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「第六十三話 JUMと洗濯」(2006/10/05 (木) 22:29:57) の最新版変更点
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<p>「一つ屋根の下 第六十三話 JUMと洗濯」</p>
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<p>「ふぁ……もう朝か…あれ?昼じゃん。」<br>
昨日も遅くまで起きてたせいもあるのだろう。なに、心配は要らない。今日は休日だ。携帯を開くと時間は<br>
すでに10時。ばっちり寝すぎたようだ。僕は体を起こしてリビングへ向かう。家の中は驚くほど静かだ。<br>
「ねえちゃ~ん!誰もいないの~?」<br>
シーンと静まり返ってる。テーブルには僕のご飯にラップがかかってる。どっか出かけたんだろう。<br>
「はぁ~、もうすぐ時間ですぅ……お?JUMいいトコに起きてきたですね。」<br>
そう思ってると翠姉ちゃんがバタバタしながらやってきた。どっか出かけるんだろう。服も外着だし。<br>
「翠姉ちゃんどっか行くの?」<br>
「翠星石は今から蒼星石や、クラスの子と修学旅行の買い物ですぅ。ああもう、時間ないです…」<br>
「ああ、そっか。もうすぐ修学旅行だったね。時間ないなら、僕が何かしておいてあげようか?」<br>
翠姉ちゃんには家事で世話になってるしね。それくらいするべきだろう。が…僕はそれを後悔した。<br>
「お?JUMにしてはいい心がけですね。じゃあ、洗濯お願いするです。洗濯機は今回ってるですから。<br>
夕方になったらキチンと取りこむですよ?あ、サボったら晩御飯は抜きですからね。」<br>
「ちょ、ちょっと待った!洗濯はまずい……」<br>
「あ、時間ですぅ!それじゃあ頼んだですよ~!行ってくるですぅ~。」<br>
僕の抗議をまったく気にも留めずに翠姉ちゃんは出かけていった。<br>
「参ったな…よりによって洗濯なんて…」<br>
数ある家事のうち、僕は洗濯だけは意識的に避けていた。理由は言うまでもないだろう。そりゃあ、小学生の<br>
時とかならよかったけどさ…まぁ、銀姉ちゃんは小学生のときから着けてたけど。<br>
もう僕も姉ちゃん達も高校生だよ?さすがにまずいってもんだろう。僕はせめてもの抵抗で姉ちゃん達が<br>
家に残ってないか家中を隈なく探すが、当然のように家は無人だった。<br>
ピーピーと、洗濯機が洗濯の終わりを知らせる音を出す。<br>
「はぁ……仕方ない。気は進まないけど、やるしかないかぁ。」</p>
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洗濯機の中は笑えるくらいカラフルだった。目が痛い。そして、目に毒だ。男物の服や下着なんて埋もれてて<br>
どこにあるかさっぱりわからない。僕は、洗濯籠の中に、次々と洗濯物を詰め込んでいく。<br>
ああ、人が多いだけあって洗濯物も多いなぁ。翠姉ちゃんや蒼姉ちゃんは本当にご苦労だ。<br>
僕は洗濯籠を持って、庭へ出る。日差しがまぶしい。本日は晴天なり…<br>
「ふぅ…やるかな…」<br>
僕はスッと籠に手を入れる。取り出したのは黒のブラジャーだった。思わず顔が赤くなるのを感じる。<br>
色的にもサイズ的にも間違いなく銀姉ちゃんのだ。僕はあまりソレを直視しないように干す。<br>
「やば……何か変な気持ちになりそ…」<br>
間違ってもパンツを被ってフォォォォ!!とか、それは私のおいなりさんだ。とかはやらないだろうけどさ。<br>
頭を振り払って次の洗濯物を手に取る。黄色のブラだ。多分、カナ姉ちゃんのだろう。<br>
「だーーー!!僕は何考えてるんだよ!」<br>
先日のカナ姉ちゃんとの事をつい思い出してしまう。あの時、銀姉ちゃんが来なかったら僕は、これを拝んで<br>
いたんだろうか。いやいや、何破廉恥な事考えてるんだか。ええと、円周率は3,14……<br>
次に手に取ったのは緑と白の縞々のパンツだった。あ、これ翠姉ちゃんだな。以前スカートで踏まれた時に<br>
見た事ある。(4話)いや、あくまで不可抗力ですよ?痛かったし。続いて青と白の水玉……まぁ、言うまでも<br>
ないか…青いブラともども蒼姉ちゃんだろうな。お、ようやく僕のトランクスが出てきた。<br>
知ってたけど再確認。やっぱり、我が家には男は僕しかいないんだなって。いや、本当に男物の洗濯物が<br>
