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真紅の最も騒がしい1日」(2007/03/08 (木) 20:14:50) の最新版変更点

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<p>紅「な…なんですって……」<br> <br> ある休日の朝、真紅は家の台所の机に置かれた一枚のメモを見て愕然としていたそこには母の字で<br> <br> 『急な用事でお父さん共々1日家を空けます。<br> それと、昼頃にサラちゃんがうちに来るというので1日面倒を見ていてください 母より』<br> <br> と書かれていた<br> 紅「お…お母様……な、なんて事言ってるのだわーーー!!!?」<br> 真紅の悲鳴が休日の平和な住宅街に響き渡った…<br> <br> 紅「こ…こうしちゃいられないのだわ!まずは私の部屋の大事なものをどこかに隠して…それから次は…」<br> 真紅があたふたと狼狽えながら台所を左右に歩いていたその時だった<br> 『ピンポーン』<br> 紅「ヒィッ!!」<br> 突然家の中に鳴り響いた呼び鈴の音に真紅はビクリとして飛び上がりそうになった<br> 紅「お…脅かさないで頂戴…まったく!」<br> 取り乱された真紅はいささか不機嫌になりながらも、呼び鈴が鳴った玄関へと向かう<br> 『ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン…』<br> すると玄関からは連続して何度も呼び鈴がなり始めたではないか<br> 紅「そんなに鳴らさなくてもわかってるわよ!まったく非常識ね…ブツブツ…」<br> </p> <br> <p> 真紅はその音にイラつきながらも玄関の鍵を外し扉を開ける<br> 紅「はい、どちら様で……いぃっ!?」<br> 「やっほー♪真紅。」<br> するとそこには金髪の幼い少女が満面の笑みを浮かべて立っていた<br> 紅「サ…サラ…」<br> サ「真紅出てくるのが遅ーい!レディを待たせるのはダメなんだからね?」<br> この少女は真紅の従姉妹であり、真紅は彼女が生まれた時からの仲であったが、どうも最近はマセ気味のこの少女が苦手な部類となっていた<br> 紅「ち…ちょっと!確か来るのは昼頃って話じゃなかったの!?」<br> サ「別にいーじゃんそんな細かいこと。それより私疲れちゃったから休ませてもらうね?」<br> 紅「ちょっ…!まだ片付けが終わってないのだわ!」<br> だがサラは真紅の声など耳に入ってないかのようにズカズカと家の中へと入っていった<br> 真紅が慌てて後を追うとサラは台所の冷蔵庫を開け中身を物色していた<br> サ「うわぁ、牛乳がいっぱいね…真紅ったらまだ無駄な努力続けてんの?」<br> 紅(グサッ!)<br> サ「いくら牛乳飲んでも大きくならない胸は大きくならないんだからいい加減諦めなさいよ。」<br> 紅(グサグサグサッ!)<br> サラの子供ならではのストレートな言葉は刃物となり真紅の心に突き刺さってゆく…<br> </p> <br> <p> サ「もう…ロクなもんがないなぁ。ま、いっか。真紅のお部屋に行こっと♪」<br> 紅「……orz」<br> サラは言葉の刃物で傷つきうなだれる真紅に気にも止めず、真紅の部屋がある二階へと上がって行った<br> <br> 紅「くっ…あの娘ったら……子供じゃなかったら今頃ブン殴ってるとこなのに……あら?サラは…どこに?」<br> しばらくして意識が戻った真紅が台所を見回すと、そこにはサラの姿がなかった。<br> 直後、真紅の脳裏に嫌な予感が駆け巡る<br> 紅「ま…まさか……くっ!」ダッ<br> 真紅は踵を返し猛スピードで階段を駆け上がり自室の扉を開けた<br> 紅「あ…あぁ……あ…」<br> サ「あら真紅…入らせて貰ってるわよ?」