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「『金糸雀堂』・その1」(2007/07/31 (火) 02:20:05) の最新版変更点
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<p> 『金糸雀堂』<br>
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大きな草原の真ん中に小高い丘がありました。<br>
丘の頂上には大きな大きな木が一本、木の下には小さなお店がありました。<br>
お店の名前は『金糸雀堂』。<br>
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今日はどんなお客さんがくるでしょう?<br>
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その1<br>
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今日は雨。<br>
お店の窓からはグレーとグリーンの二色しか見えません。<br>
準備をして待っていると、トントン・トントン、お客さんが来たようです。<br>
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ドアを開けるとずぶ濡れの女の子が立っていました。<br>
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「ちょっと雨宿りさせてくれなぁい?」<br>
「いらっしゃい、貴女を待っていたかしら。」<br>
「私を待っていたですってぇ?」<br>
「だからタオルも着替えもお茶の準備も出来てるわ。」<br>
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タオルで拭いて着替えさせると、あったかいお茶を淹れました。 <br>
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「さてさて、貴女の探し物は何かしら?」<br>
「別にぃ、私は探してなんか…」<br>
「ここは『金糸雀堂』。探し人が最後に辿り着く所。ここに無ければ、求める物は何処にも無いかしら。」<br>
「そんなっ…!」<br>
「ほら。さあ、貴女の探し物は何でしょう?」<br>
「…私の友達が病気なの。治すには特別な木の実が必要なのに何処にも…」<br>
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それを聞くと立ち上がって壁に掛かっている扉の絵に近づいて。<br>
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「そこの棚からノブを1つ選んで持ってくるかしら。」<br>
「この中から?…う~ん、はぁい。」<br>
「この絵にはめて回しなさい。」<br>
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少女は恐る恐る絵にノブを差し込み回しました。<br>
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ガチャリ<br>
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絵の扉の先はとても大きな部屋でした。<br>
夕暮れ色の部屋の真ん中には大きな木が生えています。 <br>
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「…!この木!この木の実よぉ!」<br>
「よいしょっ…はい、これでいいかしら?」<br>
「ありがとう!これで…」<br>
「ふふん♪なんていっても『金糸雀堂』、大抵の物は置いてるかしら♪」「あ!…その…これ幾らするの…?」<br>
「う~ん、一曲位かしら?」<br>
「一曲?どういう事?」<br>
「お代は貴女が一番好きな歌一曲分、素敵な歌を聴かせて頂戴?」<br>
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少女の歌が終わる頃、空はすっかり晴れていました。<br>
手を振りながら帰っていく少女を見送ると、今日は店じまいです。<br>
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「このお店の品揃えがまた一つ増えたかしら♪」<br>
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つぶやくと手の中の小箱をそっと開きました。<br>
すると先程の少女の歌声が辺りに流れ出します。<br>
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「歌を聴きながらお茶にしましょう。」<br>
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そう言うとパタンと扉が閉まりました。</p>