nicoparo @ ウィキ
http://w.atwiki.jp/nicoparo/
nicoparo @ ウィキ
ja
2010-07-11T11:03:08+09:00
1278813788
-
気高き君の呪縛 最終話『瀬人の花嫁』
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/142.html
モクバとこころを加えた26人の勇者は、テラカオスを打ち倒した…。
こうして、浸食されつつあった数多の世界は平和を取り戻し始めた。
しかし、その為に命を散らせた戦士達、
理不尽な暴力の前に散った愛しき人々、
魔に魅せられ闇に堕ちた者の何人かは…
ついに取り戻せなかった。
それでも時は流れていく。川の流れのように、悲しき過去も美しき思い出も連れて、
未来という大海原に向かって…。
そうして迎えた―春。
白き雪は溶けて、雪解け水の‘キセキ’だけを大地に遺す。
多くの門出と別れは‘誠’に辛かった。
しかし新たなる季節の訪れに‘木々’は喜ぶ。
新たに始まるロードに‘人々’は胸を膨らませる。
新たなる出逢いを前にしてに‘心’を弾ませる。
あちこちで出逢いと祝福の‘言葉’が溢れ出す。
そして物語の舞台は―
遊戯や海馬の世界―
アメリカ―
海馬ランド―
KC副社長曰わく―
「ここが、最後の舞台!ブルーアイズ・キャッスルだ!」
その日―
瀬人18歳、言葉16歳
モクバ13才、こころ12才であった―
―*―
その青と白のコントラストが美しい城の中は、教会のような造りになっていた。
そこに集まっているのは、ニコニコを救った勇者達と、その関係者達である。
互いの世界を繋ぐ『ゲート』なるものを、KCとEDFが開発に成功したこと、
そして八雲紫・Fooさん・古手梨花・谷口などの能力者達の尽力によって実現したことである。
やや久しぶり方の再会を喜び合う者も多かったが、
『友達の友達』といった具合に初対面同士の者も多く、いろいろなことが起こっていた…。
例えば…
「あんた達甘いわ!ロリ巨乳がどれほど萌える存在かわかってないの!?」
SOS団団長・涼宮ハルヒ。
「いやいや!ロリを名乗るなら、やはり穢れを知らぬ流線型の如き胸板こそ美徳というものであろう!」
富竹や梨花の招待でやって来た、萌えの伝導師・前原圭一。
「私はKに賛同する!ロリとはつるぺったんあってこそ成り立つものであって…」
伝説の少女A・泉こなた。
三人は口喧嘩しているようにも見えるが、彼らは『萌え同盟』として、会ってまもなく
2010-07-11T11:03:08+09:00
1278813788
-
気高き君の呪縛 第士話『旅路』
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/141.html
「八雲さん…。ちょっと、席を外してくれますか…?」
言葉にそう頼まれて、紫ら三人は互いに顔を見合わせ…頷いた。そっと六人と距離をとり、背を向けてくれた。
「……」
六人の間に、何ともし難いような沈黙が続く。最後の最後、
何をしようか、
何を話そうかと思案していたが…
「…キサラさんっ」
沈黙を破ったのは、こころの明るい声だった。
「わたし、最後に…キサラさんとぎゅーってしたいなぁ…」
「ぎゅー…って?」
こころが何を求めているのか、キサラがわかりかねていると…
「ぎゅーって!ほら!」
こころが両手をいっぱいに広げた。
―ああ。
やっとキサラはその意を解し…
こころをぎゅーっと…抱きしめた。
「…あったかいね、キサラさんて…」
それは…優しい温かさ。
「…そうですね。こころちゃんも…」
それは…元気な温かさ。
「…私、キサラさんみたいなお姉ちゃんも…欲しかったなぁ…」
「…私も、まるで…妹が出来たみたいでした。
元気で、無邪気で…私も元気を分けてもらったような気がしました。
前世の頃は、妹なんていませんでしたから…」
「じゃ、じゃあね、キサラさ…」
そこで、こころは一旦口を閉じて、言い直した。
「キサラお姉ちゃん!」
「えっ…?」
満面の笑みを浮かべるこころを、驚いた様子でキサラは見つめた。
「私ね、もし生まれ変わったら、キサラお姉ちゃんの妹になる!
