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―葉月の頃―」(2006/09/26 (火) 23:47:16) の最新版変更点

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<p><br>   翠×雛の『マターリ歳時記』<br> <br> ―葉月の頃―  【8月8日  立秋】<br> <br> <br> 蒼星石がオディールを連れて帰宅してからは、あっと言う間の二週間だった。<br> 祖父は、もうずっと浮かれ気味で、はっちゃけた日々を送っている。<br> 娘たちと一緒に料理をする祖母の顔にも、幸せそうな笑みが浮かぶ。<br> 今まで口にしなかっただけで、本当は、祖父母も寂しかったのだろう。<br> <br> 「若い娘が三人も一緒に暮らしていると、ついハッスルしてしまうのう」<br> 「あらあら、お爺さんたら……ほどほどにね」<br> <br> 朝食の席で、今日も張り切りモード全開の祖父、元治。<br> 翠星石は、穏やかな口調で窘める祖母の額に、ビキビキと筋が浮かんだのを<br> 見逃さなかった。隣に座るオディールは、祖父母の会話に耳を傾けながら、<br> 翠星石に小声で話しかけた。<br> <br> 「楽しいお祖父様たちね。とても賑やかで、素敵な家族だわ」<br> 「……年甲斐もなく、はしゃいでるだけですよ。<br>  今夜あたり、血の雨が降りそうですから、レインコートを用意しとくと良いですぅ」<br> <br> この二週間、一緒に暮らしてみて、翠星石のオディールに対する拒否反応にも、<br> 免疫が出来つつあった。人見知りの気が強い彼女にしては、早く慣れた方だ。<br> 普段なら、臆病な猫のように物陰に隠れて、そぉっと様子を窺う日々が続くのだが、<br> やはり言葉が通じると、女性同士、気心も知れやすいのだろう。<br> <br> 幼少の頃は日本に住んでいたと言うだけあって、オディールは日本語が堪能だった。<br> 柴崎家に、すんなり打ち解けたのも、言葉の壁が低かったからだ。<br> そもそも性格の悪い娘ではないし、なによりも、蒼星石を慕う気持ちにおいては、<br> 柴崎家の面々と相通じるところがある。蒼星石にベッタリなのは相変わらずだが、<br> その点さえ我慢すれば、翠星石としても嫌う理由はなかった。<br> <br> 問題があるのは、寧ろ、蒼星石の方だ。<br> 帰宅してからと言うもの、何かにつけて他人行儀な振る舞いが目についていた。<br> <br> <br> 「さぁて。ハッスルおじじは放っといて、食事を済ませちまうです。<br>  早くしねぇと、雛苺が来ちまうですよ」<br> 「えっと……確か、9時の約束だったよね、姉さん」<br> 「大変。あと一時間もないじゃない。急がないと」<br> <br> 翠星石に促されて、蒼星石とオディールは、炊き立てのご飯を頬張った。<br> 朝からお騒がせな娘たちに向ける祖父母の眼差しは、温かく、優しい。<br> <br> <br> 約束の時間の五分前に、玄関のチャイムが鳴る。<br> その頃には、三人の娘たちも出発の準備を整えて、玄関前に待機していた。<br> 翠星石がドアを開けると、麦わら帽子をかぶった雛苺が、額に汗を浮かべ、立っていた。<br> 籐製の小さなバッグを肩に掛けている。<br> <br> 「みんな、おはようなの。今日は、すっごく暑いのよ~」<br> 「言われなくとも解るです。屋内に居ても、汗が滲み出てくるですから」<br> 「翠ちゃんは髪が長すぎるのよ。蒼ちゃんみたいに、バッサリ短くしたら良いのに」<br> 「やーですよー。髪は女のイノチ。人形は顔がイノキですぅ」<br> 「……姉さん。寒いギャグなんか言ってないで、早く出発しようよ。<br>  車に乗っちゃえば、エアコンが効くから涼しくなるって」<br> <br> 蒼星石の冷淡な一言に一刀両断された翠星石は、シュン……と項垂れながら、<br> ガレージのシャッターを開け始めた。<br> <br> 乗り込んだ彼女たちを待っていたのは、炎熱地獄。<br> アクリルの屋根で覆われただけのガレージなので、締め切った車内には、<br> 真夏の熱気が閉じ込められていたのだ。<br> 今日は立秋。暦の上では秋に変わるけれど、暑さは今が真っ盛りである。<br> <br> 「熱っ……フロントガラスに断熱シートを広げておかなかったから、<br>  ハンドルが焼けてるですよ。とても握れたもんじゃねぇです」<br> <br> 運転席に座った翠星石が「アチチ・アチ」と、郷ひろみの歌の振り付けをする。