運命のイトとヒトの布 ◆NiwQmtZOLQ






─────運命の糸を断ち切った、その先に。





☆☆*


徐々に冷え込んできそうだと、頬を撫でる風でふと思う。
ここが川に近い橋の上だからか、それとも高速で走っているからか。どちらにしろ、冥府に近い戦場において寒気がするなど縁起が悪いな、とふと思う。
本当なら、悪くはない景観でも眺めながらゆっくりと渡りたいとも思える橋だが、残念ながら今その上を駆ける皐月にそんな余裕は毛頭無い。
なんせ、背後から迫り来る化物にそんなことを説いたところで、理解を示す訳が無いのだから。

「──────来たか」
『ああ。仕掛けてくるぞ』

漸く対岸が見えてきたところで─────背後の空気に、糸のようにか細く、しかし強固な殺意が織り混ざる。
化物─────針目縫が、この瞬間を狙い澄ませ急速に速度を上げた証。
風すら置き去りにするという言葉が正しく相応しい針目の突進は、本来ならただの人間には視界に残像を映す事さえ叶わない。
繭によって制限がかけられた今でさえ、その動きを追うことは相当の手練で無ければ不可能だ。
─────ならば今、針目が狙うその女は手練と言うに価するか。
答えは、否だ。

「行くぞ、鮮血ッ!」

手練という言葉など生温い。そんな形容は、鬼龍院皐月には愚弄にすらなり得る。
生物学上ではあくまで人間でありながら、その天性の肉体と才能は化物に生身で比類する。
僅かに顔を傾けながら踵を返す。
頬の薄皮一枚のみを犠牲に全くの無駄が無い動作で振り向き、放つのは左手に握る鈍い銀色の閃き。
カウンターの形で振り抜かれた三日月が、闇に閉ざされつつある辺りを眩く照らす。

その光と並行に姿勢を曲げながら、尚も針目は速度を保ったままだ。
凡そ常識では考えられないような動作を続けながら、正気とは到底思えぬ鬼気迫る笑みを浮かべる様は、どこをとっても化物としか呼べぬ代物。
そんな化物の爪、妖しく鈍い紫光を纏う鋏が再び動く。
一の太刀、二の太刀、三の太刀。並みの剣ならそれだけで叩き折れそうなものだが、そこは迎え撃つ業物─────妖刀『罪歌』、そして何より使い手たる皐月の技量が光る。
物理法則を何処かで間違えたのではと思えるほどの斬撃をいとも容易く受け流し、勢いを利用して更に橋の先へと向かう速度に拍車をかける。
振り切れるか、そう思考するも即断で不可と判断する。単なる直感ではない、事実として。
そう、事実として針目縫が「そこにいた」。

「─────ッッ!」

それでも勢いは殺せない、いや殺さない。立ち塞がるようにそこにいるのならば、そのまま斬り殺せばいいことだ。
遠慮無く突っ込んだ皐月に対し、針目はニヤリと笑うと同時に身体を皐月に向ける。
一歩踏み込み、同時に奇妙に身体を捻らせ─────吸い付くように皐月に取りついた。
恐怖すら感じられるその行動と共に、既にハサミは振り抜かれ、的確に皐月の喉を掻き斬る道筋を描いている。
コンマ数秒後には決着が着いているだろう局面、皐月でさえもその運命を覆すことが出来ない明確な死の線。

『甘いぞ─────鮮血閃刃!!』

だが、生憎と皐月は一人では無い。
二人でこそ無いものの、そこには其処らの人間より余程頼りになる服が一着。
本来飛び散る筈のそれではない、『鮮血』の赤が処刑を阻む。
刃の鎧染みた風貌は、見た目に違うこと無く堅牢。
必殺を阻んだ鎧に対し、化け物は舌打ちと同時に凶悪な笑み、そして追撃─────針目の左足が風を裂いて迫る。
本来の針目縫なら忌避しそうな下品な行為ではあるが、最早外面など気にしない化物は此処まで溜め込んできた苛立ちを喰らい躊躇無くそれを放つ。
元からあった傷に重ねるように側頭部へ叩き込まれたそれは、ガードを通し衝撃そのものは吸収された。
しかしそれでも、今の皐月の動きをほんの少しだけ止めるには十分。
ふらつきこそしなかったものの僅かによろめく彼女へと、針目はここぞとばかりに刃を振り下ろす。
一呼吸の間に放たれた百はあろうかという斬撃を、遅れながらも展開した閃刃で受け流す─────が。

『流石に、手強いか…ッッ!!』

赤の刃が僅かに削げ、鮮血が小さく呻く。
神衣を織り成す生命繊維を即席で硬化させた鮮血閃刃と、その硬化に特化させた超硬化生命繊維を用いて作られた片太刀バサミ。
その差は一度の激突で揺らぐものでこそないが、刹那に複数の銀光が踊るこの戦場、針目縫を相手取ったこの戦闘に限っては大差を生み出す。
故に、皐月も即座に状況の変化を選択。
絶え間なく降り注ぐ刃の雨に対し、怯む事無く針目へと一歩踏み込んだ。
僅かに飛び散る鮮血が、針目の驚愕に歪む顔を彩る。
斬撃が舞うには到底足りない超至近距離へと接近した皐月は、針目の土手っ腹へと蹴りを突き出す。
それは再び針目を後方へ吹き飛ばし、突き放すには足る威力。
それこそ布であるかのように飛ばされる針目を尚も警戒しつつ、皐月の足は止まる事がなく。



─────タッチダウン。
辿り着いてもすぐには止まらず、更に数歩踏み込んだところで、皐月は背負っていた少女をそっと下ろす。
少女、宮内れんげも此処までのことがあれば大体の事は察している。その表情にはどうしようもない不安と恐怖が。
─────そして、その中でも確かにしかと輝く勇気が灯っている。

「…やはり、強いな。しかし、目を閉じていろといった筈だ」
「いやなのん」

少女のその目は、何か出来ないかと訴える目。
ここまでの殺意と恐怖に充てられながら、それでも尚彼女は前を向く事を肯定している。
それ自体は、称賛すべき事実に他ならない。
まさしく勇気と呼ぶに相応しきそれを、無意味と言うことは出来やしない。

「むり、なん?」

─────だが、今は。
「だから」、という訳にもいかなかった。

「…迷惑とは言わない。だが、そもそも土台が違う。アレは勇気だけあればどうにかなってくれるような容易いものではない」

恐らくそれは、これから始まる戦いを見れば否が応でも理解するだろう。
勇気は確かに貴く、されどその勇だけで現実を貫けるかと言えば答えは否だ。
己の力を己に見合うだけのそれに仕上げた皐月だからこそ、己の力量に見合わぬそれを、蛮勇とは呼ばずとも無条件での肯定は出来なかった。

「…この戦いが終わった時、この身体を癒してくれ。その為の力があるのだから。
だから、その為の力を蓄えておいてくれ」

…その代わり。
そう言って、皐月はそっと頭を撫でる。
れんげが、しっかりと首を縦に振る。
それを確認し、彼女は橋へと向き直る。
視線の先に立つのは、未だ健在、つい今し方吹き飛ばして尚ひと時も気を抜けない距離で嗤う化け物─────針目縫。
彼女に、見て取れるような異常は無かった。
僅かな傷も既に回復が始まり、前哨戦程度とはいえ刃を交えた直後とは到底思えぬ綺麗な姿のまま。
少女趣味の服装も、人形のような顔形も、何一つ変化した訳ではない。

