LONELIEST BABY ◆KKELIaaFJU




『ねぇ、絵里ち、知っとる? 『夢』っちゅうのは『呪い』と同じ……らしいんやて』



『? どういうこと?』
『その『呪い』を解くには『夢』を叶えなきゃならないねんって……
 で、途中で諦めた人は、ずーーっと呪われたままなんやって』

 いつだっただろうか。
 いつかの帰り道。
 練習帰りにみんなで帰った帰り道。
 そんな他愛の無い会話をした気がする。

『……ねえ、希、私が昔バレエを諦めたって知ってるわよね?』
『はは、ごめんな……でも、今は新しい夢見つかったやろ?』
『まあね……で、そんなことを言うんだったら、希にもあるんでしょ、夢が教えなさいよ』
『それは……』
『それは?』


『な・い・しょ・やで』
『なによ、それ……』

 いつもの冗談のように2人笑っていた。
 その先には7人の少女たちがいた。
 1人は振り返り、こっちに向かって手を振っている。
 ふと、空を見上げる。
 その先には光る一番星。
 2人は同じ星を見ていた。

『……いつか、いつか叶うといいわね、希の夢』
『叶うよ、だってこの『9人』が『ここ』にこうしておるんやから』

 そう、この9人だったら……
 きっとどこまでだって行ける。
 どこへでだって行ける。

 そう、信じて疑わなかった。

 そんな日々にはもう戻れない。



 もし『夢』を持つこと自体が『呪い』だと言うならば……



 きっと――彼女は呪われてしまったのだろう。



 ◆  ◆  ◆



 動かなくなった少女が二人。
 鞘を持って、それを必死に押し当てる少女が一人。
 その横をウサギが右往左往し続ける。

(……どう接したらいい……)

 セルティは悩む。
 今のこの状況を受け入れようとすればするほど……。
 思考はどんどん底が見えない深みにハマっていく。

 絵里に外傷は全くない。
 先程までの細かな傷も治っている。
 だが、それ以上に心に負ってしまったはあまりにも深い。
 身体の傷は癒せても、心の傷までは癒してはくれない。
 その心の傷はあまりにも深く簡単には癒えそうにない。

(しかし、それ以上に……)

 先程から絵里の表情が全く見えない。

「……本当、自分のことばかりで周りが見えてなくて……」

 声が震えている。

「……不器用なのはわかってる……」

 声が掠れている。

「……けど! こんなの……」

 掠れている声を更に荒げる。
 だが、返事は誰からも帰ってこない。

「……こんなのあんまりじゃない……!」

 もう感情でしか喋っていない。
 そこに賢さもなにもない。
 ただ少女がその思いの丈をぶちまけているだけだ。

「お願いだから……目を覚ましてよ……希……」

 だが、もう何も戻ってこない。
 思えば、あの時もそうだったかもしれない。

「……この鞘に癒す力があると分かってたら……きっと園原さんだって……!」
(!?)

 セルティにとって思いがけない名前が絵里の口から聞こえた。
 絵里から話を聞こうにも、今のこの状況では……
 手持ちのPDAを見せても恐らくは絵里の目には写らないかもしれない。

 しかし、先ほど何故絵里が『DIO』の名前を出したのか、なんとなく察した。 
 ホル・ホースから聞いたホル・ホースの知り合いに絵里の名前は出なかった。
 だが、絵里は『DIO』を知っている。
 つまり…… 

 『園原杏里はDIOに殺された』

 そう、セルティはそう結論付けた。
 が、あくまでもセルティの推測であり、真相かどうかは今は絵里しかわからない。
 それを聞こうにも今、絵里は近くにいるセルティも、自分の近くのクリスも見ていない。
 絵里が見ているのは動かない少女、二人だけ。

(辺りが暗くなってきたな)

 気付けば陽が西に沈み、夕方は終わっていた。
 周辺はすでに薄暗くなっており、セルティはPDAの時計を見る。
 もうすぐ三回目のあの声が聞こえてくる。


『今晩は。三回目の定時放送の時間よ』


 定刻通りにあの少女の―――繭の声が聞こえてきた。
 1秒単位の誤差なく時間、文字通り時間通りに。
 その声を聞き、絵里の手が止まる。

 二人と一匹が静かに放送を聴く。
 発表された禁止エリアに含まれていた。
 移動を余儀無くされたという結果を突きつけられた。

『次は死んでしまった参加者の発表を始めるわよ』

 ビクン、と大きく絵里の身体が揺れた。
 そんなものを聞きたくはなかった。
 聞いてしまえば……きっと。

『【東郷美森】』

 既に知っていたセルティ。
 しかし、絵里の顔色が若干変わった。
 彼女のことは友奈から聞いていた。
 友奈の仲間で、友奈の大切な―――

『【結城友奈】
 【犬吠埼風】』

「え…………?」

 絵里の消えそうな声が木霊したような気がした。
 それをセルティは聞き逃さなかった。
 また会えると信じていたその勇者はもう二度と会えない。
 しかし、少女によって呼ばれる名前は増え続ける。

