「閉じた心の扉!開いた心の鍵!」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

閉じた心の扉!開いた心の鍵!」(2006/02/28 (火) 21:00:21) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

<p>閉じた心の扉!開いた心の鍵!</p> <p>誰もいないはずの屋上<br> 立ち入り禁止にされている屋上<br> その扉を拘束するのは安易なダイヤル式の鍵<br> しかしその扉は開けられていた<br> 扉の向こうには薄暗い雲と町の景色しかないはずだった……<br> 「やっと見つけた、ジュン君」<br> そう言われた男はフェンス越しに空を眺めていた<br> 「ジュン……君?」<br> いつもと違う彼の雰囲気に彼女は恐る恐る近づいた<br> 「ジュン君どうかしたの?」<br> 「蒼星石か?」<br> 気付いてはくれた、<br> でも彼は振り向くことはなくただ空を眺めているだけだった……</p> <p> なにかが違う気がする<br> 「ジュン君先生が呼んでたよ」<br> 「そうか……」<br> ただこの景色を眺めているように見える<br> しかし、普段の彼を知っている彼女にしたら落ち込んでいるように見えた<br> 「何かあったの?」<br> 「実はフラれたんだ」<br> 思ってもいない答えだった<br> 「告白したの?僕の知ってる人?」<br> こんなことを聞いても意味がないことは分かっていた<br> 「蒼星石の知らない人だよ、告白したらさ……他に好きな人がいるって」<br> 彼は空に向かい呟いた<br> こんなに近くにいるのに彼の心には彼女の存在は無かった</p> <p> 僕は彼のことを全然知らなかったんだ<br> 「そうなんだ」<br> 気のきいた言葉は出なかった<br> 「うん」<br> どうしてだろう<br> 落ち込んでいる彼の横顔が凛々しく見えた<br> けど、そんな彼は見たくない……<br> 「ジュン……君」<br> 後ろからゆっくりと手を回した<br> 彼の心に僕がいないのが嫌だった<br> このままだと彼が遠くに行ってしまう気がした<br> 彼を離したくなかった<br> 「僕じゃ……だめかな?」<br> 「蒼星石?」<br> 僕が彼の辛さを消しさりたいと思った</p> <p> 僕はなんてズルイのだろう<br> 「僕……ずっと前からジュン君のことが」<br> なんで今なんだろう<br> 「好き……なんだ」<br> 「蒼星石……ゴメン」<br> 彼は優しいからそんな気持でOKが来ないのは分かっていた<br> 「でも、僕は君のそんな辛い姿を見たくない、僕はただ君の笑った顔が見たいんだ」<br> 僕は彼の優しさにつけこんでいる<br> こんなことを言われると彼は断らない<br> 「……ゴメン」<br> 僕の知っている彼の答えは来なかった……<br> 今まで彼の何を見ていたのだろう<br> 「僕は裏切らないよ」<br> 彼の笑顔が見たいから</p> <p> 彼に対してはいつもと違う考え方をする<br> フェアじゃなくてもいい<br> ただ彼を離したくなかった<br> 「蒼星石……」<br> 彼を見つめゆっくりと瞼を下ろした<br> 「僕は……いいよ」<br> やっぱり僕は彼の優しさに甘えてしまう<br> 唇に冷たいものがあたる<br> 「雨だ」<br> 雨が邪魔をした<br> 「戻るか」<br> 「そうだね」<br> 優しい彼ならしてくれるという満身はあった<br> 雨がなければ……</p> <p>ザー……<br> 雨の音が凄い<br> 扉に鍵を閉める音をかき消していた<br> 「これでよしっ」<br> それでも彼の声だけはしっかりと僕には届いていた</p> <p> 今度こそ……<br> 「……いいよ」<br> また瞼を下ろした<br> 今度は邪魔をするものない<br> 「蒼星石……」<br> 唇に暖かいものがあたる<br> 雨の音は聞こえない<br> 高鳴る胸の鼓動だけが響いていた……<br> 「……んっ……」<br> 唇の感触がなくなる<br> どれくらいの間キスをしていたのだろう<br> 今までで一番、彼と長く入れたような気がした<br> 「ありがとう、蒼星石元気が出たよ」<br> その言葉が嬉しかった<br> 「よかった」<br> 君の声は僕には届いているよ<br> 僕の声はちゃんと届いているかな?ジュン君</p> <br> <p>~fin~</p>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: