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第45話「進行中?」」(2006/07/23 (日) 02:04:25) の最新版変更点

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<p>・・・車の中を、静寂とエンジン音が同居している。<br> 確かに進んでいるはずなのだが、回りは焼け野原。<br> 広がるのは、かすかな血の臭いだけ。<br> 本当にあいつ等は、焼き進んでいるらしいな。<br> ずっと前の失敗を考えて、残らず全てを焼いている。<br> そこ等辺は感心するべきなのか、怒るべきなのかは微妙だ。</p> <br> <p> J「・・・しかし・・・腐ったカーナビだな、コレ。」<br> 銀「おかしいわね・・・【何か】の気配はするのに。」</p> <br> <p>そうなのだ、皆薄々気が付いているのだが。<br> 恐らく生物らしき、【何か】の気配を感じているものの。<br> 未だにそれの気配が、何処から来ているのかが、さっぱり分からない。<br> けれども、コレだけ濃いとなると、かなり近くに居るのは分かる。<br> ・・・再び、車内が静寂に包まれる。<br> 今此処で無闇に喋るのは、自殺行為だというのに、皆気が付いているのだろう。<br> 其れは恐らく本能的にで有り、無意識のうちに出ているのだろう。<br> 喋ろうとしないのも、何かを感じているからである。<br> 今此処は敵陣の真っ只中、何処から【どうやって】出てきても、可笑しくは無いのだ。<br> 相手がほぼ人外だというのも、少しは有るかもしれないが。<br> 暫く車を走らせていると、思わず、鼻を押さえそうになる、この臭いは・・・<br> やつ等だ・・・死臭を巻き上げ、腐った肉を振り回し。<br> 相手を我武者羅に打ちつけ、殺した相手をかっ喰らい。<br> 臓腑をはみ出させ、死へと無闇に突っ込んでいく。<br> やつ等が来たのだ、死を喰らう人にあらざる者達が。<br> ゾンビが来たのだ、人であった者達が。</p> <br> <p>J「くっ!!何て量だ!」</p> <br> <p> 其れもその筈、地平の彼方には其れを埋め潰さん限りの。<br> ゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。<br> 1匹1匹は、それ程の脅威には為らないものの。<br> ゆうに其れは、一個の船隊と化していた。<br> それ程居れば、1キロほど離れた所でも、死臭が鼻を突く筈だ。<br> ジュンは車を急いで急停車させ、皆で死者を無に返すための戦法を練る。<br> 先ずは真紅の拡散弾で、ゾンビをある程度爆破し。<br> 続けてある程度近づいてきたら、翠星石や金糸雀の範囲攻撃で、ゾンビを粉砕し。<br> 上空から水銀燈の羽で、神経ごと体を切断する方法を考え付く。<br> しかし、それではやはり数が多すぎるので。<br> ジュン其れに、突っ込み。<br> 残りが進んできたゾンビを、打ち払う方法を思いついた。<br> 早速其れを、行動に移す。</p> <br> <p>真「照準良し・・・発射ッ!」<br> 金「うおっまぶしっ、かしら!」</p> <br> <p>真紅はかなり大型の、戦車が撃ちそうな放射器で。<br> ミサイルをゾンビの群れに、撃ち込む。<br> かなり遠くだが、巨大な其れは。<br> ゾンビの群れを、大きく吹き飛ばす。<br> 続いて、次々と砲弾を撃ち込んでいく。<br> ゾンビの3分の1ぐらいが削れた頃、ゾンビは此処から600メートル付近まで接近している。<br> 足はそれなりに速いようだ。<br> これ以上の爆薬は、自分達にも危険が回ると判断し。<br> ジュンは真紅の拡散弾を、止めていた。</p> <br> <p>金「死んだんなら成仏して欲しいかしらッ!!」<br> 翠「うー気持ち悪いです・・・」</p> <br> <p>続いて金糸雀と翠星石が、ゾンビを吹き飛ばさんと。<br> 大量攻撃を仕掛ける、翠星石の蔦は前より太くなっていた。<br> ゾンビは防御をする気も無く、ただただ突っ込んできていた。