<br> アシストシートの蒼星石は、苦笑しながら、お茶目な姉に濡れタオルを差し出した。<br> <br> 「エアコンが効いてくるまで、暫くは、これを巻いておきなよ」<br> 「ありがとですぅ♪ それじゃ、出発するですよ」<br> <br> 翠星石はサングラスをかけると、イグニッションキーを回した。<br> 一発でエンジンが呻り、送風口から、生暖かい風が吐き出されてくる。<br> 走り始めると、薄く開けた窓からも、勢いよく風が吹き込んできた。<br> 談笑する双子姉妹のやりとりを、後部座席から眩しげに眺めていたオディールは、<br> 「やっぱり仲が良いわね」と、隣に座る雛苺に囁きかけた。<br> <br> 「私には姉妹とか兄弟って居ないから、とても羨ましい」<br> 「……ヒナも一人っ子なの」<br> <br> 窓からの風で涼んでいた雛苺が、オディールの方に頸を巡らす。<br> <br> 「だから……なのかな。なんとなぁく、お姉さん然とした人に憧れちゃうのよ」<br> 「そうなの? 私は逆ね。しっかり者の妹が欲しかったわ」<br> <br> 言って、蒼星石を見つめるオディールの視線は、妙に熱を帯びていた。<br> <br> <br> <br> 翠星石の荒っぽい運転に戦々恐々としながら、やっと辿り着いたのは、海<br> ――――の側の、プールだった。<br> <br> 浜辺のイモを洗う状態を、翠星石が嫌った為である。<br> しかし、プールと言っても、その辺の小学校のプールとは訳が違う。<br> 幾つものアトラクションに分かれた、大型レジャープールだった。<br> 駐車場に車を置き、受付を通って更衣室に向かう、道すがら――<br> <br> 「お爺さんが特別招待券を持ってて、本当にラッキーだったよね」<br> 「まったくです。おじじも、たまには役に立つですぅ」<br> 「……あんまり、お爺さんのことを悪く言うもんじゃないよ、姉さん」<br> <br> 翠星石の毒舌に反応して、蒼星石は表情を固くした。<br> そんな妹の変化に、翠星石が意地の悪い笑みを浮かべる。<br> <br> 「へぇ~。随分と、おじじを擁護するですねぇ、蒼星石は」<br> 「蒼ちゃんは昔っから、おじいちゃん子だったのよねー」<br> 「そうそう。中学生になっても、おじじと一緒にお風呂はいってやがったです。<br>  蒼星石には、乙女の恥じらいってヤツが、足りねぇですよ」<br> 「ちょっと! なに言い出すのさ! いい加減にしてよね」<br> <br> 蒼星石は顔を真っ赤にして怒鳴ると、ポカ~ンとしている翠星石を余所に、<br> オディールの手を掴んで、足早に歩き始めた。<br> <br> 「行こう、オディール」<br> 「え……ええ? あの――」<br> <br> 二人が去った通路で、翠星石は呆気にとられたまま、<br> ハニワのように立ち尽くすのみだった。<br> <br> <br> <br> 水着に着替えて、プールサイドに置かれたデッキチェアに俯せる翠星石は、<br> 誰が見ても不機嫌だと解る顔をしていた。ビキニ姿が眩しい彼女をナンパしようと、<br> 若い男が何人か近付いたものの、翠星石のひと睨みで、悉くが退散していく。<br> <br> 彼女の視線が辿る先には、楽しそうに遊んでいる蒼星石と、オディールの姿。<br> すぐ隣のデッキチェアでは、雛苺がストローでトロピカルジュースを吸い上げつつ、<br> 翠星石の様子を見守っている。癇癪を起こしたら、即座に止めるためだ。<br> <br> 「うぅ~。蒼星石ったら、なんであんなに怒るですか」<br> <br> 雛苺は溜息を吐いて、翠星石の背中に声を掛けた。<br> <br> 「さっきのは、翠ちゃんが悪いのよ。調子に乗って、余計なこと言うんだもの」<br> 「あんなの、ただの冗談じゃねぇですかっ! 目くじら立てるコトでもねぇですぅ!」<br> <br> 翠星石は、ガバッと身体を起こして居住まいを正すと、雛苺に詰め寄……<br> るかと思いきや、膝の上で拳を握って、俯いてしまった。<br> <br> 「きっと……蒼星石は、留学して人が変わっちまったのです」<br> 「うよ? そんなコトないと思うのよ」<br> 「雛苺には分かんねぇです! 家での態度だって、どこか余所余所しくって――<br>  オディールと仲良くなったから、私のことなんか、もうどーでも良くなったのです」<br> 「…………あのね、翠ちゃん」<br>  <br> 雛苺は身を乗り出して、小刻みに震える翠星石の肩を、優しく叩いた。<br> 元気づけるように、そっと――<br> <br> 「近くに居すぎるから、盲点になるコトもあるのよ?」