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「第六話 「悲哀の第4世界」」(2006/07/19 (水) 12:56:31) の最新版変更点
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<p>第六話 「悲哀の第4世界」<br>
<br>
<br>
トビラを抜けた先はやはり同じ紫の光景が広がっていた。<br>
私が念じれば風景を変える事も出来るらしいが<br>
めんどくさくてする気にはなれない。<br>
<br>
「さて・・・次の思い出を見ましょうか。」<br>
<br>
・・・なんかますます偉そうになってきてないかと<br>
疑問を抱きつつ私は念じる。<br>
他の所でも同じ様に最初に人型の物体が出て<br>
その物体に付いてる時間のメモリが過去を辿っていく。<br>
やがてメモリは止まる。<br>
指した時代は・・・私が四歳の時の年。<br>
そしてまさかとは思ったがあの時の日にち。<br>
・・・見たくはないが見なければ進めない気がする。<br>
私は再び念じて思い出の映像を出す。<br>
風景が変わっていく。<br>
そこは普通の交差点。<br>
そして周りにあまり人は居なく、居るのは<br>
私ときらきーちゃん、そして今は居ないお母さん。<br>
その三人以外数人しか居なかった。<br>
三人は楽しげに仲良く喋っている。<br>
<br>
「微笑ましいですね。」<br>
「・・・うん。」<br></p>
<p>ほんとに微笑ましい。<br>
此処までは。</p>
<p>「・・あ、きらきーちゃん。」<br>
「なんでしょう?」<br>
「・・・あれ。」</p>
<p>指をさしながらそう言う。<br>
指の先にはくんくんというマスコットがデパートの前で<br>
人が居ない中、風船を持って懸命に客引きをしている。</p>
<p>「・・・風船。」<br>
「貰いに行きましょう。」<br>
「・・・うん。」</p>
<p>
私はよほど欲しかったのかきらきーちゃんの手を引いて<br>
くんくんの方へと走っていく。<br>
そしてその距離が20M、10Mと近付いて行く。<br>
あと5M、その時に横断歩道を渡っていた。<br>
すぐ近くに近付く影があるとしらず。</p>
<br>
<p>
残り2M、その横にはデパートの地下駐車場の出口がある。<br>
道路に車が少ないと思い加速した車の目の前に<br>
2人が飛び出る。<br>
加速して来た車は止まれない。<br>
2人を避けようとして横に急に曲がる。<br>
ドン!<br>
地下駐車場の壁に車がぶつかる。<br>
2人は無事・・・では無い。</p>
<p>「きらきーちゃん!きらきーちゃん!」</p>
<p>
車が壁にぶつかったせいで近くにあったランプの破片が<br>
右目に刺さっている。<br>
雪華綺晶は痛さに耐え切れず気絶している為<br>
読んでも返事は無い。</p>
<p>
「お母さん!きらきーちゃんが・・!きらきーちゃんが・・!」</p>
<p>・・・返事が無い。<br>
ぱっと見回す。<br>
私達はお母さんより前にいたから後ろにいるはず。<br>
後ろを見ると壁にぶつかた車がある。<br>
車の向こう側を見てみる。<br>
お母さんが居た。<br>
だがいつものように元気な姿では無い。</p>
<br>
<p>赤色の水たまりの真ん中で寝ている。<br>
うつ伏せて寝ている。</p>
<p>「お母さん!起きて・・・。」</p>
<p>近寄って体を揺らす。<br>
しかし返事は無い。</p>
<p>「寝てないで起きて!お母さん!」</p>
<p>もう一度揺らす、しかし起きない。<br>
気づくと自分の服に水溜りの水がかかっている。<br>
それを地面でぱっと拭く。<br>
しかし赤色の水はとれない。<br>
とれない・・?何で・・?</p>
<p>お母さんの体を起こす。</p>
<p>「ねえ!起きて・・・。」</p>
<p>今じゃ流れない涙を私は両目から流しながら<br>
体を揺らす。<br>
はっと気付く。お母さんの体に雪華綺晶の目に刺さってるのと<br>
同じ破片がささってる。<br>
目では無く胴体に、左胸に。<br>
そして赤い水はそこからあふれ出て・・。</p>
<br>
<p>「何で赤い水がお母さんから出てるの?ねぇ?何で?<br>
起きてよ・・・起きてよ・・・・!」</p>
<p>泣き喚く。<br>
しかし返事は無い。<br>
目を覚まさない。<br>
動かない。</p>
<p>「・・・。」</p>
<p>声も出ない。<br>
笑っても無い。<br>
右目から何故か涙が出ていない。</p>
<p>「あ・・・あ・・・・。」</p>
<p>赤い水は服からとれない。<br>
赤い水はお母さんの体から流れるのをやめない。<br>
・・・赤い水?<br>
そっか・・・これは・・・。</p>
<p>「血・・・・。」</p>
<p>お母さんはもう、生きては無い。</p>
<p>
