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<p>「新説JUN王伝説~序章~」第11話<br> <br> <br> 雪「あれだけの拳をマトモに受けて立ち上がれるとは…驚きましたわ。」<br> 薔「ジュン…しつこい…」<br> ジ「こちとら貞操が懸かってるからな…それに、僕もただ倒されに来たワケじゃない…」<br> そう言ってジュンは上着に手を掛けた<br> 『ズシャア…』<br> 重りの入った上着が鈍い音を立てて地面に落ちる<br> 『パチン…パチン…』<br> 続いてジュンは両腕のウェイトバンドを外し同様に投げ捨てた<br> ジ「さぁ…ここからが本番だ!!」<br> ジュンが再び構えを取る…<br> 雪「どうやら…本気になられたようですわね…分かりました、今度こそ引導を与えて差し上げますわ…」<br> 『ゆらぁ…』<br> そして雪華綺晶もまた再び華鏡水鳴拳の形を取った<br> ジ「はあああぁっ!!」<br> 次の瞬間今度はジュンが間合いを詰める<br> 雪「くす…また返り討ちにしてあげますわ。」<br> <br> 雪華綺晶がジュンの体全体から繰り出されるであろう攻撃を予測する<br> </p> <br> <p>だが…<br> 雪「!?」<br> ジュンは間合いに入った途端に拳をほどき攻撃を繰り出さなかった<br> 雪「あら…どういうおつもりですか?」<br> ジ「さぁな…」<br> だが2人からは決して闘いを止める気配は感じられない<br> 雪「まさかこの拳がカウンターだけだとでもお思いですか?…だとしたらとんだ勘違いですわ!!」<br> 雪華綺晶が再び連続拳を放つ<br> 雪「はああああああああああああ!!」<br> 鞭のようにしなやかな腕から繰り出された無数の拳がジュンに襲いかかった…<br> ジ(ぐぅ…速い…だが、僕も舐めてもらっちゃ困るぜ!!)ジ「うおおおおおおお!!」<br> 『ガガガガガガ!!』<br> 雪「な!?」<br> ジュンは雪華綺晶の繰り出す拳をことごとく受け流してゆく<br> ジ「覇あぁ!!」<br> そして雪華綺晶の気が僅かにズレたその刹那にジュンは高速の掌底を放った<br> </p> <br> <p>雪「くっ…!!」バッ…<br> だが雪華綺晶はその一撃をバックステップ間一髪かわした<br> 雪「く…一体何故…はっ!?」<br> 次の瞬間雪華綺晶は信じられない光景を目にした<br> 『ゆらぁ…』<br> ジ「ふぅ…付け焼き刃だったが…何とか上手くいったか…」<br> ジュンの構え…それはまさしく雪華綺晶が使ってみせた華鏡水鳴拳であった<br> 雪「ば…馬鹿な…私が長年かけてやっと習得した水鳴拳を…一度その身に受けただけで真似たとでもいうのですか?」<br> ジ「お前の拳を例えるなら川の流れ…それに逆らい飲まれるのなら逆に同じ流れに乗るのはどうかと考えたんだ…<br> そしていかに川の流れといえど何かを飲み込む時には必ず崩れスキができる…僕はそこを狙ったんだ。」<br> 雪「そんな馬鹿な…私は認めませんわ!!」<br> ダッ!!<br> 再び雪華綺晶が間合いを詰める<br></p> <br> <p> 雪「貴方の水鳴拳と私の水鳴拳…どちらが上か証明しましょう!!」<br> ジ「望むところだ…はああああああああああああ!!」<br> <br> 『ズガガガガガガガガガガガガガガガ…』<br> 2人の両手、両足が凄まじい速度で技を放つ…そしてその技を捌き再び次の技を放ってゆく<br> <br> 薔「二人とも…凄い…」<br> 薔薇水晶には2人の繰り広げる凄まじい技の応酬をただ見つめることしかできなかった<br> <br> ジ「うおおおおおおお!!」<br> 雪「はあああああああ!!」<br> 『ガキイィ!!』<br> 2人の腕が交錯する…そしてその拳は互いの鳩尾にヒットしていた<br> ジ「ぐぅ…」<br> 雪「かはっ…」<br> 2人がほぼ同時に芝生に膝をつく<br></p> <br> <p>雪「くうぅ…はぁ、はぁ…」<br> だが基本攻撃力の勝るジュンの一撃のほうが雪華綺晶により一層のダメージを与えていたようだ<br> 雪「くっ…信じられませんわ…ジュン様の水鳴拳は…まだ荒削りでありながら私のものとほぼ互角…」<br> ジ「はぁ…はぁ…へっ、僕だって伊達に武術を教わってたワケじゃないんだよ…」<br> ジュンが鳩尾を押さえながらゆっくりと立ち上がる<br> ジ「さぁ、これ以上やるか?」<br> ジュンが雪華綺晶に問いた<br> 雪「うふ…うふふふふ…あはははははははは!!」<br> ジ「!?」<br> すると雪華綺晶は何故か高らかな笑い声を上げてみせた<br> ジ「な…何がおかしいんだよ!?」