<br> だが時すでに遅し…真紅は眼前に広がる惨状に意識を失いかけた<br> 片付けていた本棚の本は滅茶苦茶に散乱し、集めていたくんくん探偵のDVDは中身がそこらに散らばり、どこから見つけたのか床にはお菓子の食べかすが無数に落ちていた<br> 紅「ん…きゃああああああああああ!!」<br> そして真紅はトドメとも言える光景を見て絶叫した<br> それは、以前誕生日にジュンから貰った手作りの等身大くんくん人形の首が無残に破け中身の綿が飛び出しているたからである<br> </p> <br> <p> サ「あ…あはは…ごめんね、中身は綿かな~?って引っ張ったら破れちゃった…てへ♪」<br> サラはペロリと舌を出して呆然とする真紅におどけて見せた<br> 紅「ああぁ…ジュンから貰ったものだったのに…ジュンの思いが詰まっていたのに……あああぁ…orz」<br> 真紅は首が破れたくんくんを抱きしめるとその場にガクリと膝を落とした<br> サ「もうっ…ぬいぐるみくらいで大袈裟だなぁ。」<br> 紅「ぬいぐるみくらい……ですって?<br> ふふ…ふふふ、もう我慢ならないのだわ!!私が貴女を1から躾直してあげるわ!!」<br> 真紅は今にも目から炎を吹き出しそうな勢いでサラに迫った<br> サ「し~んく、これなーんだ?」ピラッ<br> 紅「ん…きゃあああああああああああ!!」<br> だが、その瞬間にサラは真紅の眼前に一枚の写真を差し出した。<br> そこにはサラの愛猫に驚き泡を吹いて気絶した真紅が写っていた<br> サ「真紅?…こーんなみっともない写真を親戚中にばらまかれるのは嫌よね~?」<br> 紅「っ!?あ…貴女、この私を脅迫するつもり?」<br> サ「ま、私は別に構わないんだけど……真紅が今日1日私の言うこと聞いてくれるんならこのことは秘密にしとくわ。」<br> 紅「あ…貴女って娘は……」<br> サ「あ、あとこれもかな…?」ピラッ<br></p> <br> <p>紅「!!!!」<br> 次にサラが取り出した写真…それは真紅の机の引き出しに大事に閉まっているはずのジュンとのツーショットであった…<br> サ「ふぅん…これ真紅の彼氏?なんかパッとしないわね。」<br> 紅「か…返しなさい!!」<br> サ「ダーメ。これも立派な戦利品なんだから。返して欲しかったら私の言うことを聞くことね♪」<br> 紅(こ…このクソガキ……)<br> サ「あら?なんなのその目は…まだ自分の立場がわかってないのかしら?」<br> 紅「くっ……わ、わかったのだわ…」<br> サ「よろしい♪じゃあ今日の私は真紅のマスターね。下僕は主人の言うことは聞かなきゃ駄目なんだからね?わかった?」<br> 紅「わ…わかったのだわ…」<br> サ「わかりました…でしょ?」<br> 紅「わ…わかりました…マスター……」<br> サ「うん♪契約は成立ね。」<br> 紅(くぅっ…何で私がこんな目に…!!)<br> 真紅は心の中で血の涙を流し屈辱に震えていた…<br> <br> サ「じゃあさ、部屋にいても暇だからどっか連れて行ってよ。」<br> 紅「どこかって…そんな事急に言われても困るのだわ。」<br> サ「もうっ!使えないわねえ。主人を喜ばせるのが下僕の役目でしょ?この街に住んでんなら案内くらいしなさいよね。」<br> <br></p> <br> <p> 紅「ぐぐっ……(駄目よ、耐えるのだわ真紅!貴女なら出来るわ!)」<br> 真紅は拳を血が滲む程に固く握り締め自分で自分を励ました。そして無理やり心を鎮めると引きつった笑顔をサラに向けた<br> 紅「す…すみませ~ん…よ、喜んで案内させていただきま~す♪」ニコッ<br> サ「わかればいいのよ、わかれば。じゃあ早速案内してもらうわね。」<br> 紅「は…はぁ~い……どうぞ付いて来てくださ~い…(ムキイイイイィィーー!!)」<br> ヒクヒクと頬を引きつらせながら普段より高い声を出す今の彼女の姿はいつもの女王様気質の彼女をよく知る者が見たら間違いなく痛々しい光景に違いない…<br> しかし真紅は自らの尊厳を守るためにはそれに耐えるしかないのだ…<br> <br> <br> 家を後にした真紅はサラを連れて市街地への道を歩いていた<br> サ「ほらほらっ、真紅遅いよ~。」