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<p>「新説JUN王伝説~序章~」第10話<br>
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あらすじ…「僕は更に強くなる!!」
そう決意したジュンはかつての武術の師である雪華綺晶のに稽古を願い出る<br>
しかし彼女がその条件として出したのは試合で彼女に勝たねばジュンは1日彼女のペットというものであった…<br>
自らの誇りと貞操を賭けたジュンの修行が今幕を開ける!!<br>
<br>
雪「はあああぁ!!」<br>
試合開始と同時に雪華綺晶が疾走しジュンとの間合いを一気に詰める<br>
ジ「!!」<br>
『ガキィ!!』<br>
彼女の繰り出した拳をジュンが左手で受ける…<br>
ジ「くっ…」<br>
雪華綺晶の拳撃は女性のものとは思えぬほどの衝撃となりジュンの腕を痺れさせた<br>
雪「はあああぁ!!」<br>
ジ「!?」<br>
『ドガガガガガガガァ!!』<br>
その直後、雪華綺晶の手足は高速の連撃となりジュンに襲いかかった<br>
だが…<br>
ジ「はあああぁッ!!」<br>
『ガキイイィッ!!』<br>
雪「!?」<br>
ジュンはその連撃を寸前で全てガードしてみせる<br>
ジ「ふぅ…」<br></p>
<br>
<p>雪「…くっ!!」バッ<br>
全ての攻撃を阻まれた雪華綺晶は一旦後退し間合いを取った<br>
雪「…流石ですわね、ジュン様。私の連撃を全て受けきるとは…」<br>
ジ「痛つつ…相変わらずの勢いだな…お前の拳…『錬鋼拳』は…」<br>
<br>
錬鋼拳…それは内気功を応用した拳法である。<br>
体内の闘気を一点に集中し瞬間的に体を鋼鉄の如く強靭にする拳法である。<br>
まさに攻防一体であり女性であるが故攻撃力の劣る雪華綺晶にとってまさにうってつけの闘法といえるものだ…<br>
雪「くすっ…嫌ですわジュン様。錬鋼拳ならば貴方もすでに習得済みではありませんか…でなくては最初の一撃で腕の骨は砕けてるでしょう?」<br>
ジ「ふっ…そうだな。なら僕もそろそろ攻めさせてもらうとするかな…」スッ…<br>
ジュンが両拳を握りしめ構える<br>
<br>
ジ「はあああああああああぁぁ…!!」<br>
ジュンの唸りと共に凄まじい闘気が両腕に集まってゆく…<br>
</p>
<br>
<p>
雪「やはりそうでなければ私も楽しみ甲斐がありませんわ…はあああああああああぁぁ…!!」<br>
<br>
そして雪華綺晶もまた同様に闘気を全身に漲らせる<br>
<br>
ジ「うおおおおおおおおおぉぉ!!」<br>
今度はジュンが雪華綺晶に向かい疾走する<br>
ジ「覇あぁッ!!」<br>
『ドガァ!!』<br>
闘気により強化された拳が雪華綺晶に放たれた…<br>
雪「ッ!!」<br>
それを受けた雪華綺晶の表情が一瞬歪む…<br>
ジ「ホアタタタタタタタタタタタタ!!」<br>
続いて先程雪華綺晶が放った以上の連撃が彼女に襲いかかった<br>
雪「くぅっ…!!」<br>
雪華綺晶はその攻撃を全て紙一重で捌いていく…だが!<br>
ジ「錬鋼拳奥義…『天響』!!」<br>
『グワァッ!!』<br>
雪「!?」<br>
雪華綺晶の体が宙を舞った…<br>
雪「きゃあああああぁぁ!!」<br></p>
<br>
<p>『天響』…それは錬鋼拳の奥義1つである。<br>
体に纏った闘気を一気に解放、放出することで至近距離の敵を吹き飛ばす技であり、かつてジュンが通り魔の投げナイフを手を触れずに全て弾き落としたのもこの天響のなせる技である…<br>
<br>
雪「くぅっ…!!」<br>
だが宙を舞った雪華綺晶は器用に空中で身を翻し大地に降り立った<br>
雪「ふぅ…流石ですわ、ジュン様…やはり錬鋼拳では貴方のほうが一枚上手のようですわね…」<br>
ジ「ふっ…なんたってお前が最初に教えてくれた流派だからな…」<br>
<br>
ジュンが雪華綺晶に一から武道を教わった際、最初に仕込まれたのがこの錬鋼拳である<br>
そして彼女から指導を受けるうちにジュンは徐々にその才覚を表し、いつしか師である雪華綺晶を押すまでにこの拳法を極めるようになっていたのであった…<br>
雪「ふふっ…そういえばそうでしたわね。」<br>
雪華綺晶が懐かし気にくすりと笑ってみせた<br></p>
<br>
<p>薔「お姉ちゃん…」<br>
薔薇水晶が姉の様子を心配そうに見つめる<br>
雪「心配には及びませんわ、ばらしーちゃん…私にはまだ切り札がありますから。」<br>
雪華綺晶が妖しく微笑む…<br>
ジ「…切り札?」<br>
雪「そうですわ。最近やっと習得に至り、まだジュン様にはお見せしていない拳ですわ…」<br>
雪華綺晶はジュンにいつもの上品な微笑みを向ける…だがジュンにとってそれは限りなく不気味な感じがした<br>
雪「ふふっ…では…行きますわよ?」<br>
『ゆらぁ…』<br>
