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「七人姉妹 その一」(2007/01/15 (月) 19:03:22) の最新版変更点
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<p>「さ、着いたわよぉ」<br>
「ふえ~大きい屋敷ですねぇ」<br>
「ここが新しい我が家なのね」<br>
みんな驚いてるな~<br>
まあ、これだけ大きい屋敷だし、驚くのも無理はないよね。<br>
僕も同じ感想を抱いたし。<br>
「荷物の積み込みでお腹空きましたわ・・・とりあえず腹ごしらえしてきますわ~」<br>
雪華綺晶、君は車の中でさんざん食べてたじゃないか。<br>
そういえばいつの間にか金糸雀の姿が見えないけど・・・まさかね・・・<br>
「鳥肉は大好物ですわ~」<br>
とか言いながら屋敷に入って行っちゃった・・・僕は何も聞かなかったよ。うん。<br>
「うゆ~あそこの窓で誰か手を振ってるの~なんだか顔が潰れたトマトみたいなの~」<br>
雛苺が一つの窓を指差してるけど・・・何も居ないよね・・・?<br>
というかそれは見えたらいけないものだと思うよ、雛苺。<br>
「それじゃ各自荷物を自分の部屋に運んでね」<br>
僕も部屋に入るとするか。<br>
タンスとかはあらかじめ搬入されてるはずだから、後は収納するだけかな。<br>
<br>
あ、自己紹介がまだだったね。<br>
僕は蒼星石。<br>
今度この街に引っ越してきたんだ。<br>
僕たちは7人姉妹でその中の四女。<br></p>
<br>
<p>「蒼星石ーっ!まだ終わらねーですかーっ!」<br>
「翠星石、家の中なんだからもう少し静かにしようよ」<br>
今、部屋の中にどたどたと駆け込んできたのは双子の姉、翠星石。<br>
姉妹の中では三女にあたる。<br>
とても口が悪い。けれど結構お人好しなところがある。<br>
僕と翠星石はいつも一緒。仲がいい双子ということで定評があるんだ。<br>
でも、僕以外には人見知りするのが玉に傷。<br>
「ほら!手伝うからさっさとやっちまうです!」<br>
と、勝手に僕の荷物を整理し始めた。<br>
相変わらず過保護なんだから・・・<br>
<br>
さて、こんなものかな?<br>
翠星石の手伝いもあって荷物整理もあっという間に終わった。<br>
ありがとう、翠星石。<br>
「礼なんていらねーです!可愛い妹のためならお安い御用なのですぅ!」<br>
翠星石はどーんとふんぞり返った。<br>
アレ・・・?でも・・・<br>
「ところで翠星石は自分の荷物整理は終わったの?」<br>
「もちろんです。ちゃんと気の流れを読んで幸運を呼び込む配置を心がけたですぅ」<br>
翠星石、風水にはまってるんだね・・・<br>
「蒼星石の部屋も気の流れがよくなるように配置してやったです」<br>
「へ、へ~・・・具体的にはどうなってるの?」<br>
「北にくんくん人形、東にアッガイ、西に西郷隆盛像、南に邪神像。<br>
それぞれが東西南北の四神に基づいて配置されているです」<br>
・・・どこが?<br>
なんていうか、うさんくさい風水だなあ。<br></p>
<br>
<p>部屋の整理が終わったら次は台所。<br>
ここは僕がやるってあらかじめ決めておいた場所だ。<br>
まだまだやる場所は多いけど、時間的に今日はそれでおしまい。<br>
食器、箸やスプーン、調味料類、包丁、鍋、その他調理器具をそれぞれの場所にしまう。<br>
「あら、蒼星石。お疲れ様」<br>
「お疲れ様なのー」<br>
この子達は真紅と雛苺。姉妹の五女と六女。<br>
真紅は女王様的な性格で、とても仕切りたがり。<br>
そのせいか長女の水銀燈とはよくいがみ合う。<br>
本当は仲良くしたいはずなんだけれど素直じゃないからね・・・<br>
紅茶がとても好きで僕や雛苺によく淹れさせてる。<br>
雛苺は純真な子。<br>
苺類が大好きで、苺大福が特にお気に入り。<br>
この前は紅茶に苺ジャムをたくさん入れすぎて真紅を卒倒させたことがあったり。<br>
「どうしたんだい真紅?」<br>
「私のカップを見なかったかしら?どうやら他のカップに紛れたらしいの」<br>
「ごめんね真紅・・・」<br>