<br> <br> 目に涙を浮かべ、黙って話を聞いている翠星石に、雛苺は言葉を続けた。<br> <br> 「例えば、マンガを目の前まで近付けたら、何が描いてあるのか解らないし、<br>  台詞も読めないでしょ? ヒナはね、人間関係も同じだと思うの。<br>  少し距離を置いて初めて、真実の姿って見えてくるものじゃないかなって」<br> 「じ……じゃあ、また離ればなれになれって……言うですか?」<br> <br> 指の背で目元を拭う翠星石に、雛苺は「そうじゃないの」と微笑みかけた。<br> 少し情緒が不安定になっている彼女を落ち着かせようと、温かい手で、<br> 長い髪と……背中を――――滑らかな素肌を撫でる。<br> そして、頃合いを見計らって、穏やかに話しかけた。<br> <br> 「距離なら、もう充分に置いたでしょ? その時、翠ちゃんは、どう思ったの?<br>  蒼ちゃんが居なくなって、清々した?」<br> 「そっ、そんなワケねぇですっ! どうしようもなく、会いたかったですよ!<br>  空を飛んでいきたいって、何度も思って、何度も……そんな夢を見たですっ」<br> 「だったらね……蒼ちゃんも、きっと同じなのよ。<br>  ホントは翠ちゃんに会いたかったし、甘えたいの。<br>  だけど、照れくさいから――変なところで突っ張ってるのよ」<br> <br> 雛苺の言葉は、不思議な余韻を伴って、翠星石の胸に染み込んできた。<br> よくよく思い返してみると、余所余所しく見えていた仕草も、<br> 裏を返せば、照れくささの現れだったように思えてくる。<br> 翠星石は、曇天に一筋の光明を見た気がした。<br> <br> 「それが真相なら、私は一体、どうすれば――」<br> 「簡単なの。翠ちゃんの想ってることを、言葉にするだけで良いのよ。<br>  人の想いってね、心で温めてるだけじゃ伝わらないの。<br>  だから、人類は文字や言語を産み出し、活用して、理解を深めてきたのよ」<br> 「……でもぉ」<br> 「大丈夫! 翠ちゃんと蒼ちゃんの想いは、きっと同じなのっ!」<br> <br> 元気だすのよっ! と、雛苺は、渋る翠星石の背中をビタンと叩いた。<br> 時期的に早すぎる紅葉が、ひとつ……彼女の白い肌に舞い落ちる。<br> <br> 「あ痛ぁ……何しやがるです、おバカ苺っ!」<br> 「景気付けなのよ。あいとォ!」<br> 「いっぱーつっ! ……って、何をやらせるですか」<br> 「いいからいいから。頑張って、蒼ちゃんと仲直りしてくるのー」<br> <br> 雛苺に背中を押され、気合いを入れてもらったお陰で、翠星石は目が覚めた。<br> 悄気て、ウジウジと腐っていては、本当に嫌われてしまう。<br> そんなのはイヤ。<br> だったら、すべき事は、ひとつだけ。<br> <br> でも、どうやって近付けば良いのだろう? <br> 蒼星石は意外に強情っぱりだから、普通に近寄っても、素っ気なく遠ざかる筈だ。<br> どうしたものかと思案しながら歩いていた翠星石は、ウォータースライダーで遊ぶ、<br> オディールと蒼星石の姿を見かけた。<br> <br> 「!? この手があったですぅ」<br> <br> これだったら、滑り出してしまえば、否応なく終点で顔を合わせることになる。<br> 寸分の躊躇いもなく、翠星石はウォータースライダーの階段を登り始めた。<br> いつもなら、途中で足が竦んで引き返してしまうところだが、今の彼女は怯まない。<br> 最愛の妹と絶交状態になってしまう怖れに比べれば、他の事など毛ほども怖くなかった。<br> 頂上に立った時でさえ、膝は震えていなかった。<br> <br> 「蒼星石……いま、会いにゆくです」<br> <br> 一足先に蒼星石が滑り降りていったのを見届け、ぺたりと腰を降ろして、直滑降。<br> ――が、予想以上の降下速度に、翠星石は堪らず、悲鳴を上げた。<br> <br> 「ひいぃぃぃ――っ!? そそ、蒼星石ぃ――っ!! …………ふぇぇ」<br> 「ん? いま、姉さんが――って、えぇっ!」<br> <br> 着水直前、翠星石の声を聞いた気がして、蒼星石は水面に頭を出した。<br> 彼女の眼に飛び込んできたのは、もの凄いスピードで滑り落ちてくる姉の姿。<br> しかも、どうやら失神しているらしく、身じろぎひとつしない。<br> 彼女は即座に、人の間を縫って、翠星石の着水場所まで泳いでいった。<br> <br> 豪快に上がった水飛沫とは対照的に、力無く沈んでいく翠星石。<br> 水中で姉の身体を抱きかかえると、蒼星石は近くのプールサイドに泳ぎ着いた。