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「下り坂急カーブ注意!暴走注意!」(2006/07/21 (金) 07:36:29) の最新版変更点
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<p>「薔薇水晶、もうちょっとスピード落とすです」<br>
「……でもこれ以上落としたら後ろの車にぶつけられるよ……」<br>
「でも制限は60キロですよ」<br>
「でも他の車はそれ以上で流れているから……」<br>
確かに他の車は少なくとも60キロ以上で飛ばしている。80キロ以上は出ていると思う。<br>
今走っている道路は一応国道となっているが、実際は高速道路といっても差し支えないつくり……というか、高速そのものだった。<br>
ぱっと見ただけでは100キロで飛ばしても差し支えない道だ。<br>
現に追越車線を飛ばす車は100キロは余裕で越えているだろう。</p>
<br>
<p>
京都へ祇園祭を見に行こうと、車で旅行に出かけた。<br>
最初は名神高速で行こうと思っていたものの、リフレッシュ工事とやらで大渋滞とのことだった。<br>
ダラダラと行くのも鬱陶しいので、豊田まで東名高速、そこから伊勢湾岸道、四日市から東名阪道と高速を乗り継いで、亀山から名阪国道こと国道25号線へと流れてきたわけなのだが。<br>
そこから奈良へ出て、そのまま北上すればいける筈なのだ。</p>
<p><br>
ただ、インターチェンジの数がやたらと多い。<br>
そのために地元車なんかが流入してきては、流れが悪くなるってのもしばしばある。<br>
おまけに道路のアップダウンが激しい。勾配がきついものもあった。<br>
その辺が普通の高速道路と違う点だろう。<br>
さらに覆面パトカーの数がやたらと多い。<br>
パトカーに捕まって、路肩に止めさせられたり、インターを降りさせられたりしている車を度々見かけた。<br>
「まったく、このまま飛ばしていたら捕まっちまうですよ」<br>
「……見つからなければ大丈夫……」<br>
薔薇水晶は本当にどこ吹く風といった感じだった。<br>
でも、何とか順調に飛ばしているわけだが。</p>
<br>
<p>
やがて車は三重県から奈良県へと入り、さらに進んで天理市内に入ったあたりだった。<br>
福住インターを過ぎたあたりで、やたらと『下り坂カーブ注意』だの『下り6.0%』だの『エンジンブレーキ・排気ブレーキ使用』だのといった看板が目に付く。<br>
「なんかいかついですね。とにかくスピードを落とすです」<br>
「……別に。翠星石は心配しすぎ……」<br>
薔薇水晶は特に気にする様子も無く、スピードを落とす気配も無い。</p>
<p><br>
すると、いきなり道路は下り坂になった。<br>
しかもやたらとカーブが多くなる。<br>
「……これ……結構飛ばしがいがあるかも……」<br>
いきなりそんなことを口にしだす薔薇水晶。<br>
途端に、アクセルを吹かしだした。<br>
「ち、ちょっと!何飛ばしてるですか!」<br>
慌ててスピードメーターを見ると、すでに105km/hだった。<br>
何時の間にか追越車線を走らせていて、隣の走行車線を飛ばす車を悠々と抜かしていく。<br>
すると目の前には遅いトラックが走っていた。<br>
「ブレーキ掛けるです!」<br>
私は思わず叫んだ。<br>
しかし、薔薇水晶はそれをするどころか、前の車にパッシングをしていた。<br>
だが、隣の車線へ移る気配が無いので、いきなりハンドルを左に切って、無理矢理走行車線へと移る。<br>
その直後には別の車が走っていて、危うく接触しそうになったが。<br>
「危ねえです!いい加減にするです!」<br>
だが、私のそんな抗議を彼女が聞くなんてことは無く、トラックを抜かすと再び追越車線へと車を戻す。<br>
すると今度は目の前に左に曲がる急カーブが。<br>
しかも、高速道路ではありえない、半径の小さい急カーブが迫っていた。</p>
<p><br>
「……これ、最高」<br>
薔薇水晶は楽しそうな様子で、速度も特に落とすことも無く、カーブに差し掛かると、大きくハンドルを左に回す。さらにサイドブレーキに手を掛けて……<br>
って、ドリフトをやらかすつもりですか!?<br>
車はなんとかカーブを曲がりきった。<br>
もっとも危うく中央分離帯にぶつけそうにはなったが。<br>
さらに曲がった勢いがあまって、走行車線を走っていた車にぶりかりそうになる。</p>
<br>
<p>
「ちっ……ドリフトができなかった……もっと飛ばそうかな……」<br>
舌打ちまでしちゃっている薔薇水晶。<br>