<br> 既に脳が死んでいるのだ、其れは守備本能の死を意味する。<br> だから、防ぐ気すら起きないのだ、奴等は。<br> 残り5分の3ぐらいか?其れぐらいの時。<br> 翠星石と金糸雀に車を、守るように言い付けて。<br> ジュンは地上から、水銀燈は空から死者の、浄化を始めた。<br> 水銀燈はグールの上空から、雨のような羽の嵐を巻き起こし。<br> 次々とゾンビを、本当の死へと導き。<br> ジュンは地上から、ナイフ状のを投げ。<br> 次々と的確に、グールの首を撥ねる。<br> ゾンビとは、本来、誰かしらの命令を聞く、死者とされているが。<br> 恐らくバイオハザー○とかのせいで、ただ生き肉を喰らう者と為った。<br> 序に、噛まれても死ぬだけで。<br> ゾンビ化とかは一切無い。<br> 恐らく今回は、誰かが作り上げたのだ、この死者の行進を。<br> 恐らく人を喰らう物だろう、ゾンビとは本来、全身が綺麗であっても良いのだが。<br> 今回はどいつも、体を何処か大きく喰われている。<br> 恐らく、グールか何かだろう。<br> グール自体は非常に厄介で、蘇生能力、力、経験値も、ゾンビとは比較にならない。<br> 恐らく遠くでこいつ等を、操っているのだろう。<br> ゾンビ自体は、サル並みの知能すら、危ういといわれている。<br> その上本来、馬鹿みたいな力も無いため、1匹1匹にはあまり苦戦はしないが。<br> 何分、死を恐れないため、死ぬはずの傷でも動いて来る。<br> 多少厄介であるが、それと罪悪感にさえ勝てれば、何も問題は無い。<br> と言ってもこいつ等は、既に傷口からしてバイオハ○ード状態なので。<br> 殺しても殺した罪悪感は、生まれてこないと思う。<br> 聖水も効かないんだけどね・・・<br> うんざりした顔で、ジュンはゾンビの急所を突き。<br> ゾンビを次々と、潰していく。<br> 生々しい切断の音楽とともに、次々とゾンビが倒れていく。<br> 流石にこの数のゾンビって事は、かなり死んだな。<br> そう思いながら、次々と狩っていく。<br> 流石に5分の4が狩られた頃、ゾンビの数はめっきり減り。<br> 車の方のに居る者達にも、疲れが見え始める。<br> ジュンはさっさと終わらせるため、武器を鎌に変えてゾンビを半ば、撥ね飛ばしていた。<br> 序に今この時は、集中力の方が痛みに勝るため、何処を如何攻撃されているのかが、さっぱり判らない。<br> ジュン並みの不死性を有していないと、とても使えたものではない。<br> そろそろラストとして、アレを使う事にした。<br> その瞬間、ジュンの体は軋みの音と共に、筋肉が肥大化を起こし。<br> 威力とスピードが格段に上昇する、ジュンの骨はギチギチと悲鳴をあげながら。<br> 次々と腐敗を取り除く、既にゾンビは6体まで減りつつあった。<br> 次の瞬間、ジュンは鎌を投げつけ、ゾンビ6体をを跡形も無く吹き飛ばした。<br> そして、安堵の息と共に、汗に混じって血が滴り落ちる。<br> 全身の浅い傷と共に、筋肉を極限まで肥大化させた反動で。<br> 全身の涙腺から、浅黒く変色した血を流していた。<br> 量は微量なので、気にした様子も無く車の方に戻る。<br> ・・・今更になって、全身がズキズキして来た。<br> くそッ、傷は治ってるのに・・・<br> バスに行く途中、雪華綺晶が俺の目の前に現れた。<br> 雪華綺晶は、血塗れのジュンを見るや否や。<br> 呆れた様に項垂れた。</p> <br> <p>J「たっだいまー」<br> 雪「また使ったんですか?アレ。」<br> J「良いだろ?アレ・・・いやー実は面倒臭くって・・・」<br> 雪「大体ですね、貴方はコレが如何いう事だか、全部判ってるのですか?」<br> J「あはははは・・・良いじゃないか、俺等の寿命は普通の人と違って、全然長いんだし。」<br> 雪「そうですが・・・気よ付けてくださいよ?行き成り死んだら困るんですからね?」<br> J「あははは・・・そんなへましないよ・・・」<br> 雪「そうですか・・・其れと一つ。」<br> J「ん?」