─────だが、しかし。
『それ』を可愛らしいと言うものは、最早何処にもいないだろう。
幾ら絢爛な服装で誤魔化そうと、幾ら粧し込んで取り繕おうと、その本性が一度目を覚ませばそんな虚飾はあってないようなもの。
少女の殻を破り、針目はその本性─────『化け物』と呼ぶに相応しい殺意を一直線に皐月へと向けた。

「あくまでも、庇いながら戦う─────…なんて、バッカらしい。ボクもかなり舐められてるみたいだね」

れんげを庇うように立つ皐月に対し、浮かべるのは嘲るような笑み。
そんなモノを護りながら、自分と戦うというのか。
足手纏いにしかならないというのに、それで勝手に足を引っ張られて死んでくれるのなら大変結構だ。
但し、その場合は只では死なせない。
この生命繊維からなる最高の身体を以て、とことん蹂躙された後─────針目縫を『舐めた』代償を死ぬ直前まで味わって逝け。

「アンタみたいな、そういうことする醜いブタは─────とっととランウェイからいなくなりなさいッッ!!」

怒号一発─────最高速、閃光と化した針目の突貫が、第二ラウンドの幕開けを上げるゴングだった。



一瞬にして縮まる両者の距離、数コンマ後に迫る激突。
初手から急所を狙う的確な一撃を構えた針目だが、それに一手を先んじたのは鬼龍院皐月の方だった。
紅い棘、鮮血閃刃を纏いつつ、その中の二本を瞬時に伸ばし地を穿たせる。
針目自身を狙ったものではないそれに僅かに疑問を抱いた次の瞬間、視界に一つの違和感を覚える。
映る皐月の姿がやけに大きい、そう思えたのは一瞬だ。
それがスリングショットの弾丸と同じ原理で『射出』されたと気付いた次の瞬間には、既に紫刃が跳ね上がっていた。
間に合うかどうかというタイミングで振り上げられたハサミが、紅の顎を辛うじて受ける。
安心も束の間、針目は間髪入れずに両足に力を込める、否、込めざるを得ない。
それ自身が一つの砲弾である皐月と鮮血による突貫は、真っ向から受けるにはそも重過ぎる。
大質量でこそ無いものの、鬼龍院皐月という人間の身体に眠る力とそれを更に何倍にも増強する神衣が組み合わさっているのだ。鉛玉などとは比べ物にならないそれは、まさしく大砲の一撃に等しい。
踏み堪え、滑り、吹き飛び─────しかし、刹那の時間を挟む事なく化け物は活動を続ける。
宙を舞う最中でありながらハサミを突き立て、それを支点に華麗な一回転。
飛ばされた勢いそのままに反撃へと移った針目に、今度は皐月が意表を突かれた。

「閃刃、疾風ッッ!!」

掛け声からほぼ同時に、鮮血の脚部が変形する。
空を駆ける神衣の形態、鮮血疾風。閃く刃を纏いながらのそれは、まさしく空中に浮かぶ剣、いや、鋸か。
勢いを殺すどころか尚も突撃、真っ向から針目を迎え撃つ皐月に対し、針目が選択するのは小振りの連撃。
「挽き裂く」神衣の牙そのものを砕き、血色の結晶が飛び散っては糸に還り霧散する。
破砕された牙を即座に修復しつつも、皐月が僅かに攻めあぐねる。
二手目に刹那の迷い、しかし鬼龍院皐月とあろうものがそれを付け入らせる隙にする筈もない。
好機と睨んだ針目の刺突が激しくなる中、揃えていた両足を大きく開く。
直進ではなく横方向に向けられた噴射が生むものは、バランスを崩した皐月の墜落─────ではなく。
それを継続することで生まれる、超高速回転。
これを見れば、鋸という形容はなるほど正しい。今の彼女が彷彿とさせるのは、電動丸鋸の駆動そのものだ。
耳障りな鋼が擦れる音が二人の辺りに響き渡り、傍観者たるれんげが思わず耳を塞ぐ。
回転によってより破壊力を増した皐月の絶え間無い攻撃に対して、同様の戦法は通じない。そう悟った針目もまた即時にスタイルを切り替える。
ハサミに傾斜をつけて勢いを散らすと同時に、先の空中戦のように皐月というボールを打ち返すバッターの構え。
しかし、これもまた先とは細かな差異がある。
それは、その動作が「打ち返す」事に加え、「叩き斬る」ことまで見据えている事。
本来の野球なら凡打に過ぎないゴロを撃つようなそのフォームは、しかし殺し合いにおいては十二分に脅威。
地面に打ち据えられ隙を作ったところに致命打─────など、考えたくもない話だ。
無論、むざむざとそれを許す皐月ではない。
渾身の力を以て構え直している針目を無理矢理弾き飛ばし、尚も己は回転しながら空を舞う。
吹き飛んで尚獰猛に周囲を見回す針目の目に映るのは、ブーメランの如く再び突撃を仕掛けてくる赤い車輪。
辛うじてハサミを構え受け流すも、その程度で止まる事などあり得ない。
十数メートルの距離まで離されつつも旋回、三度目の突撃を回避されれば更に旋回し四度。
針目を中心に無秩序なヨーヨーめいた動きを見せながら己が身体を叩きつける皐月に対し、遂に針目が僅かに揺らぐ。
最早何度目になろうかという激突で、踏ん張りがきかなくなった地面が音をあげた。
ふらついた針目のチャンスを見逃すような皐月ではなく、瞬時に心臓を刺し貫かんと罪歌を顕現させる。
だが、そこで容易く討ち取られるには、針目縫という化け物は役不足だ。
足からハサミ、そして地面についた手へと重心をズラし、紙一重でその一撃を避けると、一歩踏み込み皐月へのカウンターを仕掛けた。
タイミングは完璧、本来なら必殺のそのカウンターは、しかしそれでも針目の勝利を引き寄せてはくれない。
胸に生み出した罪歌の刃が最小限の被害─────それでも左胸を浅く捉えはしたのだが─────に抑え、そして残るのは牙をもて余す化け物と、


「─────貰った」


─────その化け物に牙を突き立てんとする、人間を越えた人間の一つの極致点。
鬼龍院皐月の名を冠するそれが、白銀の刃をするりと閃かせ。
次の瞬間、針目の背から鮮血が沸いた。

「ガッ…!」

化け物の口から、呻きが漏れる。
走った痛み、身体へのダメージによる負担、戦闘続行の是非─────それらが一瞬にして針目の頭脳を駆け巡った。
しかし、その解答を導き出すよりも先に、怪物はその闘争本能を以てそれらを切り捨てる。
彼女の脳裏で沸き立つのは、より濃く粘ついた、灼けた飴の如き怒り。
人間如きが、神衣「もどき」如きが。
この紛い物の屑共が、己が完璧な身体をこうも傷付けた。
─────ふざけるな。