<br> 紅「レディがあまり慌てて歩くものではないわ。」<br> サ「むぅ…私にそんな口聞いていいの?」<br> サラは懐から2枚の写真をちらつかせた<br> 紅「くっ……失礼しました…」<br> サ「よろしい。」<br> その時であった…<br> 銀「何してるのぉ?真紅…」<br> 紅「!!」<br></p> <br> <p> 突然の聞き覚えがある声に真紅が慌てて目を向けた先には水銀燈がヤクルトを片手に立っていた<br> 紅「す…水銀燈……」<br> 銀「何よぉ?人を化け物でも見るみたいに……あらぁ?」<br> 水銀燈の目に見慣れない少女が映る<br> 銀「真紅ぅ、そのおチビちゃん誰ぇ?」<br> サ「チ…!?」<br> 紅「あぁ、この娘は私の従姉妹で…」<br> サ「ちょっと真紅!誰よこの失礼なおばさん!?」<br> 銀「お…おばっ!?」<br> 水銀燈の顔が引きつる…<br> 紅「サ…サラ!!」<br> サ「レディを初対面でチビ呼ばわりなんて、一体どんな教育受けてきたのよ!?親の顔が見てみたいわ!」<br> サラは驚愕する水銀燈にズケズケと怒号を吐き続ける<br> 紅「ち…ちょっとサラ!水銀燈は私の友人でれっきとした同い年なのだわ!!」<br> サ「嘘ッ!?この老け顔に白髪…どっからどう見てもコレのほうが年上じゃない。」<br> 銀(グサグサグサ!!)<br> サラの言葉の刃が次々に水銀燈に突き刺さってゆく<br> 紅「サ…サラお願いだからもうその辺で…」<br> 銀「………う…」<br> 紅「へ?」<br> 銀「うわあああああああああぁぁぁん!なによなによなによおおおぉぉぉぉう!?真紅なんて肥だめに落ちてジャンクになっちゃええええぇぇ!!」<br> 紅「ちょっ…!何で私なのよ!?」<br></p> <br> <p> 銀「びえええぇぇぇぇん!めぐううううぅぅぅ!!」ダッ<br> 水銀燈は何故か真紅に暴言を叩きつけると涙を流しながらどこかへ走り去っていった<br> 紅「す…水銀燈ーッ!!」<br> サ「へーんなの…さ、行きましょ、真紅。」<br> 紅(サラ…恐ろしい娘…)<br> <br> 数分後、真紅はサラを連れて市街地へと訪れた<br> 紅「じゃあ適当にブラブラしましょうか。」<br> サ「計画性ないなぁ…そんなんで将来大丈夫?」<br> 紅「貴女に私の将来を心配される言われはないのだわ!!」<br> サラに怒鳴り声を上げたその直後、真紅はまたもよく知った人物に声をかけられた<br> 蒼「あれ?真紅じゃないか。」<br> 翠「偶然ですねぇ。真紅もお買い物ですか?」<br> 紅「そ…蒼星石!!翠星石まで…」<br> 翠「なんなんですぅ?その態度は……あら?」<br> 翠星石のオッドアイにサラが映る<br> 翠「真紅…その娘、どっかで拾ったですかぁ?」<br> 紅「猫か犬みたく言わないで頂戴…この娘は私の従姉妹のサラよ。訳あって今日1日私が預かっているのだわ。」<br> 蒼「へぇ、サラちゃんっていうのか。初めまして、僕は真紅の友達の蒼星石っていうんだ。よろしくね♪」<br> サ「えぇ、よろしく、綺麗なお兄さん♪」<br> 蒼「おにッ…!?」<br> 水銀燈と同様に蒼星石の顔が引きつった<br></p> <br> <p> 蒼「あ…あはは……サラちゃん?僕はこう見えても女の子なんだけどなぁ…」<br> 蒼星石はぎこちない笑顔でサラに優しく説明するが…<br> サ「やだなぁ…いくら私でもその冗談くらいはわかるわよ。だって貴方自分を僕って呼んでるし第一服装も見た目も全然女の子じゃないじゃん。」<br> 蒼(グサッ!)<br> サ「これで本当に女の子ならオナベってやつじゃない。」<br> 蒼(グサグサグサ!!)<br> 蒼星石にも水銀燈と同様にサラの直球の言葉の刃が突き刺さり、蒼星石はその場にがっくりと膝をついたのであった<br> <br> 翠「ちょいとこのチビチビ!!