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ラストプレゼント」(2006/07/27 (木) 16:57:50) の最新版変更点

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<p>弟が死んだ</p> <br> <p>彼はぶっきらぼうで、無茶もよくした。<br> 彼の友人が虐められてる時も、何とかその友人を助けていた。<br> 基本的にイライラしていたけど、其れでいて何処か優しい人だった。</p> <br> <p>「行って来る。」</p> <br> <p>其れが彼の残した、最後の言葉だった。<br> 彼はその日、かつあげされていた子供を助けようとして、頭を打って死んだ。<br> 彼は出血多量で死んだが、助けられた子供は。<br> ジュンが死ぬ直前に、こう言っていたと言っている。</p> <br> <p>「無事でよかったな。」</p> <br> <p>其れが、間接的に聞いた最後の言葉である。<br> 其れを聴いた瞬間、涙が溢れてきた。<br> 怒りではない、喜びと悲しみによる涙だった。<br> 死体は綺麗に拭かれ、安らかに眠ってしか見えなかった。<br> 最初は冗談だと思った、否、思いたかったのかもしれない。<br> けれど其れは、医師の残酷な言葉に打ち壊された。</p> <br> <p> 「仏は、腕の脈をやられてます、2分ぐらい持ちこたえたそうですが・・・」</p> <br> <p> 何も言えなくなった、何も見えなくなった、何も聞こえなくなった。<br> 気が付くと私は、病院のベットで寝ていた。<br> 軽度のショックによる、気絶だそうだ。<br> 私は運んでくれた看護婦に、数回礼を言うと病院を後にした。<br> 一体どんな顔をしていたのだろう。<br> きっと、真っ赤な顔だったんだと思う。<br> 家に帰ると、ベットで泣いた。<br> 朝になるまで、ずっと泣いていた。<br> 朝、親に起こされた、いつの間にか泣き疲れて、寝てしまっていた。<br> 夢であって欲しかった、しかし、妙に重たい体は其れを如実に否定した。<br> 気が付くと、ジュンの葬式は終わり、ジュンの部屋に入ろうとしていた。</p> <br> <p>「ギィ・・・ギギギ・・・バタン。」</p> <br> <p>ドアを開けて、部屋に入った。<br> 後ろから妙に古めかしい、寂れた木の擦れる音と。<br> ドアの閉まる音がした。<br> 此処がジュンの部屋だと思うと、妙に物がこじんまりとして見えた。<br> そして、幻聴が聞こえるような気がした。<br> しかし、気がしただけで、音は聞こえなかった。<br> ふと机に目を移すと、走り書きの手紙が書いてあった。<br> ペリペリと音を立てて、封を開き。<br> パサリと音を立てて、手紙を見た。<br> 其処にはこう描いてあった。</p> <br> <p> 「この手紙を見た人へ・・・もし君がこの手紙を開けるとき。」<br> 「僕は、この世にいないかもしれない。」<br> 「其れは哀しい事なのだろうが、運命がそうと定めるのなら、仕様がない事だ。」<br> 「この手紙を受け取った人へ、僕の遺品は家族に渡してください。」<br> 「もし泣いているのなら、僕の事は出来れば忘れてください。」<br> 「僕が死ぬ事により、人に迷惑をかけたくありません。」</p> <br> <p>此処で、また涙が出てきた。<br> もう、泣かないと決めたのに、コレを見ていたら涙が溢れてきた。</p> <br> <p>「そして、之から言う事に従ってください。」<br> 「この家の庭に穴を掘って、其処に紫陽花を植えてください。」<br> 「私の願いは此処までですが、この手紙は○○県○○市○○区○○町 ○-○○-○○の桜田家に、帰属します。」<br> 「この手紙を読んだ方は、出来れば桜田家に渡して頂けると幸いです。」<br> 「そして、コレを読んだ親族の皆さん、今まで迷惑をかけてゴメンなさい。」<br> 「出来るなら、大きい紫陽花を咲かせてください。」<br> 「平成1X年X月、XX日 桜田ジュン。」</p> <br> <p>「この子・・・は・・・っ・・・!」</p> <br> <p>泣き崩れていた、足も震えて立ち上がれない。<br> 今は泣いてしまおう、そして、後で庭を掘る事にした。</p> <br> <p> ―――――――――――――――――――――――――――――</p> <br> <p> 夕方だった、庭を掘ると、カチンと音がして手を止めた。<br> 慎重に其処を掘ってみると、手に余るほどの宝箱が出てきた。<br> 中には一つだけ、深い藍色に輝く、宝石が輝いていた。<br> 良く見ると、宝箱の中にこう描いてある。</p> <br> <p> 「さようなら、姉さん、其れ最後のプレゼントです。」<br> 「平成1X年X月、XX日 桜田ジュン。」</p> <br> <p> その後、ジュンを殺害した、犯人は泥酔して酔った所を、尋問した結果捕まり。<br> 藍色の宝石は、結局のりが遺書に則り受け継ぐ事になった。<br> 最後のプレゼントが、何処から出てきたのは判らない。<br> しかし、其れをのりは家宝として、家系代々家の宝として祭った。<br> 結局、のりが其れをつけたのは、紫陽花の穴を掘った時だけだった。<br> その数年後、庭には綺麗な紫陽花が、咲き誇っていた。<br> 花は深い、深い藍色をしていた。<br> のりは、医者になり。<br> ジュンの様な事が無いように、どんなに辛くても必死に頑張っているそうだ。<br> 心の支え人は、何時も家に居るのだから、辛くは無いそうだ。<br> 紫陽花が、少し風に揺られて揺れていた。</p> <br> <p>fin</p>

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