陰陽師 > 鳳凰ノ巻

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陰陽師 鳳凰ノ巻 (文春文庫)
夢枕 獏
文藝春秋 2002-10
評価

by G-Tools , 2008/04/03


 アクションなどなくても、しみじみと面白いなぁと思える。どこから夢でどこからが現なのか、境目がわからなくなる感覚。呪の発現の描写も舌を巻いてしまう。特に「晴明、道満と履物の中身を占うこと」に、ニヤリ。この先は呪のネタバレをするので、気をつけてください。



 履物にはいっていたのは、本当は12神将の像だった。なぜそれが晴明の呪の四つの大柑子になり、その皮をめくると道満の呪の12匹の萱鼠、その口にくわえているのが12神将像となったのか。この呪の種明かしはされないままなんですけど。呪術というのは、荒唐無稽にみえてもちゃんと法則に則られているんですよね。なぜ、4つの大柑子なのか。それは12神将の数を3で割った数だから。そして萱鼠は大柑子のなかで3匹ずつ入ってました。全部で12匹。その口に 12神将像を咥えて。ちゃんと数が合っているでしょ。思うに呪をかけるときは、嘘をつくんだけど、それは本質までは曲げることはできないんだろう。数の嘘をつくときは倍にしてみたり割ってみたりしてごまかしても、計算すれば本来の数に戻るようになっている。面白いなぁ。

更新日:2008-04-03

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怪奇
最終更新:2008年04月03日 19:43