<br> 雪「其れは貴方一人の命では、無いんですよ?以上です。」<br> J「・・・」</p> <br> <p> そう言うと、ジュンにタオルを渡して、さっさと車に走っていっていた。<br> ・・・このタオル・・・<br> 絶妙に台所の臭いがしたのは、僕の気のせいでしょうか?こん畜生。</p> <br> <p> J「・・・(下向いて、右下向いて、正面向いて♪)馬鹿にされてんじゃねーの!?」<br> J「あの尼ッ!!」</p> <br> <p> そう言うとジュンは早足に、車に向かって走っていった。</p> <br> <p> 其処から少し離れた所に位置する、所からその男は覗いていた。<br> スラリと伸びた体、其れで居てずっしりした重量感。<br> 赤い両目に、縛り付けられるような視線。<br> 幾多もの実践と、戦場を駆けずり回ったものに備わる、鋭い殺気。<br> 其処にそいつは居た、美麗で何処か妖艶な顔だが。<br> 振り向いたら殺されるような、そんな雰囲気が漂う。</p> <br> <p>???「チッ・・・失敗か。」</p> <br> <p>まるで、ゲームに負けた位の態度の先には。<br> 無残にも、ジュン達に葬られた、死者の山がある。<br> 手元に有るのは、巨大な手にでも捻られたような形の、短剣が数本。<br> そして、夏にも拘らず分厚いコートを着て居て。<br> 動くたびに中からガシャガシャと、少し大きな音を立てる。</p> <br> <p>?「チッ・・・主め、変な力をくれやがって・・・」<br> ?「まぁいい、あいつ等には途方も無い狂気を、とくと見せ付けてやろう。」<br> ?「この狂気の性に、何時まで耐えられるかな?」</p> <br> <p>そう言うと、死体の頭にナイフを投げた。<br> グシャッ!と鈍く厭な音を立てて、投げられたナイフは。<br> 死んだ人間の脳漿と、折れた骨を弾き飛ばしつつ。<br> どす黒く赤い色に変色し、切っ先を血色で染めていた。<br> もはや其処に残るのは、逸脱した紅い【狂気】だけ。<br> 血色の鴉が数本の羽を残し、まだ青い空を駆け抜けて行った。<br> 男は舌打ちをして、タイルの部屋の中から外に移動を始めた。<br> 足の裏の靴は嬉しそうに、ピチャピチャと血を撥ねて、小さな音を立てていた。<br> 後に残ったのは、ピチャピチャと鈍く、液体を嚥下する音だけだった。<br> 一体誰が・・・いや、【何が】居たのだろうか・・・</p> <br> <p> その頃、ジュン達はやはり大阪に向けて、着々と進んでいた。<br> 真紅達は、ジュンにさっきのゾンビの事について、大分詳しく聞いており。<br> やはり、その事を知った皆は、激怒し奴等の殲滅に力を注ぎ始めた。<br> ボスの顔すら見えていないが、何と無くその内見つかると思っている。<br> 其処に、一つの殺気が近づいてくる。<br> 余りの濃すぎるそれは、大きすぎるため何処に居るのかを、逆に撹乱させてしまう。<br> 心の中で舌打ちをしつつ、ジュン達は各方向を各自で見渡した。<br> 此処から余り遠くない所に、一人の何かが居た。<br> それ以外に生物が居ない事から、アレ以外の生物で無いとジュンは仮定した。<br> そして、足元から素早くマスケット銃を取り出し、撃った。<br> 筈だった。<br> 銃声がしない、手元を見ると、手首から先が千切れている。<br> 後ろを向いたその瞬間、何者かの回し蹴りを喰らった。<br> その瞬間集中力が切れ、音が戻ってくる。<br> 一瞬目を疑った、其処に居たのは水銀燈だった。<br> しかし目がイってしまっているので、次の瞬間全てを理解した。</p> <br> <p>J「皆ぁ!!バスから出ろぉぉぉぉ!!」</p> <br> <p> そう言いながら、水銀燈の目を見て震えている、金糸雀を窓から放り投げ。<br> 怒声と共に、皆を外に押し出していく。<br> 背中は刃物で抉られ、肩は半分切られている。<br> この切れ方は、普通の刃物では為し得ない。<br> バスの中に居るのが、水銀燈とジュンだけになった時。<br> 既にジュンの右肩は取れて、水銀燈が口に銜えていた。<br> 水銀燈は薄く壊れた笑みを浮かべ、鬱で幸せな顔をしている。