そしたら、もっといっぱいぎゅーってして、
いっぱい一緒に笑って、
いっぱい遊んで…」
その時…静かに、こころの頬に光の筋が現れる。ぐずっと鼻を鳴らして、最後にこう言った。
「約束だよ…?約束破っちゃ…いやだよ…?」
キサラはコクと頷いて…
「…はい。来世で…きっと…」
キサラのその発言を受け、
「…きっとではない。そうに決まっている。来世でまた会えるに決まっている」
不意に横から、瀬人が口を出した。
「…瀬人君の口からそんなオカルティな台詞が飛び出すとは思いませんでしたよ…。よく断言出来ますね?」
言葉が突っ込むも、瀬人はものともしない。
「当たり前だ。何故なら、そうなるように俺がいま運命づけたからだ。
そうならない運命など、この俺が粉砕してくれる。
俺達が決
2010-07-11T10:52:25+09:00
1278813145
-
気高き君の呪縛 第十話『最後のシ者』急
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/140.html
「現れろ!究極のD-HERO…Bloo-D!!」
D-HERO Bloo-D:ATK3400
対する瀬人のカードは…
「行くぞ渚カヲル!これが俺の力、俺の絆、俺の光だ!!ブルーアイズ!ホワイトドラゴン!!」
青眼の白龍:ATK3000
「…無駄だね。Bloo-Dの攻撃力は3400。ブルーアイズには超えられない!」
「まだだ!さらにもう一体…来いっ!ブルーアイズ!!」
青眼の白龍:ATK3000
青眼の白龍:ATK3000
「2体並べても同じだよ!結局攻撃力は3000!Bloo-Dには届かないし…これで君のブルーアイズは全て―」
「さらにもう一体!!」
「…え?」
青眼の白龍:ATK3000
青眼の白龍:ATK3000
青眼の白龍:ATK3000
幻想などではなかった。青い瞳を光らせた白き龍…。それが三体…並んでいる。
「ば、ばば…バカな!!ブルーアイズは三体しかいないはずだろう!?
しかもその内一体は、僕のBloo-Dに吸収されている!!」
必死に、目の前の龍の存在を否定するカヲルだったが―
「そうだな…。なんせ…他でもない俺自身が、世界に四枚しかないこのカードを、
世界に三枚しかないカードにしたんだからな…」
少し苦みを含んだような声で、瀬人は語る。
「だが…この世界で俺は出逢った。
どこまでも、俺と、俺のロードを守ろうとし、生きる覚悟も死ぬ覚悟も決めてくれた、
美しい人―キサラに。
それこそ、俺が破り捨てた、四枚目のブルーアイズホワイトドラゴンだった!
貴様が創った世界で、俺達はまた巡り会えた!
そして…新たな絆と、光と、未来へのロードを見つけたのだ!!」
瀬人の手札はあと二枚。そのうち一枚は当然―!
「魔法カード『融合』を発動!!
渚カヲル…見るがいい!『究極のD』を打ち破る!俺達が信じた『究極の青眼』の姿を!!」
三体の白き龍は今、最強の決闘者の名の下に一つとなる―!
青眼の白龍×3→墓地へ
「いでよ!青眼の究極竜―ブルーアイズ・アルティメットドラゴン!!」
青眼の究極竜:ATK4500
「攻撃力…4500!?これが…君の…究極!」
「『究極のD』よ!渚カヲルよ!この光の輝きを、俺達六人の力を受けてみろ!
2010-07-11T10:48:23+09:00
1278812903
-
気高き君の呪縛 第十話『最後のシ者』破
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/139.html
「それじゃあ…僕も本気で行かせてもらおうか―」
視線が鋭くなる。今までは暖かいような印象だったが、今度は涼しげなものだった。
目には見えない威圧感のようなものを感じる。
―A.T.フィールドはない。ならば先手必勝―とばかりに、モクバがまず仕掛けた。
「ファイアダーツ!!」
小さな手裏剣のような火炎弾を大量に放って牽制する。
「――っ!」
カヲルは避けること叶わず、身体を火だるまにする。声を上げる余裕もないらしい。
(…イケる!!)
一気にケリをつけようと、モクバは疾風迅雷の勢いで間合いを詰めて―
「じゃんけん…グー!!」
必殺の拳で殴りつける。すると…
「――っ!」
(やった!勝った!仕留めたぜぃ!!)
声にならない声を上げ、カヲルは砂となった。
(―すな?す…砂!!)
