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口は災いの元 - (2006/04/22 (土) 09:56:34) のソース

<p><a title="kutihawazawai" name=
"kutihawazawai"></a>僕は今、真紅に強制されて、お湯を沸かしている。<br>

園芸部の部活動が、終わったあとは、お菓子と一緒に、<br>
紅茶かハーブティーを飲むのがお決まりになっている。<br>
といっても実際に部活動しているのは、<br>
翠星石と蒼星石くらいで他のメンバーは、<br>
ただの数合わせなんだが。<br>
とりあえず、頼まれた水やりを僕一人でこなした。<br>
真紅と雛苺は、はやく~といいながら見てるだけ。<br>
少しくらい手伝ってくれてもよかったのに。<br>
 <br>
ん?なんで、部室にコンロがあるのかって?<br>
真紅が紅茶を飲みたいがために、僕に運ばせたんだ。<br>
ついでに、冷蔵庫と棚とソファーとテーブルも。<br>
おかげ、部室はかなりのくつろぎ空間となっており、<br>
この部屋の中だけで、生活するのに足りないのは、<br>
シャワーくらいなものだと思う。<br>
 <br>
そんなことを言ってるうちに、<br>
お湯が沸いたみたいなので、ティーポットにお湯を注いで暖める。<br>

葉を入れ、再びお湯を注ぐ。<br>
蒸らしている間に、カップを棚から出す。<br>
僕のカップ。特に言うことのない普通のカップ。<br>
真紅のちょっと小さめのカップ、何時見ても、品のいいカップ。<br>

雛苺の大きいカップ、体は小さいのに、食い意地はって大きめのカップ。<br>

翠星石と蒼星石のお揃いのカップは今日は出番がない。<br>
翠星石は部長参加の予算会議で、蒼星石は生徒会の会議で今日は来れない<br>

……はずだったが、<br>
翠「疲れたですぅ」<br>
と扉を開く音と、翠星石の声が聞こえる。<br>
翠「チビ人間、翠星石のも淹れやがれですぅ。」<br>
J「ハイハイ。」<br>
翠星石のカップも取り出し、全部のカップに紅茶を注ぐ。<br>

冷蔵庫から、ヒナ専用と書かれたイチゴジャムを取り出し、<br>

ミルクと砂糖と、お菓子と一緒にお盆に載せ、テーブルまで運ぶ。<br>

やけに、手馴れているのが、少し悲しくもある。<br>
 <br>
雛「いちご~、いちご~、いちごのこうちゃ~♪」<br>
と歌いながら、紅茶にドボドボ、イチゴジャムを入れる。<br>

真「……いつもより、お茶請けが少なくなくて?」<br>
J「しょうがないだろ?こんだけしか残ってなかったんだから。」<br>

雛「うにゅ~。ヒナ、もっと食べたいの。」<br>
翠星石の目が怪しく光る。<br>
翠「チビチビ、チョコをやるです」<br>
翠星石は板チョコをカバンから取り出した。<br>
J「お前が?雛苺にチョコを?……悪い物でも食ったか?」<br>

雛「……ヒナ、うにゅ~のほうがいいのー」<br>
雛苺も危険を感じてか、はたまた、本当に苺大福のほうかは、知らないがそう答えた。<br>

翠「おめーら、失礼ですぅ。もう、チョコやんないです。」<br>

翠星石がチョコをバックに入れようとしたところで、やっぱり欲が出たのか<br>

雛「あっ、ダメなのー、雛苺やっぱりもらうのー」<br>
翠「いやしいチビチビめ、ほれ、くれてやるです。」<br>
雛苺は受け取った、チョコの包みをはがし、幸せそうに<br>
雛「いただきますなのー」<br>
といってチョコを頬張った。<br>
 <br>
チョコを噛むうちに、雛苺の顔がどんどん歪んでいく。<br>
雛「このチョコおかしいのー。すっごい苦いのー」<br>
雛苺は涙目になっている。<br>
J「んなバカな。ちょっと貰うぞ。」<br>
ヒトカケラ、チョコを貰って、口に放り込む。<br>
噛むほどに、口いっぱいに苦味が広がる。<br>
J「……なんだこれ、ほんとにチョコか?」<br>
ジュンは、たまらず紅茶で苦味を飲み込んだ。<br>
翠「たいへんですぅ。チョコの神が怒り狂って、世界中のチョコを苦くしたですぅ<br>

  チビチビが、そのチョコ全部食うまで、チョコの神の怒りは静まらないですぅ」<br>

演技がかったノリノリの声で翠星石が言う。<br>
紅「紅茶は静かにいただくものだわ」<br>
と、いつものセリフをいいながら、真紅は優雅に紅茶を口に運ぶ。<br>

