「苦難 七番目」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

苦難 七番目」(2007/06/10 (日) 19:59:02) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

<p> 退魔八乙女。 <br />  起源は、平城京が存在した時代に存在した陰陽連が <br />  平城京に巣くう邪悪なる妖怪や悪霊を討ち祓う為に作り出した存在。 <br />  霊力の高い男と女が子を産み&hellip;&hellip;必然的に霊力の高い子を成し <br />  その成した子に、霊力上昇等の術式を身体に刺青として刻み込むのだ。 <br />  故に、【作り出した】と言う一文は間違いではない。 <br /> <br />  また、退魔八乙女と言ってはいるが&hellip;&hellip;元々退魔十六士と十六の退魔士が存在したのだが&hellip;&hellip; <br />  大半が霊力上昇等の術式による暴走で、死に絶えたのだ。 <br />  十六うち半分の八が残り、その八総てが女性と言う事で、退魔八乙女と呼ばれる様になる。 <br />  更に言えば&hellip;&hellip;退魔八乙女は、総て処女であり&hellip;&hellip;処女で無い者は、須く八乙女から消される。 <br />  つまり&hellip;&hellip;霊力の高い男と女が子を成す。それを、八乙女として引き取り術式を刻み育てるのだ。 <br />  故に、八乙女に血の繋がりと言うのは無い。 <br /> <br />  さて、話を現代に戻そう。 <br />  八乙女が白乙女の雪華綺晶が、今回の話の主役である。 <br />  白乙女は、他の八乙女とは一風違った術を使い妖怪や悪霊を祓うと言う点を備考までに覚えていて欲しい。 <br />  では&hellip;&hellip;鬼教師桜田潤の苦難が七番目の始まりはじまり。&nbsp;<br /> <br />  桜田潤は、授業を進めながらある席を見る。 <br />  その席は、殆ど空席であり&hellip;&hellip;その席の主を見る事は、月に二回あるかどうか。 <br />  入学式当初から最初の一、二ヶ月は、毎日出席していたのに&hellip;&hellip; <br />  はぁ。と、誰にも気づかれない様にため息をつく。 <br />  別段、その席の主が登校拒否をしている訳ではない。 <br />  その席の主が名前は、雪華綺晶&hellip;&hellip;八乙女が白乙女である。 <br />  八乙女の中でも白乙女は、もっとも特殊な乙女だ。 <br /> <br />  其処に居て其処に居ない&hellip;&hellip;と、矛盾した言葉が実にシックリと来る存在なのである。 <br />  それはそれとして、潤はまた来てないのか&hellip;&hellip;と、担任として少々不安になる。 <br />  八乙女であろうと、雪華綺晶は自分の大切な生徒であり&hellip;&hellip;月に一、二度しか来ない事に非常に遺憾を感じる。 <br />  前に一度、雪華綺晶の自宅を家庭訪問と言う名目で、尋ねてみた事があったが&hellip;&hellip; <br />  人の気がまるで無く、生活をしていると言う感じがまるでしない。 <br />  チャイムを鳴らせど応答などなく&hellip;&hellip;その様は死んだ家。 <br />  まぁ&hellip;&hellip;雪華綺晶が、当日薔薇水晶と出かけていたのと、人払いの結界がかけられていたと言う事もあるが&hellip;&hellip; <br /> <br />  ふと気づけば、授業終了の鐘が鳴る。 <br />  潤は、教科書をパタンと閉じ「次は今日の要点を纏めたプリントを配ります」と、伝え教室を後にした。 <br />  職員室に続く廊下を歩く。 <br />  途中、生徒と擦違い軽く挨拶を交わしながら歩いてゆく。 <br />  なんともなしに、廊下から外を見る。 <br />  外の雑草が生い茂る場所に、一人の女子生徒とその女子生徒の足元で女子生徒を見て居る赤いポンチョを着た猫が一匹。&nbsp;<br /> <br />  猫は、雪華綺晶を一瞥しスゥッと目を細め見た後、雪華綺晶の傍を去っていく。 <br />  雪華綺晶は、そんな猫を見届けた後踵をクルリと返し校舎とは逆の方向へと歩いてゆく。 <br />  潤は、職員室に向かうのを完全にやめ、職員玄関目掛けて走り始める。 <br />  職員玄関に到着するとすぐに靴を履き替え外へと飛び出した。 <br />  雪華綺晶が向かった方へと走りかける。 <br />  何故こんな事をするのか明確な理由は無い。 <br /> <br />  まぁ強いて言うなら学校にちゃんと来なさいと一声かけたい。 <br />  と、言うことだけだろうか? 八乙女だからとかどうでもいい。担任として教師としてそう言いたかっただけなのである。 <br />  まぁ&hellip;&hellip;結果的に言えば、潤は自ら苦難に突っ込んで行っただけの話なのだが。 <br />  そんな潤を、赤いポンチョを着た猫が欠伸を一つしながら遠くで見ていた。 <br /> <br /> <br /> <br />  何処からか時計が時を刻む音が聞こえる。 <br />  カチカチカチカチカチと、時計なぞ無いのに音が響く。 <br />  太陽が昇っているはずなのに、其処は暗い。 <br />  相変わらず刻む音が聞こえる。 <br />  色あせた草。灰色の木々。凍った空。 <br />  雪華綺晶が、凍った空を眺めて一人ポツンと其処に居た。 <br /> <br /> 「&hellip;&hellip;私は、だぁれ?」 <br /> <br />  雪華綺晶の口から小さく漏れたその言葉と同時に、刻む音はピタリと止まり&hellip;&hellip; <br />  雪華綺晶の目の前に、低い見も弥立つ音を立てながら凍りついた空から黒いナニカが生れ落ちた。 <br />  不安定な形で蠢くソレを雪華綺晶は、虚ろな瞳で見る。&nbsp;<br /> <br /> 「アナタは、だぁれ? 私は、だぁれ?」 <br /> <br />  不安定な形で蠢くソレにそう呟く雪華綺晶。 <br />  ソレは、蠢くのをやめ&hellip;&hellip;爆発したかの様に雪華綺晶に襲い掛かった。 <br />  ズブズブズブと、沼に沈む様にソレに飲み込まれる雪華綺晶。 <br />  雪華綺晶が、ハッとして目を見開いく。 <br />  先ほどの虚ろな瞳とは違い、明確な意思を宿した力強い光を宿す瞳。 <br />  しかし、ソレは相変わらず雪華綺晶を無情に飲み込んでいく。 <br /> <br />  ソレが完全に雪華綺晶を飲み込むと思われた時。 <br />  力強いナニかにしっかりと、腕を掴まれひっぱられる。 <br />  ドサッと、色あせた草むらに身を倒す雪華綺晶。 <br />  直ぐに、雪華綺晶は自分をひっぱりだしてくれた存在を見る。 <br />  其処には、久々に見た自分の担任の姿。 <br /> <br /> 「やれやれ&hellip;&hellip;今回は、自ら平穏を壊してしまったらしい&hellip;&hellip;」 <br /> <br />  と、潤は呟くと雪華綺晶の方を向く。 <br /> <br /> 「さて、雪華綺晶君? 君は、この頃出席状況が良くない。もう成績に多いに響くレベルだ」 <br /> <br />  そんな事を言い始める潤の後ろでは、せっかくのエサを取られた不安定な形で蠢くソレが、更に激しく蠢く。&nbsp;<br /> <br /> 「今からでも遅くない。今日から可能な限りちゃんと出席しなさい。いいね?」 <br /> <br />  と、後ろのソレを無視した形で潤は、雪華綺晶に告げる。 <br />  その言葉に、雪華綺晶はコクコクと頷いた。 <br />  そんな雪華綺晶を見て潤はニッコリと微笑んだ。 <br />  そしてクルリと正面に向き直り、相変わらず激しく蠢くソレを見る潤。 <br /> <br /> 「ツァトグアの無形の落とし子&hellip;&hellip;やれやれ、アウターゴット系列に出会うのが多いなぁこの頃」 <br /> <br />  と、眼鏡のズレを直しながら潤は呟く。 <br />  雪華綺晶は、潤が何をするのか察知し慌てた様に立ち上がるが&hellip;&hellip; <br />  先ほど飲み込まれた短い時間で、力を奪われていたのか直ぐに草むらに沈む。 <br />  ただの一般人である先生が、アレと戦うなんて無理です! と、大声で言いたかったが&hellip;&hellip; <br />  大声を出す力すら無いのか、雪華綺晶の言葉は、小さく響くのみだった。 <br /> <br />  その小さな声を聞き潤は、小さく苦笑を浮かべる。 <br />  あぁ、個々最近生徒に心配されるばかりじゃないかな? 何故か八乙女が主にだが&hellip;&hellip;と、苦笑を浮かべたまま思う。 <br />  不安定に蠢くソレは、ピタリと蠢くのをやめ次第に形を成していく。 <br />  馬の様な下半身に人の様な上半身。竜の様な頭を持ち&hellip;&hellip;腕が六本ある。 <br />  神話上の生物ケンタウロスとは似て似つかない存在が其処に居た。&nbsp;<br /> <br />  人間の姿じゃぁ雪華綺晶君を護りながら戦うのは不可能に近いな&hellip;&hellip; <br />  やれやれ&hellip;&hellip;個々最近八乙女に正体がばれてるから余りばらしたくないんだがなぁ&hellip;&hellip; <br />  いや、まぁ&hellip;&hellip;五人にばれてるからもうどうでもいいか? <br />  と、開き直りの様な考え方にいたる潤。 <br /> <br /> 「さて、落とし子よ&hellip;&hellip;ンカイに帰っていただこうか」 <br /> <br />  潤がそう言った瞬間&hellip;&hellip;潤の姿は、鬼へと変わり落とし子を迎える。 <br />  落とし子は、鬼へと変わった潤へと突撃と言う攻撃方法で突っ込んでくる。 <br />  凄まじい速度の突撃。 <br />  鈍い音を立て、周囲に大量の色あせた草が舞う。 <br />  大量の色あせた草が舞う中、凄まじい咆哮と共にナニカが宙へと放り投げられた。 <br />  重い音を立てて、ナニカは草むらに沈む。 <br />  そして、舞った草が収まれば其処に立っていたのは鬼。 <br /> <br />  鬼は、その場で槍を投げる様に構えると&hellip;&hellip;黒い焔で出来た長い棒状のモノが出現する。 <br />  それを躊躇無く、そして連続して投げ続ける鬼。 <br />  その棒状のモノは、総て草むらに沈んだナニカこと落とし子に当りその黒い身に突き刺さる。 <br />  落とし子は、声あらざる声で悲鳴をあげるがズルズルズルと、再び不安定な形でその場に立ち聳える。 <br />  そんな落とし子に、鬼は先ほどより巨大で鋭い黒い焔で出来た棒状のモノを渾身の力で投げつける。 <br />  それは、不安定な形の落とし子を貫き&hellip;&hellip;そして爆散した。 <br />  しかし、爆散した落とし子は逆に爆散を利用し、黒く不安定な無数の身体を弾丸として鬼へと襲い掛かる。&nbsp;<br /> <br />  鬼は、落ち着き払った様子で、その口から総てを凍らす冷気の息を吐きつける。 <br />  襲い掛かってきた落とし子の身体総てが、凍りつき草むらに落ちさらに周囲の色あせた草を凍らせた。 <br />  そして今度こそ、落とし子は動かなくなりサラサラサラと、空に向かって溶け消えた。 <br />  その間、雪華綺晶は鬼をずっと見ていた。 <br />  訳がわからないと、言った表情を浮かべる雪華綺晶。 <br />  なにせ、意識がハッキリしたと思ったら落とし子に喰われかけ&hellip;&hellip;一般人であるはずの担任に助けてもらい <br />  更に、その担任が鬼に化けて落とし子を撃退したのだから&hellip;&hellip;あぁ納得。なんて出来る訳がない。 <br /> <br />  それはともかくとして、鬼は人の姿にもどる。 <br />  いつのまにか、色あせた草も灰色の木々も凍った空も総て正常にもどっていた。 <br />  そして&hellip;&hellip;草むらに立つ&hellip;&hellip;全裸の潤。 <br /> <br /> 「☆■@%$!?#!?&rdquo;?&rdquo;!!!!」 <br /> <br />  全裸の潤を見て、雪華綺晶の&hellip;&hellip;白乙女の能力が発動する。 <br />  そして&hellip;&hellip;全裸のままゆっくりと倒れる潤。 <br />  白乙女の能力とは、吸収に分類されるエナジードレイン。 <br />  マァ他にも能力があるのだが&hellip;&hellip; <br />  結果的に、エナジードレインにより力を取り戻した雪華綺晶と力を吸い取られて倒れる全裸の潤という光景が其処にあった。 <br />  まるで、全裸の痴漢を撃退した乙女と言う感じである。 <br /> <br /> 「あ&hellip;&hellip;せ、せんせぃ?」 <br /> 「&hellip;&hellip;ロッカーに&hellip;&hellip;着替え&hellip;&hellip;たのみま&hellip;&hellip;」 <br /> <br />  おそるおそる潤に近づいた雪華綺晶に、潤はそう伝えると今度こそ本当に沈んだ。&nbsp;<br /> <br />  尚、雪華綺晶があのような状況に陥ったのは、アウターゴット系列の術を使う魔術師と戦った時に <br />  白乙女の能力の一つで、相手の能力を写し取ると言う術を使った為とその時に身体に刻まれていた術式が暴走した為で <br />  魔術師を倒す事はできたのだが、術式の暴走により相手の能力を破棄する事が出来ず&hellip;&hellip; <br />  最初は辛うじて意識を保っていられたのだがしだいに意識を保てなくなり&hellip;&hellip; <br />  今に至るのだという。 <br />  また、あの赤いポンチョを着た猫は、雪華綺晶の意識へダイレクトに声をかけ保たせようとしていたと <br />  その時の事を覚えていた雪華綺晶は語る。 <br />  ちなみに、あの猫の名前はブータニアスとか言うとかなんとか。 <br /> <br /> <br /> <br /> 【NGシーン】 <br />  不安定に蠢くソレは、ピタリと蠢くのをやめ次第に形を成していく。 <br />  巨大な鬼のような二本の角。荒々しい目。 <br />  黒い巨大なマントを羽織り&hellip;&hellip;腕には鋭い刃が幾つか並んでいる。 <br />  そう&hellip;&hellip;その姿はまるで、ブラックゲッター。 <br /> <br /> 「あー&hellip;&hellip;こりゃかてないな(&acute;・&omega;・`)」 <br /> 「&hellip;&hellip;せめて、ハイゴックかアッガイ&hellip;&hellip;ダークダガーLでも可」</p>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: