「第四十四話 JUMとオープニングセレモニー」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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「一つ屋根の下 第四十五話 JUMとオープニングセレモニー」</p>
<br>
<br>
<p>「いよいよ、今日から学校祭ねぇ~。」<br>
学校祭一日目の朝、銀姉ちゃんが言う。ああ、ようやくって感じだなぁ。<br>
「そういえば、姉ちゃん達アリスゲームっての出るんだよね?薔薇姉ちゃんと銀姉ちゃんが出るの?」<br>
先日、べジータが言ってた事を思い出す。アリスゲームは学校祭のオープニングセレモニーの一つで、今日<br>
あったはずだ。まぁ、ミスコンみたいなのに、真紅姉ちゃんや蒼姉ちゃんが出るとも思えない。<br>
「……ごめん、僕も出る。というか、姉妹はみんな出る……」<br>
ほらね、翠姉ちゃん辺りも恥ずかしがりだから……って…えええええ!!!??<br>
「ちょ、まっ!!みんな出るって!?」<br>
「そうなのだわ。私も出るわ。何せ……アリスの称号を手に入れたものには……もれなくJUMが付いて来る<br>
のだもの。アリスゲームに出なければ姉妹に好き放題にされるJUMを見るだけなのだわ。」<br>
……ええっと?もしかして、今回もまた僕を景品に?<br>
「まぁ、一日だけだけどねぇ。それでも、一日あればJUMを完全に自分のものに出来るものねぇ。」<br>
恐らく今回の扇動者がニヤリと笑いながら言う。<br>
「そ、そんなのは僕は聞いてない……」<br>
「うん……ギリギリまで言わないって……みんなで約束したから…言ってないよ…」<br>
どうして妙なところで団結するかなぁ?<br>
「えっと…僕に権利は?」<br>
「ないかしらー!あ、姉妹がアリスになれなかった時に限りJUMは何もないかしら。そんな事はないだろうけど…」<br>
うん、確かにないだろうなぁ……父さん、母さん。もしかしたら、案外早いうちに孫が見れるかもしれません。</p>
<br>
<p>
さて、そんな鬱な僕も今は体育館の椅子に座っている。そう、学校祭のオープニングセレモニーだ。<br>
午前中も丸々使ってアリスゲームや、音楽部の演奏などをやるとか。お?壇上に校長が……<br>
「おほん、おはよう諸君。遂に君達の待ち望んだ学校祭がはじまる…堅い話は無しにして早速始めようか。<br>
まずは、我が校伝統のアリスゲームからだ!それでは、司会のべジータ君。よろしく頼む。」<br>
お、本当に話が短い。話の分かる校長だ。体育館のライトが消え、舞台にパッとライトが当たる。すると、<br>
マイクを持ったべジータがそこにはいた。<br>
「……最強のアリスを見たいかーーーーーーー!!!!」<br>
『オオオオオーーーーーーーーー!!!!』<br>
体育館が揺れるくらいの歓声が聞こえる。<br>
「俺もだ……俺もだみんな……全選手入場!!!」<br>
どっかのトーナメントみたいな展開だな、これ。ベジータの紹介と共に、アリス候補が一人ずつ出てくる。<br>
「心臓病でも生きていたぁ!その歌声にさらなる磨きをかけ、歌姫!!3-E、柿崎めぐだぁあああ!!」<br>
トップバッターはめぐ先輩だ。ライトに先輩の鮮やかな黒髪が映える。そういえば、歌が上手いとか何とか。<br>
「真のツンデレを知らしめたい!!2-C、翠星石だああああ!!!」<br>
いや、翠姉ちゃんは多分自覚ないし。べジータが紹介文考えてたら張っ倒されるな。<br>
「フードファイトは全階級制覇なら、アリスゲームも制覇。アリスは私のものだ。1-C、雪華綺晶だああ!!」<br>
うん、理屈はメチャクチャだよね、それ。フードファイトとアリス関係なくないか?<br>
「全アリス候補のベスト・萌えは僕の中にある!僕っ子の神様が来た!!2-C、蒼星石だあああ!!!」<br>
うわ、ベジータの趣味入りまくり。蒼姉ちゃん、舞台で赤くなりすぎ。<br>
「策なら絶対に敗けん!カナの策みせたる!!策士、3-B金糸雀だあああ!!!」<br>
……カナ姉ちゃん、投票に何か策を弄すんだろうか……やりそうだ。景品が景品なだけに。<br>
「バーリ・トゥード(何でもあり)ならこいつが怖い!!ピュアガール、1-B、雛苺だあああ!!!」<br>