「ふざ、ける、なァァァァァァァァァァ!!」

猛獣さえも震え上がる雄叫びで空気を震わせ、化け物は更に加速する。

その咆哮に、しかし怯む事なく傑物は向き直る。
まだ戦闘が終わっていないことは、化け物の猛りを聴くまでもなく他でもない皐月が理解していた。
本来なら心臓まで刈り取らんとした一撃は、しかし致命傷には至っていない。
げに恐ろしきはその速度。単純な力比べや戦闘技術ならまだしも、瞬間移動とさえ思わせる動きをひらひらと舞うように披露し此方の攻撃を掻い潜る様はこと仕留めるには面倒な代物だ。
だが、今の一撃は彼女の戦いにおいてその解れを導くものとなり得る。そうであるならば─────まだ、兆しはある。
言葉少なく、されどそこに微塵の油断も揺らぎもなく。
皐月と鮮血は、再び駆けんと地を蹴った。

三度目の激突は、やはりと言うべきか皐月が一歩疾い。
数十歩の距離を踏み込み、貫く。ごく単純な動作に過ぎず、そしてその単純故の鋭さが何よりの武器。
一瞬にして間合いを詰めた針目に、槍にも等しい一撃が突き刺さらんとする。
対し、針目は動じない。たったの数センチその身をズラし、それだけで回避を完了する。
鉄の塊が撫ぜるように身体を掠め、しかしそこに跡が残る事はなく。まさに紙一重と言うに相応しい回避と共に、針目は肉薄を果たす。
狙うは首─────と見せかけて、頭部の泣き別れを恐れた皐月の逃げた時点での心臓。この状況から反撃は出来ず、逃げ道も数えるほどしかないならば、誘導から返す刀で本命を奪うことなど彼女には造作もない。
しかし、その思考は前提から間違っている。
振り向きつつ、心臓を護るために右腕を高く掲げる。
そのまま貰い受けてくれるとばかりに刃を振るう手を止めぬ針目がそれに気付くには、ほんの僅かに遅かった。
彼女の掲げられた右腕に走る銀の光。疑いようもなく、それは罪歌の刀身だ。
文字通りの手刀。小振りながら体重を込めて放たれた斬撃が、針目の一撃を真っ向から弾き返す。
間髪入れずに二の太刀を放つ皐月に、針目は僅かに逡巡する。
最適な応対は何か─────コンマ一秒のその遅れが、どうしようもない隙となる。
辛うじて「押し返す」という手段を選び取り、ハサミを掲げ、しかしそのガードの完成より一歩早く銀の光が着弾する。
鍔迫り合い、押し合い、拮抗─────否、やはり皐月が有利。傷が響いたか甘いその踏み込みは皐月に迎え撃つには些か足りない。
咄嗟に数歩引いて僅かな時間で凌がんとする、しかし針目の体には浅く切り傷が尾を引いて伸びた。
舌打ちや怒りが飛ぶか、いや、飛ぶ暇すら許さず皐月が即断で鮮血に命令を下す。

「閃刃、頼むぞ!」

その言葉が終わるか終わらぬかの内に、赤の棘は瞬時に針目の逃げ道を潰す。
選択肢を絞られ、しかしむしろ迷うこと無しと虎穴に笑顔で飛び込む化け物。それを真っ向から迎え撃つ皐月の斬撃。
─────鋼の音、数十の手合いが刹那を縫って織り成される。
音の響き、残心の煌めき、牢のように囲む閃刃が欠片となって散る。
光が乱舞するその中で、一手早いのは─────やはり、皐月。
一振りと一振りの間隙、空白が生まれたその刹那へと的確に刃が吸い込まれ、ハサミが一際強く弾かれる。

動きが止まったその一瞬に皐月は白刃を差し込み、尚も紙一重で避ける化け物に更なる閃刃が追い縋る。
爪先を引きちぎり後退しつつ迫るそれを弾き、そこで既に皐月は次なる一閃を構えた。
その肉体を両断せんと煌めいた刃は、受け止めたハサミを衝撃に叩き落とす。
元より下がっていた身体を更に数歩押し込まれ、バランスが崩れた身体を、それでも華麗とすら思わせる動きでカバーする針目。
だがそれは、やはり皐月を前にしては悠長という他ない。
小さく、だが決して浅くはない刺突の跡が、右肩に赤い花を咲かせ。
同時に、その勢いで針目の身体が数メートル吹き飛んでいった。
急所を外そうと、的確かつ即座に「獲れる」場所を判断した思考が成功だったこと、は既に眼中になく。

(─────いける、か)

ここまで蓄積したダメージから言って、次で仕留められる可能性は大きい。
最後の刺突は単に痛みでフィードバックされるだけの傷ではなく、腕の動きを鈍らせガードの速度と強度を落とすには十分のはず。
生命繊維の自己修復がどこまで効果を残しているかは知らないが、先の傷にこれで相当に有利な条件が揃っている、今という畳み掛けられる好機を逃す訳にはいかない。

─────だが、ここで。

「─────!!!!」

一歩進もうとしたその瞬間に、ドクリと心臓が高鳴った。
同時に皐月に襲い掛かるのは、常人ならば立っているのも難しいであろう疲労感。
一瞬にして鉛、いや、玉鋼もかくやとばかりの重量になった肉体を、それでもしかと両足で倒れることなく踏み止まる。
ほぼ動悸に近いそれは、揺り戻しとしてこのタイミングで一気に表面化した。

『皐月!!』

鮮血の声に、ほぼほぼ反射で地を蹴る。
反動で一瞬、身が軋むような痛み。既に慣れつつも、しかし顔をしかめずにはいられない。
元いた場所に刃が突き立てられ、その上にそっと化け物が降り立つ。

「ハハッ」

突き立ったハサミの上で、針目が嗤う。

「身の丈に合わない服を着てるから、そうなるんだよ」

その笑いは、愚弄で、嘲りで、そして優越の象徴だ。
己が身体も無視できぬ傷はあれど、この僅かな時間でも修復は始まっている。
先程の右肩の傷も、既にハサミを振るうのに支障はない。
事実として、生命繊維で構成された肉体の治癒力は大きく優れて。
そして何より、ただの人間風情が己が優れている訳がなかったのだという、プライドの高い彼女ならではの思考。
皐月は既に見下ろす強者と断ずることは出来ない─────今まさに、こうやって見下ろされているのだから。



「─────それがどうした」

だが。
そんなことは、どうでもいい。

「ああ、確かにこの身にはこの服を完全に着こなせてはいない」

事実、今表面化したように負担は大きい。
人衣一体に用する血液は、少なくはあれど前の飛行時間も含めればそれなりの量に達し。
そもそも、人間の身で発揮するにはオーバースペックの能力を引き出す着ている時点でそもそも身体をじりじりと蝕んでいるに等しい。

「しかし、それでもこの姿、恥じることは一切存在しない。この鬼龍院皐月、この程度で限界を迎える程の体たらくを見せる事などありはしない」

だが、それでも。
それでも、鬼龍院皐月は先を向く。
力に制限は無く、活力に限界は無く、精神に臨界は無く。
ただ、凛として。目の前の敵を討つのみと。
決然とした不動の心─────此処に至りて、未だ破れることなく此処に在りと。
そう、告げていた。

