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「第五十二話 JUMと借り物競争」(2006/09/18 (月) 19:55:24) の最新版変更点
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<p>「一つ屋根の下 第五十二話 ＪＵＭと借り物競争」</p>
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パーーーンっと競技銃の音がする。一年男子の１００Ｍ走だ。女子の方は薔薇姉ちゃんが一位を<br>
勝ち取り、今のトコ。まぁ、第一競技だからだけどうちのクラスがトップだ。<br>
「うぬおおおあああああああああああああああ！！」<br>
空気が震えるほどの掛け声をあげて爆走するのはべジータだ。しっかし、あんだけ声あげてよく走れるよな。<br>
「はぁい、Ｊ・Ｕ・Ｍ♪」<br>
ふと、後ろから背中にマシュマロを当てられる。目の前に白銀の髪がサラサラと流れる。<br>
「銀姉ちゃん……それいい加減やめない？」<br>
「やぁよぉ。ＪＵＭだって好きなくせにぃ。」<br>
いやさ、好きだけど…・ごほんごほん、いやそうじゃなくてクラスメイトの目が痛いんです。<br>
「離れなさい、水銀燈。ＪＵＭは嫌がってるのだわ。」<br>
と、上だけジャージを着た真紅姉ちゃんが救援に来る。果たして救援かは怪しいけどね。<br>
「真紅のおばさかさんは五月蝿いわねぇ。大体、何でジャージ着てるのよぉ。」<br>
「べ、別にいいじゃない。少し肌寒いからだわ。」<br>
真紅姉ちゃん、額に汗滲んでますけども？銀姉ちゃんも分かってる癖に言わない。<br>
「ま、別にどうでもいいわぁ。ね、ＪＵＭ。水銀燈の髪も結ってぇ～。」<br>
「ん？ああ、いいよ。ヘアゴムはある？」<br>
「ないわぁ。そのかわり、これで…ね。ポニーでおねがぁい。」<br>
銀姉ちゃんが差し出したのはハチマキだった。成る程、これで縛るのか。<br>
「ん、分かったよ。じゃあ椅子に座って。」<br>
「はぁい。あ、リボン結びにしてねぇ。」<br>
注文の多い人だ。僕は手馴れた手つきで髪を纏め上げ、キュッとハチマキをリボンにして銀姉ちゃんの髪を<br>
ポニーテールに仕上げる。うん、蒼姉ちゃんみたいにチョコンと出てるのもいいけど、やっぱポニーはこうだな。<br>
「ほい、出来たよ銀姉ちゃん。」<br>
「……ん、ありがとぉ。じゃあ、お礼にお姉ちゃんをあげちゃうわぁ～。」<br>
そう言うと銀姉ちゃんは真正面から僕に抱きついてくる。<br>
「うわぁ、銀姉ちゃんストップぅ！！」</p>
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<p>「いい加減になさい、水銀燈！！」<br>
真紅姉ちゃんが銀姉ちゃんを引き剥がしてくれる。ふぅ、助かった。おや？真紅姉ちゃんの髪が…<br>
「いたぁい、何するのよぉ。あれ？真紅何で髪下ろしてるのよぉ？」<br>
そう、いつの間にか真紅姉ちゃんの髪がストレートになっていた。<br>
「別にいいじゃない。さ、ＪＵＭ。私の髪も結いなさい。」<br>
さも当然のように僕の椅子に座る真紅姉ちゃん。やれやれ、ちょちょいと結いますかね。<br>
「ほい、これでいいっしょ？」<br>
僕は真紅姉ちゃんの髪を何時も通りツインテールに結う。しかし、次の瞬間その髪で鞭のようにはたかれた。<br>
「誰もツインテールなんて言ってないでしょ？私もポニーテールにしなさい。」<br>
「いってぇ……初めからそう言えよなぁ。」<br>
「主人の気持ちも汲み取れないなんて、使えない下僕ね。全く…」<br>
真紅姉ちゃんの気持ち？大体、僕はエスパーじゃありません。でもまぁ、ちゃっちゃとポニーに纏める。<br>