雛「そ、そんな、ヒナのせいなのー?」<br>
雛苺は、顔を上げ、<br>
雛「ヒナがんばるもん。チョコ全部食べるもん」<br>
そういいながら、チョコを<br>
イチゴジャムたっぷりの紅茶と一緒に泣きながら頬張ってゆく。<br>

 <br>
J(…………というか、こんな馬鹿なことがあるわけがない<br>

  ………あ、そういえばたしかCMで……)<br>
J「翠星石、これ、カカオ99%のチョコか?」<br>
翠「その通りですよー。チビチビはやはりおバカ苺ですぅ」<br>

雛「ふぇ?なんなのーそのカカオ99%って」<br>
そういいながら、最期のヒトカケラを紅茶で流し込んだ。<br>

涙で顔がぐちゃぐちゃだ。<br>
紅「ほぼカカオのみで作ったチョコよ。<br>
  カカオというのは、チョコやココアの原料ということで<br>

  勘違いされやすいけど本来甘味はないのよ。<br>
  つまりそのチョコは、そもそも甘くないということね」<br>

雛「チョコの神様怒ってないの?……翠星石、雛を騙したの?」<br>

翠「雛苺の泣き声はとても気持ちがよかったですぅ。」<br>
紅「無様ね。たかが苦いってだけで。まだまだお子様ってことかしら。」<br>

真紅は、優雅に残りの紅茶を飲んだ。<br>
雛「真紅だって、こんなの食べたら顔がイーってなるんだもん」<br>

紅「ならないわ。あなたとは違ってよ。雛苺。<br>
  チョコを全て食べてしまったからその姿は見せれないけれど。」<br>

 <br>
翠「あ、大丈夫ですぅ。まだカカオ99%チョコはあるですぅ」<br>

紅「なんですって?」<br>
真紅の顔が引きつった。<br>
雛「真紅、ちゃーんと食べてよね」<br>
紅「でも、もうお腹いっぱいだわ。また今度にしましょう?」<br>

翠「さっき、いつもよりお茶請けが少ないとかいってなかったですか?」<br>

紅「そ、そんなこと言ったかしら。」<br>
J(いつも、コイツにこき使われてるからなぁ、たまには、いじめてみようか。)<br>

J「真紅、お前もしょせんお子様ってことだな。」<br>
紅「ち、違うわ。そこまでいうなら食べてみせようじゃない。」<br>

翠星石は、真っ黒なチョコを手渡す。<br>
翠「ささ、た~んと食べるですぅ。もう一枚たべるですか?」<br>

紅「けっこうよ。」<br>
真紅は、真っ黒なチョコ前に、固まっている。<br>
J「どうした、さっさと食べろよ?」<br>
紅「うるさいわね。…珍しいから見ていただけよ。」<br>
真紅は、おそるおそるチョコを頬張る。<br>
紅「………う………」<br>
雛「あ、真紅、今、苦そうな顔したのー」<br>
紅「そ、そんな顔してないわ。カカオの風味を楽しんでいただけよ」<br>

どうみても、やせ我慢の真紅を目の前に、翠星石はニヤついてる。<br>

J(あの苦味に、口の中に残るんだよな……<br>
  もしかして飲み物で流さないとずっとつづくんじゃないか………)<br>

真紅は、なんとか全てのチョコを食べ切った。<br>
 <br>
紅「ど、どうかしら?これで満足?」<br>
ちょっと声が震えている。<br>
雛「やっぱり真紅はすごいのー。<br>
  すっごく、すっごく、苦いチョコだったのに、食べ切ったのー」<br>

雛苺の尊敬だけは得られたようだ。<br>
翠星石は、十分楽しんだはずだ。<br>
僕は、ちょっと、かわいそうと思いながらも、いい気味だとも思った。<br>

真紅はティーポットに手を伸ばすが、ティーポットは空だった。<br>

紅「ちょっと、ジュン!紅茶が切れてしまったわ。今すぐ入れなさい!」<br>

怒りながら、真紅が言ったところで、<br>
キーン・コーン・カーン・コーン、と下校時刻を知らせるチャイムがなった。<br>

翠「ささ、皆、家に帰るです。」<br>
紅「ちょっと待って!お茶の一杯くらい」<br>
翠「だめです。さっさと帰るです。」<br>
真紅は、強制的に部室から出された。<br>
真紅は、クラブ棟の外の自販機で飲み物を買おうとしたが、、<br>

翠「もしかして、口のなかが苦くて苦くてたまらないのですか?」<br>

とニヤニヤ笑みを浮かべた翠星石の質問によって、<br>
諦めざるえなかった。<br>
僕らと別れるまで、口の苦味に苦しめられたであろう真紅は、<br>

その後、彼女自身が食べるチョコを買うことはなかったそうだ。</p>
<p> </p>
<p><a href=
"http://www9.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/621.html">蒼い子の復讐</a>へ続く</p>