って、あんたはそれほど死に急ぎてえですか!?<br>
「お願いだから、やめるです!翠星石まで巻き込むなです!」<br>
私は必死になって嘆願した。<br>
本気で薔薇水晶と心中してしまうのかとも思った。<br>
「まだまだ……レッツトライ♪」<br>
「ちょっとぉー!」<br>
その先もさらに右カーブがあり、猛スピードで突っ込んで、危うく隣の車にぶつけそうになるわ、無理な追越をかましてくれるわと……少なくとも遊園地のアトラクションよりも遥かに怖い思いをした。<br>
ようやく、天理東インターの手前あたりでこの急カーブ・急坂地帯は終わった。</p>
<p><br>
「楽しかった……ここ無料だから、降りて引き返してもう一回やろうかな♪」<br>
薔薇水晶は上機嫌でインターを降りようとする。<br>
「やめるです……」<br>
私は強引にハンドルに手を掛けて、インターを降りようとするのを阻止した。<br>
「もう勘弁してほしいです。てか、やって死ぬことになったら一生呪ってやるです!」<br>
私は涙目になって薔薇水晶を睨みつけた。<br>
「分かったよ……」<br>
つまらなさそうな感じで、薔薇水晶はそれをあきらめたようだ。</p>
<p><br>
数時間後、京都までたどり着いた。祇園祭の山鉾巡行の会場である四条通に着いた時には、くたくたになって祭りを楽しむ余裕などなかったのは言うまで<br>
もない。</p>
<br>
<p> 後日、この話を水銀燈にしたところ――<br>
「大変だったわねぇ。あの子も結構やんちゃしてくれるわ。<br>
というか、あの子の運転は本当に危ないわよぉ。免許を取るときに私の車を貸したのだけど、飛ばしすぎて見事にボコボコにされたし、教習所の卒検でも教官が死にそうになってたみたいだわぁ。<br>
しかも、名阪のΩカーブの下りでしょ。あそこ、日本でも死亡事故が多いことで有名だわぁ。私も走ったことあるけど、確かに危ないわよ。あんな所を平<br>
気で100キロ以上で飛ばせたものねぇ」<br>
てか、そのこと早く教えてほしかったです!</p>
<p>「薔薇水晶、もうちょっとスピード落とすです」<br>
「……でもこれ以上落としたら後ろの車にぶつけられるよ……」<br>
「でも制限は60キロですよ」<br>
「でも他の車はそれ以上で流れているから……」<br>
確かに他の車は少なくとも60キロ以上で飛ばしている。80キロ以上は出ていると思う。<br>
今走っている道路は一応国道となっているが、実際は高速道路といっても差し支えないつくり……というか、高速そのものだった。<br>
ぱっと見ただけでは100キロで飛ばしても差し支えない道だ。<br>
現に追越車線を飛ばす車は100キロは余裕で越えているだろう。</p>
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京都へ祇園祭を見に行こうと、車で旅行に出かけた。<br>
最初は名神高速で行こうと思っていたものの、リフレッシュ工事とやらで大渋滞とのことだった。<br>
ダラダラと行くのも鬱陶しいので、豊田まで東名高速、そこから伊勢湾岸道、四日市から東名阪道と高速を乗り継いで、亀山から名阪国道こと国道25号線へと流れてきたわけなのだが。<br>
そこから奈良へ出て、そのまま北上すればいける筈なのだ。</p>
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ただ、インターチェンジの数がやたらと多い。<br>
そのために地元車なんかが流入してきては、流れが悪くなるってのもしばしばある。<br>
おまけに道路のアップダウンが激しい。勾配がきついものもあった。<br>
その辺が普通の高速道路と違う点だろう。<br>
さらに覆面パトカーの数がやたらと多い。<br>
パトカーに捕まって、路肩に止めさせられたり、インターを降りさせられたりしている車を度々見かけた。<br>
「まったく、このまま飛ばしていたら捕まっちまうですよ」<br>
「……見つからなければ大丈夫……」<br>
薔薇水晶は本当にどこ吹く風といった感じだった。<br>
でも、何とか順調に飛ばしているわけだが。</p>
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やがて車は三重県から奈良県へと入り、さらに進んで天理市内に入ったあたりだった。<br>
福住インターを過ぎたあたりで、やたらと『下り坂カーブ注意』だの『下り6.0%』だの『エンジンブレーキ・排気ブレーキ使用』だのといった看板が目に付く。<br>
「なんかいかついですね。とにかくスピードを落とすです」<br>
「……別に。翠星石は心配しすぎ……」<br>