「─────いいから」

─────心底、苛立った。
諦めない、折れない。ご立派なことだ。
それは確かに輝かしいと、人間は愚かにも称えるのだろう、
ヘドが出る。
見苦しい姿を見せびらかし、晒しながら生き、あまつさえそれを尊い?─────何処までも醜く、理解出来ない。
だから、嗚呼─────心の底から、腹が立つ。

「─────いいから、そのムカつく姿を見せんなって言ってんだよ─────!!」





「鮮血」

その声に、視線で神衣は答える。
音もないその反応に、皐月はそちらを向くことはしない。
だが、知っている。
「あの纏流子と共に在り、己と戦ってきたのであろう鮮血が、此方の話を聞き漏らす訳がない」と。

「この鬼龍院皐月と神衣鮮血の人衣一体、同一の個にはなれんとしても、だ」

ならば。
ならば、鮮血はどうだ。
この鬼龍院皐月とも戦火を交えた、神衣の一着は。

『─────ああ。極限までその差異を埋めよう。それでも埋まらぬモノは』

果たして、言葉が返る。
一言一句では無く、されどその、その答えは。
「鬼龍院皐月が思い浮かべた鮮血の答え」に、ほぼ一致する。
─────いや。
鮮血が、「鬼龍院皐月が予想した鮮血の答えを予想した」とするならば。

「─────信じるぞ」
『ああ、信じられた』

─────詰まる所。
鬼龍院皐月は知っている。
纏流子の戦いを、そしてその相棒の存在を。
神衣鮮血は知っている。
鬼龍院皐月の才能を、曇ること無きその闘志を。
ならばこそ、今は「それ」を信じる。
共に戦った経験ではなく、我等が剣を交えた時の、敵として認めた驚異たるモノを。
下手な信頼よりも、口約束よりも余程分かりやすい。
仲間であるという信頼とはまた違う、ある意味では敵意、しかしそこに害意は無い。

「─────訳が分からんな」

一人呟いたそれに、何が可笑しいのか鮮血が含み笑いと同時に『だろう?』と返す。
何が可笑しいか分からず、それで皐月も何故か笑いが漏れた。
そして、次の瞬間。


─────紅と銀が、爆ぜた。



鮮血疾風、そして罪歌の同時展開。
それ自体は、針目縫にとっても予想出来た代物だ。
その程度はやってのけるだろう。低能の癖して頭だけが回る猿にはお似合いだ。
─────だが、それが「突進と同時に展開してくる」という、不完全か合理的か、はたまた気が狂ったかのようなそんな動作で突っ込んできた時には、流石に少し予想を外れていた。
暴走か、それならもうオシマイだな─────そう笑い、銀の光をハサミで容易く受け流す。
─────瞬間、異変。
迫る煌めく紅が視界に躍り、一瞬で針目の脳内に危険信号が響き渡る。
どうにか回避を選択し、その回避先に存在するのは「今まさに身体から生まれんとしている罪歌の刃」。

「──────は」

なんだ、これは。
流石に理解が追い付かぬまま、それでもどうにか身体を捻り─────ツインテールの片側がばっさりと切り捨てられ、深紅の糸となって霧散する。
しかし、そんなことよりも─────そう、そんなことよりも。あれは、あの動きはなんだ。
命令をしてから動く─────違う、その筈だがそうではない、明らかにそれでは説明のつかない速度だ。
心の中で通じ合っている─────馬鹿馬鹿しいがやたら人間どもが言い張るそれ、否、「それですらない」。
馬鹿げた、本当に馬鹿げたとしか思えない理屈だが─────理屈に合うのは、一つだけ。
「相手がどう動くかを予想し、ならばそこで己が何をするべきかまでを計算する」というふざけた行為。
         ・・・・
「─────それで人衣一体なんて─────!!」

馬鹿げている。理屈も言葉も何もかも。
ある意味、心を完全に閉ざしたともいえるそれは、確かに人衣一体というには些かズレがある。
だが、しかし、それは決して劣っているということも、況してや信用の否定にもなりはしない。
                       ・・・・・・・・・・・・・
何故ならば今、二人はこれ以上ない程に─────互いを信用しているのだから─────!!

着地した針目に尚も襲いかかるは、杭のように飛ぶ閃刃の輝き。
ステップで避わす針目へと、刃を紐代わりにバンジーの要領で追い縋る皐月。
それ自体は針目にも予想は出来た─────しかし、突っ込んでくるのは文字通りの剣山。
罪歌を構えるではなく生やしながら突貫するそれをいなそうとして、ハサミを滑らせ─────一つの星が、皐月の体表で煌く。
一本、先に突出した鋭い槍がごとき閃刃が、迎撃の刃を逸らしあらぬ方向へと向かせる。
数秒もせぬうちに剣山が着弾。辛うじてそれを避け、しかしてその目の前に─────スケートのように足を滑らせ、渾身の蹴りを見舞わんとする皐月の姿。
だが、ここで。

「─────違った、か」

展開が一瞬早かった、否、皐月の蹴りが一瞬遅かった。
その一瞬のズレが、辛うじて針目を弾き飛ばすに止まる。
─────無論、それは万能にはなり得ない。
読み違え。
ほんの僅かだが、まだ互いを読みきれてはいない。
だが、舌打ちも苛立ちも漏れぬ。両者が思うのはただ一つ。
まだだ、まだ足りない。もっと、もっとだ、もっと─────!!

「無理しない方が良いって─────似合ってないって、言ってるのに、何でわからないのかなああああああ!!!」

─────無論、化け物にそんな心中を察するような心もない。
その隙を突いて、針目が皐月の背後へと回り込んだ。
閃く紫の閃光は、到底人間には到達し得ぬ速度。上回るとすれば、それこそ更に上を行くだけの超越に至らねば不可能。
仮に鮮血を纏っているのが纏流子であったならば、その域に達していた可能性は十二分にあったろうが、それを埋めるだけの化け物としての力を皐月は持ち得ない。

「『お、お、オオオオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!』」

─────だが、だからどうした。
鬼龍院皐月と鮮血が、たとえ人衣一体の境地に達してこそいなくとも、それが何の障害となるか。
それを示さんばかりに、彼女は─────「言葉無しで閃刃疾風を展開した右足を」「疾風の噴射の勢いで跳ね上げ」「無理矢理繰り出した後ろ蹴りで迎撃した」。
無論、急な身体の捻りに加え、唐突に可動域ギリギリまでの運動を強いられた股関節の悲鳴が皐月へと襲い掛かる。

一切に構う事なく、そのままの勢いで振り下ろした踵の一撃に、針目の右手が強かに打ち据えられた。
へし折れる事は免れたものの、既に肩の不調で動きが鈍くなっていたところへのこれは、武器を振るうには余りにも致命的。
一瞬遅れた返す刀で皐月を振り払うものの、針目の表情はより険しさを増した。
憤怒に加え僅かに青みが混ざったその顔は、激情の中でも明らかに劣勢の雰囲気を感じ取っていると分かるそれ。

