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「第5話「MOTHER」」(2007/08/18 (土) 02:46:42) の最新版変更点
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<p>Mother of Love<br>
奇跡よ今 僕を救え 何処へ行けば 何をすれば<br>
夜明けよ今 僕を救え 何処へ行けば 何をすれば<br>
夜明けよ今 僕を誘え 愛が欲しい 愛して欲しい<br>
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「…は?」 今、なんて?<br>
「いや、だからさ。僕、ガンらしいんだ」<br>
理解できない。<br>
「確か膵臓だったかな?最近やった検診で分かってさ」<br>
嘘だ。<br>
「ステージ4、だって。よくドラマとかであるじゃん。あなたの余命はもってあと何ヵ月ですってやつ」<br>
聞きたくない。<br>
「くく…言われたよ。あと半年らしいんだ。<br>
あ、でもそれたしか4ヶ月前くらいの話でさ」<br>
嫌だ…<br>
「うん。つまり、僕の命はあと2ヶ月あるかないかってことらしいんだ」<br>
「ジュン…嘘ですよね?冗談ですよね?今日何日か知ってるですよね?四月一日じゃないですよ?<br>
ね?ジュン?嘘だと言ってくれるですよね?ね?」<br>
「…ごめん。嘘じゃないんだ」<br>
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私の口からは気付けば悲鳴がもれていた。<br>
声になったのか、ならなかったのかすら、分からないほどに。<br>
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LUNA SEA 第5話 「MOTHER」 <br>
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「あ、そういえばですねぇ、こんな夢を見たことがあるんですよ」<br>
話に集中して聞いていた3人の意識を戻す。<br>
湿っぽい話はやっぱり苦手だ。娘なんてすでに涙目になっている。<br>
「不思議なもんなんですけどねぇ。お父さんが帰ってくる何日か前に、こんな夢見たんですよ。今になってやっと思い出したです」<br>
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真っ白な壁。真っ白なカーテン。病室のベッド。<br>
ピッ、ピッと規則的な音を立てる機器。<br>
チューブに繋れた男の体。<br>
その側にいる女。泣いているのか?<br>
男が何かを口にする。聞き取れない。<br>
女も何かを答える。音がしない。<br>
だが、少しずつだけ。少しずつだけと音が届いてきた。<br>
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「い……でも………に…るって………約……じゃ……かぁ!」<br>
「………んな」<br>
「…付…………………なんか………ですぅ!」<br>
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私はそこで飛び起きた。夢は、あの夢は…。<br>
きっとあの男はジュンで、女は私だったのだろう。<br>
時刻は真夜中。…でも、どうしても自分を抑えられなかった。<br>
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『嫌な夢をみたです…。少し話を聞いてくれないですか?』<br>
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迷惑な話だ。夢の話に付き合わせるためにわざわざメールを送るなんて。<br>
けど…意外なことにメールはすぐに帰ってきた。<br>
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『どうしたんだよ(笑)こんな時間に。ちょうど眠れなかったから良かったものを(笑)何だ?どんな夢?』<br>
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良かった。ジュンからメールが帰ってきた…。彼の優しさに泣きそうになる。<br>
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『ジュン。いつまでもずっと、一緒にいてくれるですよね?』<br>
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今考えれば、なんて変な文面だ。それほど私は気が動転していたのだろう。<br>
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『一体どんな夢見たんだよ?(笑)』<br>
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言いにくいけど…<br>
『ジュンが病院にいて、死にそうになってる夢です…』<br>
あまりにも鮮明すぎた。<br>
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『なんだよそれ。まぁ、できる限りは一緒にいるよ。<br>
約束する。保証はないけど』<br>
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少し返信が遅い。<br>
まったく、あのチビはキザな台詞でも言おうとしたんですかね?そんなの似合いもしないのに。 <br>
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でも、落ち着くことのできた自分がいるのも事実。<br>
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『そうですか。まぁ、チビにはキザな台詞なんて似合わねぇですから、無理にひねりだそうとするなですよ。<br>
それとこんな時間にメール送ってすまんです。<br>
じゃあ、おやすみです。<br>
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それと、ありがとです。』<br>
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この空白は、精一杯の照れ隠し。きっと彼は気付かないだろうけど…。<br>
メールでも素直になりきれない私って一体…。<br>
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メールの着信音がしたが気にしない。今度こそ優しい夢の世界へ…。<br>
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『チビって言うなって(笑)もう僕の方がでかいだろ。じゃあな。おやすみ。<br>
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やっと決めたよ。』<br>
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私も人のことを言えない。彼にも隠したい事があったようだ。<br>
この空白はきっと、葛藤の証なのだろう。<br>
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大切なことは決まって何もかも終わった後に分かってしまう。<br>
この文に気付けたなら、その時すぐに問いつめ、彼の所へと飛んでいったというのに。<br>
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第5話 「MOTHER」 了</p>