「1話デカメロン伝説」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「1話デカメロン伝説」(2007/01/11 (木) 18:38:43) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
流石に六時間目だ。眠気を我慢しながら、ぼんやりと外をながめる<br>
窓側一番後ろの席<br>
目立たない席に目立たない僕が座る。<br>
まったく話さないわけではないが、用がなければわざわざ話しかけないような。そんな存在<br>
まわりとうまく壁を作る<br>
誰と話していようと、僕と相手は別の世界<br>
大切なモノは持たない<br>
持っていなければ、なくすことはない<br>
夢も希望も持たない<br>
持たなければ絶望の淵に落とされることもない<br>
眠気に負け遠のく意識の中そんなことを考えていた<br>
<br>
<br>
………ハッ あの頃の夢で目を覚ます<br>
「いつの間に寝てたんだ…」<br>
教室を見渡すと、もう誰もいない。<br>
時計に目をやると四時四十分…誰もいないはずだ<br>
帰りのHRは四時には終わるからね<br>
さて、今日も屋上に行くか<br>
<br>
この時のこのいつも通りの行動が間違いだった<br>
間違いと言うと語弊があるかも知れないけど、この時からいつもの『今日』は、少しずつ変わってきてたんだと思う…<br>
<br>
<p>
荷物を鞄に詰め込み、つけっぱなしの教室の電気を消す<br>
えらいなぁ、僕<br>
完璧な自己満足だろと思いながら、屋上へ向かう。<br>
階段をゆっくりと登る<br>
一番上まで到着 少し錆びた扉が音をたてて開く…と同時に風が吹き込んできた。<br>
気持ちいいな<br>
扉を開けるとすぐ横にある梯子を登る<br>
そこが、僕のこの学校で唯一大好きな場所<br>
すぐさま仰向けになって、空を眺める ……夢のことを思い出す<br>
なんで今更?もう、忘れたハズだ。忘れた…忘れた……自分に言い聞かす<br>
………!?<br>
錆びた扉の開く音がする。<br>
めったに屋上に人はこない。それに、こんな時間だ。<br>
普段の僕なら、気にせず雲を眺めているだろう。他人なんて関係ないと<br>
でも、今日は雲を眺めているだけじゃ、夢のことを考えてしまうからと誰が来たんだろうとのぞいてみる<br>
男女の二人組だ<br>
何か話しているが、ここからじゃうまく聞き取れない<br>
<br>
女「………好き」<br>
かろうじでこれだけ聞こえた<br>
男は首を横に振り、申し訳なさそう顔をして、すぐさま屋上からでていった<br>
女もしばらくして、でていこうと扉に近づいてきた時だ<br>
…………マズい<br>
素早く隠れる。目が合った……<br></p>
<br>
<p>なんでこんなことしたんだろう<br>
激しく後悔する僕<br>
絶対何か言われる<br>
………ん?何も言ってこない<br>
目が合ったと思ったのは勘違いか?<br>
安心して、ホッと息を吐いた瞬間<br>
<br>
女「コラー!でてこい!!」<br>
<br>
やっぱり、ダメか<br>
ハァ…今日の僕は変だ なんでこんなことに…<br>
仕方ないから飛び降りる<br>
<br>
<br>
女「………で、どこから見てたの?」<br>
<br>
キッと睨みつけてくる<br>
<br>
僕「最初から最後まで」<br>
<br>
淡々と答える僕<br>
悪かったという態度が一切見えなかったのが気にくわないのかイラっとしたようだ。</p>
<br>
<p>
ハァと溜め息をついたかと思うと、女はいきなり喋りだす<br>
<br>
女「まったく有り得ないと思わなぁい?こんな可愛い娘をふるなんてぇ バカよバカ………」<br>
<br>
自分のことを可愛いと言ったり、さっきの男の悪口をベラベラと喋っている。<br>
さっきまで、いや、今もまだ好きなんじゃないのか?<br>
そんな男の悪口をよくもまぁ、言えたものだ。<br>
というか、見ず知らずの他人にそんなことを話すものなのか?<br>
話す相手がいれば誰でもいいのか?誰もいなくても独りでしゃべるのか?<br>
<br>
女「そう思うでしょ~?」<br>
<br>
女「ねぇ?」<br>
<br>
相槌を求めてくるので、適当に相槌をうつ<br>
これも、覗き見してた罰だと<br></p>
<br>
<p>
女「……ホントバカよぉ 女を見る…目がッ……ないのよぉ…ウッ」<br>
僕「!?」<br>
<br>
さっきまで、怒ってたかと思うと急に泣きだした。<br>
意味がわからない<br>
とうとうしゃがみ込んでしまった<br>
ハァ やれやれだよ<br>
女「ヒック…好き………好きなのよぉ!」<br>
<br>
いきなり、大声をあげる一体どれくらいたったんだろう?ずっとこの女の傍らに立ち尽くしている<br>
<br>
女「…………」<br>
<br>
僕「泣きやんだ? ハイ、コレ」<br>
<br>
せめてもの償いにハンカチを渡す<br>
高2にもなってハンカチをちゃんともってて良かったと思った<br>
<br>
女「…ありがとう」<br>
<br>
僕「じゃあ、僕行くから」<br></p>
<br>
<p>やっと、帰れる<br>
泣きやんだし、大丈夫だよな<br>
第一、こんな他人と関わりあいになるのは、もうごめんだ<br>
荷物をとって、扉に手をかけた瞬間だった<br>
<br>
女「あなた……名前はぁ?」<br>
<br>
僕「…桜田JUN」<br>
<br>
J「キミは?」<br>
<br>
何故だろう<br>
今考えても不思議だ。何故か自然に聞き返していた<br>
<br>
銀「……水銀燈」<br>
<br>
J「そう じゃぁ」<br>
<br>
そう言って、屋上からでていった<br></p>
<br>
<p>J「ただいま…」<br>
<br>
誰もいないことはわかっているが、小さく呟く。<br>
まず、風呂に湯をはり、テレビをつける。<br>
「7時か…」<br>
<br>
ふと、時計に目をやるとちょうど7時になるところだった。<br>
あの女につきあってたら、こんな時間になってしまった。<br>
そういえば、まともに他人と会話したのは久しぶりだ。<br>
会話といっても、話を聞いていただけだけど<br>
今、考えると可愛い…いや、綺麗だったな<br>
って、僕は何を考えてるんだ<br>
他人と関わるなんて、ごめんだよ<br>
<br>
ハア…<br>
なんか変だ。僕<br></p>
<br>
<p>また始まった今日<br>
いつもと変わらない今日<br>
昨日は、あの女……えと……忘れた<br>
うん、あの女のせいで調子が狂ったが、今日はいつもと変わらない今日のハズ<br>
</p>