集合と写像


集合

集合の定義

集合とは,範囲が明確なものの集まりをいう.
たとえば,自然数のものの集まりなどは,範囲がはっきりしているから,確かに集合と考えられる.
Aが1つの集合であるとき,Aの中にはいっている個々の'もの'を,Aという.
'もの'aが集合Aの元であることを,記号でa \in Aと書く.
このことをaAに属するなどともいう.

集合の記法

集合を具体的に表す記法について説明する.
一般に,元a,b,c,\cdotsよりなる集合を\{ a,b,c,\cdots \}という記号で表す.
これを集合の外延的記法という.
しかし,この記法はすべての元を書き上げる事ができる集合でしか用いることができない.
そこで,変数xと変数の性質を記述した条件C(x)から,\{ x | C(x) \}と記述する方法を内延的記法という.
たとえば,0以上10未満の実数を集めた集合は\{ x | x \in R, 0 \leq x < 10 \}と記述する.
条件のカンマ','は'かつ'の意味を表している.

論理記号と集合演算

論理記号 :意味(読み方)
x \in X xXに属する.xXの元である.
A \subset B ABの部分集合である.
p \Rightarrow q pならばqである.
p \Leftrightarrow q pqは同等である.
\exist x(C(x)) :少なくとも一つのxで(は),条件C(x)を満たす.
\forall x(C(x)) :全てのxで(は),条件C(x)を満たす.
\exist x \in X(C(x)) Xに属する少なくとも一つのxは,条件C(x)を満たす.
\forall x \in X(C(x)) Xに属する全てのxで,条件C(x)を満たす.

集合演算 :【読み方】意味
A \cup B :【カップ,和集合】A \cup B = \{ x \mid x \in A \ \rm{or} \ x \in B \}
A \cap B :【キャップ,共通部分】A \cap B = \{ x \mid x \in A, x \in B \}
\cup^n_i A_i :【いずれかのA_iに含まれる元の集合】\cup^n_i A_i = \{\omega \mid \exist i(\omega \in A_i)\} = A_1 \cup A_2 \cup \cdots \cup A_n
\cap^n_i A_i :【すべてのA_iに含まれる元の集合】\cap^n_i A_i = \{\omega \mid \forall i(\omega \in A_i)\} = A_1 \cap A_2 \cap \cdots \cap A_n
A \setminus B, A - B :【Aに対するBの補集合】A \setminus B = \{ x \mid x \in A, x \notin B \}
A^c :【Aの補集合】全体集合Xに対する補集合.A^c = X \setminus A = \{ x \mid x \notin A \}

部分集合

集合A,Bにおいて,x \in A \Rightarrow x \in Bが正しいならば,AB部分集合であるといい,A \subset Bと書く.
このことを,ABに含まれるという.
A \subset Bであるというときには,A = Bである特別の場合も除外されていない.
A \subset Bであり,かつA \neq Bであるときは,ABの真部分集合であるという.

集合族(集合系)

集合の集合,つまり集合の元がそれ自身集合であるような集合を集合族と呼ぶ.
中でも,集合Xの部分集合により構成されている集合族を部分集合族と呼び,Xのすべての部分集合を集めた部分集合族を巾集合\Xi(X)と呼ぶ.
集合族は,普通の集合と区別する必要から,しばしばドイツ大文字で表されたりする.

集合族の集合演算 :意味
\cup \Xi \cup \Xi = \{ \omega \mid \exist A \in \Xi(\omega \in A) \}\Xiは集合族.
\cap \Xi \cap \Xi = \{ \omega \mid \forall A \in \Xi(\omega \in A) \}\Xiは集合族.

直積集合

A,Bを二つの集合とするとき,その元の組(\omega1, \omega2)\omega1 \in A, \omega2 \in B)からなる点集合を考える.
この点集合\{ \omega = (\omega1, \omega2) \mid \omega1 \in A, \omega2 \in B\}を直積集合と呼び,A \times Bと書く.

可算集合

元を全て数え上げることのできる集合を可算集合という.

対応・写像

対応

A, Bを二つの集合とし,ある規則\Gammaによって,Aの各元aに対してそれぞれ一つずつBの部分集合\Gamma(a) \subset Bが定められるとする.
a \neq a'に対して,\Gamma(a)=\Gamma(a')であってもよい.また,\Gamma(a) = \phiとなるようなaがあってもよい.)
このとき,その規則\GammaのことをAからBへの対応といい,\Gamma(a)\Gammaによるaの像という.また,A,Bをそれぞれ対応\Gammaの始集合,終集合という.
\GammaAからBへの対応であることは,しばしば
\Gamma:A \rightarrow B  または  A \rightarrow^{\Gamma} B
で書き表す.

写像


写像の性質

最終更新:2008年12月16日 21:11
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