雛苺が申し訳なさそうに真紅を見てる。<br>
そういえば、最後にカップをしまったのは雛苺だったっけ。<br>
それで間違えて真紅のお気に入りのカップまで入れちゃったってところだろうね。<br>
</p>
<br>
<p>「そのカップってこれのことかしらぁ~?」<br>
この声・・・まさか。<br>
「水銀燈!」<br>
振り向いた先には僕たち姉妹の長女、水銀燈が意地悪そうな笑みを浮かべていた。<br>
「ちょっと、水銀燈!そのカップをどうするつもり?」<br>
早速真紅が水銀燈に突っかかっていった。これは血の雨振りそうだね・・・<br>
引越し初日からそれは困るから二人の間に割ってはいることにする。<br>
「ちょっと真紅、落ち着いて」<br>
「そこをどきなさい、蒼星石。私は水銀燈に話があるの」<br>
真紅の目が本気だ。あのカップはよほどお気に入りなんだね。<br>
「ふふっ、喉が渇いたからちょっと拝借しただけよぉ。別に割っちゃったわけじゃないんだしぃ」<br>
まったく悪びれもしない水銀燈に真紅は表情を険しくする。<br>
真紅、ちょっとカルシウム足りてないよ・・・<br>
「そのカップは私のよ。私の断りなしで勝手に使わないで頂戴」<br>
「あ~こわいこわぁい~あんまり怒るとブサイクが余計酷いことになるわよぉ」<br>
水銀燈も挑発するようなこと言わないでよ・・・<br>
とにかく、二人を落ち着かせないと。<br></p>
<br>
<p>「二人とも喧嘩はだめーっ!なのーーーっ!」<br>
雛苺が何か白い物がはいった瓶を真紅の口に押し込んだ。<br>
「!!っ!・・・んぐっんぐっ!」<br>
真紅は瓶の中の白い液体をごくごくと飲まされた。<br>
僕らはそれを唖然と見守っていた。<br>
「水銀燈も飲むのよー!」<br>
続けて雛苺はもう1本の白い瓶を水銀燈の口にも押し込んだ。<br>
「んーっ!!んぐっ!んぐぅぅ!」<br>
なんかさ・・・水銀燈の苦しそうな表情にすごくドキドキするんだけど・・・<br>
「ぷは~・・・いきなり何するのよぉ・・・」<br>
水銀燈は無理矢理飲まされたせいで半分涙目になってる。<br>
「まあ、冷静に考えればこの程度で熱くなるようではいけないわね」<br>
え?真紅?<br>
「私もちょっと大人気なさすぎたわぁ・・・」<br>
水銀燈も・・・?<br>
「ごめんなさい水銀燈。今日は紅茶がなかなか飲めなかったからイライラしてたみたい」<br>
「別にいいわよぉ・・・あなたをからかって遊ぼうかと思ったけど、やる気なくなっちゃったわぁ。私こそごめんなさぁい」<br>
えーっと・・・これはいったい・・・?<br>
「仲直りできてよかったのよ~」<br>
「雛苺、一体二人に何を飲ませたの・・・?」<br>
「牛乳なの~イライラしたらカルシウムを摂るといいっていうから飲ませてみたの~」<br>
僕はカルシウムの凄さに驚愕した。<br></p>
<br>
<p>「カップは洗って返すわぁ」<br>
と水銀燈が流し台で真紅のカップを洗い出した。<br>
「ちゃんと入念に洗うのだわ。特にあなたの口をつけたところは」<br>
「わかってるわよぉ。(ぺきっ)」<br>
・・・ぺき?<br>
「うゆ~水銀燈が固まってるの~」<br>
「どうしたのかしら?水銀燈。今の音は一体?」<br>
固まった水銀燈の背中が小さく見える。<br>
まさか・・・<br>
「・・・ちょっと、水銀燈。カップを見せなさい」<br>
「だ、だだ大丈夫よぉ。別にどうもなってな『見せなさい!』」<br>
水銀燈が真紅の威圧に怯んだスキにカップを奪い取られる。<br>
同時に真紅の体がワナワナと震えだした。<br>
これはやばい・・・僕の本能が逃げろと警鐘を鳴らしてる。<br>
というか既に水銀燈の姿が見えない。<br>
「すぅぅぅいぎんとぅぅぅぅぅぉぉぉおおああああああああああああああっ!」<br>
真紅が奇声を発しながら、逃げる水銀燈を追っていった。<br>
後に残されたのは取っ手が粉々に砕けたカップだった。<br>
どうやったらカップ洗っててこんなに粉々に砕けるんだろ・・・<br>
「水銀燈はバカ力なの~」<br>
<br>
僕と雛苺は結局そのまま台所の片づけを終わらせることにした。<br>
ああなったら真紅はエネルギーが切れるまで止まらないだろうし・・・<br>
</p>