<br> 思わず、ゾクリとする。</p> <br> <p>J「恐らく催眠術、もしくは精神崩壊~」</p> <br> <p>その瞬間、ナイフが飛んでくる。<br> 紙一重で其れをかわすが、次々と飛んでくる。<br> 仕方無しに、背後の窓ガラスを突き破り、外に出て唖然とする。<br> ジュンの判断は間違っていた、そう言うしかない。<br> 既に皆やられていたのだ、狂気に。<br> 遠くの方から、男がさぞ楽しそうな声を上げる。</p> <br> <p> ?「良かったな!お前さん!皆アンタの事が好きだってよ!モテモテだねぇ!?」<br> J「お前は誰だ!」<br> フ「frenzy!狂気と呼ばれてるねぇ!」<br> J「楽しそうだな!?」<br> フ「そりゃ楽しいさ!仲間ゴッコしてる奴の、最も苦しむ姿が見れるんだからねぇ!」<br> J「・・・気違いが・・・」<br> フ「さぁ早く殺しなよ!そうすれば、自分は助かるかもよ!」</p> <br> <p>そう言うと、フレンジィは嫌味な笑いを零す。<br> しかし次の瞬間、其れは驚きに変わる。<br> ジュンが武器を仕舞った、戦う様子も無く。<br> しかし其れは次の瞬間、理解へと変わる。<br> 皆が洗脳から解けたのだ。<br> しかしどうやって・・・其れはかすかに風に乗ってきた、音によって判った。<br> 音は密室では強大な音を出す、ジュンは其れを糸で音を出し。<br> 超音波で皆に囲まれているのを利用し、脳を強い力で揺さぶったのだ。<br> その証拠に、ジュンの足取りは覚束なく。<br> 耳や目、鼻から血が出ている。<br> 恐らく8人は、今状況をジュンから聞いているだろう。<br> その証拠に、足取りの覚束ないジュンを、数人が治療道具を取り出して治療し。<br> 残りの数人が、此方に向かっている。<br> 恐らく目を反らされるのは、洗脳が目から始まると考えたからだろう。<br> 焦点は悪くないが、問題点は戦闘能力だ。<br> 今来るのは、蒼星石と水銀燈、薔薇水晶に雪華綺晶。<br> フレンジィはナイフを手に、全員にナイフを投げた。<br> 一つ一つが低い悲鳴を上げて、全員を包むように投げられる。<br> しかし4人は、雪華綺晶の穴から、フレンジィの後ろに回り。<br> 先ずは水銀燈が、羽を打ち込むが、完全にナイフに叩き落され。<br> 続いて、巨大な風の質量と共に、蒼星石が乱れ切りを打ち込む。<br> ジュンにスピードだけなら、打ち勝つかも知れない其れを。<br> フレンジィは易々と避け、お返しと言わんばかりに蹴りを叩き込む。</p> <br> <p>蒼「グゲハッ・・・ウック・・・」</p> <br> <p> 蒼星石は急いで後ろに飛び、ダメージを軽減させるが。<br> 骨が軋み、肺をしこたま打ち、肺から空気が圧迫され出される。<br> さっきの蹴りは、肺を押し潰さんばかりに打たれたようだ。<br> 続いて薔薇水晶が、大きな1撃を浴びせようとするが。<br> 紙一重でかわされ、相手は剣圧で後ろに飛ぶだけだった。<br> 雪華綺晶は異次元の穴を使うが、フレンジィはナイフを身代わりにし。<br> 全てを避けていた。<br> 圧倒されていた、相手は1人だが如何せん、実戦経験がモノを言ったようだ。<br> 其処で雪華綺晶は、とある事に気がついた、相手のナイフが色々な形に捻ってあるのだ。<br> しかもナイフには、幾つかの刺が付いており。<br> 斬られたりすると細切れになり、修復に普段より時間が掛かるのだ。<br> コレはジュン対策なのだろうが、あんな物で切られたら、普通の人ならなお更。<br> かなり修復に時間が掛かる事だろう。<br> 背筋がゾクリとする、随分おぞましい武器を・・・<br> 恐らくこいつとの戦闘は、ジュンが来るか、来ないかに分けられると思われた。</p> <br> <p> フ「ショーターイム!!お前等が今日の俺の晩餐だ!ヒャハッ!!」</p> <br> <p> 小さく舌打ちをして、雪華綺晶は戦闘図を練り始めていた。</p>

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