まぁ、確かにある意味ヒナ姉ちゃんは怖いね。何しでかすか分からないし……</p>
<br>
<p>
「冥土の土産にアリスとはよく言ったもの!老婆の魅力が今、舞台で爆発する!家庭科教師、柴崎マツだ!」<br>
ええええええ!!?アリス候補って何でもありか?<br>
「萌えさせたいからここまで来たっ!頭の中は一切不明!ラプラスの看板メイド、1-D、薔薇水晶だあ!!」<br>
あー、確かに薔薇姉ちゃんて何考えてるか分からないもんね。<br>
「目元がエロォォォォォイ!!説明不要!クールな目付き、左目下の泣き黒子!1-B、柏葉巴だあああ!」<br>
いや、説明不要って思いっきり説明してるじゃん。何か、ツッコミ疲れてきた……<br>
「クラスの勧めで舞台へ来たっ!1-D、桑田由奈だあああ!!!」<br>
お、桑田さんだ。しかし、この面子でも見劣りしないのって凄いよなぁ。<br>
「生徒の前なら僕はいつでも現役だ!燃える教師、梅岡だああ!!男なのに登場だ!」<br>
……………もういいよ、うん……アリスってその程度なんだね…<br>
「誇り高さはどーしたっ!アリスへの炎未だ消えず!アメもムチも思いのまま!1-A、真紅だあああ!!」<br>
真紅姉ちゃんはアメとムチの使い分けが上手いよなぁ……べジータは何で知ってるんだろう……<br>
「特に理由はない!みっちゃんに萌えるのは当たり前!年齢は内緒だ!アリス高校OG、草笛みつだ!!」<br>
あー、何かさっきからキャーキャー言いながらカメラ撮ってる人が居ると思えば……元気だな…<br>
「美しきアリスが帰ってきたっ!どこへ行っていたんだ!アリスッ!俺たちは君を待っていた!水銀燈だああ!」<br>
最後に、銀姉ちゃんが出てくる。それと同時に大きな歓声が沸きあがる。<br>
『ありがとおおおお!!!最高だーーーーーー!!!』<br>
で……アリス候補は出揃ったけど、どうやってアリス決めるんだ?<br>
「さて、今回出揃ったアリス候補は14人!この中から諸君らの投票でアリスを決める!投票最終受付<br>
は明後日の12時。それまでに、文化祭内で彼女らの行動を見て、アリスにもっとも相応しいと思う候補に<br>
票を投じてくれ!!アリスは我が校の伝統!間違ってもふざけて投票しないように!」<br>
なら、二人ほど初めから除外しとけよ。特に男の方……<br>
「それじゃあ、セレモニーだ!音楽部の演奏を聴いてくれ!!」<br>
べジータが候補を退場させ、次に進める。ああ、カナ姉ちゃんは残ったままだな。</p>
<br>
<p>「ただいま……」<br>
音楽部の演奏の最中に、薔薇姉ちゃんが帰ってくる。<br>
「おかえり。緊張した?」<br>
「うん、少しだけ……蒼星石も顔真っ赤でバクバクしてたよ……」<br>
何となく想像できるな。蒼姉ちゃんは紹介文も恥ずかしかったしね。舞台の前でみっちゃんさんがキャーキャー<br>
言いながらカナ姉ちゃんの晴れ姿を撮り捲ってる。元気だなぁ、あの人。<br>
「みなさん、聴いてくれて有難うかしら!さて、最後に音楽部とアリス高校の歌姫のコラボ、いっちゃうかしら。<br>
めぐ、よろしくお願いかしらー!それじゃあ……聴いてください…『瞬』……」<br>
カナ姉ちゃんにライトが当たり、喋ったと思えば今度は真っ暗になる。そして、再びライトが当たる。<br>
そこに居たのはめぐ先輩だった。舞台衣装なんだろうか。制服ではない。<br>
「♪夢は風 光導く 空と蜘蛛を超えてゆく あなたの声 響け ♪」<br>
静かに音楽と歌声が体育館内に響いていく。少し騒がしかった体育館が一瞬で静まり返る。<br>
みんな、演奏と歌に酔いしれていた。薔薇姉ちゃんが隣で小さく体を揺らしている。<br>
「♪ 瞬の内に込めて すがる気持ち捨てて 全て思い繋げ ♪」<br>
静かに曲が終わる。めぐ先輩が舞台でペコリと頭を下げる。すると、怒涛の歓声があがった!!<br>
「……綺麗な歌声だったね……凄い…」<br>
薔薇姉ちゃんが隣でボソリと言う。成る程、こんな感じでアリス決まっていくわけか。<br>
聞こえる声は、めぐ先輩とカナ姉ちゃんに入れようとか、そんな声ばかりだった。<br>
「素晴らしい演奏だったな!この演奏でオープニングセレモニーは終了だ!みんあ教室に戻り、クラスの<br>
出し物の準備をして欲しい。それじゃあ、アリスゲームの結果発表で会おうぜ!!」<br>
べジータが爽やかに決める。さて、こっからは僕等の出番だな。</p>
