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「こんなこと……夢よね……」

 気が付いたらそこは見知らぬ個室だった。
 なんで突然、こんなことに巻き込まれたのか訳が分からなかった。
 夢を見ているのかと思い、試しに自分の頬を抓る―――痛い。

 ―――これは夢なんかじゃない。 

 目を閉じて、一回大きく深呼吸する。
 ――――スゥ、と、大きく吸い込み。
 ――――ハァ、と、大きく吐き出す。

「…………ゲホッ」

 むせた。
 あまりの臭いでむせた。
 しかし、それは血の匂いではない……。

 日常生活的な悪臭。

(というか……ここ、トイレの個室じゃない!)

 電気が付いていないので周囲は真っ暗だ。
 彼女――絢瀬絵里は暗い所は苦手だった。
 ただでさえ殺し合いという異常事態に巻き込まれて……
 スタート地点がこんなところで……

「……もうやだぁ……エリチカ、おうちに帰りたい……」

 絵里は膝を抱えて、洋式便座の上に体育座りする。
 今の自分は自分でも分かるくらいに非常に情けない姿だとは思う。
 こんなところを誰かに見られたら、クールな元生徒会長として威厳が吹っ飛ぶ。
 しかし、怖いものは怖いのだ。

 その直後であった。

 ―――ガタガタと、何か震えている音が隣の個室から聞こえてきた。
 そして、男の声で何か言っているような声も聞こえてきたが、声が小さすぎて聞こえない。 

(いやいや、そんなわけないわ! 幻聴よ!! お、お化けなんているわけないじゃない!!)

 少々のパニック状態であり、隣からの変な男の声もきっと幻聴と思いこむ。
 そう、高を括って声のする方の個室の壁にそっと耳を当てる。

「……隣に個室に女の幽霊なんていない……きっと温泉旅館にいたアレと同じやつだ……」
(お、女の幽霊ですって……!? しかも、隣にいるですって……!?)

 絵里は思う。
 『自分の隣の個室にいる男のそのさらに隣の個室に『何か』がいる』。 
 そう、確信した。 

(ここから出なきゃ……!)

 絵里はトイレの個室のドアを開ける。
 だが、その勢いは自分でも制御できないくらいに勢いよく。

 バァン!!!!

 まるでドアが大破しそうなくらい音がそのトイレ中に響き渡った。
 その音と同時に隣の個室のドアも開いた。
 そして、それとほぼ同時に中から銀髪の男が飛び出してきた。

「ギャアアアアアァァァァァァァ!!!!!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! 誰か助けて誰か助けて誰か助けて……」

 軽いパニック状態に陥る二人。
 顔を合わせた二人は脊髄反射的に互いに頭を下げ続ける。
 ちなみにまだ二人は気付ていないが、このトイレに個室は二つしかない。

「「なんでもしますから、許してええええぇぇぇぇ!!!」」

 ん?


 ◆ ◇ ◆


「よろず屋に……かぶき町?」
「……まあ、そんなところだ」

 トイレから出てきた二人はまるで何事もなかったように会話する。
 絵里の目の前の着物に銀髪で天然パーマの男――坂田銀時。
 聞くところによると江戸のかぶき町で『万事屋銀ちゃん』という何でも屋を営んでいるらしい。

「坂田さん……その話、正直信じられないわね」
「いやいや、んなこと言っても……」

 怪しい。
 現在社会に日本に住む絵里にとって銀時の話は信じられないことばかりだった。
 江戸にえいりあんだの天人だの……まるで頭の悪いSF作品のような話だった。

「……けど、今は信じるわ」
「そうかい」

 このありえない状況。
 それくらい異常なことに少しばかり感覚が麻痺してきた。
 絵里は賢いと言われてたくらいには頭の回転は早い方だ。
 この坂田銀時という男が信用できるかどうかと聞かれれば信用してもいい方に入ると踏んだ。

(きっと貴女でもこういう行動を取るわよね、穂乃果)

 名簿を見てここにいる知り合いの名前を確認した。
 希ににこ、穂乃果にことり……学校を廃校の危機から救ったμ'sのメンバーである。
 名簿を見て心配になった、それくらいに絵里にとってμ'sは大切な仲間である。

「そういえば、坂田さんの知り合いはここにいますか?」
「……俺の知り合いって言えるのはここからここまでの奴らだ
 で、警戒した方がいいのはコイツ(神威)だけだ」
「なるほどね」

 銀時の知り合いだと言う五人の名前と特徴を聴き、しっかり覚える。
 次に絵里は地図を見る。
 現在地は恐らくB-7にあるホテルっぽいことは部屋にある備品等を見て、なんとなくわかった。

(なんで音ノ木坂学院がこんなところにあるの……?)

