折れた魔剣


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折れた魔剣 (ハヤカワ文庫 SF (1519))
ポール・アンダースン 関口 幸男
早川書房 2005-06-09
評価

by G-Tools , 2008/03/30



 9月1日読了しました。
 読んでいる間、どっぷりと北欧神話の世界に浸っていました。なんて壮絶な運命なのか。夏なのに寒気がして鳥肌が立ちました。
 スカフロクよりも取り換えっ子のヴァルガルドの方が悲惨です。彼の人生っていったい何だったの? エルフとトロールの混血で人間じゃないのに、彼の慟哭は人間のもの。運命に操られるようにして弟を父を妹を次々と殺していく。そして我に返ったときに、やつらはオレの本当の家族じゃないんだ、と言い聞かすようにつぶやくのが哀しい。家族と信じていたものには血のつながりはなく、人間の子どもを手に入れるためだけにエルフの太守イムリックによって作られた彼は、スカフロクの影でしかない。だからこそ、憎む。自分から全てを奪った男から全てを奪おうとする。だが、光であるスカフロクが息絶えるとき、影であるヴァルガルドの命もまたないのだ。
 スカフロクには愛があった。ヴァルガルドは最後まで愛されることはなかった。影として生まれ、影として死んでいった。
 神話コードを与えられたキャラは、冬の海のごとく吠え猛る運命に翻弄されていく。魔剣を手にするために愛を失い、英雄となり、そして愛ゆえに破滅し、愛しい人の腕のなかで息たえる。これは短い生涯だとしても存外しあわせではないだろうか。ヴァルガルドに比べたら(T.T)。

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