<br> 雪「くす…いえ、この程度で私に勝ったつもりでいる貴方がついおかしくて…」<br> ジ「…どういうことだ?」<br> 雪「つまり…私はまだ本気を出していないということですわ!!」<br> </p> <br> <p> そう言うと雪華綺晶はゆっくりと立ち上がり右目の眼帯に手を掛けた<br> そしてその紐を勢いよく引きちぎった<br> 雪「うふふ…本気を出すのは何年ぶりでしょう?」<br> 彼女は露わになった金色の右目を妖しく光らせ呟く<br> ジ「くっ…どうやらハッタリってわけでもなさそうだな。」<br> ジュンが雪華綺晶の攻撃に備えて再び水鳴拳の構えをとる…<br> 雪「くすっ…貴方はまだ華鏡水鳴拳の真の恐ろしさを知らない…今から私がそれをたっぷりと教えて差し上げますわ…」<br> 『ブォン…』<br> 雪華綺晶が構える…だがそれは先程の水鳴拳の構えとは明らかに違っていた<br> 雪「華鏡水鳴拳、裏の形『荒河乱砕』…さぁ、行きますわよ!?」<br> ヴン…<br> ジ「!!」<br> 次の瞬間ジュンの眼前には一瞬で間合いを詰めた雪華綺晶の姿があった<br> </p> <br> <p> ジュンが雪華綺晶の放つ拳を瞬時に読みそれを流そうとするが…<br> 『ドグゥ…』<br> ジ「ぐぁ…!!」<br> その拳はジュンの回避を更にすり抜け脇腹にめり込んでいた<br> 雪「さぁ…お受けなさい!!」ブォン…<br> 再び雪華綺晶が連撃を放つ<br> ジ「くっ…うおおおおおおお!!」<br> ジュンが先程と同様にそれらを受け流そうとした…<br> しかし<br> 『ドグァ…グシャア…ズガガガガガガガガガガガガガガガ!!』<br> ジ「ぐわああああああああああああぁ!!」<br> 雪華綺晶の拳はそれを全てすり抜けジュンに襲いかかる<br> 雪「ふっ…」ヒュン…<br> ジュンの眼前から雪華綺晶が姿を消す<br> 『ドグアァ!!』<br> ジ「ぐううっ!!」<br> 一瞬で高く跳躍した雪華綺晶が空中で体をひねりジュンの左肩に右踵を振り下ろした<br> ジュンが左肩から『メキィ…』という嫌な音を聞いた次の瞬間、もう片方の右肩に重みが加わった<br> </p> <br> <p>雪「…おやすみなさいませ、ジュン様…」<br> 『グワァ!!』<br> ジュンの体が捻られながら宙を舞った<br> 雪「はああああああ!!」<br> 雪華綺晶はジュンの首を両脚で挟んだまま体を回転させ<br> そしてその勢いを利用しジュンを頭から大地に叩きつけたのであった<br> 『グワシャァ!!』<br> 防御も取れぬまま地面に叩きつけられたジュンには最早立ち上がれる力は残っていない…<br> ジュンの瞳は光を失い全身は小刻みに痙攣を繰り返していた<br> 雪「あら、ちょっとやりすぎてしまいましたわ…」<br> 薔「お…お姉ちゃん…大丈夫なの?」<br> 雪「えぇ、私は大丈夫ですわ♪」<br> 薔「そうじゃなくてジュンが!!」<br> 珍しく薔薇水晶が大声を上げる<br> <br> ジ(体が…動かない…僕は…負けたのか?)<br> ジュンは失いかけの意識で必死に思考を巡らせていた…<br> ジ(なんで?…何で雪華綺晶の拳が防げなかったんだ…?)<br> </p> <br> <p> 今にも消えそうな意識の中…全身の感覚もないにも関わらず何故かジュンの思考はスッキリと冴えていた<br> ジ(あの時…確かに僕はあの拳の軌道を読んだ筈なのに…思い出せ…思い出すんだ…)<br> ジュンの頭に雪華綺晶の放った拳が徐々に再生されてゆく<br> ジ(何か…何かがある筈だ…それを…それを!!)<br> ジュンの思い浮かべるビジョンは更に鮮明になってゆく…<br> <br> <br> ジ(…そうか!!)<br> <br> そしてジュンの頭は一つの答えを紡ぎ出した<br> ジ(あの時…僕が雪華綺晶の拳に合わせた時…拳が直前で妙な方向に曲がっていた<br> …そうだ、あれは超高速で繰り出されるフェイントの嵐だったんだ…)<br> <br> ジュンは雪華綺晶の拳の正体を見事見破ってみせた…<br> だが今のジュンに立ち上がれるだけの力は残ってはいない…</p> <br> <p> ジ(はは…ざまあないな…いくらそのカラクリがわかったところで…僕にはもう…闘う力が…)<br> ジュンの意識が徐々に闇に堕ちていったその時であった…<br> <br> 『お立ち上がりください我が主!!』<br> <br> ジュンの耳に怒声が飛び込んできた<br> ジ(!?)<br> ジュンは残った力を振り絞り顔を上げた、そこには庭の向こうからこちらを見つめる黒王号の姿があった<br> ジ(黒…王?)