<br>
<p>「おい、その看板もうちょい傾けて!!」<br>
「女子が制服に着替えるから男子は廊下出てー!」<br>
「そろそろ調理始めるか。一般客もそろそろ入ってくるぞ!!」<br>
教室が慌しい。とりあえず、僕の店番は今日はない。午後からは自由に回れるわけだ。<br>
「……JUM……一緒に回りたいけど…残念…」<br>
制服に着替えた薔薇姉ちゃんが出てくる。自分で言うのも何だが、制服は良い出来だ。<br>
薔薇姉ちゃんは看板メイドって事で、今日は全く動けない。<br>
「うん、でも明日や明後日もあるしさ。そしたら、一緒に回ろうよ。」<br>
「うん……約束……」<br>
薔薇姉ちゃんが納得したように店に戻っていく。さて、僕は回ろうかな……そう思ってると後ろから制服の裾<br>
を引っ張られた。<br>
「JUM、貴方暇そうね?」<br>
目線を少し下げると金髪のツインテールが出てきた。真紅姉ちゃんだ。<br>
「うん、僕は今日は当番じゃないしね。」<br>
「そう、なら私と回りましょう。人が多すぎるから主人を護衛するのも下僕の役目でしょう?」<br>
有無を言わさず僕を引っ張っていく真紅姉ちゃん。<br>
「はいはい、分かりましたよお姫様。それじゃあ、適当に回ろうか。」<br>
僕が歩き出そうとする。しかし、何故か真紅姉ちゃんは着いてこない。<br>
「真紅姉ちゃん?どうしたの?」<br>
「JUM……貴方が迷子にならないように手を繋いであげるのだわ。有難く思いなさい。」<br>
真紅姉ちゃんがスッと小さい手を差し出してくる。僕はプッと笑うとその手を握った。<br>
「よし、じゃあ行こうか真紅姉ちゃん。」<br>
僕と真紅姉ちゃんが手を繋いで歩く。さて、どこから行こうかな……<br>
END</p>
<p>「一つ屋根の下 第四十五話 JUMとオープニングセレモニー」</p>
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学校祭一日目の朝、銀姉ちゃんが言う。ああ、ようやくって感じだなぁ。<br />
「そういえば、姉ちゃん達アリスゲームっての出るんだよね?薔薇姉ちゃんと銀姉ちゃんが出るの?」<br />
先日、べジータが言ってた事を思い出す。アリスゲームは学校祭のオープニングセレモニーの一つで、今日<br />
あったはずだ。まぁ、ミスコンみたいなのに、真紅姉ちゃんや蒼姉ちゃんが出るとも思えない。<br />
「……ごめん、僕も出る。というか、姉妹はみんな出る……」<br />
ほらね、翠姉ちゃん辺りも恥ずかしがりだから……って…えええええ!!!??<br />
「ちょ、まっ!!みんな出るって!?」<br />
「そうなのだわ。私も出るわ。何せ……アリスの称号を手に入れたものには……もれなくJUMが付いて来る<br />
のだもの。アリスゲームに出なければ姉妹に好き放題にされるJUMを見るだけなのだわ。」<br />
……ええっと?もしかして、今回もまた僕を景品に?<br />
「まぁ、一日だけだけどねぇ。それでも、一日あればJUMを完全に自分のものに出来るものねぇ。」<br />
恐らく今回の扇動者がニヤリと笑いながら言う。<br />
「そ、そんなのは僕は聞いてない……」<br />
「うん……ギリギリまで言わないって……みんなで約束したから…言ってないよ…」<br />
どうして妙なところで団結するかなぁ?<br />
「えっと…僕に権利は?」<br />
「ないかしらー!あ、姉妹がアリスになれなかった時に限りJUMは何もないかしら。そんな事はないだろうけど…」<br />
うん、確かにないだろうなぁ……父さん、母さん。もしかしたら、案外早いうちに孫が見れるかもしれません。</p>
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<p>さて、そんな鬱な僕も今は体育館の椅子に座っている。そう、学校祭のオープニングセレモニーだ。<br />
午前中も丸々使ってアリスゲームや、音楽部の演奏などをやるとか。お?壇上に校長が……<br />
「おほん、おはよう諸君。遂に君達の待ち望んだ学校祭がはじまる…堅い話は無しにして早速始めようか。<br />
まずは、我が校伝統のアリスゲームからだ!それでは、司会のべジータ君。よろしく頼む。」<br />