可愛い妹に向かってなんて口叩きやがるですかぁ!?」<br> サラの態度に怒った翠星石が猛然と食ってかかる<br> 紅「す…翠星石、子供の言うことだし…ここは一つ穏便に…」<br> 翠「真紅は黙ってやがれですぅ!いくら子供でも言っていいことと悪いことがあるですよ!?<br> やいやい!てめぇはこの翠星石を怒らせたです…たーっぷりお仕置きしてやるから覚悟しやがれですぅ…ふっふっふ…」<br> 翠星石が怪しい笑いを浮かべながらサラに迫る<br> だが…<br> サ「ひぐっ…ぐす…ご、ごめんなさい…」<br> 突然サラが泣き出したのだ<br> 翠「今更謝ったとこで遅ぇです!さぁ、観念して……あら?」<br> </p> <br> <p> そのとき、翠星石はいつの間にか自分の周りに人だかりが出来ていたことに気付く。<br> しかもそれは口々に翠星石を見つめてヒソヒソと何かを呟いていた<br> 主婦A「やぁねえ…あんな小さな女の子を泣かせて…」<br> 主婦B「まったく…恥ずかしいとは思わないのかしら…ヒソヒソ…」<br> 翠「ちょっ…ちょっと!違うんですぅ!!これはこいつが……」<br> サ「びえええぇぇぇぇん!このお姉ちゃんがいじめるーッ!!」<br> 翠「ほあーーっ!?」<br> 『ヒソヒソ…やっぱり…鬼ね…ヒソヒソ…ヒソヒソ…ドリンクバー…』<br> 翠「あ…あぁ…違…違うですぅ…」<br> 周囲の冷ややかな目を一心に受けた翠星石は今にも泣き出しそうな程に狼狽えている<br> サ「……チャンス♪」<br> その一瞬をついてサラは翠星石の後ろに回り込み…<br> サ「えいっ♪」<br> 『ぎゅっ…』<br> 翠「へ…?ああああああああああああぁぁぁッ!!!!」<br> 翠星石の長い髪を近くに放置されていた自転車に固結びにしたのであった<br> 翠「ちょっ…ほどけないですぅ!!」<br> サ「べ~っだ!」<br> サラは翠星石に向かって舌を出すと人ごみを掻き分け走っていった<br> 紅「あっ!サラ、待ちなさい!」<br> 真紅は後ろから「真紅ううぅぅぅッ!覚えてやがれですーぅ!!」という叫び声を聞きながらサラを追いかけるのであった<br> </p> <br> <p> 市街地から離れることしばらく、真紅はサラの疲れたという言葉を受けて一休みのため公園に訪れていた<br> <br> 紅「はぁ…まったく、明日学校であの子達に会うのが怖いのだわ…」<br> サ「私は降りかかる火の粉を払っただけじゃない。」<br> 紅「もう少し私のことも考えて頂戴よ…はぁ…」<br> <br> 金「あれぇ?真紅かしらー。」<br> 雛「こんなとこで何してるなのー?」<br> <br> 声がした先を見ると金糸雀と雛苺でスコップを手に砂場で城を作っていた<br> 紅「金糸雀に雛苺…今日はよく知り合いに会うわね。」<br> 金「あら?その娘は誰かしらー?」<br> 紅「あぁ、この娘はサラ。私の従姉妹よ。」<br> 雛「へ~、サラちゃんっていうの?こんにちはなの♪<br> 良かったらヒナたちと一緒にお城作らない?」<br> 雛苺が笑顔でサラに声をかけるが…<br> サ「嫌よ、洋服が汚れるじゃない。レディはそんなガキっぽい遊びなんてしないわ。」<br> 金・雛「「ガ…!?」」<br> サ「それに…公園の砂場って猫や犬がトイレにしてるじゃない。そんなとこで遊べる貴女たちの気が知れないわ。」<br> 金・雛「「……」」<br> 2人はサラの言葉に手に持っていたスコップを同時に落とす…<br> 紅「サ…サラ!行くわよ!?」<br> サ「え?…きゃあ!ちょっ、痛いじゃないの!!」<br> <br></p> <br> <p> 真紅はサラの手を掴むと硬直した2人の前から脱兎の如く走り去った<br> <br> <br> 公園から離れた真紅はすでに疲労困憊といった様子でサラに話しかける<br> 紅「もう限界なのだわ…家に帰るわよ?」<br> サ「えーっ!」<br> 紅「えーっ!…じゃないのだわ!!貴女は私から友達を無くさせる気なの!?」<br> 真紅は今にも血の涙を流しそうな勢いでサラに怒鳴り声を浴びせた。<br> そこへまたもや響くお馴染みの声が2つ…<br> 雪「真紅さんじゃないですか。何を大声を出してますの?」<br> 薔「……おいすー。」<br> 紅「雪華綺晶に薔薇水晶…」<br> 雪「こんなところで奇遇ですわね。…あら?その娘は?」<br> 紅「もうこの質問は何度目かしら……この娘は…」<br> 薔「まさか…隠し子……?」<br> 紅「なんでそうなるの!?私を幾つだと思ってるのよ!?」<br> だが、真紅が否定の声を上げた次の瞬間、小悪魔が小さな笑いを浮かべた<br> サ「ねぇママ、この人たち誰?」<br> 紅・雪・薔「「「マ…ママぁ!?」」」<br> 雪「まさか…本当に…?」<br> 紅「ち…違うのだわ!!サラ!貴女何を言って…」<br> 薔「サラちゃん…っていうの?……貴女のパパ…誰?」<br> 紅「薔薇水晶!!」<br> サ「うん、この人~♪」ピラッ<br> そして小悪魔は懐から一枚の写真を取り出した<br></p> <br> <p> そう…それは真紅の机の中から奪ったジュンとのツーショット写真である<br> 薔・雪「「!!!?」」<br> その瞬間、薔薇水晶と雪華綺晶の眼帯に隠れていない右目と左目が大きく見開かれた<br> 雪「そ…そんな……ジュ…ジュン様と…真紅さんが…ラブラブで…ギシアンで…コウノトリが……あああぁ…」ヨロッ<br> 薔「…嘘……嘘…これは夢……悪夢…絶対に幻……助けて…アッガイ……」<br> 2人はサラの言葉を真に受け、焦点の定まらない目でブツブツと何かを呟き始めた<br> 紅「ち…違うのだわ!!これは誤解なの……ハッ!」<br> 雪「ならば……真紅さんも……その娘も…消して…ブツブツ…そうですわ……そうすれば…うふふっ…ブツブツ…」<br> 薔「…私から……よくもジュンを……憎い…憎い…呪う…埋める…すり潰す……ブツブツブツブツ…」<br> <br> 2人の独り言の内容と少しずつ凶気が宿ってゆく瞳を目にした真紅は気付けばサラを抱えて全力疾走していた<br> <br> <br> 紅「もう嫌なのだわーーッ!!」<br> 2人を振り切った真紅は道の上で絶叫した<br> サ「真紅、そんな大声出さないでよ。恥ずかしいなぁ…」<br> 紅「誰のせいだと思ってるのよ!?それに何で私が貴女のママなの!?」<br> サ「ほんのお茶目じゃない…信じるほうがバカなのよ。」<br> </p> <br> <p> 紅「これ以上貴女に構っていると私は友達がいなくなるのだわ!もう限界よ!この疫病神!!」<br> サ「な…なによ…そこまで言うことないじゃない…」<br> 紅「どの口が言うのだわ!?もう知らないからとっとと1人で帰って頂戴!!」<br> サ「い…いいの?あの写真…みんなにバラすわよ?」<br> 紅「好きになさい!じゃあね!!」<br> サ「あ……」<br> それだけ言うと真紅はサラを置いて1人で歩いて行ってしまった。<br> 急に見知らぬ地に一人ぼっちにされはサラの心には不安と寂しさが急速に広がり始めた<br> サ「ま…待ってよ…真紅!」<br> サラは慌てて真紅を追いかけるが真紅の姿は見えない<br> サ「真紅…やだよぅ…置いてかないでぇ…ぐすっ…」<br> サラは目に涙を浮かべながら見知らぬ道を一人走る<br> そして曲がり角を曲がったその時、サラは何かにぶつかって尻餅をついた<br> サ「あいたたた……ふぇ?」<br> サラが目を上げた先には柄の悪い3人の男が立っていた<br> 男A「あぁ?痛ぇなこのガキャあ!!」<br> 男B「てめぇ、気ィ付けやがれ!!」<br> 男達はサラに向かって怒鳴り声を上げる。<br> だが気の強いサラは男達の言葉に腹を立てて反論した<br> サ「貴方達こそどこに目ぇつけてるのよ!?このでくの坊!!」<br> 男C「あぁっ!?」