(株)魔法製作所 > ニューヨークの魔法使い

photo
ニューヨークの魔法使い <(株)魔法製作所> (創元推理文庫)
シャンナ・スウェンドソン 今泉 敦子
東京創元社 2006-07-11
評価

by G-Tools , 2008/05/10


評価:★★★★★
購入日:06/07/23
読了日:08/05/10

テキサスの田舎からニューヨークに出てきた26歳の普通のヒロイン、ケイティの一人称が面白いのです。妖精の羽根をはやした人が歩いてたり教会の屋根にガーゴイルが出没したり、変てこなものを見て驚くのは彼女だけ。さすがニューヨーク、ついてけないわ。ブラインド・デートをくり返しても彼氏はできない、仕事は頑張っても認められるどころか最悪の横暴な上司ミミにさいなまれる日々。もう我慢の限界よ、となった時にチャンスが舞い込んできても、それがEメールだったから、即行でスパムだと判断して削除しまくる。そりゃそうだ、Eメールでビジネスチャンスを謳われても、私だって怪しいと思うよ。シャイでキュートなハンサムな青年との出会いにときめいたり、彼の気持ちを確かめずに、これは好意であっても恋じゃないのねと推測して凹んだり、わかるわかるーとうなずきっぱなし。普通であるがゆえに魔法製作所MSIにスカウトされて活躍するところも爽快。どんどこ、いろんなタイプの素敵な男性があらわれるしね(笑)。ケイティの普通の感覚が自分と重なるからこそ、この話は楽しい。

リンダ・ハワードなどのハーレクイン系ロマンスでびっくりしたのが、ヒロインが初対面の男の全裸を見て、それも下半身をまじまじと観察して、興奮するシーンだった。それを読んで、アメリカ女性の感覚って信じられない、私だったらいくらそれが男前でも許せない、吐く。と感想を書いたことは記憶にまざまざと残っている。そこでカエルである。魔法によってカエルに変えられたと思い込んでいる裸の男とケイティとの出会いを読んで私は、安心したのだ。

 幸い、初対面で目にしたくない部分は隠れている。

良かった。アメリカ女性でも、初対面では目にしたくない部分だったんだ。これでさらにケイティへの共感度はアップしたことは言うまでもない。
ハーレクイン系がダメな人でも、少女小説のヒロインは元気が良すぎてついてけないのよねぇという方でも、楽しめるロマンス+魔法ものだと思います。



コメント


著者名

キーワード



-
最終更新:2008年05月17日 14:52