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「翠星石の遊戯王OCG講座 ③」(2006/08/07 (月) 00:50:33) の最新版変更点
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真紅と翠星石は寮の外に出て、デュエルアカデミア指定の決闘盤を左腕に装着した。<br>
従来の決闘盤の鋭角的なシルエットとはまた一味違った、丸みを帯びたフォルムが<br>
特徴的な決闘盤である。“あの”コーポレーションの最新版だ。<br>
両者10mの距離をとり、決闘盤にデッキをセットし戦闘モードへ移行する。<br>
<br>
「ルールはエキスパートルール、ライフは4000! いいですね、真紅?」<br>
「いいのだわ。ルールならしっかりと記憶していてよ」<br>
<br>
真紅と翠星石は、決闘盤にセットしたデッキから、手札として5枚のカードを引いた。<br>
真紅の手札は以下の通り。<br>
<br>
手札:洞窟に潜む竜 サファイアドラゴン ドル・ドラ 最終突撃命令 サイクロン<br>
<br>
「私が先手を取らせてもらうのだわ。ドロー!」<br>
<br>
つ スタンピング・クラッシュ<br>
<br>
悪い手札ではない。まずは≪洞窟に潜む竜≫を裏守備で壁として出し、相手の出方に<br>
よって≪サイクロン≫で伏せカードを除去し、≪サファイアドラゴン≫で攻める。この手札で<br>
攻めていくならこういう感じだろう。<br>
真紅は決闘盤に≪洞窟に潜む竜≫を裏守備でセットした。<br>
<br>
「私は裏守備でモンスターをセットし、ターンエンドなのだわ」<br>
「じゃ、翠星石のターンですぅ。ドロー!」<br>
<br>
翠星石はドローカードを確認すると、手札からモンスターカードをセットした。<br>
場に、メタリックなボディの機械のドラゴンが姿を現す。<br>
<br>
「≪サイバー・ドラゴン≫を特殊召喚するですぅ!」<br>
「★5のモンスターを生け贄なしで……? 翠星石、ルール違反ではなくて?」<br>
「あ、真紅はサイドラも知らなかったんですか……。簡単に言うと、相手の場にモンスター<br>
がいて、自分の場にモンスターがいない時、手札から特殊召喚出来るんですぅ」<br>
<br>
≪サイバー・ドラゴン≫<br>
星5/光属性/機械族/攻2100/守1600<br>
相手フィールド上にモンスターが存在し、<br>
自分フィールド上にモンスターが存在していない場合、<br>
このカードは手札から特殊召喚する事ができる。<br>
<br>
「今の環境では、どのデッキにも2~3枚は入る余地のあるスーパーアタッカーですね。<br>
そして、モンスターを裏守備でセットし、バトルフェイズ突入ですぅ!」<br>
<br>
サイバー・ドラゴン 攻2100 vs 洞窟に潜む竜
守2000<br>
<br>
真紅 LP4000<br>
<br>
「ターンエンドですぅ」<br>
<br>
真紅 LP4000 場:なし<br>
翠星石 LP4000 場:サイバー・ドラゴン 裏守備×1<br>
<br>
「やってくれるわね、翠星石……私のターン、ドロー!」<br>
<br>
つ 攻撃の無力化<br>
<br>
「(このターンはこれで凌ぐしかないわね……)<br>
モンスター(サファイアドラゴン)を裏守備でセットし、更に場にカードを一枚伏せて、<br>
ターンエンドよ」<br>
「翠星石のターン、ドロー! このターンのメインフェイズで裏守備モンスターを生け贄に<br>
捧げ、≪雷帝ザボルグ≫を召喚するですぅ!」<br>
「上級効果モンスター……どんな効果なの?」<br>
「このカードは、生け贄召喚に成功した時、場のモンスター1体を破壊出来るんですぅ」<br>
<br>
≪雷帝ザボルグ≫<br>
効果モンスター<br>
星5/光属性/雷族/攻2400/守1000<br>
このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上のモンスター1体を破壊する<br>