お、本当に話が短い。話の分かる校長だ。体育館のライトが消え、舞台にパッとライトが当たる。すると、<br />
マイクを持ったべジータがそこにはいた。<br />
「……最強のアリスを見たいかーーーーーーー!!!!」<br />
『オオオオオーーーーーーーーー!!!!』<br />
体育館が揺れるくらいの歓声が聞こえる。<br />
「俺もだ……俺もだみんな……全選手入場!!!」<br />
どっかのトーナメントみたいな展開だな、これ。ベジータの紹介と共に、アリス候補が一人ずつ出てくる。<br />
「心臓病でも生きていたぁ!その歌声にさらなる磨きをかけ、歌姫!!3-E、柿崎めぐだぁあああ!!」<br />
トップバッターはめぐ先輩だ。ライトに先輩の鮮やかな黒髪が映える。そういえば、歌が上手いとか何とか。<br />
「真のツンデレを知らしめたい!!2-C、翠星石だああああ!!!」<br />
いや、翠姉ちゃんは多分自覚ないし。べジータが紹介文考えてたら張っ倒されるな。<br />
「フードファイトは全階級制覇なら、アリスゲームも制覇。アリスは私のものだ。1-C、雪華綺晶だああ!!」<br />
うん、理屈はメチャクチャだよね、それ。フードファイトとアリス関係なくないか?<br />
「全アリス候補のベスト・萌えは僕の中にある!僕っ子の神様が来た!!2-C、蒼星石だあああ!!!」<br />
うわ、ベジータの趣味入りまくり。蒼姉ちゃん、舞台で赤くなりすぎ。<br />
「策なら絶対に敗けん!カナの策みせたる!!策士、3-B金糸雀だあああ!!!」<br />
……カナ姉ちゃん、投票に何か策を弄すんだろうか……やりそうだ。景品が景品なだけに。<br />
「バーリ・トゥード(何でもあり)ならこいつが怖い!!ピュアガール、1-B、雛苺だあああ!!!」<br />
まぁ、確かにある意味ヒナ姉ちゃんは怖いね。何しでかすか分からないし……</p>
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<p>「冥土の土産にアリスとはよく言ったもの!老婆の魅力が今、舞台で爆発する!家庭科教師、柴崎マツだ!」<br />
ええええええ!!?アリス候補って何でもありか?<br />
「萌えさせたいからここまで来たっ!頭の中は一切不明!ラプラスの看板メイド、1-D、薔薇水晶だあ!!」<br />
あー、確かに薔薇姉ちゃんて何考えてるか分からないもんね。<br />
「目元がエロォォォォォイ!!説明不要!クールな目付き、左目下の泣き黒子!1-B、柏葉巴だあああ!」<br />
いや、説明不要って思いっきり説明してるじゃん。何か、ツッコミ疲れてきた……<br />
「クラスの勧めで舞台へ来たっ!1-D、桑田由奈だあああ!!!」<br />
お、桑田さんだ。しかし、この面子でも見劣りしないのって凄いよなぁ。<br />
「生徒の前なら僕はいつでも現役だ!燃える教師、梅岡だああ!!男なのに登場だ!」<br />
……………もういいよ、うん……アリスってその程度なんだね…<br />
「誇り高さはどーしたっ!アリスへの炎未だ消えず!アメもムチも思いのまま!1-A、真紅だあああ!!」<br />
真紅姉ちゃんはアメとムチの使い分けが上手いよなぁ……べジータは何で知ってるんだろう……<br />
「特に理由はない!みっちゃんに萌えるのは当たり前!年齢は内緒だ!アリス高校OG、草笛みつだ!!」<br />
あー、何かさっきからキャーキャー言いながらカメラ撮ってる人が居ると思えば……元気だな…<br />
「美しきアリスが帰ってきたっ!どこへ行っていたんだ!アリスッ!俺たちは君を待っていた!水銀燈だああ!」<br />
最後に、銀姉ちゃんが出てくる。それと同時に大きな歓声が沸きあがる。<br />
『ありがとおおおお!!!最高だーーーーーー!!!』<br />
で……アリス候補は出揃ったけど、どうやってアリス決めるんだ?<br />
「さて、今回出揃ったアリス候補は14人!この中から諸君らの投票でアリスを決める!投票最終受付<br />
は明後日の12時。それまでに、文化祭内で彼女らの行動を見て、アリスにもっとも相応しいと思う候補に<br />
票を投じてくれ!!アリスは我が校の伝統!間違ってもふざけて投票しないように!」<br />
なら、二人ほど初めから除外しとけよ。特に男の方……<br />