『【神楽】
 【本部以蔵】
 【ファバロ・レオーネ】
 【坂田銀時】』

 呼ばれると分かっていた。
 だが、いざ突きつけられると……。
 手で心臓を握りつぶされるような痛みが胸にこみ上げた。
 また涙がこみ上げそうになる……。

『【アインハルト・ストラトス】』

 その名前に二人と一匹が三者三様の反応を示す。
 一人、ここで出会った少女。
 一人、出会った仲間に聞いていた信頼できる子
 一匹、元のマスターの親友。

『【ホル・ホース】』

(……ホル・ホース……)

 最初にセルティと出会ったあの男。
 セルティを旦那と慕ったあのどこか憎めないカウボーイ。
 セルティは静かにその死を悲しんだ。 

 そして……

『【宇治松千夜】
 【東條希】』

 ポトリ、と手に持った鞘(アヴァロン)を落とした。
 救えたかもしれない二つの命が、また絵里の目の前でこぼれ落ちた。

 放送が終わり。
 呼ばれた名前は全部で15。
 今までと合わせて46。
 残りの参加者は24。

 放送を聞いた直後から絵里はその場で動けなかった。

 たった17年の人生でここまで思いは味わったことはない。
 挫折したことは何度かあった。
 それでも、また立ち上がって前に進んでいった。
 共に一緒に進んでいく人達がいたから。 


 だが、今は何もかもが違う。


 視界が霞む。
 嗚咽感がする。
 ここで倒れて楽になってしまいたい。
 だが、絶対に倒れてはならない。
 理性と感情が噛み合わない。
 頭の中がぐるぐると目まぐるしいまでに回り続ける。
 精神が焼き切れそうなくらいに擦り切れそうになる。

 泣きたかった。
 泣きたくて。
 泣きたくて……

 しかし、もう涙は流れなかった。

「……セルティさん、ここが禁止エリアになったのね……」
『そうだ』
「……いかない、と……」
(?)

 絵里の手には二人の白カードが握られている。
 それだけではない。
 坂田銀時の……。
 本部以蔵の……。
 ファバロ・リオーネの……。
 白カードもあった。
 絵里は闘技場でこっそり回収していたのだ。

「私が……背負っていかないと……
 友奈ちゃんの分も……
 ファバロさんの分も……
 本部さんの分も……
 銀さんの分も……
 宇治松さんの分も……
 穂乃果の、にこの、ことりの分も……
 希の分だって……私が皆の『全部』を背負って前に進んでいかないと……」

 『めげたい。投げたい。つらいつらい』
 そう、口に出して楽になってしまいたい。
 そのことを言ってしまえば、自分を何も保てなくなる。

 『思い』が『呪い』に変わった時。
 少女の目には碧い目に灯ったのは今にも消えそうな光。
 その決意は少女一人が背負うにはあまりにも大きく重もすぎる。
 それは『責任感』があるという言葉で簡単には言い表せない。

「だから、今、私は止まっちゃダメなの……!
 思考まで止めてしまったら……それでこそ私はただの人だから……」

 少女は止まらない。
 胸のブレーキはもういらない。
 どこまでいけるのか分からない。
 もう前に進んで行くしかない。

「……放送局へ、早く行かないと……。
 鬼龍院さんやれんげちゃん、コロナちゃん、桂さんが待ってるかもしれないから……」
『絵里ちゃん、その人たちは一体……?』
「信頼できる人達よ……もしかしたら放送局に着いたかもしれないから……」

 彼女たち四人は放送で呼ばれなかった。
 もしかしたら、すでに待っているかもしれない。
 絵里は一縷の望みを託して、放送局に向かおうとする。

『待つんだ、絵里ちゃん。私も放送局に行く』

 アフロの男――ファバロ・リオーネが持っていた黒カード。
 そこにウィクロスのデッキがあったのが幸いだった。
 放送局に戻る口実は十分に足りる……かもしれない。

(アザゼルがいるからな、今の絵里ちゃんを一人で行かせるわけにいかんだろう)