倒してからやっと気づいた。自分が倒したのは砂で出来た分身だったと。
ならば本物は―
「いやぁ、避けておいて良かった」
その声にバッと振り返ったモクバを斬り裂く…白刃。
「ぐ…ぐあっ!!」
斬り裂かれるその刹那、なんとか急所だけは腕で庇ったが、それでも完全に虚を突かれた攻撃は強烈だった。
小さく呻く身体が丸ごと宙に飛ぶ。
「モクバ君!!」
続いて言葉が間合いを詰める。
剣の間合いまで、あと5、4、3―ザシュッ!
「…え?」
まだ…剣の間合いに入ってないのに…
(なんで…突かれた?)
「い!?くぁああっ!!」
驚きのあまり、脇腹を裂かれる痛みを感じるまでに若干のタイムラグがあった。
混乱する彼女を置き去りに、鋭く光る細いものが横薙ぎに迫ってきた。
「くっ!」
ガキィン―!
なんとかこれは防いだ。防いでやっとわかった。自分の脇腹の傷も、この薙ぎ払いも、弓矢刀剣の類によるものだと。
しかし、弓矢なら薙ぎ払いは出来ない。刀剣ならば間合いが離れ過ぎだ。
剣が伸びたのか?まさかそんなことは―そのまさかだった。
「な…何ですかその剣は!?」
言葉は見た。鞭か蛇のように宙に舞った細長いものが縮んでいき、カ
ヲルの右手に収まって、細身のただの剣の姿に戻る一部始終を。
「凛刀・雫卦…大業物だよ。日本刀、騎士剣、ダガーなどの分類で言うなら…関節剣と呼ばれるものでね、僕の愛刀さ」
(りんとう…しずか?関節
2010-07-11T10:45:55+09:00
1278812755
-
気高き君の呪縛 第十話『最後のシ者』序
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/138.html
「最後の…シ者?」
言葉は『シ者』が意味するところを理解出来ず、そのままオウム返しした。
「ふぅん、貴様の死が神界の滅亡に繋がるなら、貴様は神界における最初で最後の死者というわけだ」
瀬人はその解釈から『死者』を連想した。だがもちろん、別の『シ者』の意もまた真であった。
「神界…?ふふ、誰が名付けたか知らないけど、いい名前だね。
驚いたなあ、この世界の秩序と法則を解き明かした人がいるんだね…。
でも創造主として、この世界にはちゃんと先に名前を付けてあるんだ。
『ルフラン』…とね」
ルフラン―それはリフレーンと同義のフランス語で、詩や楽曲の終わりの部分を繰り返すことを言う。
この世界において、命が何度でも繰り返されることと掛けているのだろう。
「そして、僕は君たちをそのルフランへといざなう『使者』になるかもしれないね…」
そう言うと、カヲルはクスッと笑った。優しげで無邪気な…そんな笑顔。
そこからは邪気や敵対心といったものが感じられない。むしろ神々しい雰囲気すらあるのだが、
それでいてどこか親近感を感じてしまう。彼との出逢いがこういった形でなければ、好印象を抱いていたことだろう。
相手も、似たようなことを考えていたのかもしれない。
笑顔が、同情するような…憐れむような表情に変わった。
「僕を殺し、この世界を滅ぼすつもりで来たんだろうけど…その理由、僕にはわからないよ。
今後の参考までに、教えてくれないかな?」
決意を秘めた眼で、
「未来への…ロードの為だ」
瀬人が一言で答えた。
もちろん、その一言では全ての半分も表せていないことを、瀬人自身わかっている。
瀬人は…カヲルの反応を見てみたかったからこんな答え方をした。
カヲルの反応は…
「はぁ…呆れたよ」
あからさまなため息だった。
「未来に行かなければならない…。それが今までの、人の運命か…。人の希望は悲しみに綴られているね…」
その悲しみを…彼は知っているのだろう。そうでなければ、こんな悲しそうな顔は出来ないはずだ。
「人は、脆く弱いものでできている。心も体も、脆くて弱いものでできている」
聞き入っている六人とも…それは知っている。
「だから常に人間は心に痛みを感じている。心が痛がりだから、生きるの
2010-07-11T10:43:43+09:00
1278812623
-
気高き君の呪縛 第九話『回顧』
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/137.html