<br> 黒『その顔はなんですか…その目はなんですか!?貴方のそんな諦め切った瞳を私は見たくはありませぬ!!』<br> ジ(…)<br> ジュンに黒王の一語一語が突き刺さる<br> 黒『私は貴方の中の揺るぎない誇りと強さに感銘を受け貴方に仕えた…<br> さぁ!お立ちください!!<br> ここで諦めて…この先一体貴方は何を守れますか!?誰を救えますか!?』<br> <br> ジ「!!」<br></p> <br> <p>ジュンの脳裏にこれまでのことが浮かんできた…<br> 不良にはね飛ばされる雛苺…<br> 強盗に殴られ倒れた蒼星石…<br> 自慢の長い髪を掴まれ涙を流す翠星石…<br> 自分が間に合わず通り魔に襲われたみっちゃん…<br> その姿を見て泣き崩れる金糸雀…<br> その一つ一つがジュンの体を突き動かす力となってゆく…<br> ジ(動け…動けよ!!今立ち上がらなきゃ…僕は前に進めない…強くなんかなれない!!動け…動けええええええぇッ!!)<br> ジュンは渾身の力を振り絞る…今の彼の瞳は再び獅子のような輝きを取り戻していた<br> ジ「ぐぅ…うおぉおおおぉおおおおおおおぉおおぉ!!」<br> そしてその体が徐々に起き上がってゆく<br> 雪「なっ…何ですって!?」<br> 雪華綺晶が目の前の信じられない光景に両目を見開く<br> 黒『それでこそこの黒王の主…それでこそ拳王となる者です!!』<br> ジ「うおおおおおおおおおおおおッ!!」<br> <br> そして雄々しき叫びを響かせてジュンは立ち上がった!!<br> </p> <br> <p> ジ「ぐぅ…雪華綺晶…僕は…まだ闘える…さあ、いつでも来い!!」<br> ジュンは震える足をこらえながら構えをとった<br> 雪「ジュン様…わかりましたわ、私の最大の力をもって貴方を討ちます…」<br> 雪華綺晶もまた荒河乱砕の構えをとる…<br> 薔「ジュン!もうやめて…死んじゃうよ!!」<br> 薔薇水晶が叫ぶ<br> ジ「すまない…だけど僕は…ここで諦めるわけにはいかないんだ…」<br> 薔「…ジュン…わかった…」<br> 薔薇水晶はジュンの気持ちを汲み言葉を飲み込んだ<br> 雪「では…参ります!!」ヴン…<br> 再び雪華綺晶が一瞬でジュンの間合いに入る<br> ジ(僕は…僕ができる精一杯をするんだ!!)<br> 刹那、ジュンにあの連撃が振るわれた<br> 雪「はああぁあぁッ!!」<br> ジ「錬鋼拳奥義…『鋼皇』!!」<br> ジュンが残った全ての闘気を体に纏う<br> 『ドガガガガガガガァ!!』<br> その直後、雪華綺晶の拳がジュンにヒットする<br> しかしジュンはしっかりと大地を踏みしめその連撃に耐えていた<br> </p> <br> <p> 『鋼皇』…それは闘気で体を強化する錬鋼拳の奥義である<br> 闘気を全身に纏うことで防御力を最大限に引き上げる技だ<br> <br> 雪「ふっ…いくら体を強化しようが…この荒れ狂う流れは全てを砕きますわッ!!」<br> 雪華綺晶の拳が更にスピードを上げる<br> 雪「はああぁあぁッ!!」<br> 『ガガガガガガガガガガガガ!!』<br> ジ「ぐ…うっ…」<br> そしてその荒れ狂う高速の拳はガードを固めたジュンの体力を少しずつだがじわりじわりと削ってゆく…<br> ジ(くっ…このままじゃジリ貧だ……なら…イチかバチかだ!!)<br> 『バッ!』<br> ジュンがガードを解く<br> ジ「うおおおおおお!!」<br> ジュンはそこから高速の三段蹴りを放った<br> 雪「くす…ヤケを起こしましたか?こんなもの!!」<br> だが雪華綺晶はそれを楽々とかわした<br> 至近距離で放たれた三段蹴りは威力が乗り切っていなかったのだ<br> ジ「くっ…しまっ!!」<br> 直後ジュンが体制を崩した。消耗した体力で放った強力な蹴りをかわされたのならばそれは当然の結果といえる<br> </p> <br> <p> 体制を崩したジュンはガードを組めない、雪華綺晶の眼にはガラ空きとなったジュンの頭部が映っていた<br> 雪「さぁ…今度こそ最後ですわ!!」<br> 『ヴォン!!』<br> 雪華綺晶の渾身の力を込めた拳がジュンの頭部に降り下ろされた…<br> <br> だが…<br> <br> 『ガキィ!!』<br> 雪「なっ!?」<br> ジュンの左腕がそれを遮る<br> 雪(まさか…わざと…!?)<br> そう、ジュンがイチかバチかで行った賭け…それはわざと不利な体制を取り雪華綺晶の攻撃を頭部へと向けさせるというものであったのだ<br> そしてそれは見事に成功した…<br> 刹那、ジュンがガラ空きの雪華綺晶の懐に飛び込む<br> 雪「しまっ…」<br> ジ「やっと捕まえたぜ…雪華綺晶。」