彼ら、彼女らの約束 ◆DGGi/wycYo


犬吠崎風が射出し、結城友奈によって弾かれ、地に突き刺さった一本の刀。


「む、その刀は確か――」
その言葉を最後まで聞く前に、皐月は立ち上がると、つかつかと歩み寄り、その刀を――――

「! 皐月殿、それに触れては――」

――――思い出した桂の言葉が鼓膜に届くより、早く。


♂♀


妖刀、罪歌。
端的に語るとするならば、“あらゆる人間を愛する人格を持った刀”。

人間同士が愛し合うと、やがてその証として“子”を欲しがるケースは少なくない。
では罪歌の場合はどうだろう。

厄介なことに彼ら、或いは彼女らも子を増やすのだ。
けれども罪歌は、人を愛するための身体を持ち合わせていない。
結果、愛を表現する形として『斬る』という選択肢を取った。

罪歌に斬られた者は、恐怖と痛みを媒介として呪いに侵され、罪歌の子供と化す。
子供が更に孫を欲し、その孫も更に、と倍々ゲームの要領で感染を拡げることだって可能である。

しかしごく稀に、支配から逃れる例外が存在する。

例えば、かつて池袋で愛のパンデミックを引き起こした贄川春奈の場合。
罪歌の大元に斬られたものの、彼女はその支配に必死で『抵抗』し、打ち勝った。
例えば、池袋の裏で暗躍する鯨木かさねの場合。
怪物の血を引く彼女は、その圧倒的な力で罪歌を『屈服』させた。
例えば、既にこの殺し合いの地で生命を終えた園原杏里の場合。
彼女は罪歌に支配されるでもなく逆に支配するでもなく、『共存』という道を取っていた。

彼女たちのように強靭な精神を持っていれば、罪歌に魂を乗っ取られることはない。
では、鬼龍院皐月の場合は。


【愛してる愛愛愛してる愛愛愛愛愛してる愛愛愛してる愛愛愛―――】
「な」

刀を掴んだ瞬間。
耳障りな声が幾重にも皐月の身体に響き、彼女の心を縛りはじめた。

【愛愛愛愛愛あなたは愛愛愛愛愛愛愛とっても愛愛愛愛愛強そうな愛愛愛愛愛人間愛愛愛】
【愛してる愛してる気に入った愛してる愛してる愛してるあなたを愛しましょう愛してる愛してる愛してる】

いびつに、畳み掛けるように、愛の言葉を染み込ませる。


「皐月、さん……?」
「待て」

皐月は此方を向かないが、誰の目から見ても様子がおかしい。
駆け寄ろうとするコロナとれんげを、桂は左右両方の手で制止する。

彼の脳裏に浮かぶのは、邪悪と対峙したあの夜の光景。
DIO、神威と死闘を繰り広げた時、あの場には彼女もいた。

(杏里殿の妖刀――!)

思い出す。
彼女はその銀色を振るい、DIOの“認識できない攻撃”以外を次から次へと防いでいたことを。
神威の策で銀時が妖刀の毒牙に掛かりそうになった、あの出来事を。
妖刀というものは、大抵碌な結果を招かないのだと。


【愛愛愛愛後ろに愛愛愛いる子たちも愛愛愛愛みんな愛愛愛愛愛斬っちゃいましょう愛愛愛愛愛】
『おい皐月、大丈夫か!』

俯いたまま目を開かない皐月を訝しみ、鮮血も彼女に呼びかける。
けれども当の本人は、罪歌と鮮血、そのどちらにも言葉を返さない。

【愛愛愛あなたの着てる服愛愛愛愛喋るのね愛愛愛】
【愛愛愛愛こいつは愛愛愛愛人間じゃない愛愛愛愛】
【愛愛愛愛愛喋る服に愛愛愛愛愛用はないわ愛愛愛】

【さあ】
【鬼龍院皐月】
【みんなを斬り(あいし)ましょう?】

皐月の手に力が篭もり、さながら伝説上の勇者が扱う剣の如く、罪歌が抜き取られる。

【そう、そのまま】
『皐月! 何があった!』

皐月は顔を上げ、おもむろに妖刀を構える。
その動作を見、桂はコロナたちを下がらせた。
いつ皐月が飛び掛ってきても対処できるよう、その手を晴嵐にかける。

【愛の言葉に身を委ねて】
「ああ――」

そして、鬼龍院皐月は口を開き。

【まずはあなたの後ろにいる子たちを】


「黙れ」


振り返ることなく、空を斬る。
カッと見開かれた彼女の両目は、紅く染まってなどいなかった。



【どうなっているの】

罪歌が感じていたのは、一抹の焦りだった。
斬られた『子』が支配を逃れるケースは知っている。
しかし、鬼龍院皐月は罪歌の本体、『母』に触れたというのに。

園原杏里のように寄生されているわけではない。
まして、皐月は純然たる人間だ。

それなのに、何故彼女は愛を受け入れようとしない。

喋る服が何か細工を施した?
彼女は実は人間ではない?

