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豆まき」(2006/02/28 (火) 21:33:15) の最新版変更点

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<p>豆まき</p> <p>「ジュン、ちょっときなさい」<br>  ふいに、教室の窓から呼ばれる。<br> 「なんだ?」<br> 「いいからきなさい。上着も忘れずにね」<br> 「……はぁ」<br>  小さくため息を吐くと、席を立った。<br>  廊下に出ると真紅が「こっちよ」と言って案内する。<br>  しっかりコートを着ていることと、道からして<br>  ……どう考えても屋上だよなぁ?<br>  などと考えてつつ、いそいそとコートを着た。<br>  ガチャ、と音を立てて屋上の扉が開いた。</p> <p>「鬼は外ー! 福は内ー!」<br>  出るやいなや、浴びせられる豆の弾丸。<br> 「ちょ、ちょっと、私がそっちに行ってからのはずでしょう!?<br>  痛いじゃないのっ!」<br> 「お前ら何がしたいんだよ……って痛っ!」</p> <p>「見ての通り豆まきですぅ」<br> 「今日は2月3日。節分の日だから……雛苺と金糸雀がやりたいって」</p> <p>「お前らなぁ、こういうのは夜に家でやれば……」<br> 「あらぁ、いいじゃなぁい。こういうのも」<br>  水銀燈が指で豆をピンッとはじく。<br>  そしてそれは、見事に額に命中した。<br> 「……ったー……! 顔面は無しだろ!?」<br> 「大丈夫……・携帯もってるから……いつでも救急車呼べる……」<br> 「救急車の前に保健室かしらー!?」</p> <p>「……あのなぁ」<br> 「はい、ジュンと真紅のお豆なのー」<br> 「お、ありがと」<br> 「ありがとうだわ」<br>  豆を受け取っている間にも降りかかる豆の雨。<br> 「ちょ、服の中にも入るし、っていうか俺鬼かよ!?」<br> 「真の鬼はもうちょっとでくるはずですから、それまでお前が代理ですぅ」<br> 「っていうか寒……」<br>  見上げた空はどこまでも蒼く。白い雲がふんわりとふたつ、浮かんでいる。</p> <p>  そんな空の下、扉が開く。そこからでてきたのは……。<br> 「……ベジータ?」<br> 「おう、薔薇乙女の皆さんとジュ……」<br>  バシッ。豆が当たる。しかも、それはジュンが受けたものより速く、とても痛そうだ……。</p> <p>「鬼がきたのー」<br> 「やっつけるかしらー!」<br> 「ざまぁみやがれですぅ」<br> 「ご、ごめんねベジータ君……」<br> 「うふふ、結構面白いわねぇ」<br> 「……力の加減に注意しないと……」<br> 「これは行事だもの、心して受けなさい」</p> <p>「痛いけど……何だこの快感……」<br> 「……良かったな、ベジータ」<br>  <br> 「あ、ちょっと待って皆。歳の数だけ食べてからじゃないと、後から足らなくなったら……」<br> 「あら、そ、そうだったかしら? 私は遠慮するわ……ってむぐぅ!?」<br> 「好き嫌いは良くないわぁ、真紅ぅ」<br> 「お豆おいしいのよー」<br> 「な、真紅も苦手だったですか……」<br> 「真紅も嫌いなんだね。僕は結構好きだけど……」<br>  翠星石がちらり、蒼星石を見る。<br> 「蒼星石が食べるなら……す、翠星石だってこれぐらい食べれるですぅ」<br> 「ふふ」<br> 「薔薇水晶は食べれるのぉ?」<br> 「結構……好き……」<br> 「俺も嫌いじゃないな」</p> <p>「……あの、俺の豆が無いんだが」<br>  ベジータが呟くように言う。<br> 「あら、あなたは鬼だもの、食べなくていいわ」<br> 「な……っ!? そうか、完全なる鬼退治プレイだったのか!!」<br> 「何言ってやがるです、このド変態がぁっ!」<br>  翠星石のパンチが決まる。</p> <p>「食べ終わったのー、豆まき再開するのー」<br> 「かしらー、ベジータをやっつけるかしらー!」<br> 「恵方巻きは食べなくていいのぉ?」<br> 「関西じゃないからいいんじゃないかな?」<br> 「用意してないですぅ」</p> <p> ちらり、真紅を見た水銀燈の口角がつりあがる。<br>  そしてこっそりと射程距離内に入るまで、真紅に近づくと……<br> 「……真紅ぅ」<br> 「何かしら水銀と」バチッ。