「いでよ…。ブルーアイズ…」
瀬人がデュエルディスクに三枚のカードを挿し込むと、日が沈んだ闇の空の下、
白き龍がその輝きを以て、六人を照らす。
青眼の白龍の背に乗って、向かう先はあの始まりの街。
その城郭都市の中央に建つ王宮に、
神界の創造主―海馬達が討たねばならぬ者は君臨しているとのことなのだ。
「龍の背に乗って行くなんて、あの時を思い出すな…」
「ベルゼバブ城へ向かった時のこと…ですか?」
誠と言葉はそう語らう。
前の出発の時は、誠が調子に乗ったことを言って瀬人に怒られ、それを言葉が仲裁した。
ほんの数日前のことなのに、その三人にはとても懐かしい出来事のように思えた。
「…ねえ。今回は…みんなで固まって行きたいな…。
最後なんて…嫌だけど、最後なんだもん…」
こころが寂しげに提案したことに、異存があろうはずもない。
皆黙って頷き、白き龍に歩み寄っていく。同じ龍の背に乗りたい人に寄り添って。
瀬人がキサラに。
言葉が誠に。
そして…こころがモクバに。
「…こころ?」
何故彼女が自分に寄り添ってきたのか…。モクバは首を傾げていると、
「モクバくん…」
少女は潤んだ瞳を向けてきた。新しい潤いだ。姉を救おうとした時の名残ではない。
「瀬人くんのマネみたいになっちゃうけど…、私の気持ち、モクバくんなら…わかってくれるよね…?」
「ああ、わかるぜぃ…泣きたくなるほど…」
わかっているからこそ、口に出す必要はなかった。
―応援してきた兄・姉の恋。
―自分にも優しくて、自分さえも守ってくれた、大好きだった、兄・姉の恋人。
―そして…その人とお別れしなくちゃいけない、悲しい未来…。
だが『泣きたくなるほどわかる』と言っておきながら、モクバは泣こうとしなかった。
泣きたいのに何故泣かないのか…その訳を龍の背に登りながらこころが尋ねると、
「だって…俺が泣いたら、お前も泣く気だろ?お前の泣く顔は…見たくないぜぃ」
そう答えながら、モクバはこころより前に跨った。
その少年の背中に、少女はそっと抱きついた…。
(本当に、強くなったな、モクバ…)
兄はそれを複雑な表情で見ていた。
モクバを守ると決意した頃の彼は十才。
今、弟はその頃の彼より二つも年上になり、
剛三郎を倒し、兄と肩を並べて魔
2010-07-11T10:39:51+09:00
1278812391
-
気高き君の呪縛 第八話『キサラ』後編
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/136.html
「…!?ど、どうしたブルーアイズ!?何故攻撃しない!!」
白き龍は攻撃しない。その瞳を青く青く光らせるばかり…。
綺麗な青。
透き通った青。
そう…涙のように。
「ブルーアイズが…泣いている?」
そして遂に…白き龍は光の粒子となって―
「ブルーアイズが…消えていく…」
瀬人はそれを夢心地で見ていた。そこへ一人の乙女がすがりついてきた。
「セトさまぁ…っ。もう…おやめください…っ!」
「な…キサラ!」
「あなた様が持つ三体の白き龍は、私の分身です…。今の『青眼の白龍の消滅』は、私の意志なんです!」
時同じくして、言葉の傍に
「ことのは…っ!もう…いい加減にしてくれっ!」
「ま…誠君!」
二人共…泣いていた。その手は或いはカード、或いはグランドソードを制している。これでは戦えない。そしてその間に、空間断絶の効果が切れた。
「き、キサラ!離せ!奴らを倒さねばならんのだ!お前の為にも!」
「ま、誠君!離して下さい!あの人たちを倒さないといけないんですから!」
瀬人と言葉は愛しき人を振り払おうとした。だがキサラも誠も離れようとしない
。
「おやめください…!」「もうやめてくれっ…!」
「ええい、何故だ!何が嫌なんだ!?お前の為にやっているのに!」
「どうして邪魔するんですか!?私は誠君を守るために…!」
「そうおっしゃっているセト様の目には、私しか映っていないじゃありませんか!」
「もう死んじまってどうしようもない俺一人の為に、なんで世界まで滅ぼそうと、なんでお前まで俺の後を追おうとするんだよ!」
「わたくしは…!」「俺は…!」
「「まだ生きている、未来を持つ、愛する人の足枷に!