全然出てこないんだって……あ、これは真紅姉ちゃんだな。真っ赤だもん。<br>
銀姉ちゃんのと比べると、その差は歴然としてる。まぁ、そんな事言ったら間違いなく殴られるが。<br>
「やれやれ……ようやく干し終わったかな。」<br>
ズラーッと並んだ洗濯物を見る。うん、やっぱりカラフルだ。黒、黄色、緑、青、赤、ピンク、白、紫…<br>
見事にみんな好きな色がバラバラだよなぁ。まぁ、そうでもしないと間違えたりするんでしょ、きっと。<br>
明らかに間違えそうにないほど、サイズが違うのもあるけどね。</p>
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「ただいま~!!JUM、ちゃんと干して取り込んだですかぁ?」<br>
夕方。翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんが家に帰ってくる。それを皮切りに、ほかの姉妹も次々と帰還してくる。<br>
「ん、干して取り込んだよ。たたみ方分からないから、僕のしかたたんでないけど。」<br>
「ごめんね、JUM君。……そのぉ、色々やり難かっただろうけど。」<br>
蒼姉ちゃんが申し訳なさそうに言う。さすがは我が家の良心。よく分かっていらっしゃる。<br>
「ま、おめーが女物の下着のたたみ方知っててもどうかと思うですけどね。」<br>
御もっともです。知ってたらそれはそれで、軽く変態のレッテル貼られる気がします。<br>
「さて、僕は次の洗濯物干す準備してこようかな。」<br>
蒼姉ちゃんがお風呂場へ行く。我が家の洗濯は一日に数回ある。蒼姉ちゃんは、帰ってから早速洗濯機を<br>
回していた。翠姉ちゃんがテキパキと洗濯物をたたんでいく。すごいなぁ、手馴れてる。<br>
「よしっと…みんなぁ、洗濯物取りにきやがれですぅ!自分でキチンと片付けるですよぉ~。」<br>
「はぁ~いなのぉ~!あ、ヒナ今日買ったのも入れておくの~。」<br>
「そういえば、ヒナは最近胸が苦しいとか言ってましたものね。」<br>
「……うん、だから…私と巴で選んであげた……」<br>
そうなのか。ヒナ姉ちゃんは成長中……メモメモ。<br>
「あらぁ……?」<br>
銀姉ちゃんがたたまれた洗濯物を見ながら首を傾げている。そして、姉妹の洗濯物を見てさらに傾げる。<br>
「ねぇ、翠星石ぃ。全部たたんだのぉ?」<br>
「?全部たたんだですよ?それがどうかしたですか?」<br>
ん?何だ?銀姉ちゃんの洗濯物が足りないのか?そんな事を思っていると、銀姉ちゃんは僕を見て何かを<br>
悟ったようにニヤリと笑った。これは、ヤバイ。この笑みはヤバイ。僕はそう直感する。<br>
「ああ、そっかぁ~。JUMもお年頃だもんねぇ。あ、お姉ちゃんは寧ろ嬉しいわよぉ?」<br>
……何を言ってるんだろうか、この長女は。<br>
「JUMったら~…水銀燈のブラ欲しかったのねぇ~。もう、言ってくれれば水銀燈ごとあげちゃうのにぃ♪」<br>
一瞬で、主に翠姉ちゃん。真紅姉ちゃん。薔薇姉ちゃん。そして、キラ姉ちゃんの視線が僕に突き刺さった。</p>
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「いや、僕そんなの知らない……」<br>
「いいのよぉ、JUM。姉妹なんてほっときなさぁい。負け犬ドモなんだからぁ~。」<br>
銀姉ちゃんが思い切り僕を抱きしめ、僕の顔を胸に埋めさせる。柔らかい…いい匂いだな…いやいや、<br>
そんな場合じゃないってば。僕はとりあえず顔を離そうと手を伸ばす。が……状況を考えればそれは<br>
やるべき事じゃなかった。胸の埋もれてる顔を離そうと手を使えば、手が胸に行くのは必然なわけで。<br>
「あんっ…JUMもその気になったのね。私の胸揉んじゃってぇ~。さ、部屋行きましょう?大人の時間よぉ。」<br>
「ふぁ、ふぁふぁらひはうっへ~!(だ、だから違うって~)」<br>
「ちょ、ちょっと待ちやがれですぅ!!おめえのブラはそこに…」<br>
「あらぁ、私一日二回は変えてるものぉ。ほら、見てよぉ。」<br>
銀姉ちゃんがたたまれた下着を広げる。<br>
「こっちは、上下セットあるでしょぉ?でも、こっちは下しかないじゃなぁい。」<br>
銀姉ちゃんの言うように、1セットはあるんだが、もう1セットは下しかない。まさか、翠姉ちゃんが間違えて<br>
他の姉妹のトコに混ぜたなんて事もないだろう。色分けされてるし。<br>
「いや、だから僕はそんなの……」<br>
「……JUM!!!」<br>