<br> ジュンは右手に残った全ての闘気を集中させた<br> ジ「覇あぁあああぁあぁあああぁあああぁああッ!!」<br> 『グボォアァ!!』<br> 雪「ぐぁ…!!」<br> 雪華綺晶にジュンの全力を込めた掌底がめり込む<br></p> <br> <p>雪華綺晶の体は後ろ向きに吹き飛び地面に転がった<br> 雪「ぐうぅ……かふっ…かはぁ!!」<br> 呼吸を乱しながら雪華綺晶は必死に立ち上がろうとするが<br> ジ「これで…最後だ…」<br> その前にジュンが雪華綺晶の顔面に拳を振り下ろす<br> 雪「!!」<br> 防御もできない雪華綺晶はぎゅっと目を閉じ歯を食いしばった…<br> 『ぺちん…』<br> 雪「…へ?」<br> しかし雪華綺晶が感じたのは予想外の小さな衝撃であった<br> 驚いて目を開けた彼女が見たものは自分の鼻に人差し指を乗せたジュンの姿であった<br> 雪「ジュン…様…どうして?」<br> ジ「ふぅ、勝負アリ…かな?<br> それに僕が女の子の顔を狙うわけなんかないだろ?」<br> 確かにジュンはこれまでただの一度も雪華綺晶の顔面を狙った攻撃を放ってはいない…<br> ジ「それに…今のでもう僕に拳を放つ力は残ってないよ…」<br> そう言うとジュンもまた芝生に両膝をついた<br> 雪「ふふ…貴方らしいですね…どうやら私の完敗のようですわ。」<br> <br> そして雪華綺晶もまたいつもの優雅な微笑みを上げて芝生に寝転がった<br> </p> <br> <p>ジ「そっか…ふふ…ははははは…」<br> 雪「うふふ…あははははははは…」<br> 激闘を終えた2人はそうやってしばらく笑い続けていた…<br> <br> <br> そして夕方…<br> ジ「じゃあな、2人共、今日はありがとう。」<br> 雪「いえ、私のほうこそ楽しかったですわ♪」<br> 薔「でもちょっと残念…せっかくジュンを私達のものにできそうだったのに…」<br> 薔薇水晶が残念そうに呟く<br> 雪「ばらしーちゃん、いけませんわよ?勝負は勝負です。」<br> 薔「…うん、わかってるよ…」<br> ジ「は…ははははは…(よかった、本当によかった…)」<br> もしあの時あの賭けが成功していなければ今夜は家に帰れはしなかっただろう…そう思うとジュンは背筋が寒くなった<br> 黒『我が主…ではそろそろ…』<br> ジ「あぁ、じゃあまた明日学校でな…」<br> 雪「あ、お待ちになってくださいまし、ジュン様。」<br> 去ろうとしたジュンを雪華綺晶が引き止める<br> ジ「どうかしたのか?」<br> 雪「ジュン様に渡すものがありますわ。」<br></p> <br> <p>ジ「渡すもの?」<br> 雪「はい、これですわ…」スッ<br> そう言うと雪華綺晶は一本の古びた巻物を取り出しジュンに渡した<br> ジ「…これは?」<br> 雪「はい、中国は漢の時代に生まれ…以来最強の暗殺拳といわれた伝説の拳法『北斗神拳』の秘伝書の写本です。」<br> ジ「北斗…神拳?」<br> 雪「はい、以前私の祖父が中国を訪れた際、偶然手に入れたものです…私もそれを習得しようと試みましたが駄目でした…<br> ですがジュン様でしたらきっと北斗神拳を習得できることでしょう。」<br> ジ「雪華綺晶…わかった、ありがとうな!大事にするよ。」<br> 雪「はい♪」<br> ジ「じゃあ…僕はこれで、黒王!」<br> 黒『はっ!!』<br> パカラ…パカラ…<br> <br> 雪「ジュン様…御武運を…うふふっ♪」<br> 薔「お姉ちゃん…嬉しそうだね?」<br> 雪「ええ、私はお強い殿方が好きですの…きっとジュン様はまだまだ強くなられる…そう思うと私のものになる時が楽しみで楽しみで♪」<br> 薔「むぅ…いくらお姉ちゃんでも負けないからね?」<br> 雪「あら、私こそ♪」<br> <br> 姉妹は小さくなっていくジュンの背中を見ながらまた違う闘気をみなぎらせていた…<br> </p>