<br>
「ザボルグのモンスター効果でその裏守備モンスターを破壊するですぅ!」<br>
<br>
裏守備のサファイア・ドラゴンにザボルグの死の雷が下り、木っ端微塵に破壊された。<br>
<br>
「サファイアドラゴンが……!」<br>
「壁モンスターもいなくなった事ですし、真紅に総攻撃ですぅ! バトルフェイズに突入!<br>
サイバー・ドラゴンでダイレクトアタックですぅ!」<br>
「させないのだわ! 罠カード発動、≪攻撃の無力化≫!」<br>
<br>
≪攻撃の無力化≫<br>
カウンター罠<br>
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。<br>
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。<br>
<br>
「サイバー・ドラゴンの攻撃を無効にし、このターンのバトルフェイズを終了するのだわ!」<br>
「なかなかやるですね、真紅。翠星石は場にカードを一枚伏せ、ターンエンドですぅ」<br>
「……私のターンなのだわ」<br>
<br>
真紅 LP4000 場:なし<br>
伏せ:なし<br>
翠星石 LP4000 場;サイバー・ドラゴン 雷帝ザボルグ<br>
伏せ:1枚<br>
<br>
何とかこのターンは凌いだが、劣勢であるには違いない。ライフは互角だが、翠星石の<br>
場には攻撃力2000以上の上級モンスターが2体もいる。伏せカードも恐らくは罠だ。<br>
翻って、こちらの場にはモンスターも伏せカードもない。<br>
<br>
(今の私の手札は4枚……起死回生のカードはないのだわ)<br>
<br>
起死回生のカードを引き当てる事を祈って、真紅はカードをドローした。<br>
<br>
つ 天使の施し<br>
<br>
「(手札入れ替えカード……よし、今はこれに賭けるのだわ)<br>
私は手札から≪天使の施し≫を発動! カードを3枚引き、2枚捨てるのだわ」<br>
<br>
≪天使の施し≫<br>
通常魔法<br>
デッキからカードを3枚ドローし、その後手札からカードを2枚捨てる。<br>
<br>
つ アックス・ドラゴニュート 強奪 ならず者傭兵部隊<br>
<br>
手札:ドル・ドラ 最終突撃命令 サイクロン スタンピング・クラッシュ <br>
アックス・ドラゴニュート 強奪 ならず者傭兵部隊<br>
<br>
「私は≪スタンピング・クラッシュ≫と≪最終突撃命令≫を捨てるのだわ。<br>
そして、手札から≪サイクロン≫を発動! 伏せカードを破壊するのだわ!」<br>
<br>
≪サイクロン≫<br>
速攻魔法<br>
フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。<br>
<br>
立体映像によって具現化した≪サイクロン≫のカードから暴風が吹き荒れ、翠星石の<br>
場の伏せカードを吹き飛ばし、粉砕する。<br>
<br>
「翠星石の場の伏せカードは≪聖なるバリア―ミラーフォース≫ですぅ……。<br>
なかなかいい読みですよ、真紅」<br>
「褒めても何も出ないわよ、翠星石。更に、手札から≪強奪≫を発動! コントロールを<br>
奪うモンスターは……≪雷帝ザボルグ≫なのだわ!」<br>
<br>
≪強奪≫<br>
装備魔法<br>
このカードを装備した相手モンスターのコントロールを得る。<br>
相手のスタンバイフェイズ毎に、相手は1000ライフポイント回復する。<br>
<br>
立体映像の≪強奪≫カードに描かれた引ったくりがカードから飛び出し、翠星石の場の<br>
ザボルグをカード名通りに『強奪』し、真紅の場にザボルグを置いた。<br>
<br>
「そして、≪ならず者傭兵部隊≫を召喚! 効果発動なのだわ!」<br>
<br>
≪ならず者傭兵部隊≫<br>
効果モンスター<br>
星4/地属性/戦士族/攻1000/守1000<br>
このカードを生け贄に捧げる。フィールド上のモンスター1体を破壊する。<br>
<br>
場に現れた荒くれ者揃いの傭兵達が、サイバー・ドラゴンに飛びかかる。<br>
