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「第五話 「幸せなただひと時」 外伝」(2006/07/04 (火) 21:58:50) の最新版変更点
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<p>外伝</p>
<p><br>
同日、夜の刻</p>
<p>
私はいつもの様に喫茶のバイトを終えると帰り路につく。<br>
あまりいい道とは言えないが近道の墓地を通っていく。<br>
怖くはない、むしろいい。<br>
だってここには最愛の人の生きた印があるのだから。<br>
私は今日は素通りではなく墓地にある墓の一つに<br>
近づいていく。</p>
<p>
「あなたは私の中で生きている、だから此処に来ても意味は無いのだろうけど<br>
つい来ちゃったわぁ」</p>
<p>私は墓に向かって喋りかける。</p>
<p>
「真紅もあなたの事を思ってくれてるわぁ。それも“変わらぬ思い“ですってぇ。<br>
ほんと幸せな人ねぇ。あなたは。」</p>
<p>私はそう言うと一旦家へと帰る。<br>
そして花と一輪、そして墓を綺麗にする掃除道具を持って再び来た。<br>
私は墓に水をかけるとまた喋りだす。</p>
<p>「私もあなたの事はずっと思ってるわぁ。<br>
“麗“わしく思ってるわぁ、あなたとの思い出。」</p>
<p>ブラシでごしごしと墓を磨く。</p>
<p>
「けどあなたへの思いはずっといい“思い出“として残ってるわぁ。<br>
そしてあなたへの思いは朽ちてないわぁ。」</p>
<br>
<p>「あなたへの思いは変わっていってるわぁ。<br>
死んだ後でも益々あなたの事が好きになるのよぉ。<br>
だから千日紅は供えないわぁ、ちょっとミスマッチだけど許してねぇ。」</p>
<p>線香に火をつけその後、花を一輪墓に置く。</p>
<p>
「一瞬一瞬はあっと言う間に過ぎるわぁ、私はその一瞬一瞬ただひと時を<br>
幸せに“麗“わしく生きていくわぁ。」</p>
<p>
そう言って立ち上がりほこりを払うと墓に背を向ける。<br>
そして背を向けたまま喋る。</p>
<p>
「だからもう少し待っててねぇ、地獄でもう暫くしたら会いましょう。」</p>
<p>そして私は帰り路についた。</p>
<p><br>
供えた花は薔薇の花。<br>
あの日誓った永遠の印。<br>
ミスマッチだけど思いは伝わる。<br>
あなたへの思いはどんどん燃えさかる。<br>
勢いは止まらない。<br>
あなたが好きで、その思いは止まらない。</p>
<p><br>
薔薇の花言葉、“熱烈な愛“</p>