雪華綺晶は両腕をゆっくりと前に構えると体をゆらりと揺らし始めた…<br>
ジ(あの構え…自ら打って出るようには思えない…恐らくはカウンター狙いか!?…だとしたらうかつな攻撃はできないな…)<br>
ジュンはその得体の知れない構えと動きに慎重な態度を見せた<br>
雪「くすっ…如何なさいましたか?ジュン様…貴方が来ないのなら…私から行きますわよ!?」<br>
<br>
『ドンッ…』<br></p>
<br>
<p>ジ「なっ!?」<br>
ジュンが気付いた時には雪華綺晶はすでにすぐ目の前まで距離を詰めていた<br>
ジ「くっ!!」<br>
ジュンが半歩下がり攻撃に備える<br>
…だが雪華綺晶はジュンとの距離を保つだけで何故か攻撃は加えない<br>
ジ「はあぁッ!!」<br>
その隙を突いてジュン高速の拳を放った<br>
<br>
『グシャァ…』<br>
<br>
ジ「ぐぁ…!!」<br>
だが次の瞬間その拳をすり抜け雪華綺晶の拳がジュンの脇腹に突き刺さっていた<br>
雪「くすっ…」<br>
再び雪華綺晶が小さな笑みを浮かべる<br>
ジ「ぐっ…はあああああぁ!!」<br>
ジュンは脇腹の鈍い痛みをこらえ今度は中段蹴りを放つ<br>
雪「ふっ…無駄ですわ。」<br>
『ボグゥ…!!』<br>
ジ「ぐ…あっ…」<br>
だが今度も先程と同じようにジュンの攻撃は当たることなく代わりに雪華綺晶の攻撃がジュンにヒットしていた<br>
彼女のしなやかな体は舞い落ちる木の葉のようにジュンの攻撃をすり抜けると同時に雷のように速く鋭い一撃を放ってゆく…<br>
</p>
<br>
<p>ジ「くぅっ…」バッ!!<br>
接近戦は不利と判断したジュンがバックステップで後退しようとしたが<br>
雪「あら…逃がしませんわよ?」バッ!!<br>
雪華綺晶もまた同様にぴったりとジュンに張り付いてきた<br>
ジ「くっ…天きょ…」<br>
雪「させませんわ!!」<br>
ジュンが再び天響を放とうとした一瞬に雪華綺晶はジュンの顔面に高速の拳を放った<br>
ジ「うぐっ…」<br>
そしてこれがフラッシュとなりジュンの意識が一瞬飛んだ<br>
その刹那…<br>
雪「貰いましたわ!!」<br>
雪華綺晶がジュンの懐に入る…そして<br>
雪「はああああぁッ!!」<br>
『ズガガガガガガガ!!』<br>
ジ「ぐああああぁ!!」<br>
ノーガードのジュンに向かい再び雪華綺晶の高速の連撃が振るわれた<br>
雪「これで…終わりですわ!!」<br>
『ドガァ!!』<br>
そして雪華綺晶の全力を込めたであろう拳がジュンを宙に舞わせた…<br>
<br>
ジ「ぐはぁ……」<br>
ジュンは口から赤い飛沫を上げながら芝生に叩きつけられ転がった<br>
</p>
<br>
<p>薔「お姉ちゃん…凄い…」<br>
薔薇水晶は姉のあまりの凄まじさに眼帯のない右目を丸くさせていた<br>
<br>
雪「ふぅ…どうでしたか?ジュン様、私の新しい拳のお味は…」<br>
ジ「ぐぁ…くっ…ぐうぅ…」ギリィ…<br>
ジュンは全身に走る凄まじい痛みに顔を歪めながら懸命に立ち上がろうとしていた<br>
雪「あら…私の『華鏡水鳴拳』を受けて意識があるとは…流石といったところですわね。」<br>
ジ「くっ…華鏡…水鳴拳…?」<br>
雪「はい♪今ご覧にいれた拳法ですわ。華鏡水鳴拳はいわば同体の先…つまりカウンターの極意。<br>
敵の攻撃のタイミングや軌道を瞬時に把握し流れる水の如くそれをかわし、その勢いを利用して攻撃を放つ。<br>
…つまり私に攻撃を仕掛けるということは鏡に映る自分に攻撃を加えるようなものですわ。」<br>
それはまさに川に落ちた時、もがけばもがくほど流れに飲まれ溺れてゆくようなものでった<br>
<br>
雪「さあ、潔く負けをお認めくださいませ。私も今はジュン様をあまり痛めつけたくはありません故…」<br>
</p>
<br>
<p>ジ(…今は?)<br>
ジュンがその言葉に嫌な予感を感じた次の瞬間…<br>
『ピシィ!!』<br>
空気を鋭く切り裂くような音が聞こえてきた<br>
ジ「!?」<br>
ジュンが気になって音のした先に首を向けると…<br>
薔「うふふふふ…♪」<br>
そこには満面の笑みを浮かべながら鞭を振るう薔薇水晶の姿があった…<br>
薔「ジュン…その傷は私たちがじっくり癒やしてあげる…だから…ね?」<br>
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ジ(ま…負けられない!!このまま立たなければ間違いなく僕の操は塵と消える…!!)<br>
ジュンの頭にその答えが浮かぶ<br>
ジ(立たなければ間違いなくヤられる…ならば…ならば!!)<br>
ジュンの本能が体を突き動かした!!<br>
ジ「うがああああああああああああああぁッ!!」<br>
『ガバァ!!』<br>
雪・薔「なっ!?立ち上がった!!」<br>
ジ「はぁ…はぁっ…雪華綺晶…勝負はまだついてないぞ?」<br>
ジュンは震える足を懸命にこらえ再び構えを取った<br></p>