彼らはサイバー・ドラゴンを道連れに、フィールド上からたちまち消滅した。<br>
<br>
「バトルフェイズに移行! このままザボルグで翠星石にダイレクトアタックなのだわ!」<br>
<br>
ザボルグから放たれた一条の雷が、狙い過たず翠星石を射抜く。<br>
<br>
翠星石 LP4000→1600<br>
<br>
「ターン終了なのだわ」<br>
<br>
真紅 LP4000 場:雷帝ザボルグ(強奪)<br>
翠星石 LP1600 場:なし<br>
<br>
「翠星石のターン、ドロー! ……真紅、今のターンの攻防はなかなかいいですぅ。<br>
流石の翠星石もちょっとビックリしたですよ」<br>
「これが私の実力なのだわ」<br>
「でも、詰めが甘いですぅ……≪強奪≫の効果により、LPを1000ポイント回復ですぅ」<br>
<br>
翠星石 LP1600→2600<br>
<br>
「翠星石は場にカードを2枚伏せ、モンスターを裏守備でセット! ターンエンドですぅ!」<br>
<br>
真紅 LP4000 場:雷帝ザボルグ(強奪)<br>
翠星石 LP2600 場:裏守備×1<br>
伏せ:2枚<br>
<br>
「私のターン、ドロー!」<br>
<br>
つ アームド・ドラゴン LV5<br>
<br>
「雷帝ザボルグを生け贄に、アームド・ドラゴン LV5を召喚するのだわ!<br>
そして私のターンのバトルフェイズ、アームド・ドラゴンで裏守備モンスターを攻撃!」<br>
「裏守備モンスターは≪ピラミッド・タートル≫……アンデッド族のリクルーターですぅ」<br>
<br>
≪ピラミッド・タートル≫<br>
効果モンスター<br>
星4/地属性/アンデット族/攻1200/守1400<br>
このカードが戦闘によって墓地に送られた時、<br>
デッキから守備力2000以下のアンデット族モンスター1体を<br>
フィールド上に特殊召喚する事ができる。その後デッキをシャッフルする。<br>
<br>
「ピラミッド・タートルの効果により、デッキから≪ワイト≫を特殊召喚ですぅ!」<br>
<br>
背にピラミッドを背負った陸亀が破壊され、代わりにガイコツのおばけが出現した。<br>
<br>
≪ワイト≫<br>
通常モンスター<br>
星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200<br>
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。攻撃は弱いが集まると大変。<br>
<br>
「ワ……ワイト?」<br>
「ふふん、驚くのはまだちょっと早いですぅ。ワイトの特殊召喚にチェーンして、場の<br>
伏せカードを発動、≪連鎖破壊≫! 場のワイトと、デッキの中の2枚のワイトを<br>
破壊して墓地に送るですぅ!」<br>
<br>
≪連鎖破壊≫<br>
通常罠<br>
攻撃力2000以下のモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚されたら<br>
発動する事ができる。<br>
そのモンスターのコントローラーの手札とデッキから同名カードを全て破壊する。<br>
その後デッキをシャッフルする。<br>
<br>
場のワイトが爆発し、デッキからもワイトのカードが自動で抜き出された。それらは墓地<br>
に置かれ、翠星石の場は再び空になる。<br>
<br>
「(ワイトに連鎖破壊、一体何が目的なの……?)<br>
バトルフェイズは終了、メインフェイズに出来る事もないし、ターンエンドよ」<br>
「じゃあ翠星石のターン、ドロー! 更に罠カードを発動、≪無謀な欲張り≫!<br>
カードを2枚ドローし、以降のドローフェイズを2回スキップするですぅ」<br>
<br>
≪無謀な欲張り≫<br>
通常罠<br>
カードを2枚ドローし、以後自分のドローフェイズを2回スキップする。<br>
<br>
(ワイトを破壊し、ドローを加速し……何を仕掛けてくる気なの?)<br>
「手札を1枚捨て、手札から≪ライトニング・ボルテックス≫を発動! 真紅の場の<br>