「─────さあ、どうした針目縫。これで終わりか!」

それは既に、問いかけにも煽りにも非ず。
決然と、燃ゆる闘志のままに猛る覇王の鬨の声。
貴様には負けぬ。その感情、不屈の闘志が言霊と化した覇気の響き。

「─────ホンッッッッット、生意気」

そして、その響き、煽りはもう針目にはほぼ届いていまい。
何故なら、彼女は既に噴火した火山に等しい。油を注いだところで、火焔が膨れ上がるようなものでは最早無い。
無い、が、それでも。その油は、火を導く導火線にはなったようで。

「良いよ、それなら………「「「「お望み通り切り刻んでやる」」」」」

─────分身。此処に来て尚、純粋に面倒な数の暴力。
本体を含めて五人。本来なら出し惜しみせず大量に出現させられるそれの量を止めるのは恐らく制限故か。
そんな考えをふと浮かべ─────次の瞬間、増殖した化け物の始動と同時にそれらを置き去りにして、皐月も再び雄叫びを上げた。

初手、正面から首を伐たんと襲い来る二体と、撹乱の為に跳ね回りつつ今にも牙を剥かんと一瞬で襲い得る距離までを詰める三体。
対する皐月の銀の刃は、まず目の前に迫る二つの影へと迎え撃たれる。
するりと風音と共に振り抜かれた閃光はしかし、片側がもう一方を突き放すことで裂くのは一方に止まる。
同時に外郭の一体が小さく震えたかと思うと、逃した側を追った皐月の真裏に回り込む。
誘い込んだとばかりに獰猛な笑顔と共に振り向いた最初の分身の片割れと共に、振り抜かれるのは挟撃の二裂き。
必殺と思われたそれは、しかし本来の化け物からは劣化したモノが数あるだけに過ぎない。
模造品もいいところの、そんな攻撃で皐月という人間を切り崩せるはずがない。
瞬時に三体が霧散し、その中で残る本体ともう一体は─────此方を無視し、平原の向こうにある小さな人影を目指している─────!

『皐月、れんげだ!』
「─────狙いは、やはりそちらか!」

可能性は、最初から高いと踏んでいた。
鬼龍院皐月にとってはとるに足らない模造品でも、それが戦闘経験など皆無の幼き少女に向けられれば命を奪うのは容易い。
たった一度刃が閃くだけで、いとも簡単に首を落とされるだろうが─────しかし、狙いがわかっているならば!

「行くぞ─────」

叫ぶと同時に、既に変形が開始。飛翔開始まで、一秒の暇も作らない。
足からのジェット噴射と共に大きくその背を反らし、仰向けの状態で飛び上がる。
同時に罪歌の刃を伸ばし、延長出来る限界─────即ちほぼ刀そのものの具現をし、しかと握ってそれを振るう。
射程内、捉えた。
驚愕に歪む幻影に対し、一切の容赦無く一刀を振るう。
果たして、それは霧散。これで分身は終わり、残るは再び本体のみ─────
そうして向き直ろうとした皐月は、目の端でそれを捉える。
消えかかった針目の人形が、口を吊り上げる様─────

─────違う。
これで、終わりじゃない─────

「もう一体、隠していたか…!!」

飛び出すのは、最後の伏兵。
最後を倒したその瞬間に、気配がもう一つ増え、そして飛び出していた。
恐らくは、分身の制限、ストックを残していたか。なるほど、一度使えば警戒されるがその一度目を見抜くのはほぼ不可能に近い。

「間に合『言われなくても、任せておけ!』─────ああ!」

食い気味に返答する鮮血に任せ、皐月も「飛ぶ」ということ、「進む」ということに意識を落とし込む。
れんげがいる場所、飛び出した針目、
間に合うかどうかは、五分五分、四分六分、いや、三分七分かそれより下か。
しかし、どれだけ不利であろうと、間に合わないなんてことにさせてたまるか─────!

「あはっ、させるわけ…無いでしょォォォッッッ!!!」

だが、そこで化け物が牙を剥く。
「本物」が、皐月のすぐそこまで迫ろうとしていた。

「くっ………お、おおおおおおおおおっっっっ!!!」

「くっ………お、おおおおおおおおおっっっっ!!!」

皐月とて、鮮血とて全力。
だが、同様に針目も全力疾走で皐月に追い縋る。
此処に来て、針目のスピードが最大のアドバンテージ─────先を行く分身がれんげへと到達するか、己が皐月を食い止めるか、それだけで己の勝利だ。
護ろうとしていた命をむざむざ散らす事になれば、皐月とてただ何も思わぬ訳があるまい。
激昂でも何でもいい、一瞬の隙─────それさえ晒してくれれば、後はどうにでもなる。特に、この距離ならば。
全速力を以て、両者が駆ける。


─────そして。
間に合ったのは─────他でもない。


宮内れんげのその横に、そっと音もなく滑り込み。
ハサミを掲げ─────針目縫の幻影が、狂喜の笑いと共に降り立った。
皐月も近い。あと数瞬の後には、既に此処に辿り着いているだろう。

─────だが、遅い。
あまりにも、それは、遅すぎる。

針目縫の振るうギロチンは、ほんの一瞬の内に─────落ちた。



─────宮内れんげは聡い少女である。
だから、自分がこの戦闘において何も出来ない事を知っていた。
自分が何かをする事は、きっと皐月の妨げになるだろうこと。
自分を庇うように戦うことになれば、きっと皐月は
なまじ、本能字の戦いにて「戦闘領域から隔離された」経験から、彼女はそれを十二分に理解出来ていた。
─────いや、そもそも。
化け物たる針目縫と傑物たる鬼龍院皐月の戦闘を見て、己が入り込める余地がある筈だと思える一般人がいるならば、それは勇者でも賢者でも何でもない、己の力量を理性でも本能でも理解せぬただの愚か者だ。
だから、彼女は割り切っていた。
己がすることは、全て終わった後で、この手袋を使って皐月を癒すことだと。

─────けれど、理解はできても納得が出来ないこともある。
自分は戦えない、分かっている。
足手纏いにしかならない、分かっている。
戦闘の後でこそやるべきことがある、分かっているのだ。
されど、「何もしない」でこのまま過ごすには、強くなることを覚悟した

何か。
何か、ないのか。
何か、自分に出来ることは。
何か、自分がやれるものは。
何か、─────自分が戦う為の、力は。

「なにも、ないのん…?」

─────心の中で幾ら叫んでも、答える声はありはしない。
想う心に応えるものは、いつだって自分の中にあるものでは無いのだから。
ならば、それは何処にある。
少女の想いに応え、少女に手繰るべき運命の糸を垂らすそれは。

─────答えは、小さな緑の精霊が知っていた。

「それ」は、少女の事が好きだった。
少女がようやく見つけた夢が、少女の夢たる歌声が、大好きだった。
だから、
それを、絶望に縛るものと、疑念の中でそう呼んだ少女がいた。
けれど、そうではない。
それは、ある少女の死から生まれた、正真正銘の勇者の護り手。
そして、彼等もまた、護るべき少女を慕っていた。
桃色の勇者と共にあった、主人と同じように食を楽しんでいた鬼の精霊のように。
青色の勇者と共にあった、規律を重んじ主に心から仕えた三体の精霊のように。
金色の勇者と共にあった、己を大切にして食も分けてくれた少女に懐いた獣の精霊のように。
紅色の勇者と共にある、何処か悟ったような言葉で彼女を送り出した武者の精霊のように。
緑色の勇者と共にあったそれは、今此処にその想いを以てその「戦う意志」に応える。

その時、少女にも分かることがあった。
化け物が此方を見ていると理解出来た時、明確に感じ取れた。
それは、死の予感。
このままだと、死ぬ。或いは、何か他の、ひどいことが起きる。
危険を訴える心臓が、事実を見据える脳味噌が、やめろ、逃げろと全力で叫ぶ。
いや、それをしても─────きっと、無駄だろう。
それまでの戦いを見ていた彼女の中で、そう呟いたものがあった。
何をしても無駄だろう、「アレ」をどうにかする術は自分には無い。皐月が間に合わなければ、自分は容易く死ぬだろう、と。
願うしか、ないか。
鬼龍院皐月が辛うじて間に合うことをただ祈り、それで自分が助かることを祈り。

「─────いやなのん」

─────そんな事は嫌だと、駄々をこねた。
ああ、そうだ。
何もせぬまま、このままただ死を待つのは、嫌だ。
例え死なずとも、それだけじゃない。ただ足を引っ張ってしまうのも、それが敗因となって皐月が負けてしまうのも、れんげにはとても嫌だった。
善も悪もなく、ただ純粋に、「嫌だ」と。

だから─────

「─────だから─────!」

少女が叫ぶ。
精霊が応える。
そうして、此処に─────一人の、小さな勇者が誕生した。

一人の勇者が、立っていた。



何故だ。
「お前」は、殺した。
ここで、最初に、気紛れで殺した。
勇者などという馬鹿げた妄言を、この高次縫製師の前でよりにもよって糸を以て戦わんとした愚行を、必死に捻り出した笑ってしまうような勇気とやらを、その滑稽さに見合うだけの無様な死に方で手向けてやったはずだ。
そんな、愚かしいだけの存在が─────

「あんたら、みたいな」

目の前に立つのは、緑のきらびやかな衣装を纏った一人の少女。
その手を覆うように咲く鳴子百合からしなだれる糸も、己の刃を防いだ緑の球状の生き物も、どちらも間違いなく見覚えがあるものだ。
そして、己が葬り去った。
葬り去ったのに、わざわざしゃしゃり出て、己の邪魔をしてきている。

「あんたらみたいな見るに堪えないバカが─────どいつもこいつも、邪魔しやがってェェェェ!!!!」

─────この期に及んで、まだ、自分を阻まんと立ち上がる。
無様、無様、無様。見苦しいにも程がある。
虫けらごときが、どうしてこうも、立ち塞がって醜い姿を晒し続ける!

「こんの、不良品どもがァァァァッッッ!!!」

激昂と共に、二度目の斬撃が放たれる。
どうにか迎撃をせんとれんげが立ち向かうも、彼女には両手の糸を使うというそれ自体があまり理解出来ていない。
そして、精霊も既に針目縫には抜かれたという事実がある。模造品の此方ならばまだ分からないかもしれないが、それでも分の悪い賭けだ。
結局のところ、それで稼げたのはほんの僅かな時間。

─────けれど。

「─────その勇姿、見届けた」

その一瞬で、すべては事足りた。
未曾有の英傑たる鬼龍院皐月にとっては、それで十分に過ぎた。
有り得ない事実に此方も目を剥く本物の針目を全力で叩き落とし、最後の幻影を両断する。
れんげへと振り返り微笑むと、ほっとしたようにれんげも息を吐いていた。
無事だ。目立った外傷も、しようもなかった。
いや、むしろ変身した事でその姿はより輝いているようにも思える。

「─────全く。天晴れとでもいうべきか」

その言葉に、意味がわかっていないれんげ本人が「あっぱれなのん!」と声を上げる。
それを聴きつつ、改めて皐月は向き直って高らかに言い放つ。

「─────他人を理解しようとしない化け物たる貴様に、理解できる訳があるまい」

─────実のところ。
彼女がそれを理解したのも、恥ずかしながら最近のことだ。
全てを己が力に変える彼女の戦いは、実際のところやっていたことは変わるまい。
僅かな例外を除いて信用を預けず、只管にただ勝利だけを求め、その過程において全てを邪魔だと切り捨てた。
その結果として、あの敗北があった。
それでも、戦う意志を絶やさぬまま、しかし根本は変質せず。ただ己の内に、己の下に力を蓄える事を未だに考えた。

「─────我等は不完全な切れ端だ。己が色も紋様も、決して単体で人々を魅了などしない」

ああ、そうだ。
己が正しいと一片の疑いもないと言わんばかりの口を利いて、目の前の敵を粉砕する。
それが、それこそが─────鬼龍院皐月の在り方だった。

「だが、縫い合わさり仕立てられたその服は、無限に成りうる。私と鮮血の
ように、そして─────れんげのように」

そして。
それ自体は変わることがなく、けれどそこに僅かな変質を。
鬼龍院皐月は思う。
それを説くのは、きっと己ではないのだろうと。
まだこの言葉は、分かったような口ぶりで言い放つこの言葉は、実のところ己が理解しきれていると言うには不十分なものだと。
だが、だけれども。
少なくとも今この時、鬼龍院皐月はその一片を掴んだ。
宮内れんげの、ひたすらに己にできることを追い求める様。
そして、鮮血との人衣一体ならぬ人衣一体から生まれたナニか。
ならば追おう。この言葉を我が言霊で世界に表し、それを現実の己のモノとしてみせよう。
その在り方そのものは嘗てと同じ、そしてそれを変えるためのこの言葉なのだから。

「─────我等は、運命の糸で縫い合わされた一枚の布。重ね合うことでより美しくならんとする、未来の服にならんとする布。それが我等人間の輝き、我等の美しさの一端だ」

そして。

「だから、それが」

その言霊を、化け物はどこまでも理解し得ない。
彼女にとって、完璧なのは己と仕えるべき主人、そしてその悲願だけだ。それ以外のモノは、悉く意味も価値も尊さも存在しない。
それが彼女の、針目縫という存在にとっての世界の真理である。
正しさも間違いも関係なく、彼女が生命繊維の子宮の中で産み落とされた時から、きっと彼女という存在が消え去るまで続くだろう認識。

「ソレが、どうしようもなく醜いんだよ─────それがどうして、分からないんだよ!!」

何故ならそれは、彼女にとってはまさしく定められた運命。
そのために彼女が産み出され、そしてその為に生きるという、まさに運命そのものの体現。
そこから来る思想であればこそ、彼女の思考回路は不変である。
たった一つの糸に沿った、一枚の布になるべき世界に至る思いが変質することは有り得ない。