薔薇水晶は特に気にする様子も無く、スピードを落とす気配も無い。</p>
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すると、いきなり道路は下り坂になった。<br>
しかもやたらとカーブが多くなる。<br>
「……これ……結構飛ばしがいがあるかも……」<br>
いきなりそんなことを口にしだす薔薇水晶。<br>
途端に、アクセルを吹かしだした。<br>
「ち、ちょっと!何飛ばしてるですか!」<br>
慌ててスピードメーターを見ると、すでに105km/hだった。<br>
何時の間にか追越車線を走らせていて、隣の走行車線を飛ばす車を悠々と抜かしていく。<br>
すると目の前には遅いトラックが走っていた。<br>
「ブレーキ掛けるです!」<br>
私は思わず叫んだ。<br>
しかし、薔薇水晶はそれをするどころか、前の車にパッシングをしていた。<br>
だが、隣の車線へ移る気配が無いので、いきなりハンドルを左に切って、無理矢理走行車線へと移る。<br>
その直後には別の車が走っていて、危うく接触しそうになったが。<br>
「危ねえです!いい加減にするです!」<br>
だが、私のそんな抗議を彼女が聞くなんてことは無く、トラックを抜かすと再び追越車線へと車を戻す。<br>
すると今度は目の前に左に曲がる急カーブが。<br>
しかも、高速道路ではありえない、半径の小さい急カーブが迫っていた。</p>
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「……これ、最高」<br>
薔薇水晶は楽しそうな様子で、速度も特に落とすことも無く、カーブに差し掛かると、大きくハンドルを左に回す。さらにサイドブレーキに手を掛けて……<br>
って、ドリフトをやらかすつもりですか!?<br>
車はなんとかカーブを曲がりきった。<br>
もっとも危うく中央分離帯にぶつけそうにはなったが。<br>
さらに曲がった勢いがあまって、走行車線を走っていた車にぶりかりそうになる。</p>
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「ちっ……ドリフトができなかった……もっと飛ばそうかな……」<br>
舌打ちまでしちゃっている薔薇水晶。<br>
って、あんたはそれほど死に急ぎてえですか!?<br>
「お願いだから、やめるです!翠星石まで巻き込むなです!」<br>
私は必死になって嘆願した。<br>
本気で薔薇水晶と心中してしまうのかとも思った。<br>
「まだまだ……レッツトライ♪」<br>
「ちょっとぉー!」<br>
その先もさらに右カーブがあり、猛スピードで突っ込んで、危うく隣の車にぶつけそうになるわ、無理な追越をかましてくれるわと……少なくとも遊園地のアトラクションよりも遥かに怖い思いをした。<br>
ようやく、天理東インターの手前あたりでこの急カーブ・急坂地帯は終わった。</p>
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「楽しかった……ここ無料だから、降りて引き返してもう一回やろうかな♪」<br>
薔薇水晶は上機嫌でインターを降りようとする。<br>
「やめるです……」<br>
私は強引にハンドルに手を掛けて、インターを降りようとするのを阻止した。<br>
「もう勘弁してほしいです。てか、やって死ぬことになったら一生呪ってやるです!」<br>
私は涙目になって薔薇水晶を睨みつけた。<br>
「分かったよ……」<br>
つまらなさそうな感じで、薔薇水晶はそれをあきらめたようだ。</p>
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数時間後、京都までたどり着いた。祇園祭の山鉾巡行の会場である四条通に着いた時には、くたくたになって祭りを楽しむ余裕などなかったのは言うまで<br>
もない。</p>
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<p> 後日、この話を水銀燈にしたところ――<br>
「大変だったわねぇ。あの子も結構やんちゃしてくれるわ。<br>
というか、あの子の運転は本当に危ないわよぉ。免許を取るときに私の車を貸したのだけど、飛ばしすぎて見事にボコボコにされたし、教習所の卒検でも教官が死にそうになってたみたいだわぁ。<br>
しかも、名阪のΩカーブの下りでしょ。あそこ、日本でも死亡事故が多いことで有名だわぁ。私も走ったことあるけど、確かに危ないわよ。あんな所を平<br>
気で100キロ以上で飛ばせたものねぇ」<br>
てか、そのこと早く教えてほしかったです!</p>