「違うな」

思考を読んでいたかのように、皐月は答えを示す。

「生憎と私には先約がある。たかが妖刀ごときに縛られている暇など持ち合わせていない。洗脳など、当に見飽きた」

罪歌の焦りは、恐怖へと変わる。
心に入り込んだ愛を真っ向から跳ね除ける……いや、ねじ伏せるなど。

やがて妖刀は悟った。
この女を“愛することができない”と。


「……下らん茶番に付き合わせたな」

刀を手に持ったまま、皐月は桂たちの方を向く。
観念したらしい罪歌は彼女の掌に吸い込まれてゆき、うんともすんとも言わなくなった。

「皐月殿、本当に大丈夫なのだな」
『私も焦ったぞ、皐月』
「問題ない。洗脳されていたら、どうやって纏流子の前に立てる」

冷や汗を流す面々をたしなめ、改めて今後の行動方針を固める。

「桂さん。先程、二手に分かれるべきだと言っていたな」

促され、改めて桂は地図を取り出す。
E-6の橋を抜けた後、東の万事屋へ向かうか、西の旭丘分校へ向かうか。
ちょうど午後3時から禁止エリアになるF-6手前で別れる形になる。

「どう分かれるはグッパーで決める……わけにも行くまいな」

そもそもこの提案自体、桂は万事屋、れんげは分校へ向かいたいという方針のもとによる。
それを子供の戯れ事のように決めてしまうのは、あまりにも無神経だ。

「あの、すいません」

おずおずと話題を振るコロナ。
ひとまず三人(+一着)は、彼女の話に耳を傾けた。


✻   ✻   ✻


兵どもが夢の跡、という句がある。
一向が目の当たりにしたのは、まさしく生者必滅の理だった。


「…………」

重苦しい雰囲気の中、皐月と桂は戦場跡地に佇む。
少し離れた場所でれんげたちには昼食を取らせていたので惨状を見ることはないが、後できちんと話をする。

彼らがいるのはC-6、つい先刻まで勇者と魔王がぶつかり合った場所。
何故ここにいるかといえば、誰かが戦闘をしている轟音が聞こえたからという至極単純なもの。
しかし、音を発しているのが誰なのかは、容易に検討がついていた。

到着した時には――既に、場は決していた。


「相打ち、か」

二人の墓標は血生臭さにまみれている筈なのに。
彼女たちの周囲だけが、やけに和やかな雰囲気を放っていた。

「……友奈殿、犬吠崎殿」
「安らかに眠れ」

多くは語らない。介入するのは野暮というものだ。
手を合わせ、それぞれ赤と青のカードを一枚ずつ取り出し、供える。
具現化させるでもなく、あくまでカードのままで。

「皐月殿、我々も昼食にするか」
「そうしよう」


食事を終えて、今度こそ組分けを決める。

「さっつん、うちといっしょに来てほしいん」
「構わないが……改まってどうした」
「さっきの、あんりんの持ってた剣なん!」
「成る程」

宮内れんげにも、ある一つの約束があった。
園原杏里と一緒に旭丘分校へ行く。
杏里は本能字学園で命を散らせてしまったが、罪歌はまだ生きて(?)いる。
それを彼女の遺志だと考えたのだろう、と皐月は結論付けた。

結果、桂はコロナを連れて万事屋へ、れんげは皐月同伴のもと分校へ向かうという形になった。

「この地で再び会おう」
「ああ、約束する」
『達者でな』
「コロナん、うち、がんばるん!」
「うん、私も頑張るよ。約束!」

「もし学校に友がいなかったらどうする」
「きっとほたるんはいるはずなん。でも、いなかった時はまわりをさがすん」

問答を交わし、れんげをおぶる皐月。神衣鮮血に人衣一体すると、鮮血疾風を発動させた。

『皐月にもれんげにも負荷が掛からないくらいのスピードだ』
「おお! うち、空をとぶん!?」
「振り落とされないようしっかり捕まっていろよ。行くぞ鮮血!」


ぶっうぉうぉ~ん! と離れてゆくれんげの声を聞き届け、桂とコロナも出発の支度を始める。

「今まで行ったり来たりで、これからようやく他の島に渡るんですね」
「だが俺たちの原点に戻って来たと言えよう。俺とコロナ殿が最初に出会った場所だからな」
「……それ、ショッピングモールで言うべきことだったような気がします」

