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「【赤い糸~魔法の指~】 第1話」(2006/06/18 (日) 10:03:11) の最新版変更点
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【赤い糸~魔法の指~】<br>
第1話<br>
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もう朝になった。どうやら今日は懐かしい夢を見ていたおかげで起床時間を大幅に遅れさせてしまったようだ。<br>
真「ふう、ゆっくりしている暇はなさそうね…」<br>
そう呟きベッドから降り、まだ眠い目をこすりながらカーテンを開いた。<br>
そして、手早く寝巻きから制服へと着替えを終わらせ、<br>
昨日のうちに用意を終わらせておいた鞄を持ち、階下へと降りていった。<br>
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母「おはよう真紅ちゃん、今日はゆっくりなのね。<br>
もうあまり時間がないでしょ。早く食事を済ませてしまいなさい」<br>
真「おはようございます、お母様。」<br>
お母様がいつも通り朝の挨拶をしてくる。<br>
私はそれに返事を返し、朝食が並べられた食卓について朝食をとりはじめた。<br>
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真「いただきます」<br>
実際、ゆっくりと食事を取る暇はもうないのだが、私は朝のティーブレイクを逃すわけにはいかない。<br>
おいしい紅茶を飲むという行動は私の日常であり、ライフワークの一つである。<br>
これを逃すと私は少し機嫌が悪くなってしまうのでしょうがないことであろう。<br>
決して、友人らの言うように紅茶中毒というわけではない。<br>
これは、私の日常を優雅に始めるために必要なことなのだ。<br>
それ以上の意味はないはずだ、そう多分…。<br>
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そうして手早く朝食を消化し、食後のタイミングを見計らいお母様が淹れて下さった紅茶を飲む。<br>
『お母様の紅茶はおいしい』素直にそう思う。私もお母様から紅茶の淹れ方を教わり<br>
いれることもあるが、ここまでの味は出したことがない。<br>
いつか私もこの味を出せるようになりたいものである。<br>
そして、水銀燈たちにもう自分は飲むほう専門なのだとは言わせないようにするのだ。<br>
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「ごちそうさまでした」<br>
紅茶を飲み終え、お母様が作ってくれたお弁当を鞄に入れ私は食卓を立ちそのまま洗面台へと向かう。<br>
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顔を洗い、髪をとかし二つに結いいつものようにツインテールへと仕上げる。<br>
私の髪は金髪でとても長い、昔はこの髪や目の色の違いで苛めを受け一時嫌になったこともあるが、<br>
今では気に入っている。<br>
体も成長し、顔も綺麗なほうだと自分でも思う。まあ、胸はあんまり成長してないが、<br>
それは、些細な問題だろう。<br>
気にしてなどいない…毎日牛乳を飲んだり、豊胸体操をすることを<br>
寝る前の日課にしたりしているが断じて気にしていないといったらしてないのだ!!<br>
そうして、歯を磨き身だしなみのチェックを終わらせ、洗面所から出て行く。<br>
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そして、私は鞄を持ち靴を履き玄関に下り玄関の戸を開けた。<br>
真「それでは、お母様いってきます」<br>
母「いってらっしゃーい真紅ちゃん」<br>
お母様の送り出しを聞き、私は家を出て行った。<br>
――――<br>
私の住んでいるここ『楼善市』は、都心から少し離れた閑静な街だ。<br>
私の両親は私が物心つく前にこの街に引っ越してきたらしい。<br>
当然、私にはこの街で過ごした記憶しかない。<br>
なので、私にしてみれば楼善市はもう生まれ故郷と言ってもまったく差し支えないものである。<br>
この街は自然も多く残っており、地域住民同士の交流も良好であり、<br>
落ち着いた空間を好んでいる私はとても気に入っている。<br>
私は両親との3人家族だが、お父様は昔からお仕事のため年の大半は外国に滞在しているため<br>
実際はお母様との2人暮らしのようなものである。<br>
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いつも通りの通学路を多少急いで歩き、道の途中の十字路に差し掛かった所で<br>
立ち止まって会話していた少女たちが私の姿に気づき声をかけてきた。<br>
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水「おっそいわよー、真紅~!待ちくたびれちゃったじゃなぁい」<br>
巴「おはよう真紅。今日は遅れてるね寝坊でもしたの?」<br>
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この2人は、水銀燈と巴。小学校、中学、高校と一緒に過ごしてきたいわゆる幼馴染であり、<br>
現在も同じクラスに籍を置く私の親友たちである。<br>
真「あらおはよう巴。ええ今日は少し寝過ごしてしまったわ。それより今日は部活はなかったの?」<br>
巴「うん。今日は剣道部朝練休みだから」<br>
水「そうよぉ、折角のお休みなのに遅れてきて、まったくお馬鹿さんなんだから、もっとしっかりしなさぁい」<br>
真「うるさいのだわ、水銀燈!遅刻常習犯のあなたに言われる筋合いはないのだわ!」<br>
水「なんですってぇ~!聞き捨てならないわよっ!」<br>
水銀燈は手に持ったヤクルトを握り締めながら抗議してきた。<br>