<br></p> <br> <p> サ「しかもこんな女の子に向かって何て口叩くのかしら!?見た目と同じで品性まで最低ね!!」<br> 男A「こんガキャア!!ぶっ殺されてえのかぁ!?」<br> 男の拳がサラに向けられた。<br> サラがビクリと目を閉じたその時、辺りに甲高い声が響き渡る<br> 「おやめなさい!!」<br> 男A「あぁん?」<br> 男C「んだぁ?てめぇは…」<br> 「その娘の下僕よ…1日限りのね…」<br> そこにはサラを置き去りにしたはずの真紅が立っていた<br> サ「し…真紅…」<br> 紅「サラ…大丈夫?」<br> 真紅はサラににこりと優しい微笑みを向けると男達に目をやった<br> 紅「この娘が何かをしたというなら代わって私が謝るのだわ…だからここは私に免じて許してあげて。この通りよ…」<br> サ「!」<br> 真紅は男達に向かって深々と頭を下げた。それは普段のプライドの高い真紅からは決して想像も出来ない行動である<br> サ「真紅ぅ…」<br> <br> 男B「へへっ…そこまで言われたらしょうがねえなぁ…おい!」<br> 男C「あぁ…おらぁ!!」ガッ<br> 真紅「きゃあっ!」<br> 男の一人が真紅を後ろから羽交い締めにする<br> 真紅「な…何をす…むぐっ!」<br> 真紅の口が男の手で塞がれた<br> 男A「決まってんだろ?あんたに誠意見せてもらうんだよ。もちろん…体でな!」<br> 紅「!?」<br> 男達が真紅向かいにやりと不気味な笑みを浮かべた<br></p> <br> <p> 男B「さ、行こっか。この先に誰も来ねぇとこがあっからよ…ひひひ。」<br> 紅「むぐっ…んー!んー!」<br> 男A「暴れんじゃねえよこの!」<br> 真紅は男達に抱えられながら連れて行かれそうになる<br> サ「やめて!謝るから真紅を離してよぉ!!」<br> 男C「うっせぇ、ガキが!!」ガッ<br> サ「きゃあっ!」<br> 紅「!!」<br> 男A「へへっ…さぁ行こうか。」<br> サ「し…真紅…」<br> 男に蹴飛ばされたサラは目に涙を浮かべながら連れて行かれる真紅を見ていることしかできなかった<br> サ(神様…ごめんなさい……私、いい子になるから…だから真紅を助けて…!お願い!)<br> サラは涙の溢れる目で必死に願った。<br> その時である…<br> <br> 「お前ら…真紅に何をしてんだよ?」<br> <br> 男達の眼前にひとつの影が立ちふさがった<br> 男A「あぁ?ンだてめぇは!?」<br> 「その娘の友達だよ。」<br> サ(あ…あの人って…確か…)<br> サラは懐から写真を取り出しその人影を見る<br> サ「間違い…あの人は…」<br> 紅(ジュン!!)<br> そこにいたのは写真の男…桜田ジュンであった<br> ジ「お前ら…真紅を離してもらおうか。」<br> 男A「あぁん?やなこった…俺ら今からこいつと楽しいことするんでねぇ…」<br> 男B「痛い目に会いたくなけりゃとっとと失せな!」<br></p> <br> <p> ジ「ふっ…どうやらクズにはいくら口で言ってもわからないようだな…」<br> ジュンは男達を冷たい瞳で見据えながら小さく笑った<br> 男B「んだとぉ!?そんなら…てめぇが死ねやぁ!!」<br> 男の拳がジュンに迫る。<br> しかしジュンは微塵も慌てる様子もなくそれをかわした<br> 男B「なっ…」<br> ジ「遅い…うわたぁ!!」<br> 男B「ひでぶっ!」<br> ジュンの拳を顔面に受けた男は血しぶきを上げて吹き飛んだ<br> 男C「なっ…てめぇ!!」<br> 次はもう一人の男がジュンに拳を放つ。だがジュンはまたもそれをかわすと二本の指を立てて男の腕を突いた<br> ジ「北斗断骨筋…貴様の腕はもう死んでいる…」<br> 男C「な…何を…うぐっ!!うぎゃぁぁぁああああああああああああああッ!!」<br> 突然男の腕に激痛が走ると、ジュンの言葉通りその腕はベキベキと骨の砕ける音と鮮血を上げた<br> 男A「ひっ…ひいいいいいいい!!」