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第十一話「I for You」」(2007/08/31 (金) 23:49:57) の最新版変更点

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<p> <br> 心から キミに伝えたい<br> キミの笑顔いつも見つめられたら<br> 心から キミを愛してる<br> キミに降る光を 集めてあげたい すべて I for You<br>  <br>  <br> LUNA SEA 第十一話 「I for You」<br> <br> <br> 「僕と結婚してください」<br> 「な、なな何言うですかぁ!いきなり!」<br> 自分から言い出そうとしたことなのに。突然のことには弱い。<br> 「だから、僕と結婚してください。<br> あぁ、別に婚姻届まで出してどうこうしようじゃなくて、<br> なんていうか…、雰囲気って言えばいいかな。<br> それだけでいいんだ」<br> 驚いた。私が言い出そうとしてたことを彼に先に言われたことより、<br> 彼にそんなことを言える度胸があったことに。<br> 今までだったら絶対そんなこと口になんてできなかった。<br> 私についてもそうだが、この状況が言わせたのだろうか。<br> 「何言ってるですか!お前みたいな先の短いやつなんかと誰が結婚したがりますか!」<br> 「そうか…。ごめんな、悪かったよ…」<br> しょんぼりする彼。私はなんてことを言うんだ。<br> 向こうから言ってくれるなんて、本望じゃないか。<br> 私も望んだことなのに。<br>  <br> 「そ、そそそういやぁ、ちゃんと指輪は用意してるんですか?」<br> なんとか空気を戻そうとする。<br> 「ん?あぁ、そういや用意してたよ。急だったんで出すの忘れてたや」<br> そう言って近くの机の引き出しの奥から小さな箱を取り出した。<br> 「ちゃんとそれっぽくさ。給料三ヶ月分っていうけどもうちょい出してな。<br> 買ったんだよ」<br> 「え?どうやって買ってきたんです?」<br> 「うん、姉ちゃんに頼んだんだ。案外センスいいしな」<br> 「ゆ、指のサイズは合ってるですか?」<br> 「多分合ってると思うよ。蒼星石と同じサイズでいいんだよな?<br> 双子だし。付けてみる?」<br> 「い、いやいいですよ。指のサイズがぴったりなのは分かったですし。<br> 最近皆コソコソしてたのはこういうことだったんですか?」<br> 「コソコソ?うん、まぁこういうことだな。真紅さんにはプロポーズのアドバイス貰ったし、雛苺には検診に来る時間を合わせてもらうつもりだったし」<br> 「そうだったですか」<br> 私は目をつぶり、溢れそうになる涙を堪えた。<br> 「それより、さっきお前、自分から言おうとしてたんじゃなかったのか?」<br> 羞恥心に涙が吸われる感覚がした。<br> <br> 「な、ななな何バカなこと言ってるですか!この翠星石がそんなこと言うわけないじゃないですか!」<br> 「じゃあ何言おうとしたんだよ」<br> 「そ、そ、そりゃあもちろん、け、け、『蹴らせろ』です!<br> 腹が立って仕方ないですから!」<br> 「おいおい…。病人相手にそんなこと言うもんじゃないだろ」<br> 「うるさい!黙っとけです!この状態じ蹴りにくいですから、変わりに殴らせろです!」<br> そう言って拳を振り上げると、彼は身を固まらせ、目をぎゅっとつむった<br> 私はそのまま掲げた手をジュンの顔の真横へと振り下ろし、</p> <p>…キスをした。</p> <p>顔の下でジュンが驚いているのが分かる。<br> それでも長く、ずっと口づけをしていた。</p> <p>しばらく、どれだけ長かったかわからないけど、唇を放し、<br> 「仕方ないからいいですよ。<br> どーせ、お前みたいなやつなんかと結婚したがるやつなんか、そーとーな変わりもんですからね。<br> この優しい優しい翠星石様が一緒になってやるから、<br> 全身全霊をこめて、一生分感謝しろですよ」<br> <br> 彼の側からは逆光になって、私の表情は見えてないだろう。<br> …それに、今どんな表情をしているのか私自身にも分からなかった。<br> 泣いているのか、笑っているのか。<br> きっと笑っているはずだ。<br> <br> だって、ジュンがもっと近くにいる。<br> <br> <br> 「ありがとうな、翠星石」<br> 「いいんですよ。翠星石だって望んでたことですから。<br> でも、さっきは本当にごめんなさいです…。<br> あんなこと言っちゃって…」<br> 「いいよ。本心なんかじゃないんだろ?」<br> 「あ、当たり前です!あんなこと思うはずないです!<br> ジュンはきっとしぶとく生きてくですよ!<br> 奇跡って言われるぐらいに!」<br> 「そっか。頑張らなくっちゃな。お前の夫としてさ」<br> 息苦しくなるぐらいに赤面してしまう。<br> 分かってはいるけど、やっぱり言われると照れる。でも<br> 「そうですよ。あなた」<br> <br> 向こうにすごいダメージを与えるけど、自分にもダメージが大きすぎた。<br> 何馬鹿なことやってんだろ。<br> <br> …だけどこの瞬間が堪らず愛しい。<br> <br> <br> 「あ、そうです」<br> 「何?」<br> 「ちょっと電話させてもらうですよ。」<br> そう言って私は蒼星石に電話をかけた。<br> 病室だとか気にしない。気にするべきだけど。<br> 何をするのかと、不思議そうな顔をしているジュン。<br> <br> 「あ、もしもし、蒼星石ですか?」<br> 『うん、どうしたの?』<br> 「今どこにいるです?」<br> 『ちょうど仕事が終わったから、病院に向かってる所だけど?』<br> 「ちょうど良かったです。ちょっとストップするですよ。来る前に、婚姻届貰ってこいです」<br> ブッと隣で吹き出す音。<br> チラッと横を見れば、ジュンが呆然としていた。<br> 『えぇっ!?な、何で!?いきなりそうなるの!?』<br> 「翠星石達は結婚することにしたですよぉ」<br> 『そ、そんなあっさり言わないでよ!?え?ちょっとジュン君に代わってくれない?』<br> 「はいですぅ♪」<br> <br> そう言って彼と電話を代わる。<br> <br> 隣であれこれ言ってるけど、少しいい気味だった。<br> 私に寂しい思いさせた罰ですよ。<br> イーッヒッヒッヒッヒッ。<br> <br> 貰った指輪を見てみる。宝石は大きすぎず小さすぎず、ちょうどいい大きさ。<br> 指に付けてみる。やっぱりぴったり。<br> <br> そして私は話している最中の電話を奪い取り、<br> 「じゃあそういうことですから、頼んだですよ~♪」<br> ちょっと待ってよ、とか言ってるけど、それでも切る。<br> <br> 「はぁ~。しょうがないなぁ、お前は」<br> 「でも、こんな翠星石がジュンは好きなんですよね?」<br> 「はは、まぁそうだな」<br> <br> <br> 私は痩せてしまった彼の手を握り、<br> 幸せを噛み締めながら、こう祈った。<br> <br> 神様、もう少しだけ<br> <br> <br> 第十一話 「I for You」 了<br>  <br>  </p>

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