「ほい、ＯＫ。そういえば、銀姉ちゃんは１００Ｍ出ないの？ここにいるって事は出ないんだろうけど。」<br>
「１００Ｍは出ないわねぇ。次の２００Ｍに出るのよぉ。でも憂鬱だわぁ。」<br>
「……上出来よ、ＪＵＭ。水銀燈、貴方走るの早いじゃないの。それとも何かしら、優勝する気なくなった？」<br>
いや、それはないでしょ。銀姉ちゃんに限らず姉ちゃん達は景品がかかってるから勝つ気満々だ。<br>
運動場が歓声に包まれる。お、蒼姉ちゃんが１００Ｍ余裕で一位になってるや。<br>
銀姉ちゃんは真紅姉ちゃんに向かってニヤリと笑うと無駄に胸を突き出していった。<br>
「だってぇ、胸が揺れて走りにくいんだものぉ。真紅みたいなら走りやすくてよかったのにぃ。」<br>
「なっ！！わ、私だって走りにく……」<br>
「はい、ダウトー。今この場でジャンプしてみなさいよぉ。こんな風に。」<br>
銀姉ちゃんがピョンと飛び跳ねる。すると、ぷるんと体操服越しに胸が揺れる。<br>
「うぅ……」<br>
真紅姉ちゃんがガックリと膝をついてる。完全敗北だなぁ。<br>
「ふふっ、じゃあそんな訳だからぁ。ＪＵＭ、２００Ｍのお姉ちゃん応援しなきゃやぁよぉ。」<br>
銀姉ちゃんがプラプラ手を振りながら集合場所へ行く。真紅姉ちゃんはブツブツ呟いていた。<br>
「胸が揺れて走りにくい……？くっ、この世にそんな理由があるだなんて……」<br>
うん、とりあえず聞こえなかった事にしよう。</p>
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さて、競技は進みついに僕の借り物競争の番がやって来た。<br>
「ＪＵＭ！頼むぞ！一応色々取り揃えてはあるからな。」<br>
「ＪＵＭ……勝っても負けても……キスしてあげる。」<br>
薔薇姉ちゃん、それどうしろと？まぁ、一応勝つ気ではいるけどね。<br>
「頑張れよ桜田！！先生、超応援するからな！！」<br>
超とか言うなブルマ。いい加減、せめて短パンに変えてくれ。僕はクラスの声援を受けながら競技に挑む。<br>
『借り物競争の説明をします。制限時間は５分です。特別ルールとして、最初に選んだ紙以外は選べ<br>
ません。つまり、上手く手に入りそうな紙を選ぶ運が必要です。制限時間内にゴールできなかったクラスは<br>
失格となります。それでは、一年生からはじめます。』<br>
ふむ……つまり、足の速さよりも早く、しかも必ずゲットできそうな紙を選ばないとゴールすら出来ない訳か。<br>
ライバルを見れば、そんなに運動の出来そうな奴はいない。これなら、僕でも何とかなりそうだ。<br>
「位置について……ヨーーーイ！！」<br>
「ＪＵＭ君、頑張ってぇ～！」<br>
「ＪＵＭ、頑張るかしら～～～！！」<br>
「お昼御飯の時間はまだですの？」<br>
姉ちゃん達の声が聞こえる。そして、次の瞬間発砲音が空に響く。僕は同時に駆け出した。<br>
体が風を切る。前に二人。大丈夫、これは運の勝負だ。早く紙をとっても無理難題なら意味がない。<br>
「はぁはぁはぁはぁ……これだ！！」<br>
僕は３番目に紙の所につくと、勘で紙を取る。そして、それを広げる。<br>
「……………マジ………？」<br>
真っ白な紙の中央。そこには『ブルマ』と書かれてあった。<br>
ブルマ？ちょっと待て、うちはハーフパンツだぞ。あるわけないじゃ……そこで、僕は思い出したくない事を<br>
思い出してしまった。<br>
「JUM！？どうした、こっちへ来い！！」<br>
べジータが応援席から僕を呼ぶ。行きたくない……行ったら……うあああああああ！！！<br>
「JUM！！早く！！来ないとJUMのPCの中を・・・・！！」<br>
それも嫌だぁああ！！僕は地獄の二択を迫られ、結局クラスの席へ向かった。</p>