「それじゃあ、セレモニーだ!音楽部の演奏を聴いてくれ!!」<br />
べジータが候補を退場させ、次に進める。ああ、カナ姉ちゃんは残ったままだな。</p>
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<p>「ただいま……」<br />
音楽部の演奏の最中に、薔薇姉ちゃんが帰ってくる。<br />
「おかえり。緊張した?」<br />
「うん、少しだけ……蒼星石も顔真っ赤でバクバクしてたよ……」<br />
何となく想像できるな。蒼姉ちゃんは紹介文も恥ずかしかったしね。舞台の前でみっちゃんさんがキャーキャー<br />
言いながらカナ姉ちゃんの晴れ姿を撮り捲ってる。元気だなぁ、あの人。<br />
「みなさん、聴いてくれて有難うかしら!さて、最後に音楽部とアリス高校の歌姫のコラボ、いっちゃうかしら。<br />
めぐ、よろしくお願いかしらー!それじゃあ……聴いてください…『瞬』……」<br />
カナ姉ちゃんにライトが当たり、喋ったと思えば今度は真っ暗になる。そして、再びライトが当たる。<br />
そこに居たのはめぐ先輩だった。舞台衣装なんだろうか。制服ではない。<br />
「♪夢は風 光導く 空と蜘蛛を超えてゆく あなたの声 響け ♪」<br />
静かに音楽と歌声が体育館内に響いていく。少し騒がしかった体育館が一瞬で静まり返る。<br />
みんな、演奏と歌に酔いしれていた。薔薇姉ちゃんが隣で小さく体を揺らしている。<br />
「♪ 瞬の内に込めて すがる気持ち捨てて 全て思い繋げ ♪」<br />
静かに曲が終わる。めぐ先輩が舞台でペコリと頭を下げる。すると、怒涛の歓声があがった!!<br />
「……綺麗な歌声だったね……凄い…」<br />
薔薇姉ちゃんが隣でボソリと言う。成る程、こんな感じでアリス決まっていくわけか。<br />
聞こえる声は、めぐ先輩とカナ姉ちゃんに入れようとか、そんな声ばかりだった。<br />
「素晴らしい演奏だったな!この演奏でオープニングセレモニーは終了だ!みんあ教室に戻り、クラスの<br />
出し物の準備をして欲しい。それじゃあ、アリスゲームの結果発表で会おうぜ!!」<br />
べジータが爽やかに決める。さて、こっからは僕等の出番だな。</p>
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<p>「おい、その看板もうちょい傾けて!!」<br />
「女子が制服に着替えるから男子は廊下出てー!」<br />
「そろそろ調理始めるか。一般客もそろそろ入ってくるぞ!!」<br />
教室が慌しい。とりあえず、僕の店番は今日はない。午後からは自由に回れるわけだ。<br />
「……JUM……一緒に回りたいけど…残念…」<br />
制服に着替えた薔薇姉ちゃんが出てくる。自分で言うのも何だが、制服は良い出来だ。<br />
薔薇姉ちゃんは看板メイドって事で、今日は全く動けない。<br />
「うん、でも明日や明後日もあるしさ。そしたら、一緒に回ろうよ。」<br />
「うん……約束……」<br />
薔薇姉ちゃんが納得したように店に戻っていく。さて、僕は回ろうかな……そう思ってると後ろから制服の裾<br />
を引っ張られた。<br />
「JUM、貴方暇そうね?」<br />
目線を少し下げると金髪のツインテールが出てきた。真紅姉ちゃんだ。<br />
「うん、僕は今日は当番じゃないしね。」<br />
「そう、なら私と回りましょう。人が多すぎるから主人を護衛するのも下僕の役目でしょう?」<br />
有無を言わさず僕を引っ張っていく真紅姉ちゃん。<br />
「はいはい、分かりましたよお姫様。それじゃあ、適当に回ろうか。」<br />
僕が歩き出そうとする。しかし、何故か真紅姉ちゃんは着いてこない。<br />
「真紅姉ちゃん?どうしたの?」<br />
「JUM……貴方が迷子にならないように手を繋いであげるのだわ。有難く思いなさい。」<br />
真紅姉ちゃんがスッと小さい手を差し出してくる。僕はプッと笑うとその手を握った。<br />
「よし、じゃあ行こうか真紅姉ちゃん。」<br />
僕と真紅姉ちゃんが手を繋いで歩く。さて、どこから行こうかな……<br />
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