<p>「新説JUN王伝説~序章~」第11話<br> <br> <br> 雪「あれだけの拳をマトモに受けて立ち上がれるとは…驚きましたわ。」<br> 薔「ジュン…しつこい…」<br> ジ「こちとら貞操が懸かってるからな…それに、僕もただ倒されに来たワケじゃない…」<br> そう言ってジュンは上着に手を掛けた<br> 『ズシャア…』<br> 重りの入った上着が鈍い音を立てて地面に落ちる<br> 『パチン…パチン…』<br> 続いてジュンは両腕のウェイトバンドを外し同様に投げ捨てた<br> ジ「さぁ…ここからが本番だ!!」<br> ジュンが再び構えを取る…<br> 雪「どうやら…本気になられたようですわね…分かりました、今度こそ引導を与えて差し上げますわ…」<br> 『ゆらぁ…』<br> そして雪華綺晶もまた再び華鏡水鳴拳の形を取った<br> ジ「はあああぁっ!!」<br> 次の瞬間今度はジュンが間合いを詰める<br> 雪「くす…また返り討ちにしてあげますわ。」<br> <br> 雪華綺晶がジュンの体全体から繰り出されるであろう攻撃を予測する<br> </p> <br> <p>だが…<br> 雪「!?」<br> ジュンは間合いに入った途端に拳をほどき攻撃を繰り出さなかった<br> 雪「あら…どういうおつもりですか?」<br> ジ「さぁな…」<br> だが2人からは決して闘いを止める気配は感じられない<br> 雪「まさかこの拳がカウンターだけだとでもお思いですか?…だとしたらとんだ勘違いですわ!!」<br> 雪華綺晶が再び連続拳を放つ<br> 雪「はああああああああああああ!!」<br> 鞭のようにしなやかな腕から繰り出された無数の拳がジュンに襲いかかった…<br> ジ(ぐぅ…速い…だが、僕も舐めてもらっちゃ困るぜ!!)ジ「うおおおおおおお!!」<br> 『ガガガガガガ!!』<br> 雪「な!?」<br> ジュンは雪華綺晶の繰り出す拳をことごとく受け流してゆく<br> ジ「覇あぁ!!」<br> そして雪華綺晶の気が僅かにズレたその刹那にジュンは高速の掌底を放った<br> </p> <br> <p>雪「くっ…!!」バッ…<br> だが雪華綺晶はその一撃をバックステップ間一髪かわした<br> 雪「く…一体何故…はっ!?」<br> 次の瞬間雪華綺晶は信じられない光景を目にした<br> 『ゆらぁ…』<br> ジ「ふぅ…付け焼き刃だったが…何とか上手くいったか…」<br> ジュンの構え…それはまさしく雪華綺晶が使ってみせた華鏡水鳴拳であった<br> 雪「ば…馬鹿な…私が長年かけてやっと習得した水鳴拳を…一度その身に受けただけで真似たとでもいうのですか?」<br> ジ「お前の拳を例えるなら川の流れ…それに逆らい飲まれるのなら逆に同じ流れに乗るのはどうかと考えたんだ…<br> そしていかに川の流れといえど何かを飲み込む時には必ず崩れスキができる…僕はそこを狙ったんだ。」<br> 雪「そんな馬鹿な…私は認めませんわ!!」<br> ダッ!!<br> 再び雪華綺晶が間合いを詰める<br></p> <br> <p> 雪「貴方の水鳴拳と私の水鳴拳…どちらが上か証明しましょう!!」<br> ジ「望むところだ…はああああああああああああ!!」<br> <br> 『ズガガガガガガガガガガガガガガガ…』<br> 2人の両手、両足が凄まじい速度で技を放つ…そしてその技を捌き再び次の技を放ってゆく<br> <br> 薔「二人とも…凄い…」<br> 薔薇水晶には2人の繰り広げる凄まじい技の応酬をただ見つめることしかできなかった<br> <br> ジ「うおおおおおおお!!」<br> 雪「はあああああああ!!」<br> 『ガキイィ!!』<br> 2人の腕が交錯する…そしてその拳は互いの鳩尾にヒットしていた<br> ジ「ぐぅ…」<br> 雪「かはっ…」<br> 2人がほぼ同時に芝生に膝をつく<br></p> <br> <p>雪「くうぅ…はぁ、はぁ…」<br> だが基本攻撃力の勝るジュンの一撃のほうが雪華綺晶により一層のダメージを与えていたようだ<br> 雪「くっ…信じられませんわ…ジュン様の水鳴拳は…まだ荒削りでありながら私のものとほぼ互角…」<br> ジ「はぁ…はぁ…へっ、僕だって伊達に武術を教わってたワケじゃないんだよ…」<br> ジュンが鳩尾を押さえながらゆっくりと立ち上がる<br> ジ「さぁ、これ以上やるか?」<br> ジュンが雪華綺晶に問いた<br> 雪「うふ…うふふふふ…あはははははははは!!」<br> ジ「!?」<br> すると雪華綺晶は何故か高らかな笑い声を上げてみせた<br> ジ「な…何がおかしいんだよ!?」<br> 雪「くす…いえ、この程度で私に勝ったつもりでいる貴方がついおかしくて…」<br> ジ「…どういうことだ?」<br> 雪「つまり…私はまだ本気を出していないということですわ!!」<br> </p> <br> <p> そう言うと雪華綺晶はゆっくりと立ち上がり右目の眼帯に手を掛けた<br> そしてその紐を勢いよく引きちぎった<br> 雪「うふふ…本気を出すのは何年ぶりでしょう?」<br> 彼女は露わになった金色の右目を妖しく光らせ呟く<br> ジ「くっ…どうやらハッタリってわけでもなさそうだな。」