も持ってきておりませんわ…」<br />
「昔のアニメ映画のビデオなら幾つかあるわよぅ。ラピュタにルパンに…」<br />
「ラピュタ……目玉焼きパン……ルパン………大盛りのスパゲティ………じゅじゅる……」<br />
「題名だけで!?」<br />
「うぅ………ワタクシの負けですわ…。のり様、何か用意して頂いて宜しいでしょうか?」<br />
「うん、勿論よぉ。腕によりをかけて、頑張るからね!」<br />
「はい、楽しみにしております。…はぁ…今日こそは食欲から離れようと思ったのですが…くすん」<br />
「―皆でご飯食べながら映画でも見ようよ。―そっちの方が、楽しいさ。な?」</p>