「さあ、針目縫─────これで最後だ。行くぞ」

故に、此処から始まるのはその糸と布のコンテスト。
美しさを、気高さを競い合い、その先を勝ち取る戦。
服飾の世界に相応しい決戦が、此処に始まる。







「─────だと思った?」

─────のでは、ない。
針目が浮かべたのは、どこまでも獰猛な憤怒に混じって窺える─────喜悦と嘲りの笑い。
一目見た皐月は、その表情に急激に寒気を走らせた。
その顔が意味するものは、恐らくは仕組んだ策の成功。
此方を嵌めて、勝利を確信したもの─────だが、何処だ。
それだけの策は、ならば何処に仕込まれていた?
少なくとも、自分が追いついてからの彼女がしていたのは激昂のみだ。策を講じられるような精神状態では無かった。
となれば、仕組んだのは分身か─────しかし、あの糸人形に何が出来た。それこそ糸屑のように、とまではいかずとも、皐月の対処ならば容易に蹴散らせた。

その答えに辿り着くよりも先に─────彼女へと、『策』は襲い掛かる。
即ち、それは。

「─────これは」

絡みつく、輝く緑の糸。
大きく予想を外れた、いや、方向すら予期出来なかった攻撃に、皐月の反応が完全に後手に回る。
そして、その一手は、勇者の糸を相手取るには致命的。

「この糸─────まさか、れんげ─────!!」

精神仮縫い。
最初から分身は切り捨てられると分かっていたからこそ、それを目くらましにした上での彼女の現状の切り札。
元々は少女が自殺するよう仕向けるつもりだったが、皐月に如何なる切り札があるか針目には分からない。
ならばこそ、一瞬─────動揺、そしてどうしようもなく反応し迎撃を図らねばならない此方の方が分があった。

「ハ─────」

此処に来て、差を招いたのはその能力への知識の差。
鬼龍院皐月は、初めて見る故にその真の能力を知る由はなく。
針目縫は、最初に見ていたからこそその能力を知っていた。
高次縫製師にとって、糸を操るなど、操り人形を介してさえも容易く精密に出来る行為。
まさしく、針目にとっても─────これは、運命の糸だった。

「く─────」

瞬時に絡め取られる身体から、閃刃と罪歌が吹き出す。
だが、その隙間を縫うように糸が巡り─────一瞬。ほんの一瞬だけ、皐月の動きが停止する。
そして、それだけあれば─────十分だった。

「─────死ね」

袈裟懸けに、一裂き。
縫い目に沿って、破れかけの布を引き裂くように。
鬼龍院皐月の体が、大きく深く切り裂かれる。
どこからどう見ようと─────致命傷だった。

最後の、最後で。
一枚の布は、不純物を、一点の染みを跳ね飛ばし。
運命の糸を操ったのは、針目縫。





─────否。

その事実を明確に告げたのは、針目にとっては感覚の消失だった。
一瞬で、まるで元から無かったかのように錯覚する程に。

「う、で?」

─────彼女の腕が、在るべき場所から消え去った。

「うで、腕、腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕腕ぇぇぇぇーーーーーっっっっ!!!!」

何故だ。
誰だ。
この自分の手を斬り落とすなど、己の怒りをどれだけ買ったか分かっているのか。
腕の喪失という事実すら忘れそうな怒りの中で、針目は振り向き─────そこに、下手人はいた。

「─────いきなり心臓、というのは無理があったか」

無論、そんな芸当を瞬時にやってのけるような人間は、この場に一人しか存在しない。
黒髪をたなびかせ、まるで何事も無かったかのようにそこに一人凛と仁王立ちの様を見せるのは。

「─────鬼龍院、皐月ィィィィィィィィ!!」

絶叫。
疑惑、困惑、否定─────それら全てが起爆剤となり、憤怒に満ちた怒りが爆ぜる。
鬼の形相の彼女を前にして、しかし今更─────本当に今更、その程度で眉の一つも動かす事はない。

「何で、何で生きてる!アンタは今、ボクが殺した筈なのに─────」

そこで、針目縫は気付く。
皐月の身体、己が斬りつけたその痕をなぞるように走る、緑色のライン。
よく見ればそれは、見たことがある、否、見慣れている模様に他ならない。
高次縫製師たる己にとって、何十度も見たそれは─────確かに、『縫合の跡』だった。

「まさか─────その、『糸』は」
「ああ。『縫合』させてもらった、この糸を使ってな─────!!」

糸を切り刻んでは脱出は不可能。それを悟って尚、すぐに諦めるような人間ではない。
瞬時に策を練らんとしたところで、蘇ったのはつい今し方の己の言葉。
迷う時間などなく、故に即断。
斬撃を受けた瞬間から、皐月はそれを開始していた。
一本の糸をどうにか断ち、それを傷を負った場所で次々と縫っていく。
縫製に欠かせぬ「針」は、今も彼女の体内に潜む妖刀、『罪歌』。
彼女自身の意志を以てそれを征服した今、彼女の身体の内にそれは眠っていて─────そして屈服した罪歌は、その形すらも所有者が変化させる事ができる。
糸を通し、つなぎ、そして縫う為の針。それによって彼女の身体は致命の深手を負う事を免れた。

ふわふわと、今は操られた少女の横で緑の精霊は浮遊する。
或いは、それは「ソレ」の願い。
巡り巡ってやってきたこの時に、きっとあの少女の仇を討たんと。
その思いが、ほんの僅かでも糸を通して伝わったのであれば。
やはり、その糸は運命の意図と呼ぶに相応しい巡り合わせで。
運命の糸を味方にしたのは─────鬼龍院皐月だった。


「─────ふざけるな」

万策尽きた。
両腕が落ち、策は無く、目の前に立つ人間如きにここまで追い詰められた。
こんな事は有り得ない、あってたまるか。
現実を理解して尚、化け物はその真実にすら否定の牙を突き付ける。

「─────皐月ィィィィィィィィィィィィ!!!!!!」

叫ぶ。
ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな。
貴様等のような下等生物如きが、勇気だの運命だのという馬鹿げたわけのわからない事を言いふらして憚らないゴミどもが、この高次縫製師を追い詰めるなど、存在してたまるものか─────!!!

「─────鮮血ッッッッッッッッ!!!!!!」
『応ッッッッッッッッッ!!!!!!』

ならばこそ。
ならばこそ、化け物は人間に敵わない。
その化け物にあったのは、何処までもそのプライドだ。
一点の滲みもない、その一枚の布は。
如何にその布が完璧であろうと、それだけだ。美しく清らかで滑らかで、それだけだ。それは確かに一つの芸術品だが、しかしそれ故にそれを超えない。
そして、運命の糸で縫い合わされた、様々な布が描く柄は。
それ自体を芸術と呼ぶことは叶わないかもしれない、とんでもなく食い合わせが悪いかもしれない、されどそれ故に無限の柄が生まれ得る。

そして、今此度に於いて。
一つの芸術品のみに固執した者は、一つの美しさにのみ固執した者は、それ以外を認めなかった者は─────

「『─────閃刃、疾風ッッッッッッッッ!!!!!!』」

此処でその布を断たれ、さりとてその完璧さ故に縫うことすらも出来ず。
ただ、其処で、切り捨てられて、それで全てが終わりだった。



─────ふと気付くと、全てが終わっていた。
既にそこには殺気も何も無く、ただ頬を撫でる冷たい風と訪れつつある夜の闇だけが残っていた。
記憶の僅かな欠落に疑問を浮かべると同時に、その声は上から降ってきた。