<br> ジュンが雪華綺晶の攻撃に備えて再び水鳴拳の構えをとる…<br> 雪「くすっ…貴方はまだ華鏡水鳴拳の真の恐ろしさを知らない…今から私がそれをたっぷりと教えて差し上げますわ…」<br> 『ブォン…』<br> 雪華綺晶が構える…だがそれは先程の水鳴拳の構えとは明らかに違っていた<br> 雪「華鏡水鳴拳、裏の形『荒河乱砕』…さぁ、行きますわよ!?」<br> ヴン…<br> ジ「!!」<br> 次の瞬間ジュンの眼前には一瞬で間合いを詰めた雪華綺晶の姿があった<br> </p> <br> <p> ジュンが雪華綺晶の放つ拳を瞬時に読みそれを流そうとするが…<br> 『ドグゥ…』<br> ジ「ぐぁ…!!」<br> その拳はジュンの回避を更にすり抜け脇腹にめり込んでいた<br> 雪「さぁ…お受けなさい!!」ブォン…<br> 再び雪華綺晶が連撃を放つ<br> ジ「くっ…うおおおおおおお!!」<br> ジュンが先程と同様にそれらを受け流そうとした…<br> しかし<br> 『ドグァ…グシャア…ズガガガガガガガガガガガガガガガ!!』<br> ジ「ぐわああああああああああああぁ!!」<br> 雪華綺晶の拳はそれを全てすり抜けジュンに襲いかかる<br> 雪「ふっ…」ヒュン…<br> ジュンの眼前から雪華綺晶が姿を消す<br> 『ドグアァ!!』<br> ジ「ぐううっ!!」<br> 一瞬で高く跳躍した雪華綺晶が空中で体をひねりジュンの左肩に右踵を振り下ろした<br> ジュンが左肩から『メキィ…』という嫌な音を聞いた次の瞬間、もう片方の右肩に重みが加わった<br> </p> <br> <p>雪「…おやすみなさいませ、ジュン様…」<br> 『グワァ!!』<br> ジュンの体が捻られながら宙を舞った<br> 雪「はああああああ!!」<br> 雪華綺晶はジュンの首を両脚で挟んだまま体を回転させ<br> そしてその勢いを利用しジュンを頭から大地に叩きつけたのであった<br> 『グワシャァ!!』<br> 防御も取れぬまま地面に叩きつけられたジュンには最早立ち上がれる力は残っていない…<br> ジュンの瞳は光を失い全身は小刻みに痙攣を繰り返していた<br> 雪「あら、ちょっとやりすぎてしまいましたわ…」<br> 薔「お…お姉ちゃん…大丈夫なの?」<br> 雪「えぇ、私は大丈夫ですわ♪」<br> 薔「そうじゃなくてジュンが!!」<br> 珍しく薔薇水晶が大声を上げる<br> <br> ジ(体が…動かない…僕は…負けたのか?)<br> ジュンは失いかけの意識で必死に思考を巡らせていた…<br> ジ(なんで?…何で雪華綺晶の拳が防げなかったんだ…?)<br> </p> <br> <p> 今にも消えそうな意識の中…全身の感覚もないにも関わらず何故かジュンの思考はスッキリと冴えていた<br> ジ(あの時…確かに僕はあの拳の軌道を読んだ筈なのに…思い出せ…思い出すんだ…)<br> ジュンの頭に雪華綺晶の放った拳が徐々に再生されてゆく<br> ジ(何か…何かがある筈だ…それを…それを!!)<br> ジュンの思い浮かべるビジョンは更に鮮明になってゆく…<br> <br> <br> ジ(…そうか!!)<br> <br> そしてジュンの頭は一つの答えを紡ぎ出した<br> ジ(あの時…僕が雪華綺晶の拳に合わせた時…拳が直前で妙な方向に曲がっていた<br> …そうだ、あれは超高速で繰り出されるフェイントの嵐だったんだ…)<br> <br> ジュンは雪華綺晶の拳の正体を見事見破ってみせた…<br> だが今のジュンに立ち上がれるだけの力は残ってはいない…</p> <br> <p> ジ(はは…ざまあないな…いくらそのカラクリがわかったところで…僕にはもう…闘う力が…)<br> ジュンの意識が徐々に闇に堕ちていったその時であった…<br> <br> 『お立ち上がりください我が主!!』<br> <br> ジュンの耳に怒声が飛び込んできた<br> ジ(!?)<br> ジュンは残った力を振り絞り顔を上げた、そこには庭の向こうからこちらを見つめる黒王号の姿があった<br> ジ(黒…王?)<br> 黒『その顔はなんですか…その目はなんですか!?貴方のそんな諦め切った瞳を私は見たくはありませぬ!!』<br> ジ(…)<br> ジュンに黒王の一語一語が突き刺さる<br> 黒『私は貴方の中の揺るぎない誇りと強さに感銘を受け貴方に仕えた…<br> さぁ!お立ちください!!<br> ここで諦めて…この先一体貴方は何を守れますか!?誰を救えますか!?』<br> <br> ジ「!!」<br></p> <br> <p>ジュンの脳裏にこれまでのことが浮かんできた…<br> 不良にはね飛ばされる雛苺…<br> 強盗に殴られ倒れた蒼星石…<br> 自慢の長い髪を掴まれ涙を流す翠星石…<br> 自分が間に合わず通り魔に襲われたみっちゃん…<br> その姿を見て泣き崩れる金糸雀…<br> その一つ一つがジュンの体を突き動かす力となってゆく…<br> ジ(動け…動けよ!!