 地図に書かれた『音ノ木坂学院』。
 本物か偽物かは分からない。
 しかし、μ'sのメンバーならきっとここに向かうだろう。
 何故なら……皆、音ノ木坂学院が好きだから。
 出来るのならば今すぐにでも行きたい。

 そんなことを考えながら絵里は地図の端から端まで隅々まで見る。
 その時、とある場所を発見した。

「ねぇ、坂田さん?」
「なんだ?」
「その……『万事屋銀ちゃん』ってここのことよね?」
「………………へ?」

 絵里が徐に地図ナビのとある地点を指差して銀時に見せる。
 その指先には『万事屋銀ちゃん』とご丁寧にも書かれていた。

「待てェェェェ!? 誰の許可で人ん家をこんなとこに移転させてんだァァァ!?」

 銀時はそのことに全力で突っ込む。
 自宅がこんなところに勝手に移転されてて突っ込まざるを得ない。
 自宅が勝手にロワ会場に移転させられる……そんなジャンプ漫画の主人公はいただろうか?
 否、恐らくはいない。

「はい、銀さん終わったよ、銀さんの帰るところがここだよ!!!」
「ちょっと坂田さん、落ち着いて……」
「それとな! その坂田さん呼びはあのネコミミババアを思い出すからやめろ! 親しみを込めて『銀さん』って呼びな!!」
「えぇ……じゃあ、銀さん落ち着いてください」
「俺ん家が勝手に移転させらてて落ち着けるかァァァ! 今の銀さん落ち着けさせたかったら特大のサイズのパフェ持ってこい!」
「えぇーっ……」

 一先ず、絵里は自分のフードカードを使ってみる。
 最初は胡散臭いとは思ったが、物は試しに使ってみた。

「……ハラショー……」
「うおっ、でけぇな……」

 特大パフェが出てきた瞬間、思わずそんな感想が飛び出た。
 素晴らしい技術ではあるが、今の状況では複雑だ。
 その出てきたパフェにすぐにかぶりつく銀時。
 そして銀時は一気にその特大パフェを食べきった。

「ごちそうさまでした」
「……食べたわね?」
「ああ、食べたさ……美味かったぜ」
「それ、私の貴重なカードだったんだけど?」
「………すまねぇ」
「そういえば、さっき『なんでもする』って言ったわよね?」
「…………………言いました」
「よろしい!」

 ◆ ◇ ◆


 数十分後。
 二人はホテルの探索やら配られたアイテムを確認してホテルの外に出た。

「さぁ、音ノ木坂学院に行くわよ!」
「へいへい……でも、木刀のない銀さん超弱いからね!!
 主人公補正が無い主人公ほど弱いものないからね!!」
「はいはい、そんな意味わかんないことはいいから……
 でも、頼りにしてるわよ、万事屋さん!」

 目的地は音ノ木坂学院。
 金と銀の髪がゆっくりと歩いていく。
 夜天の星たちだけがそんな彼らを見守っていた。


【B-7/ホテル周辺/深夜】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]:精神的疲労(小)
[服装]:いつもの格好
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0~3枚(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針: ゲームからの脱出
 1:絵里と音ノ木坂学院に向かう
 2:新八、神楽、ヅラ、長谷川さん、ついでに土方と合流したい
 3:神威は警戒

【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(小)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0~3枚(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出
 1:銀さんと音ノ木坂学院に向かう 
 2:μ'sのメンバーと合流したい
 [備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。


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坂田銀時 040:かしこくもかわいくもないエリーチカはただの絵里ザベス
絢瀬絵里 040:かしこくもかわいくもないエリーチカはただの絵里ザベス