真「ふんっ、本当のことでしょ。私は悪くないのだわ」<br>
巴「まあまあ、二人とも喧嘩しないで急がないと遅刻しちゃうよ?」<br>
真「はっ、そうなのだわ。水銀燈なんかに構ってる暇はないわ急ぐのだわ」<br>
水「なんかってなによぉ~。もういいわ行きましょう」<br>
そうして私たち三人は一緒に駆け出して学校に向かった。<br>
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少しして、学校が見えてきたところで私たちは走るのをやめた。<br>
巴「ここまで来ればもう大丈夫かな」<br>
水「そうねぇ、少し余裕もあるし大丈夫でしょ。あれ、真紅どうしたのぉ?」<br>
真「はぁ…はぁっ、あなたたちちょっと早すぎるのよ…息がきれちゃったじゃないの…」<br>
水「まったく、体力ないわねぇ」<br>
真「はぁはぁ…うるさいのだわ。体育会系と一緒にしないでちょうだい」<br>
あまり持久力のない真紅は肩で息をしながらに反論した。まあ、水銀燈は真紅と同じ帰宅部であるわけだが。<br>
巴「でも、ほら間に合ったんだからいいじゃない」<br>
巴の言うとおり学校には間に合いそうだ。もう言うのは、やめよう。<br>
というより、息も切れ切れで口を開きたくない<br>
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私たちの通っている高校の名は、『私立薔薇学園』このあたりの住民には通称・薔薇学で通っている。<br>
小中高と一貫教育がなされており、昭和の初め頃から建っている歴史の古い学校である。<br>
ちなみに、私たち3人は高等部の2年生である。<br>
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私たちは校門をくぐり、靴を上履きに履き替え高等部の校舎に入っていった。<br>
私たちの教室は3階にあり階段を上ったところのすぐ横にあり、私たちは入っていった。<br>
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(ワイワイ ガヤガヤ)<br>
真「ふう、ようやく着いたのだわ」<br>
私は予鈴前独特の喧騒ある教室に入り、自分の机に鞄を置きそう呟いた。<br>
そして、私に気づいて友人の双子の姉妹が挨拶してきた。<br>
蒼「あ、おはよう真紅。今日はギリギリだね」<br>
翠「おはようです。今日は真紅たちが最後ですよ珍しいこともあるもんです」<br>
真「おはよう2人とも。今日は少し寝過ごしてしまったのだわ」<br>
彼女らにそう挨拶を返し、私は席に着いた。<br>
翠「それより真紅。昨日サッカー見ましたか?とうとうW杯始まりましたね。<br>
翠星石はテレビで遅くまで観戦してたので、とても眠いですよ」<br>
蒼「僕は録画してるんだから、今日家に帰ってから見ればいいって言ったんだけどね」<br>
翠「何言ってるですか、蒼星石!そんなことしたら学校で結果知っちゃって<br>
悔しい思いするじゃないですか。ねえ、真紅もそう思うですよね?」<br>
真「私は見てないし。そもそも、興味はないわ」<br>
翠「う、つれねぇですね。そもそもW杯とはですね…」(キーンコーンカーンコーン)<br>
翠星石が長い話を始めようとした時、丁度予鈴のチャイムが鳴り響いた。<br>
真「ほら、チャイムが鳴ったわよ。梅岡が来る前に席につきなさい」<br>
翠「ちっ、まったく運がいい奴ですぅ」<br>
そう言って翠星石は、渋々ながら真紅の前の席に着いた。<br>
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梅「(ガラララッ)よーしっ、みんな早く席に着けこれから朝礼を始めるぞ」<br>
それから少しして担任の梅岡が入ってきた。梅岡の言葉を受け生徒たちは自分の席に戻っていった。<br>
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梅「よし、みんな席に着いたな。それでは挨拶をする前にだが、実は今日は一つニュースがあるぞ」<br>
ニュース?一体なんだろうか。<br>
梅「実は、このクラスに転校生が来ることになった。しかも、なんと帰国子女だぞ~」<br>
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梅岡のその言葉に教室は一斉に騒がしくなった。<br>
ベ「なに!?帰国子女だと!?ということは女だな!ふふっ、まいったな。俺の魅力のせいで<br>
また1人の女の子が恋の迷宮に迷い込んでしまうことになるぜ」<br>
蒼「ベジータ君がまた変なこと言ってるよ…」<br>
雛「ベジータ、気持ち悪いの~」<br>
笹「ベジータ帰国子女だからって女の子って意味じゃないんだよ」<br>
ベ「なんだとっ!?そうなのか?女って字が入ってるじゃないかっ!?」<br>
金「まったく、ベジータは馬鹿かしらー」<br>
ベ「い、いやだからといって女であることは否定できないはずだ!?」<br>
梅「お前らー少し静かにしろ~。それでは、入ってきてもらうぞ。<br>
と、その前に笹塚は廊下に立ってろー」<br>
笹「(´・ω・`)」<br>
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(ガラララッ)<br>
入ってきたのは、男の子だった。<br>
梅「さ、みんなに挨拶してくれ」<br>
?「あ、はい。えっと…転校してきました桜田ジュンです。<br>
皆さんこれからよろしくお願いします」<br>
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彼の言葉にクラスメイトたちは、パチパチパチッと拍手を鳴らし彼を歓迎した。<br>
しかし、私は拍手をすることが出来なかった。<br>
なぜなら、目の前にいる少年は今日私の夢に出てきた少年だったのだから<br>
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真「…ジュ…ン?」<br>
私は、すぐに掻き消えてしましそうな小さな声で彼の名を呟くことしか出来なかった――――<br>