気高き君の呪縛になんてなりたくない!!」」
「ぐっ…!」「うっ…!」
瀬人と言葉の鋼の意志が、わずかに揺らいだ。愛する人の頼みを断るというのか…。
だが所詮は揺らいだだけ。倒れることなく元に戻る。
「…ごめんなさい、誠君」
バッと、言葉は誠を力ずくで突き放した。そして獲物をグランドソードから古青江に持ち換え、正眼に構える。
九頭龍閃の構えだ。間合いから考えて、少なくとも紫たち三人の内一人は汚らしい肉片に姿を変えることだろう。ムスカのように…。
「誠君は私の全てなんです。誠君と一緒にいられるなら、天国だ
2010-07-11T10:35:32+09:00
1278812132
-
気高き君の呪縛 第八話『キサラ』前編
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/135.html
―音のない大地に
―恋の歌響けば
―狂い出す歯車
―止められぬ宿命が
―はじけた…
真赤な夕空は、屋上からよく見えた。その美しさも、沈みゆき、闇が少しずつ深まっていくさまも…。
その屋上に、九人の人影があった。
「まず、この世界の名前は『神界』…ということにしておくわね。あと、私が話してる時に質問してくれていいから。質問も受け付けないと、大事な事を話そびれるかもしれないから…ね」
少女の姿をした博識のスキマ妖怪…八雲紫は、そう前置きしてから話し始めた。
「この世界はね、最近出来たばかり…何者かに創られたばかりの新世界なの」
「創られた…?他の世界が崩壊しようとしている今ですか?」
と、早速の質問は言葉より。
「その混乱に乗じて創ったらしいわね。だからこの世界は不安定で、創造主が消えれば、この世界も消滅する…」
‘世界消滅’という部分から、こころは自分達への依頼内容に気づいた。
「わかった!だから私たちにこの世界を守って欲しいってことだね!」
が、
「…逆よ」
「え…?」
‘守る'の逆、それはすなわち…
「この世界を…滅ぼして欲しいの。神界の創造主を…倒してもらいたいのよ」
各々が目を丸くした。紫が何を考えているのか理解できない…そんな具合だった。
「な…なんで…?い、意味がわからないぜぃ!この世界で生きてる人もたくさんいるのに!なんで…」
モクバは六人の中で一番この世界の住人を肌で感じていた。あの始まりの街の外をあてもなく歩いてた所を一人の老人に助けられ、そのおかげで兄とも再会出来たし、このパーティーも成立したのである。しかし、紫が言った真実は…モクバが言ったことと逆だった。
「…この世界の住人は、厳密には誰も‘生きてない’。私たちのような侵入者やあなた達のような迷い人を除けば…」
生きていない、それは当然…死と同義。
「神界は、他の世界で死んだ魂や幽霊、実体を持たない存在などを強制的に引きずり込んで、肉体を与える力を持っているのよ」
「僕の身体もそうなのです~」
そこへ、羽入が口を挟んできた。
「僕は今まで実体がありませんでしたが、今はこうして身体もあるし、物に触ったりも出来るのですよー」
ちなみに羽入はなんだかんだで神様なので、今回は神界に引きずり込まれたのではなく、能動的に神界入りを果たしたので
2010-07-11T10:31:58+09:00
1278811918
-
気高き君の呪縛 第七話『海馬瀬人』後編
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/134.html
「俺はこのカードを信じるぜ!」
魔王は三枚山札から引く。そして信じて引き当てたカードは…
「ふふ…力だけに頼る闘い方は、時に思わぬ弱点を露呈するぜ…。『クリボー』そして『増殖』!」
その声を、六人はあえて無視した。各々が全力で一撃を放つ。
「滅びの爆裂疾風弾!!」「飛天御剣流・九頭龍閃!!」
「風遁・螺旋手裏剣!!」「E・F・ブリザード!!」
「滅びの威光!!」「FINAL SECRET SWORD!!」
2つの閃光、2つの斬撃、2つの疾風、それらが全て魔王に…いや、
「クリクリ~♪」
増殖したクリボーにぶつかった―。
ドゴォォオオン!!
先代魔王やアナゴのレベルまで至らんとする大爆発。うまく当たったなら心の壁を破壊していてもおかしくないのだが…
瀬人、モクバ、言葉、そして何故かキサラも知っていた。
「クリクリ~♪」
「あ、あれは…遊戯君と同じクリボー!!」
「機雷化能力を持つモンスターだぜぃ…!」
「何回倒しても…増殖する!!」
「こ…っ、このぉ…雑魚モンスター共めがぁああああ!!」
ドォーン!