今立ち上がらなきゃ…僕は前に進めない…強くなんかなれない!!動け…動けええええええぇッ!!)<br> ジュンは渾身の力を振り絞る…今の彼の瞳は再び獅子のような輝きを取り戻していた<br> ジ「ぐぅ…うおぉおおおぉおおおおおおおぉおおぉ!!」<br> そしてその体が徐々に起き上がってゆく<br> 雪「なっ…何ですって!?」<br> 雪華綺晶が目の前の信じられない光景に両目を見開く<br> 黒『それでこそこの黒王の主…それでこそ拳王となる者です!!』<br> ジ「うおおおおおおおおおおおおッ!!」<br> <br> そして雄々しき叫びを響かせてジュンは立ち上がった!!<br> </p> <br> <p> ジ「ぐぅ…雪華綺晶…僕は…まだ闘える…さあ、いつでも来い!!」<br> ジュンは震える足をこらえながら構えをとった<br> 雪「ジュン様…わかりましたわ、私の最大の力をもって貴方を討ちます…」<br> 雪華綺晶もまた荒河乱砕の構えをとる…<br> 薔「ジュン!もうやめて…死んじゃうよ!!」<br> 薔薇水晶が叫ぶ<br> ジ「すまない…だけど僕は…ここで諦めるわけにはいかないんだ…」<br> 薔「…ジュン…わかった…」<br> 薔薇水晶はジュンの気持ちを汲み言葉を飲み込んだ<br> 雪「では…参ります!!」ヴン…<br> 再び雪華綺晶が一瞬でジュンの間合いに入る<br> ジ(僕は…僕ができる精一杯をするんだ!!)<br> 刹那、ジュンにあの連撃が振るわれた<br> 雪「はああぁあぁッ!!」<br> ジ「錬鋼拳奥義…『鋼皇』!!」<br> ジュンが残った全ての闘気を体に纏う<br> 『ドガガガガガガガァ!!』<br> その直後、雪華綺晶の拳がジュンにヒットする<br> しかしジュンはしっかりと大地を踏みしめその連撃に耐えていた<br> </p> <br> <p> 『鋼皇』…それは闘気で体を強化する錬鋼拳の奥義である<br> 闘気を全身に纏うことで防御力を最大限に引き上げる技だ<br> <br> 雪「ふっ…いくら体を強化しようが…この荒れ狂う流れは全てを砕きますわッ!!」<br> 雪華綺晶の拳が更にスピードを上げる<br> 雪「はああぁあぁッ!!」<br> 『ガガガガガガガガガガガガ!!』<br> ジ「ぐ…うっ…」<br> そしてその荒れ狂う高速の拳はガードを固めたジュンの体力を少しずつだがじわりじわりと削ってゆく…<br> ジ(くっ…このままじゃジリ貧だ……なら…イチかバチかだ!!)<br> 『バッ!』<br> ジュンがガードを解く<br> ジ「うおおおおおお!!」<br> ジュンはそこから高速の三段蹴りを放った<br> 雪「くす…ヤケを起こしましたか?こんなもの!!」<br> だが雪華綺晶はそれを楽々とかわした<br> 至近距離で放たれた三段蹴りは威力が乗り切っていなかったのだ<br> ジ「くっ…しまっ!!」<br> 直後ジュンが体制を崩した。消耗した体力で放った強力な蹴りをかわされたのならばそれは当然の結果といえる<br> </p> <br> <p> 体制を崩したジュンはガードを組めない、雪華綺晶の眼にはガラ空きとなったジュンの頭部が映っていた<br> 雪「さぁ…今度こそ最後ですわ!!」<br> 『ヴォン!!』<br> 雪華綺晶の渾身の力を込めた拳がジュンの頭部に降り下ろされた…<br> <br> だが…<br> <br> 『ガキィ!!』<br> 雪「なっ!?」<br> ジュンの左腕がそれを遮る<br> 雪(まさか…わざと…!?)<br> そう、ジュンがイチかバチかで行った賭け…それはわざと不利な体制を取り雪華綺晶の攻撃を頭部へと向けさせるというものであったのだ<br> そしてそれは見事に成功した…<br> 刹那、ジュンがガラ空きの雪華綺晶の懐に飛び込む<br> 雪「しまっ…」<br> ジ「やっと捕まえたぜ…雪華綺晶。」<br> ジュンは右手に残った全ての闘気を集中させた<br> ジ「覇あぁあああぁあぁあああぁあああぁああッ!!」<br> 『グボォアァ!!』<br> 雪「ぐぁ…!!」<br> 雪華綺晶にジュンの全力を込めた掌底がめり込む<br></p> <br> <p>雪華綺晶の体は後ろ向きに吹き飛び地面に転がった<br> 雪「ぐうぅ……かふっ…かはぁ!!」<br> 呼吸を乱しながら雪華綺晶は必死に立ち上がろうとするが<br> ジ「これで…最後だ…」<br> その前にジュンが雪華綺晶の顔面に拳を振り下ろす<br> 雪「!!」<br> 防御もできない雪華綺晶はぎゅっと目を閉じ歯を食いしばった…<br> 『ぺちん…』<br> 雪「…へ?」