真紅姉ちゃんの声がする。ヤバイ、僕死んだかも。銀姉ちゃんの胸から顔を離し、真紅姉ちゃんを恐る恐る<br>
見る。だが、そこには僕の想像とは正反対に、目尻に涙を浮かべた真紅姉ちゃんがいた。<br>
「ぐすっ…JUM…分かってたわ…やっぱり貴方は巨乳が好きなのね…うっ…」</p>
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「いや、だからそれはちがっ……」<br>
「いいの!分かってる…ううっ…でも…JUM。こんな私でもせめてお姉ちゃんって呼んでくれる…?」<br>
真紅姉ちゃんの目からボロボロ涙がこぼれて来る。ちょっと、待って。何さ、これ?<br>
「JUM……そうよね。カナ少し浮かれてたかしら…JUMは優しいから…べそべそ…でも……カナ昨日の<br>
事は忘れないかしら…JUMがカナにくれた優しさだから…べすべす…」<br>
「JUM!!嫌です…翠星石を置いてかないでですよぉ…ぐすっ…JUMが望むなら素直に…なるですからぁ…」<br>
「……何なのさ、これ?」<br>
僕は事態が全く飲み込めてない。てか、飲み込めたら把握能力MAXだろう。<br>
「う~…難しいのぉ~。」<br>
一人マイペースにPS2をやってる六女は放って置くとして。<br>
「JUMは知らないでしょうけどぉ。姉妹の協定の一つよぉ。JUMが年頃の男の子になった時……JUMが下着<br>
を盗んだ相手=JUMが好きな相手。よって、その姉妹がJUMをゲッツできるって協定よぉ。そ・し・て♪<br>
JUMが選んだ下着は私のでしょぉ?色分けされてるから分かりやすかったでしょ。」<br>
そんな協定、速攻で破ってください。大体、僕は盗んでないし。<br>
「JUM……も少しだけ待って…JUMが銀ちゃんが好みなら…私、頑張って銀ちゃんみたいになれるように…<br>
努力するから…えっえっ…JUM…ぐすっ…」<br>
「不覚ですわ。この雪華綺晶が、JUMを食せず散るサダメにあったとは……ただ、無念ですわ…」<br>
次々に涙を流していく姉ちゃん達。何、僕悪者?<br>
「ふふふっ、まぁ当然よねぇ。所詮デコだろうが、ツンデレだろうが、女王様気質だろうが、食いしん坊キャラ<br>
だろうが、不思議系だろうが私の敵じゃないわぁ~。」<br>
銀姉ちゃんはそう言って、大きい胸を張って勝ち誇っていた。</p>
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僕はさっきから頭の中がパンクしっぱなしだ。そんな時、ガチャリとドアが開く。<br>
「ふぅ、今日も洗濯物が一杯だぁ……何コレ?」<br>
蒼姉ちゃんはリビングを見て、呆然としてる。そらそうだ。銀姉ちゃんが僕にべったりで、ヒナ姉ちゃん以外は<br>
大泣きしてる。誰が見ても異常な光景なのは間違いない。<br>
「あらぁ、いいトコに来たわぁ。貴方にも教えてあげる。JUMは私のブラを…『あ、そうだ。これ君のブラだよね。<br>
洗濯機の中に残ってたよ。JUM君がうっかり干し忘れてたんだろうね。』盗んだ……え?」<br>
蒼姉ちゃんがプラプラと黒いブラジャーを手に持っている。間違いなく、色的に銀姉ちゃんのだろう。<br>
つまり、あれか。僕は洗濯機から全部取り出したツモリだったが……実際は銀姉ちゃんのだけ残ってたと。<br>
「……おほん…水銀燈。ちょっと今夜いいかしら?お話があります。」<br>
「あ……あらぁ……?」<br>
真紅姉ちゃんがガッシと銀姉ちゃんの腕を掴む。銀姉ちゃんの顔色がみるみる青くなっていく。<br>
「さっきはよくも散々言ってくれたですね……金糸雀、何か面白い実験器具ないですか?」<br>
「そうね、アイアンメイデンなんてどうかしら?」<br>
「ちょ、ちょっとぉ、何でそんなものが…それに死んじゃう…痛い痛い!いやぁ、JUM!助けてぇ~!」<br>
銀姉ちゃんがズルズルとリビングから引きずり出されていく。さよなら、銀姉ちゃん。また、明日ね。<br>
「?アレ、何だったの?」<br>
蒼姉ちゃんが頭にハテナを浮かべてる。よかったね、銀姉ちゃん。蒼姉ちゃんがいなくて。本気で怒ると一番<br>
怖い人は回避できたみたいだよ。<br>
「ねぇ、JUM。蒼星石ぃ~!一緒に遊ぼうよ~。」<br>
「そうだね。じゃあ、ちゃっちゃと洗濯物干してくるね。そしたら、3人で遊ぼうか。」<br>
平和を取り戻した我が家のリビング。翌日、銀姉ちゃんは目を真っ赤に腫らして大人しくしてた。<br>
まぁ、大人しかったのも一日だけだったけどね。<br>
END</p>