2スレ目 277

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紫の追求 ------------------------------------------- 「まだ、部室に誰かいるかしら?」 紫は夕暮れの渡り廊下を通り、新聞部の部室に向かっていた。 当初は、先生の手伝いがあり今日は部室には行けないとみんなに 言っていたのだが、予定より仕事が早く終わったため、部室に顔を 出してから帰ろうと思ったのだ。 新聞部の部室の前にくると、何か不穏な雰囲気がする。まさか、 はぐれ妖か?空手部か?紫は恐る恐るドアを空けた。 がらがらがら、、 「どうもです~。まだ、誰かいますかぁ?」 すると、そこには月音と萌香が並んでこちらを向いて立っていた。 二人とも妙な笑顔を振りまいている。 「や、やあ。紫ちゃん?どうしたの?今日はこれないんじゃなかったっけ?」 月音がほほをぴくぴくさせながら上ずった声で聞いてきた。 「はい。思ったより仕事が速く終わったので、ちょっと寄ってみたんです。 月音さんと萌香さんは何をしていたんですか?」 「えっつ?何って、ねぇ、月音」 「あ、ああ。そ、そうそう。来週の原稿を書き始めていたところなんだ。」 「う、うん。そうそう」 萌香さんも笑顔を振る巻いているが何かぎこちない。 「じーー、、なんか、二人怪しいですね。」 「え、な、なんで?」 月音の額は汗びっしょりだった。 「なんか、この部屋、臭くないですか?」 「そ、そうかなぁ?今日は気温も高いし、湿度もあるからかな?」 そういいながら、萌香は部室の窓を開け、換気を始めた。 紫は月音に近づき、くんくん身体の匂いをかぎ始めた。 「うっ!月音さんの手なんか臭いですよ?」 「え?あ、ああ、さっき新聞のレイアウトを研究していて、記事の 紙片に糊をつけて、貼り付けたりはずしたりしてたからかな? あの、糊ってくさいんだよねー。はははは」 「あやしい、、」 紫は今度は萌香をじっと見つめた。 「萌香さん、なんかお肌がつやつやしてますね?何かいいことありました?」 「え?!あ、ああ。さっきちょっと月音に血を吸わせてもらったので、、」 紫は再び月音の方に向き、月音の首の周りをしげしげ観察した。 「おかしいですねぇ、月音さんの首には血を吸われた跡はないようですが、、」 「あ、あ。萌香さんに吸われても、しばらくしたら後は消えちゃうんだよ。」 「ふーん。でもそんなすぐに消えましたっけ?あやしいなぁ、」 「な、何を言ってるんだよ?なんかあやしいことあるかい?」 紫は二人がしていたことをかなり確信していたが、なかなか決定的な証拠を 見つけられず、歯がゆい思いをしていた。 その時、猫目先生が部室に入ってきた。 「あーら。みんなまだいたの?そろそろ下校しなさーい。」 「あら?萌香さん懐かしいモノ履いているわね。そのルーズソックスって 先生が高校生の頃にはやってたのよー。でも、何で片足だけ履いているの?」 みんなの目線が萌香さんの左足首に集まった。そこにはだぶだぶでフリルが 付いた布状のものが付いていたが、それはルーズソックスなどではなく、 片足だけぬいだ萌香の、、、、 「き、きゃーーーーー!はずかしぃいーーーー!」 萌香さんは顔を真っ赤にしたまま、そのまま部室を飛び出していった。 「も、萌香さんっ!」 萌香を呼びかけた月音の口元から、ピンクの縮れ毛がはみ出しているのを 紫は見逃さなかった。 (END)

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