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第六話「DESIRE」」(2007/08/19 (日) 23:45:07) の最新版変更点

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<p>激しく 胸が張り裂けそうさ 心奪われすぎてゆく<br> 激しく 深く傷つくことも 恐れない<br> どれだけ 心が壊れても たとえキミを壊しても<br> 激しく 熱く抱き締めさせて キミのすべてを<br> <br> <br> 「母さ~ん。それホント~?」<br> 「嘘でしょ~お母さん」<br> 子供たちは信じていない。まぁそれも無理もないか。<br> 蒼星石は、というと。<br> ………読めない。ただ微笑してる。<br> 「そうだね、翠星石。僕は信じるよ」<br> お前だけは信じてくれるですか。<br> 「えぇ~。蒼姉ちゃん信じるの~?」<br> 「絶対嘘だよ~」<br> 「ふふ。どうかな?不思議なことなんてこの世にはいっぱいあると思うよ」<br> 「ふ~ん。蒼姉ちゃんが言うならそうかな~?」<br> 「じゃあ、私も信じる~」<br> 蒼星石。この二人の信頼が厚いってのは、結構ですが、何ですか!この違いは!<br> 私はそんなに信用ないですか! <br> <br> 「ふふ。日頃の行いの違いじゃないかな?」<br> !?心を読むなです!<br> 双子だからって、そうほいほい読んでいいもんじゃないですよ!<br> 「そうだね。でもそれより話の続きを聞かせてくれないかな?<br> それから翠星石はどうしたの?」<br> …何も分かっちゃいねぇです。<br> まぁ、いいか。話を戻しましょう。<br> <br> <br> LUNA SEA 第六話 「DESIRE」<br> <br> <br> 私にはその後の記憶がない。<br> 抱き締められたのだろうか?私は泣いてしまったのだろうか?<br> 気が付けば家にいて、天井を見上げていた。<br> いつの間に陽は昇ったのだろう。<br> 染みを数え、意外と少ないかったことを知る。<br> かなり古い家なのに…私の心はあの天井よりキレイなままでいられるのだろうか?<br> 分からない。涙を越えた。笑えもしない。どうすれば?<br> <br> …こんな時、今日も仕事が休みでよかった。<br> 仕事なんて、今は全く手につかないだろうな…、なんて考えている自分が嫌だった。 <br> <br> <br> <br> 記憶を辿る。何を言われたのだろうか?<br> <br> 「別れようか」<br> <br> なんて、彼は言ってなかったか?<br> その時、私はその言葉を理解することなんてできなかった。<br> いや、今でもだ。<br> 普段の私なら短気を起こし、彼に掴みかかっていただろう。<br> …多分泣きながら。<br> <br> もう…いやだ。<br> <br> 「…死んじゃいたいです」<br> <br> その言葉が私の心に深く染み込む。そうだ…一緒に死んでしまえば寂しくなんてない。<br> …寂しい?何故そう思うのだろうか。フラれたことよりも…<br> 何で?でも考える気力なんてもうない。<br> 心にトゲが刺さりすぎて、血を流しすぎたようだ。<br> 何も…何も感じない。<br> <br> 携帯にメールが入っている。<br> 私達が遊園地から出て、別れた後に送られたもののようだ。<br> <br> <br> 『ごめん』<br> <br> ただ一言。あぁ、やっと寂しさの理由が分かった…<br> <br> 苦しいのは誰?本当に苦しんでいるのは?<br> 私なんかより、ずっと、ずっと苦しいはずなんだ。<br> 忘れてた。そんな…単純なこと…。<br> <br> 急いでベッドから飛び下りる。<br> 行かなくちゃ、彼の所へ。<br> 何を話すの?<br>       分からない。<br> 慰めるつもり?<br>       分からない。<br> できると思うの?<br>       分からない。<br> 拒絶されても?<br>       まだ本心を確かめてない。<br> …彼が好き?<br>    その通り、当たり前だ。<br> <br> <br> 頭の中からもう一人の自分が話しかけてくる。<br> 私を咎めるように。私を試すように。<br> 何ができるかなんて知らない。<br> 何をしようかなんて考えてすらない。<br> <br> 夢中で彼の家へと走ってゆく。<br> 着いた。まずは深呼吸。落ち着くんだ。<br> インターホンを鳴らす。<br> <br> 『はい?』<br> 出てきたのはのりのようだ。<br> <br> 『のりですか?翠星石です』<br> 声が裏返ってしまいそうになるのを、必死で抑える。<br> <br> 『翠星石ちゃん?ちょっと待っててね。すぐに開けるから』<br> のりが玄関へと出てくる。<br> この一瞬一秒がもどかしく、待ち遠しい。<br> 朝早く、こんな時間に来られるのも迷惑だろうと、罪悪感に少し胸が痛む。<br> でも、そんなこと構ってられない。<br> <br> <br> 彼女が出てきた。…目が赤い。やっぱり泣いていたようだ。<br> <br> 「いらっしゃい、翠星石ちゃん。ジュン君ならお部屋にいるわよぅ」<br> 無理して取り繕った声が悲しい。<br> 「お邪魔するですぅ」<br> <br> リビングが視界にはいる。ちらかってなどいない。<br> むしろかなりキレイだ。…そう、不自然なまでに。<br> のりの悲しみが少しだけ見えた気がしてまた苦しくなる。<br> そして、彼の部屋の前。<br> <br> 「ジュン。入るですよ」<br> 返事がない。不安になり、慌てて中へと入る。<br> なんだ…。寝てるだけじゃないか。<br> 「まったく。呑気なヤツです。<br> どれだけ人を悲しませたら気が済むんですか。<br> そーいえば、引きこもりになったこともあったですよねぇ?<br> ほーんと、いつまで経ってもチビ人間はダメダメなままなんですから」<br> 誰にというわけでもなく、私は愚痴る。<br> 「まったく。お前ぇは、一人じゃ危なっかしいんですから、この翠星石様がついててやるですよ。<br> べ、別に翠星石が一緒にいたいってわけじゃないんですからね!<br> そっ、そうお前のためなんですからね!勘違いするなですよ、コンチクショー」<br> <br> <br> …何をやってるんだ、私は。<br> …今ぐらい素直になっても…いいよね?<br> <br> 「ジュン。本当は…本当に大好きですよ…」<br> <br> 寝てるよね?絶対。今なら…。<br> <br> 優しく、気付かれないようにそっと、くちづけを…<br> <br> <br> 決めた…。最期まで、私は泣かない。<br> ずっと、笑顔でいてやる。<br> <br> <br> <br> 第六話 「DESIRE」 了</p>

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