「俺の嫁」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「俺の嫁」(2007/01/29 (月) 21:24:00) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<p>いつのまにか。<br>
<br>
始まっていた終わり。<br>
婚約の約束までしていた僕ら、気が付けば彼女の病気は進んでいて、会う場所も<br>
病院になっていた。<br>
それに気付くのにお互い時間はかからなくて、それが潤滑油となってさらに二人<br>
の関係をギクシャクさせていて。それでもなんとなくお互い離れるのが恐くて、<br>
会える日は何時もどおり接してみたり。ムリにきっかけを作ったりして。</p>
<br>
<p>それでも<br>
<br>
わだかまりや不安はやっぱり隠しきれない。弱い自分を見つめて、いつまでも癒<br>
着していることを激しい嫌悪を感じることには慣れてきて、自分でも嫌な奴と思<br>
う。もうすぐ離れ離れなのに。<br>
<br>
予感<br>
がしたんだろうか。<br>
不意に彼女が僕の手を離した。<br>
バイバイと呟いて消えていく彼女を黙ってみているべきなのか、必死で追い掛け<br>
るべきなのか。ムリに大人のふりしてきた僕にはわからなくて、哀しげな表情で<br>
失われていく燈はあっさりと消えた。その時の僕はとても現実感がなくて、失っ<br>
たものの重大さを感じるには少し時間がかかった。<br>
<br>
「すぐ行くから」<br>
<br>
そう心に決めて、息耐えた彼女の手を握り締めた。その時の僕の顔は以外に落ち着いていて。<br>
<br>
もっとあとで<br>
<br>
消えた彼女が聞こえた気がした。<br>
<br>
僕は今日も彼女との約束を語る。多くの言葉はいらない。すばらしい文章力も<br>
いらない。<br>
消えてしまったあなたの<br>
生きた証を残すために<br>
<br>
<br>
『――――は俺の嫁』<br></p>
<br>
<p>終わり</p>