<br> ジ「これでわかっただろう?お前らがいくら束になろうが僕には勝てない…<br> わかったなら真紅を置いてとっとと消えろ……死にたいのなら別だがな…」ギロッ<br> 男達『う…うわああああああああああぁぁぁぁ!!許してくれぇぇえええ!!』<br> </p> <br> <p>男達は真紅を離すと絶叫を上げながら去っていった<br> ジ「ふぅ…大丈夫か?真紅。」<br> 紅「ジュン…どうしてここが?」<br> ジ「さぁ?何かに呼ばれたような気がして来てみたらお前が捕まってたんだよ。まぁ、虫の知らせってやつかな?<br> ……ん?」<br> ふいにジュンは向こうから自分を見ている小さな少女に気付く<br> ジ「真紅、あの娘は知り合いか?」<br> 紅「え…えぇ、あの娘は私の従姉妹で…」<br> その時であった…<br> サ「あぁ~ん!サラ怖かったよぉ~う!!」<br> サラは突然泣きながらジュンに抱きついてきたのだ<br> ジ「うわっと!」<br> 紅「!?」<br> サ「ぐすっ…お兄ちゃぁん…サラね、とっても怖かったのぅ…」<br> ジ「あぁ、よしよし…可哀想に、もう大丈夫だからな?」<br> サ「うん♪ありがとうお兄ちゃん♪」<br> 紅「ちょっ…貴女何をカマトト…」<br> サ『ギロッ!』<br> 紅「!?」<br> ジ「ん、どうしたんだ?」<br> サ「何でもないですわ♪それより、サラ怖くて歩けないの…だから、おんぶしてください…」<br> ジ「ああ、いいよ。ホラ。」<br> サ「わぁい♪ありがとうお兄ちゃん♪」<br> 紅(サラ…本ッ当に恐ろしい娘。)<br></p> <br> <p> その後も真紅の家に送られるまでサラはブリっ娘全開でジュンに甘え続けた…<br> <br> <br> 真紅宅前…<br> ジ「よし、着いたな。じゃあ僕はこれで…」<br> サ「えぇ~!もう行っちゃうんですかぁ?せめて中でお茶でも…」<br> ジ「気持ちは嬉しいけど僕も姉ちゃんが待ってるからね。」<br> ジュンはサラの頭を優しく撫でる<br> ジ「じゃ、また明日学校でな。」<br> 紅「ええ、今日はありがとう。それじゃあね…」<br> サ「ご機嫌よう、お兄様。またお会いできる日を楽しみにしてますわ。」ペコリ<br> 紅(こ…こいつ…)<br> <br> やがてジュンが見えなくなると真紅はサラに話し掛けた<br> 紅「サラ…どういうつもり?」<br> サ「何が?」<br> 紅「とぼけないで頂戴!貴女のジュンに対する態度よ!!」<br> サ「ちょっと!私の未来の旦那様を気安く呼ばないでよね?」<br> 紅「だっ…旦那様ぁっ!?」<br> サ「あぁ…あんなにも強くて優しい殿方…なんであの方の魅力にもっと早く気付かなかったのかしら…(///)」<br> サラは例のツーショット写真を半分に折り曲げてジュンの顔だけをうっとりと見つめていた<br> 紅「ちょっと!何勝手なことを言ってるの!?ジュンは私の下僕なのだわ!!」<br> サ「貴女こそ私の下僕でしょ?下僕の下僕なら当然私のものよ!!」<br> 紅「そんなの今日だけって話でしょうに!?」<br></p> <br> <p> サ「あぁもう!五月蝿いなぁ!絶対にあの人のハートは私が奪ってあげるんだから!!私の動き出した初恋は誰にも止められないのよ!!」<br> 紅「キイイイイィィィィ!!言わせておけばぁぁ!!<br> このマセガキ!やっぱりあの時置き去りにしとけばよかったわ!!」<br> サ「なによ!真紅に助けてくれだなんて頼んだ覚えはないわよ!?」<br> 紅「な…なんですってええぇぇ!?」<br> サ「なによぉ!?」紅「こ…このぉ……!!いい加減になさーーーーっい!!!!」<br> <br> <br> <br> <br> こうして真紅の最も騒がしい1日は終わりを告げたのであった…<br> </p>

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