<br> そこには既に、バスタオルを手に、雛苺が待ちかまえていた。<br> 雛苺の手を借りて、デッキチェアまで運んだものの、翠星石が目を覚ます気配はない。<br> <br> 「ど……どうしよう。着水の衝撃で、後頭部とか打ってるんじゃあ――」<br> 「落ち着くのよ、蒼ちゃん。こういう時は、アレしかないのっ!」<br> 「アレって、なに? 電気ショックとか?」<br> 「またまたぁ、ご冗談を。こんな場合には、人工呼吸しかないのよ?」<br> 「じっ…………じ ん こ う こ き ゅ う?! ボクがぁ?」<br> 「他に誰がするの? ガッツだぜっ、なの!」<br> 「…………わ、解ったよ」(ファースト・キスなのに……)<br> <br> 蒼星石は、顔ばかりか全身を紅潮させながら、小さく頷いた。<br> まず、頭を仰け反らせて、気道を確保。そして、翠星石の鼻を摘んで……重ねられる、唇。<br> 雛苺は、にへら……と笑いながら、二人の様子を、携帯電話のデジカメで撮影していた。<br> <br> <br> <br> 程なく、翠星石は何事もなかったかのように目を覚ました。<br> そして、すぐ隣で頬を上気させ、モジモジしている妹の姿を認めると――<br> 少し躊躇した後、半身を起こし、意を決して話しかけた。<br> <br> 「蒼星石…………さっきは悪かったです。私……ホントは、すごく不安だった。<br>  最近、蒼星石の態度が余所余所しく思えて、とっても寂しかったのです。<br>  それで……構って欲しくて、あんなコトを――」<br> 「姉さんは、昔っから寂しがり屋さんだったからね」<br> <br> 言って、蒼星石は姉の肩に両腕を回して、ギュッ! としがみついた。<br> <br> 「でも――知ってた? ボクも、姉さんに負けないくらい、寂しがりなんだよ。<br>  本当は、弱虫で……そんな自分を変えたくって、外の世界に飛び出したけれど、<br>  やっぱり、ボクは――」<br> 「……蒼星石」<br> 「ねえ。もう少し、このままで…………居させて?」<br> 「ふふっ……とんだ甘えんぼですね、蒼星石は」<br> <br> 翠星石は慈愛に満ちた微笑みを浮かべて、妹の、生乾きの髪を撫でた。<br> <br> 「いいですよ。好きなだけ、居ればいいです」<br> 「うん。温かいね……姉さんって」<br> <br> 居心地よさげに目を細め、蒼星石は幸せな夢想に身を委ねた。<br> やがて、安堵しきった彼女が、健やかな寝息を立て始めるまで、<br> 翠星石は溢れる愛情で、ちょっぴり意地っ張りな、鏡写しの自分を包み込んでいた。<br> <br> <br> ――あらためて、お帰りなさいです。蒼星石…………大好きですよ。<br> <br></p> <hr> <br> 『保守がわり番外編  暗いところで待ち合わせ』<br> <br> 夜更け。道行く人の流れも、疎らになり始めている。<br> 高層ビルが立ち並ぶ街の路地裏に佇む、黒マントの人物が、ひとり。<br> 目深に被った帽子の下には、あどけなさが残る、うら若い娘の顔があった。<br> クライアントに会うため、変装した雛苺だった。<br> やがて、もう一人・・・・・・雛苺の待つ路地裏へと、足早に滑り込んでくる。<br> <br> 雛「依頼のブツが手に入ったの。買い取って欲しいのよ?」<br> <br> これだけ・・・と、雛苺は指を三本、立てた。<br> クライアント――草笛みつ――は、眼鏡の奥で円らな瞳を見開く。<br> <br> み「三万? 随分と、ぼったくるのね。品質は確かなのかしら?」<br> 雛「当然なの。手に入れるために、色々と苦労したのよ」<br> み「・・・・・・ふぅん?」<br> <br> みつは小首を傾げ、猜疑心の強そうな目で、雛苺の顔を覗き込んだ。<br> <br> み「ヒナヒナの手腕を疑う訳じゃないけど、まずは現物の品定めをさせてよ。<br>   『双子姉妹の濡れ場』と言っても、にわか雨でズブ濡れになった写真だったり、<br>   水を引っかけられただけの画像だったらイヤだもの」<br> 雛「ヒナは、そんな“釣り”なんてしないの。でも――そうね。<br>   商売は信用第一。さあ、とくとご覧あれなのよ」<br> み「・・・・・・は、はうあぁぁ。これは――」<br> <br> 感嘆の声をあげて、みつは差し出された携帯電話の画面を、<br> 食い入るように見つめた。<br> <br> ・・・一回で〆られなかったので続く。<br>

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