「う、うああああああああああああああああ!!!!!!」</p>
<br>
<p>そこで一旦映像が消える。<br>
消えたと思ったら今度は病院の中での映像だ。</p>
<p>「即死です・・。」</p>
<p>お母さんに医者が言う。<br>
また映像が飛び今度は別の医者と私とお父さんと<br>
きらきーちゃんのいる医務室の映像。</p>
<p>
「目はもう・・・見えません。傷も・・・とれはしません。」</p>
<p>
そしてきらきーちゃんに言い終えると次に医者は私を見る。</p>
<p>
「精神的ショックです、涙腺の異常で右目は涙が枯渇。<br>
左目は涙の調節が出来ません・・。」</p>
<p>映像は次に家の中を移る。<br>
お父さんが涙を浮かべながら<br>
きらきーちゃんの右目に眼帯をつける。<br>
傷が残り、目が見えなくなり悲惨な事になっている。<br>
そして次に私にの左目に眼帯をつけようとする。<br>
眼帯が触れた瞬間、私は左目から涙を流し始める。<br>
少しのショックですぐに泣くようになった。<br>
風が当たっただけで涙が溢れ出るので目が見えたもんじゃない。<br>
私達はこれをきっかけに片目を眼帯で覆う事になる。</p>
<br>
<p>「あ・・・あ・・・。」</p>
<p>私は思わずショックで胃液が逆流しそうになる。<br>
しかしそうはならない。<br>
最早幽霊のような私はそういう風な体の現象は起きない。<br>
そうこうしてる内に映像が流れる。</p>
<p>
「薔薇水晶ちゃんは強いねー、転んでも泣かないし。」</p>
<p>とある人の私に対する言葉。<br>
強くなんかない、強くなんかない。<br>
私は弱い、私は弱い。</p>
<p>「2人とも目はどうしたの?」</p>
<p>私が原因だ、私が原因だ。<br>
私がきらきーちゃんの目を、きらきーちゃんの目を。</p>
<p>「もう・・・い・・・や・・。」</p>
<p>しかし映像は止まらない。<br>
また次に映像が映し出される。<br>
これは・・・ジュンが死んだ時の様子。</p>
<br>
<p>葬式場へと向かう。<br>
そして中に入る前に私は左目に目薬をさす。<br>
その様子を一人の女子、桑田が見ている。</p>
<p>「作り泣き?ほんと最低ねー。無感情女。」</p>
<p>最低</p>
<p>私はそうだ、私は愚か者、愚か者。<br>
実の姉を傷つけ<br>
親の命を奪った</p>
<p>最低な愚か者。<br>
そうだ、死んだら良かった。<br>
死んだら良かった、死んだら良かった。<br>
私は死んだっていい子。<br>
死んだっていい子。</p>
<p>「うあ・・・あ・・・。」</p>
<p>
眼帯が外れる、自分の弱さ・・・愚かさの象徴の涙が溢れ出る。<br>
映像が消える。<br>
変わりにきらきーちゃんが出現する。<br>
無論、本物では無くて私が作り出した虚像であるが。</p>
<br>
<p>「あ・・・あ・・・きらき・・・ちゃん・・。」<br>
「無様ね。」</p>
<p>私が作り出した虚像は私に暴言を吐いていく。</p>
<p>「人殺し。」<br>
「あ・・・あ・・。」<br>
「実の姉を傷付けた最低な女。」</p>
<p>眼帯の下の傷を見せながら語る。</p>
<p>「も・・う・・いわな・・い・・で。」<br>
「自分の愚かさ、弱さを隠す強がり。」<br>
「い・・・や・・・。」<br>
「親殺しの罪深い罪深い・・・愚か者。」</p>
<p>私はだれ・・?私は愚か者・・・。<br>
死んだっていい子・・・。<br>
最低な子・・・。<br>
罪深い罪深い</p>
<br>
<p>ほんとは弱い弱い愚か者</p>
<br>
<p>
「う、うああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」<br>
</p>
<p>薔薇水晶が叫ぶと体から光が出て弾ける。<br>
光が弾けた後、ラプラスの魔以外に残ったものは無かった。</p>
<p>「・・・おやおや、壊れてしまいましたか。」</p>
<p>周りを見回す、しかし何も無い。</p>
<p>「んーどうやら第0世界へは行ってないようですね。<br>
となると・・・無意識の海ですか。<br>
助かったといえば助かりましたか・・・。」</p>
<p>
ドアへと手をかけて開けてそのまま第4世界から出て行く。</p>
<p>「流石に責任を感じますね、これは・・・。<br>
はて・・・どうしましょうか。」</p>
<p>第4に続けて第3、第2世界を出て第1世界に戻ってきた<br>
ラプラスは頭を手を当ててじっくりと考える。</p>
<p>「ちょっと反則気味ですがやむを得ませんね。<br>
あの人達に声をかけますか・・。」</p>
<p>空中に手をかざし一気に手を下げる。<br>
するとジッパーのように空中に穴が開いていく。<br>
そこに入るとラプラスは何処かに消えてしまった。</p>
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