瀬人は怒りに任せてまたもバーストストリームを放つが…
「クリクリ~♪」
クリボーはバーストストリームで焼かれるよりも早く増殖し、焼かれる時に機雷のように衝撃を相殺してしまう。
「失せんかぁああ!!雑魚モンスター共がぁぁああああ!!」
「クリボーなんかに…!クリボーなんかにぃぃいいいい!!」
ドゴォォオオン!!
瀬人に加えて何故かキサラまでムキになって攻撃し始めた。だが何回やっても何回やっても…
「クリクリ~♪」
クリボーが倒せない。
「なっ?力って脆いだろ?」
どや顔の魔王どころか、魔王を包む心の壁にも、奥の方のクリボーにも攻撃は届かないのだ。
「ちょ、ちょっと瀬人君!キサラさん!落ち着いて下さい!!」
バーストストリームを乱発する白龍の背に乗る言葉が、とうとう口を出した。
「雑魚モンスターが俺のブルーアイズをコケにしたのだ!これが落ち着かずにいられるかぁぁああ!!」
「…おでん用意しましょうか?」
ピタッと、瀬人の動きが止まった。そしておもむろにチョココロネを出して頬張ると、
「…言われてみれば、もう少し頭を使わねばあのクリボーはどうにもならんな」
どうやら落ち着きを取り戻したようだ。それだ
2010-07-11T10:29:43+09:00
1278811783
-
気高き君の呪縛 第七話『海馬瀬人』前編
https://w.atwiki.jp/nicoparo/pages/133.html
虚無の闇の中に浮かんでいた影が、コンクリートにゆったりと降り立つ。そして流れるような、
冷たい声が紡がれる。
「第四の闇のゲームへようこそ…。海馬」
口先だけは親愛を込めて、邪悪な笑みを浮かべながらその少年は言った。しかし…
「貴様は…誰だ…!」
海馬瀬人の声は、砂のような僅かな悔しさと、大いなる怒りで震えていた。
「貴様は俺の知る、あの気高き決闘者ではない!闇のゲームと称し、人の命を弄び、魔王の手下になり果てた貴様など、もはや俺のライバルなどではないわ!!」
「遊戯ぃ…」「遊戯君…!」
モクバと言葉も、泣きそうな声で
「なんでだよ!?決闘者の王国で、俺と兄サマを助けてくれたお前は、
どこ行っちまったんだよ!!」
「遊戯君!目を覚まして!覚えてるでしょう!?私たちは、たとえ住む世界が違っても、友達だと言ってくれたじゃないですか…!」
そう叫び、魔王に操られているのであろう遊戯の意志を呼び覚まそうとした。しかし、少年は
「…覚えてる訳ないだろ?今初めて会ったんだから。あんたがウワサの桂言葉か?杏子より胸でかいなぁ…。俺好みだぜ」
そう言って、言葉にいやらしい視線を向けてきたのである。
「そ、そんな…!遊戯君っ…!」
言葉は信じたくなかった。自分にいやらしい視線を送り続けてきた数多くの男子達。その中に、熱く友情やゲームを教えてくれた、あの優しい遊戯が加わることなど…。
同時に一つの疑問が浮かぶ。『今初めて会った』とはどういうことだろう…?
「それにモクバ。お前みたいなクソガキを助けた覚えはないぜ。まあ杏子はかわいいし、じいちゃんは千年パズルを見つけてくれた借りもあるから、助けたことはあるけどな…。
そう…あの時も…」
少年は表情を歪め、チッ―と舌打ちした。そして昔語りを始める…。
「あの時、究極竜が召喚された時はビビったけど、『クリボー』と『マンモスの墓場』で勝てると思ったのに…」
『青眼の究極竜』『クリボー』そして『マンモスの墓場』。瀬人には心当たりがあった。
「まさか…あの決闘者の王国でのデュエル…か!?」
瀬人が勝利を手にしたあのデュエル。瀬人はモクバの為、遊戯は双六の為に戦った(はずであろう)デュエル。
少年は、その真実の裏側を語り始めた。
「海馬…。お前が死のうと、俺にはどうでも良かったんだ。どうせあ
2010-07-11T10:27:03+09:00
1278811623