モンスターを一掃するですぅ!」<br>
<br>
≪ライトニング・ボルテックス≫<br>
通常魔法<br>
手札を1枚捨てる。相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。<br>
<br>
場に雷が迸り、アームド・ドラゴンを消し去った。<br>
<br>
「除去カード……アームド・ドラゴンを消して壁にさせないつもりね」<br>
「そう……そして、これが翠星石の切り札ですぅ! ≪ワイトキング≫を召喚!」<br>
<br>
翠星石がカードを決闘盤にセットすると、先程墓地に送られたワイトによく似た、しかし<br>
その身体から放たれる強烈なオーラを纏ったモンスターが出現した。<br>
<br>
≪ワイトキング≫<br>
効果モンスター<br>
星1/闇属性/アンデット族/攻 ?/守 0<br>
このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する「ワイトキング」<br>
「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。<br>
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、<br>
自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体を<br>
ゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。<br>
<br>
「今翠星石の墓地にあるワイトは3枚……攻撃力は3000ね。まだ負けはしないのだわ」<br>
「そう思うのが真紅の浅はかさですぅ。ワイトキングの攻撃力をよく見るですぅ」<br>
<br>
ワイトキング 攻4000<br>
<br>
「よ……4000? まさか!」<br>
「そう、さっきのライボルを使った時コストにしたのが、もう1枚のワイトキングですぅ。<br>
これで翠星石の墓地にはワイトが3枚、そしてワイトキングが1枚存在しているですぅ。<br>
よって、モンスター効果により場のワイトキングの攻撃力は4000となるんですぅ!<br>
さあ、これで一気にとどめですぅ!」<br>
「くっ……私の手札にはワイトキングの攻撃を防ぐカードはないのだわ……」<br>
「バトルフェイズ突入! ワイトキングで真紅にダイレクトアタックですぅ!」<br>
<br>
真紅 LP4000→0<br>
<br>
<br>
<br>
「これで真紅のライフはゼロ、翠星石の勝ちですぅ」<br>
「ワイトに負けたのだわ……ミノタウルスに握り潰されたくせに、屈辱なのだわ」<br>
「真紅ってば分かってないですぅ。遊戯王OCGにおいてはワイト様=神ですぅ」<br>
<br>
翠星石はどうやら、ギャンブラーの上にワイト信者のようである。<br>
しかし、普通は≪青眼の白龍≫辺りのステータスの高いモンスターを切り札にしてくると<br>
思うが、こんなカードを使ってくるとは思いも寄らなかった。遊戯王OCGの世界は、まだま<br>
だ知らない事だらけで、とても奥深い。<br>
<br>
「翠星石、またデュエルしてくれるかしら?」<br>
「勿論ですぅ。真紅とは同室ですし、それに今日からライバルですぅ!」<br>
「ライバル……そうね、私達、ライバルね。よろしく頼むのだわ、翠星石」<br>
<br>
二人は握手し合い、同室の友人兼ライバルの絆をほんの少し固くした。<br>
真紅も、決闘者として、そしてデュエルアカデミアの生徒として、ほんのちょっぴり成長<br>
出来たような気がしていた。<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
<br>
だが……。<br>
この時、真紅も翠星石も、デュエルアカデミアの生徒の誰一人として、これから起こる、<br>
学園に隠された幻のカードを巡る熾烈な戦いを、予想だにしていなかった。<br>
3枚の幻魔のカード……そして、2枚の禁断のカードを巡る戦いを…………。