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真なるクー ~朝の風景~



  ある日の出来事だった。いまにして思えば、洋館に来たものの何故常にスクール水着を纏う女と一緒にいるのか……皆目見当も付かなかったが成り行き上しょうがない、この手に掴まれたスリッパがあれば何とかなるだろうと、そう想い日々を過ごしていた。

「咥えるぞ」
  すっと枕に忍ばせていたスリッパを引き抜いた。
「なかなか手厳しいな。早朝からの一発は、朝立ちの効果をいなす力があるのに、どうして君は拒絶する?」
「しょっちゅう精子を搾取されたら、身が持たないから」
  不満そうな表情を浮かべ「そうか、一理あるな」と、クーは諦めに似た言葉を放つ。股の間に顔を埋めたクーは、もぞつきながらベッドから降りた。
  既にある程度の日が経って、いまやお約束になっている早朝エロ会話は終了した。毎度の事、一緒のベッドで夜を過ごし、朝クーに奉仕を強要され目が覚める毎日だった。
  謎めいた叔父から洋館を貰い遊びに来てみれば、“クー・トゥルー”という女性に出逢う。しかも人間ではなく――神の存在だった。邪神であった事は否めない事実だが、そのクーという邪神と契約を結んでしまった。いや、結ばされていた。公然と拒否しても良かったが、目の前に拡がる美貌と淫靡かつ艶やかなエロティシズムに翻弄され、契約を結んでいたといっていい。

  クーとの生活を始め、日が経つにつれ素直で悪い奴ではないと感じ始めていた。考え方が破壊や負の方向性に特化していたが、話せば理解できるし諭せば分かり合えた。邪神だけに倫理観のないクーは、性に溺れ我を失う事が度々あるが、スリッパで叩いてやれば大人しくなる。何か過去にスリッパによってトラウマを植えつけられたのだろうか、スリッパにはめっぽう弱いクーだった。
  契約が、俗によく聞く願望を叶える代償として魂を与えるものではなく、俺が主となって、クーが従うといった関係になっていた。通常逆ではないか? と思うのだが、スリッパに恐怖するクーを考えると、解らない話ではなかった。むしろ可愛らしさと愛くるしさを感じていた。
  残暑厳しい都心から離れ、避暑地での生活が一体どのようになるか、楽しみでもあった。

  ベッドから滑り降りたクーは、いそいそとスクール水着に着替え始めていた。三階までふきぬけた寝室は、高い位置に大きく取られている窓から陽の光が差し込める。窓から鋭角に差す陽に照らされるクーは、曲線美の裸体を晒し出し、鈍く眩い反射光を放っていた。ただただ美しい身体、逆光してシルエット状に輪郭を露にする。
細身の身体はバランス感を欠く事はなく、量感のある乳房や安産型の尻の膨らみを否定し、曲線を表しつつ直線化した身体だ。鋭く視線が刺さる、着替え終えたクーの視線だった。

「興奮したのか? 主」
  瞬時にクーの眼が瞬いた。まじまじと、俺を舐めるように眺める。眼が合った瞬間、クーは悪代官の悪知恵働く眼を光らせ、にじり寄る。
「ほう、この下半身の充血ぶりは、ただの朝立ちとは思えないな」
  更に邪悪な笑みを洩らし、俺の脚をつま先から弄ぶように上部へと身体を這わせていく。クーは肩の紐を滑らせて二の腕へ落とす。露になった乳房は、俺自身を想定したのか脚に絡み付いて離れない。するすると上部へと這い上がってく乳房は脚に残り、上部へと引っ張る力によりぽんぽんと跳ねた。そのまま跳ねては引っ掛かり跳ねては引っ掛かりと、鞠のように乳房は上下に揺れていた。
「よせよクー、発情してないって」
  俺は否定してみせた。かなり限界ではあったが、際限なくエロスを味わい続けると馬鹿になる。性に溺れた結果がどうなるかなど解りきった事だ、自粛して然るべきだと。保険のためにスリッパを握り締めていた俺は、自信のなさがありありと露呈していた。
「では主よ、めくるめく快感を共に味わおうではないか」
  俺の股の上に乗ったクーは、髪の毛を舞い散らかせて、あてがった。
「クー! 飯、飯食うぞ」
「人間は、心理に正直にならないと駄目だぞ」
  クーは話を聞かず、艶やかな唇を半開きにして、そっと耳元で囁く。乳房が胸板で朧のように潰れる。淫靡で甘い匂いを顔中に充満させる。くしゃくしゃと俺の髪の毛にクーは指を差し込み、巻きつけるようにして指先で遊ぶ。溶け出すようにして脳が麻痺し始めるが、下半身は過敏に反応し覚醒を始めた。

「主よ……逝きますか」
  軽くフレンチキスした。自己の勝負に敗北を記して、保険が発動した。
「あう」
  けたたましく高い衝撃音が広い寝室の壁に反響しあって、残音を響かせながら木霊した。スリッパの一撃でクーは仰け反り頭を擦る。「いひゃい……」と。
「飯食うって言ってんじゃんか」
「誘ったのは私だが、承諾したのは君だぞ……それをスリッパではたくなんて」
  キッとした眼で、クーは俺を責め立てた。自省の念に駆られ、苦い想いのする生唾を飲み込んだ。クーは垂れ下がっていた二の腕にある紐を持ち上げ、両肩にかけた。ぶっちょうずらで頭を擦りながら、ベットを降りる。
「クー!」俺は自身の頭部をスリッパで叩いた。正直俺の言い分も確かにあるが、我慢できなかった俺の責任もある。誘惑に負けて、強引にスリッパではたいて現状を打破した俺を、クーは責め立てる主張は正論だった。
「これで許してくれるか? クー」
  クーは呆然と俺を見つめ、コクリと頷いた。直後口を開いた。
「結構痛いだろう、殴られる私の事も考えてくれ」
「そうだな」
  又ベットに上がりこんで、俺の身体に身を寄せる。互いに額をぶつけ見つめ合う。そうして自然と俺は唇を重ねていた。苦い味がした唾液は甘いなめらかな液体に姿を変え、お互いの唇を介して転がり合う。弾けるような音を立てて、そっと唇を離した。

  物足りない表情を浮かべたクーは俺の首に手を回し、キスの余韻を楽しみながら囁いた。俺の手に握られていたスリッパに指をさして「コレだけ痛いんだから、あそこに挿入したら、ありえないぐらいの快楽を得るのかな? 主よ」
  暫しの沈黙が流れ、俺は思いっきりクーの頭をスリッパで叩きつけた。
「言ってるそばから、それかよ!」
  スパーンと、今までにない最高の快音を響かせた。
  徐々に室内の温度も高まってきていて、蝉がこれでもかと鳴き叫んでいた。静かな森の、木の葉の囁きを感じながら、今日の一日が始まろうとしていた。一体今日は何が起こるのだろうと、楽しみでもあり心配でもありながら、心の片隅では待ちわびていた。
  クーと朝食を取るために、食堂へと手を繋ぎ足を進めた。


written by pool ◆t0BCEF0uzI

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