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<p>「JUM借り物は何だ？見せてみろ！」<br>
僕はべジータに紙を奪い取られる。そして、クラスの目がその紙を見て目を丸くする。<br>
「ブルマだと！そんなんあるわけねえじゃん！」<br>
「そうだよね、うちハーフパンツだし……」<br>
クラス中がザワザワする。しかし……タイムアップして欲しかった僕の願いは届かず奴が目を輝かせて現れた。<br>
「ブルマならあるじゃないか！！ほら、こ・こ♪」<br>
変態がウインクをする。ああ、奴にだけは知られたくなかったのに……<br>
「い、い、い、い、いや、先生がそれを脱ぐと色々不味い……」<br>
「大丈夫だよ、先生セクシーさを出すために、下は穿いてないから♪」<br>
「余計ダメだーーーー！！うわぁ、脱ぎだした！！みんなで先生抑えるんだああ！！」<br>
最早大暴動な我がクラス。校長、教師ってこれでいいんですか？<br>
「うわぁ！？みんな、勝ちたくないのかい？先生、勝利のためならブルマの一つや二つ……」<br>
「そんな勝利は嫌だあああ！！！」<br>
確かに嫌だ。他のクラスにブルマ優勝とか、穿いてない優勝とか言われそうだ。<br>
「しかし……どうする？もう時間が……」<br>
他のクラスも手間取ってるらしく、ゴールした人はいない。そんな時救世主が現れた。<br>
「JUM……これ……」<br>
薔薇姉ちゃんが出したのはブルマだった。<br>
「え……何で薔薇姉ちゃんが持ってるの？」<br>
「JUMが好きって言ったら穿こうかなと思って……でも、役にたった……」<br>
満足気な薔薇姉ちゃん。ああ、確かに前話にそんな事言ってたな。<br>
「でも、これで一位が狙える！！ありがとう、薔薇姉ちゃん！」<br>
僕はそのブルマを手渡されゴールに向かおうとする。が……手がホンノリ温かいのに気づいた。<br>
「………ねぇ、薔薇姉ちゃん。何でこれホンノリ温かいの？」</p>
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<p>すると、薔薇姉ちゃんは顔を赤く染めて言った。<br>
「……さっきまで……穿いてたから……」<br>
……もしかして、さっきに梅岡騒動の時に脱いだのか？だとしたら、体温が生々し過ぎる…<br>
「うおおお！！桜田、それよこせえええ！！！」<br>
「そうだ、JUM！！悪いようにはしない！噛んだり、ハミハミしたりするだけだああ！！」<br>
「俺は被るだけだ！！だから貸せエエエエ！！！」<br>
「何だ、みんなブルマが欲しいならほら。先生がいますぐ脱ぐぞ！脱ぎたてホヤホヤさ！」<br>
「あ、アホかーーー！！」<br>
僕はアホなクラスの男子を掻い潜り、ゴールへ向かって走る。いけるか！？<br>
「JUM！！来てるぞ！！走れ！！」<br>
後ろを見れば、眼鏡を持った奴が僕を抜こうと走ってくる。眼鏡って簡単すぎないか？もしかしたら、今時<br>
クラスメイトは目がいい、優良クラスだったのか？やべ、考え事してる場合じゃない。せっかくトップでいけそう<br>
なんだ！！ここで負けたら男じゃない！僕の目にはもう、ゴールテープしか見えない。後ろからプレッシャーを<br>
感じる。でも、それに屈するわけにはいかない。僕はゴールに向かって、体を突っ込ませた。<br>
「……はい、ちゃんとブルマだね。一位！！１－D！！」<br>
１－D……つまり、うちのクラスだ。てことは……勝てた？<br>
「うおあああああ！！JUM、よくやったああああ！！！」<br>
クラスから歓声が沸き起こる。どうやら、勝てたようだ。心臓が高鳴る。何か、こんな一生懸命走ったのも<br>
久しぶりだな。体が痛くなりそうだ。でも……それも悪くないかな。<br>
END</p>