<br> しかし雪華綺晶が感じたのは予想外の小さな衝撃であった<br> 驚いて目を開けた彼女が見たものは自分の鼻に人差し指を乗せたジュンの姿であった<br> 雪「ジュン…様…どうして?」<br> ジ「ふぅ、勝負アリ…かな?<br> それに僕が女の子の顔を狙うわけなんかないだろ?」<br> 確かにジュンはこれまでただの一度も雪華綺晶の顔面を狙った攻撃を放ってはいない…<br> ジ「それに…今のでもう僕に拳を放つ力は残ってないよ…」<br> そう言うとジュンもまた芝生に両膝をついた<br> 雪「ふふ…貴方らしいですね…どうやら私の完敗のようですわ。」<br> <br> そして雪華綺晶もまたいつもの優雅な微笑みを上げて芝生に寝転がった<br> </p> <br> <p>ジ「そっか…ふふ…ははははは…」<br> 雪「うふふ…あははははははは…」<br> 激闘を終えた2人はそうやってしばらく笑い続けていた…<br> <br> <br> そして夕方…<br> ジ「じゃあな、2人共、今日はありがとう。」<br> 雪「いえ、私のほうこそ楽しかったですわ♪」<br> 薔「でもちょっと残念…せっかくジュンを私達のものにできそうだったのに…」<br> 薔薇水晶が残念そうに呟く<br> 雪「ばらしーちゃん、いけませんわよ?勝負は勝負です。」<br> 薔「…うん、わかってるよ…」<br> ジ「は…ははははは…(よかった、本当によかった…)」<br> もしあの時あの賭けが成功していなければ今夜は家に帰れはしなかっただろう…そう思うとジュンは背筋が寒くなった<br> 黒『我が主…ではそろそろ…』<br> ジ「あぁ、じゃあまた明日学校でな…」<br> 雪「あ、お待ちになってくださいまし、ジュン様。」<br> 去ろうとしたジュンを雪華綺晶が引き止める<br> ジ「どうかしたのか?」<br> 雪「ジュン様に渡すものがありますわ。」<br></p> <br> <p>ジ「渡すもの?」<br> 雪「はい、これですわ…」スッ<br> そう言うと雪華綺晶は一本の古びた巻物を取り出しジュンに渡した<br> ジ「…これは?」<br> 雪「はい、中国は漢の時代に生まれ…以来最強の暗殺拳といわれた伝説の拳法『北斗神拳』の秘伝書の写本です。」<br> ジ「北斗…神拳?」<br> 雪「はい、以前私の祖父が中国を訪れた際、偶然手に入れたものです…私もそれを習得しようと試みましたが駄目でした…<br> ですがジュン様でしたらきっと北斗神拳を習得できることでしょう。」<br> ジ「雪華綺晶…わかった、ありがとうな!大事にするよ。」<br> 雪「はい♪」<br> ジ「じゃあ…僕はこれで、黒王!」<br> 黒『はっ!!』<br> パカラ…パカラ…<br> <br> 雪「ジュン様…御武運を…うふふっ♪」<br> 薔「お姉ちゃん…嬉しそうだね?」<br> 雪「ええ、私はお強い殿方が好きですの…きっとジュン様はまだまだ強くなられる…そう思うと私のものになる時が楽しみで楽しみで♪」<br> 薔「むぅ…いくらお姉ちゃんでも負けないからね?」<br> 雪「あら、私こそ♪」<br> <br> 姉妹は小さくなっていくジュンの背中を見ながらまた違う闘気をみなぎらせていた…<br> </p> <br> <br> <hr> <br> <br> <p>「新説JUN王伝説~序章~」外伝<br> 本日のNG<br> <br> ジ「はあぁああぁあぁあああ!!」<br> 雪華綺晶の懐に飛び込んだジュンが掌底を繰り出す<br> 雪「しまっ…」<br> その時であった!<br> 『グラッ…』<br> ジ「!?」<br> 深刻なダメージを受けていたジュンの体がもつれバランスを崩した<br> ジ「うわっと!!」<br> 『ふにゅ…』<br> ジュンの掌に柔らかな感触が伝わる…<br> ジ「へ?なんだこれ…」<br> 雪「あん♪いやですわジュン様ったら…」<br> ジ「へ?…えええええぇぇ!?」<br> バランスを崩したジュンの掌は雪華綺晶の胸を鷲掴みにしていた<br> ジ「ち…違う…これは…」<br> 雪「もう…恥ずかしがらずとも結構ですわ。そんなに私のことが…」<br> ジ「いや…だからこれは…」<br> 薔「…ジュン?」<br> ジ「(ビクゥ!!)ば…薔薇水晶?」<br> <br> そこには満面の笑みを浮かべながらも鬼のような闘気を纏った薔薇水晶がいた<br> 薔「お仕置き…だね♪」<br> 薔薇水晶がピシィと鞭を鳴らす…<br> <br> ジ「ここからが本当の地獄だ…」<br></p>

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