「大丈夫か、れんげ」

顔を上げると、皐月がいた。
黒のセーラー服に戻った鮮血を着て凛々しく笑う彼女の姿に、れんげはふと疑問に思う。
袈裟懸け、という言葉を彼女は知らないが、兎も角そのように走る赤の線と緑の点。
その赤が血の赤と匂いで漸く気付き、れんげはすぐに己のやるべきことに気付く。

「まってるのん、いま、なおすのんな!」

手袋を取り出して嵌め、そこで自分の衣装に気付く。
そういえばこれはもう着ている必要は無いか。そう思って脱ごうと思ったところで、皐月がそれを止める。
何でも、傷と共にある緑の点はこの力の糸で縫い止めているらしい。…どういうことかしっかりとは理解出来なかったが、変身を解除してはいけない事だけは確からしいとは気づいていた。
ともかく、変身を解かず、少女は手袋を身につけて回復を始める。
本来なら致命傷だった皐月の傷も、ほぼ応急処置と言えるそれがあってからの治癒だ。時間こそかかるものの、戦場に再び立つことは十分に可能だろう。
尤も、治療している本人にはそんな考えは全く無く、ただ治癒に魔力を注ぎ込むだけだが。

「れんげ」

そんなれんげへと、皐月が声をかける。

「なんですか」

特に集中している訳では無いが、しかし何の話なのだろう。
何か言われる心当たりはあるかと考えてみても、思い当たる節はない。
疑問符を浮かべてじっと皐月を見るれんげの、その頭にぽん、と手が置かれる。
そのまま、本能字学園の時と同じように撫でながら、皐月は微笑んで口を開く。

「よくやった。そして、ありがとう」

その、言葉に。
宮内れんげは、当然のように。
まるで、己が褒められるのは当然かのように。
まるで、鬼龍院皐月の賛辞が良くあることかのように。

「どういたしまして、なん!」

本当に嬉しそうに、そう言った。



時間を見ると、意外にもまだ七時すら回っていなかった。
己の治癒、そしてれんげの魔力の都合もあり、それなりの休憩は必要だが、それでもそもそもこれが本来の目的とは正反対であることも鑑みれば七時半を回らずに此処を発ちたいところだ。
と、今後の算段を脳内で組み立てつつ、皐月はふと己の横にいる少女に目を向ける。
─────どうやら、自分の発言はやたらとお気に召したらしい。
自分を癒すれんげの表情は、誇らしげで可愛らしく目を輝かせ、年相応の感情を漏らしている。
先程の子供とは思えぬ勇気の発露も、そして今も。全ては子供故の純粋さ、そして強さなのだらう─────鬼龍院皐月はそう思う。
彼女は、強い。
間違いなくその心は強く、けれどそれでも子供は子供である、それは彼女の持つ両面性だ。
一枚の布にも表裏があるように、或いは縫い合わさった布同士が鮮やかな柄となって見るものを魅了するように。一つの言葉では語れないその彼女の強さは、それが源泉なのだろうか。

『皐月、少しいいか』

ふと聞こえた鮮血の声に、考え込んでいた意識を現実へと戻す。

「どうした?」
『先程の戦い…ヤツに背後を取られた時だ』

それを聞いて、皐月も思い出す。
無駄な思考の猶予を入れることは叶わず、常に瞬時の判断を続けて潜り抜けた先の死線。
その中でも、あそこは別だ。ほぼ直感、思考よりも早く感覚に行動がついていった。
根拠など皆無、勿論鮮血がどうにかしてくれると思ったわけでもない。
それでも、「幸運なことに」迎撃と相成り、先に続ける事が出来た。

『あの時、閃刃疾風を私が使ったのはほぼ直感だ。迎撃、回避に一番向いている…なんて思いが浮かぶ事は無かった』
「…奇遇だな、私もだ」

なるほど─────そう考えてみれば、あの局面だけは。
己が鮮血に形態変化を託し、己の行動を全て託されてしたといても、少しおかしい。
完全に別の思考、直感を捉えた二者が、同一の意志を以て盤面を覆した。
その実は、なんだ─────?

「…ああ」

そこまで考えて、皐月はふと考えを戻す。
縫い合わされた布。
決して一枚にはならず、画一性など保証されぬ、よくわからない何かになって、されど柄として美しくあらんとするもの─────

「これも、『そういうこと』なのかもしれないな」
『は…?』

何処か理解出来ていないような鮮血に、皐月はれんげに対して感じた思いを話し始める。


彼女の傷が治癒するまでの束の間の時間─────一枚の、折り重なって生まれる物語のほんの幕間、破れた布を埋め合わせるアッブリケ。
彼女達という未来の一着の服の中に縫い込まれたそれは、一つの柄となるか、それともただの穴埋めか。
それが分かるのは何時になるか知れないけれど、きっともしどちらでも─────これを尊くないものとは、きっと呼べないのだろう。


【針目縫@キルラキル 死亡】


【D-4/橋近く/夜】
【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)、こめかみに擦り傷、袈裟懸けに斬撃(回復中)
[服装]:神衣鮮血@キルラキル(ダメージ小)
[装備]:体内に罪歌、バタフライナイフ@デュラララ!!
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(7/10)、青カード(9/10)
[思考・行動]
基本方針:纏流子を取り戻し殺し合いを破壊し、鬼龍院羅暁の元へ戻り殺す。
0:人衣一体、神衣、そして「縫い合わせる」、か…
1:宮内れんげと共に旭丘分校へ向かう。
2:ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を調べてみたい。
3:鮮血たちと共に殺し合いを破壊する仲間を集める。
4:襲ってくる相手や殺し合いを加速させる人物は倒す。
5:纏流子を取り戻し、純潔から解放させる。その為に、強くなる。
6:神威、DIOには最大限に警戒。また、金髪の女(セイバー)へ警戒
[備考]
※纏流子裸の太陽丸襲撃直後から参加。
※そのため纏流子が神衣純潔を着ていると思い込んでいます。
※【銀魂】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました。
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※罪歌を支配しました。支配した場合の変形は身体から実際の刀身以上までの範囲内でなら自由です。


【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:魔力消費(中)、興奮
[服装]:普段通り、絵里のリボン
[装備]:アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(9/10)
    黒カード:満艦飾家のコロッケ(残り四個)@キルラキル、犬吠埼樹のスマートフォン@結城友奈は勇者である
[思考・行動]
基本方針:うち、学校いくん!
0:ほめられたのん!
1:うちも、みんなを助けるのん。強くなるのん。
2:ほたるん、待ってるのん。
3:あんりん……ゆうなん……。
4:きんぱつさん、危ないのん?
[備考]
※杏里と情報交換しましたが、セルティという人物がいるとしか知らされていません。
 また、セルティが首なしだとは知らされていません。
※魔導師としての適性は高いようです。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【銀魂】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※放送を聞いていません。

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187:ロクデナシの空に 鬼龍院皐月 195:運命の廻り道
187:ロクデナシの空に 宮内れんげ 195:運命の廻り道
187:ロクデナシの空に 針目縫 GAME OVER