<br>  真紅が後頭部をおさえてしゃがみこんだ。<br> 「水銀燈~~~~~……!!」バチッ。<br> 「いたぁい、よくやったわねぇ」<br> 「先にやってきたのはそっちよ!<br> 「あらぁ、せっかく真紅の中にいる鬼を退治してあげようとしてるのにぃ」<br> 「余計なお世話なのだわ! ジュン、あなたも手伝いなさい!」<br> 「何で俺が……「下僕でしょう!?」</p> <p> そしてバトルはこちらでも起きていた。<br> 「蒼星石ぃ」パッ。<br> 「ひ、雛苺……痛いよ」<br> 「蒼星石になにするですかちび苺! 許さんですぅ!」<br> 「カナも当てるかしら~!」バチッ。<br> 「痛っ! バトルはお前ら二人でやりやがれですぅ、こっちは平和に……」バチッ。<br>  雛苺の豆が当たる。<br> 「……許さんですぅ! お前ら外に出して福を内にいれてやるですぅー!!」<br> 「翠星石、ここはもう外だよ?」<br> 「う、うるさいですぅ、蒼星石も参戦するのですぅ!」<br> 「……わかったよ」</p> <p>  そして放置されるベジータ。しかし、彼はめげなかった。それどころか……。<br> 「水銀嬢、俺も混ぜ……」<br>  背後から忍び寄り、胸に手を伸ばす……・が、その手が届くことは無かった。<br>  ボォンッと大きな音が空に響く。<br>  一同、音がしたほうを振り向く。そこには、バズーカを肩に担いだ薔薇水晶の姿があった……。<br> 「……豆バズーカ、つくってみた」<br> 「薔薇水晶……それはやりすぎよぉ」<br>  足元には、頭部から血を流したベジータが倒れている。<br> 「ちょ、お前何やってんだよ、いくらベジータだからって……」<br>  薔薇水晶はポケットから携帯を出すと、なにやら誰かと話す。<br>  そしてその数十秒後、頭がウサギの男がやってきた……。<br> 「ば、薔薇水晶、その人頭がウサギなのだわ!?」<br> 「あら、皆知らないのねぇ。薔薇水晶の執事さんみたいなものよぉ」<br> 「執事がウサギ頭ってどうなのかしらー!?」</p> <p>「ラプラス……その人の始末を・……お願い」<br> 「かしこまりました、お嬢様」<br>  ラプラスと呼ばれた男はベジータを軽々と担ぐ。<br> 「ここからが本当の地獄だ……」<br>  ベジータが呟いた刹那、姿が消えた……。</p> <p>「……まぁ、ベジータだからいいか」<br>  後ろでは雛苺が満面の笑みで<br> 「鬼退治完了なのー」<br>  とバンザイをしている。<br> 「雛苺がちょっとこわく見えた瞬間かしらー……」<br> 「それよりなにより薔薇水晶がおそろしいですぅ、敵にまわせねーですぅ」<br> 「いい子なんだけどぉ……ちょっとズレてるところがあるのよねぇ」<br> 「ちょっとどころじゃないのだわ!」<br> 「もう少しで豆無くなるね、そろそろ撤退しようか?」<br> 「ん、そうだなぁ……。っていうかこの豆だらけになった屋上はどうするんだ?」<br>  つん、と何かが背中に当たる。<br> 「箒……って、それだけじゃ集めるしかできないじゃないか」<br> 「こうして……下に……落とすの……」<br>  薔薇水晶が柵の辺りまで豆を転がし、その外に落とした。<br> 「何て手抜きな……」<br> 「捨てるの……勿体無いから……」<br> 「いや、やってることは捨てるよりもひどいと思うぞ?」<br> 「まぁまぁ、このさいいいじゃなぁい」<br> 「でも、いいのかなぁ……委員長の金糸雀だっているのに」<br> 「委員長が許すかしらー」<br> 「え、許すんだ……?」<br>  蒼星石が唖然とした表情で、金糸雀を見た。<br> 「そうと決まればとっととやっちまうですぅ」<br> 「仕方ないわね」</p> <p>「ま、こんな日もいいか」<br>  呟くと、心地よい風が頬をかすめた。</p> <p>その頃、教室では……。<br> 「先生、何か豆が降ってきてます!」<br> 「笹塚、寝言は寝て言え」<br> 「本当です! 窓の外をみてくださいよ!」<br>  梅岡がプリントを整理する手を止め、窓に目をやる。<br> 「……豆なんか降ってないじゃないか」<br> 「そんな、本当なんです! もう一度みてみてくださいよ!!」<br> 「笹塚、お前はもう廊下に立ってろ」<br> 「(´・ω・`)」</p>

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