コロナの微妙に冷ややかなツッコミを受け、彼らも再び進軍を開始した。


【C-6/広場付近/一日目・午後】
【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態]:疲労(小)、全身にダメージ(小)、こめかみに擦り傷、れんげを背負っている
[服装]:神衣鮮血@キルラキル
[装備]:体内に罪歌
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(7/10)、青カード(9/10)、 黒カード:神衣鮮血@キルラキル
[思考・行動]
基本方針:纏流子を取り戻し殺し合いを破壊し、鬼龍院羅暁の元へ戻り殺す。
1:宮内れんげと共に旭丘分校へ向かう。
2:ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を調べてみたい。
3:鮮血たちと共に殺し合いを破壊する仲間を集める。
4:襲ってくる相手や殺し合いを加速させる人物は倒す。
5:纏流子を取り戻し、純潔から解放させる。その為に、強くなる。
6:神威、DIOには最大限に警戒。また、金髪の女(セイバー)へ警戒
[備考]
※纏流子裸の太陽丸襲撃直後から参加。
※そのため纏流子が神衣純潔を着ていると思い込んでいます。
※【銀魂】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました。
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。
※罪歌を支配しました。どの程度まで操れるかは次以降の書き手に任せます。

【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:魔力消費(小)、皐月に背負われている
[服装]:普段通り、絵里のリボン
[装備]:アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(9/10)
    黒カード:満艦飾家のコロッケ(残り四個)@キルラキル、バタフライナイフ@デュラララ!!
[思考・行動]
基本方針:うち、学校いくん!
0:ぶっうぉうぉ~ん!
1:うちも、みんなを助けるのん。強くなるのん。
2:ほたるん、待ってるのん。
3:あんりん……ゆうなん……。
4:きんぱつさん、危ないのん?
[備考]
※杏里と情報交換しましたが、セルティという人物がいるとしか知らされていません。
 また、セルティが首なしだとは知らされていません。
※魔導師としての適性は高いようです。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【銀魂】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。


【桂小太郎@銀魂】
[状態]:疲労(小)、胴体にダメージ(小)
[服装]:いつも通りの袴姿
[装備]:晴嵐@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(7/10)、青カード(9/10)
     黒カード:鎖分銅@ラブライブ!、鎮痛剤(錠剤。残り10分の9)、抗生物質(軟膏。残り10分の9)
[思考・行動]
基本方針:繭を倒し、殺し合いを終結させる
1:万事屋へと向かう。
2:コロナと行動。まずは彼女の友人を探し、できれば神楽と合流したい。
3:神威、並びに殺し合いに乗った参加者へはその都度適切な対処をしていく
4:金髪の女(セイバー)に警戒
[備考]
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※友奈が左目の視力を失っている事に気がついていますが、神威との戦闘のせいだと勘違いしています。
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。


【コロナ・ティミル@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:胴体にダメージ(小)
[服装]:制服
[装備]:ブランゼル@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(7/10)、青カード(9/10)
     黒カード:トランシーバー(B)@現実
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを終わらせたい。
0:友奈さん……。
1:みんなの知り合いの話をしたい。
2:桂さんと行動。アインハルトさんを探す
3:金髪の女の人(セイバー)、犬吠埼風へ警戒
[備考]
※参戦時期は少なくともアインハルト戦終了以後です。
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※金髪の女(セイバー)とDIOが同盟を結んだ可能性について考察しました。


[全体備考]
※結城友奈、犬吠崎風の死体の周辺に散らばっていた黒カードは回収されました。
誰にどのように分配されたかは次以降の書き手に任せます。


時系列順で読む


投下順で読む


153:時は来たれり 鬼龍院皐月 187:ロクデナシの空に
153:時は来たれり 宮内れんげ 187:ロクデナシの空に
153:時は来たれり 桂小太郎 178:ろうたけたるおもい
153:時は来たれり コロナ・ティミル 178:ろうたけたるおもい