 そちらの方がどちらかといえば重要である。

「そうですか……よろしくお願いします、セルティさん」

 絵里は二つ返事だった。
 出発の準備を進めていく。
 二人が持っていたカードを全部回収していく。 
 出来れば二人の遺体をちゃんと埋葬してあげたかった。

 そこで絵里は黒カードからタロットカードを取り出す。
 それをもう動かない希の体の傍に供える。
 彼女が好きだった占いの道具『タロットカード』を。

(ここなら二人の身体は……これ以上酷いことにならないわよね……
 ごめんね、希……どんなに謝ってももう戻ってこないのは分かっているわ……
 けれども、貴女が犯した罪も貴女を殺してしまった罪も私が全部背負っていくから)

 それを決して言葉にはしない。

 そして、二人を乗せたマシン(V‐MAX)は風を切り出発した。

 …

 ……

 ………

 一陣の風が吹いた。

 少女に供えられたタロットカードが飛んだ。

 宙に舞うタロットカード22枚のカード。

 風が止み、表になったカードはそのうちのたった二枚だった。
 それ以外は全部裏返し。

 表になったカード、一枚は『月』が描かれたカード。

 もう一枚には――『死神』が描かれていた。



 ◆  ◆  ◆



 運転するセルティはヘルメットを付ける。
 後部座席に座る絵里はヘルメットを付けていない、
 風に絵里の金色の髪が靡き続けている。


 黄金疾走……ではない、決して。


 そして、ちょうどC-2とC-3の境目に差し掛かった時であった。
 運転していたセルティは何かを発見した。

 倒れているのは少女。
 その近くには千切れた右腕。

 これはあまりにも凄惨な死体は絵里には見せられない。
 そう判断したのでアクセルを爆速で回す。


 だが、その移動中、絵里は少し別のことを考えていた。

(なんでセルティさんはヘルメットをずっと付けたままのだろうか?)

 怪しい。
 優しい人であるがちょっと怪しい。
 PDAを使って意思疎通は出来ている。

 放送局に着いたら、ちゃんと聞く。
 どんな答えが返ってこようとちゃんと聞く。
 それが例え彼女が苦手な―――のようなものあっても。

【C-2//一日目・夜】

【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(超極大)、髪下し状態、決意
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:アヴァロン@Fate/Zero 、無毀なる湖光@Fate/Zero、
    セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid    
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(24/30)、青カード(21/30)、最高級うどん玉
    黒カード:エリザベス変身セット@銀魂、ベレッタM92&ベレッタ92予備弾倉@現実、
         盗聴器@現実、ヴィマーナ@Fate/Zero(使用可能)、不明支給品1~2枚(うち最低1枚は武器)
         その他不明(坂田銀時、本部以蔵、ファバロ・リオーネの持っていた赤カード、青カード黒カードの内神威に渡したもの以外全て)
    白カード:坂田銀時、本部以蔵、ファバロ・リオーネ、東條希、宇治松千夜
    その他不明
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出。
0:全てを背負って前に進む
1:放送局に向かう
 [備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。
※【キルラキル】【銀魂】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※多元世界についてなんとなくですが、理解しました。
※全て遠き理想郷(アヴァロン)の効果に気付きました。
※左肩の怪我は骨は既に治癒しており、今は若干痛い程度になっています。行動に支障はありません。
※セルティがデュラハンであることに気づいていません。


【セルティ・ストゥルルソン@デュラララ!!】
[状態]:健康、申し訳ない気持ち
[服装]:普段通り
[装備]:V‐MAX@Fate/Zero、ヘルメット@現地調達
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:PDA@デュラララ!! 、宮内ひかげの携帯電話@のんのんびより、イングラムM10(32/32)@現実
         グリーンワナ(緑子のカードデッキ)@selector infected WIXOSS
[思考・行動]
基本方針:殺し合いからの脱出を狙う
0:絵里と放送局に向かう
1:アザゼル……どうしたものか。
2:静雄との合流。
3:縫い目(針目縫)はいずれどうにかする。
4:旦那、か……まあそうだよな……。
5:ラヴァレイに若干の不安。
6:静雄、一体何をやっているんだ……?
7:杏里ちゃんを殺したのはDIO……? (絵里ちゃんが落ち着いたら話をしたいが今は……)
[備考]
※制限により、スーツの耐久力が微量ではありますが低下しています。
 少なくとも、弾丸程度では大きなダメージにはなりません。
※小湊るう子と繭について、アザゼルの仮説を聞きました。
※三好夏凜、アインハルト・ストラトスと情報交換しました。
※チャットの新たな書き込み(発言者:D)にはまだ気付いていません。



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177:サカサマオツキサマ 絢瀬絵里 194:New Game
177:サカサマオツキサマ セルティ・ストゥルルソン 194:New Game