憧憬ライアニズム Adenium ◆gsq46R5/OE




  ――――男の話をしよう。一人修羅の道を邁進し、最強の座に限りなく近付いた男の話を。


  彼は雄々しく戦った。
  ほんのちっぽけな餓鬼だった少年は、いつしか宇宙でも有数の実力者にまで上り詰めていた。
  敵を蹴散らし、貪欲に強さを喰らい、底(げんかい)など知らぬとばかりに成長する。
  己の信条に基づいて、貼り付けたような柔和な笑顔を常に浮かべながら。
  その姿は荒唐無稽じみてすらいたが、それだけに、その背中は人を惹き付けた。
  いつの間にか先人を抜き去って先に立ち、どんな時でも不敵に笑い突き進むその姿。
  どんなに歪でも空っぽでも、最強を求めてどこまでも駆け抜けていく。常に、彼はそうしてきた。

  しかし。

  今の彼の顔に、笑顔はない。
  いつから消えていたのだろうか。
  きっとそれは、ある確信を抱いた時からだろう。

  袂を分かって久しい、だが完全に縁の切れることはついぞなかった馬鹿な妹。
  今は地球で万事屋なる職務にうつつを抜かしているらしい、神楽。
  殺し合いの場で彼女と再会し、その有様と、その顔を見て、神威は確信してしまったのだ。
  ――こいつは、此処で死ぬ、と。

  年少者が年長者に勝てないなんて図式は、所詮こじつけだ。
  だが、神威ほどの男を、まだ未熟さの目立つ神楽が単身撃破出来るかといえば、それは殆ど不可能と言っていい。
  ましてや体中に傷を負い、抗っていたとはいえ血に呑まれた状態では。
  妹が兄に勝つことなど、出来やしない。
  そしてその通りになった。
  馬鹿な妹の思いは届かず、家族の契りは永遠に失われた。
  他ならぬ兄自身の手によって、いつかの星に置いてきた思い出は、完全に砕かれたのだ。

  もしも、イフの世界があったとしたなら、神威は神楽を貫く前に、拳を止めたのかもしれない。
  バトルロワイアルなんてものが起こらなかった未来では、そういう優しい結末もあったのかもしれない。
  この世界では、そうはならなかった。
  ボロ雑巾のようになりながらも気合いだけで猛進し続けた神楽。
  その思いが何も成さなかった時、神威の中で、何か致命的なものが切れた。

  それは、彼の中に残っていたもう一人。
  きっと『バカ兄貴』の心臓が止まる音。
  『バカ兄貴』ですらなくなった彼は、もう、妹のことを考える必要なんてない。


  ――――さよならだ。


  神楽が息絶える瞬間。
  銀時が踏み入る寸前。
  神威がそう呟いたのを、聞き取った者はいない。




 「銀さん!」

  絵里の叫びは、虚しく崩壊した闘技場の騒音と粉塵の中に反響して消えた。
  銀髪の侍は、一陣の風が如き速さで地面を蹴れば、一直線に神威の下へと突っ走っていく。
  その速さたるや、本能字学園でDIOを相手に戦っていた時よりも遥かに上だ。
  両手で握った刃は愛用の木刀ではない。
  湖の騎士サー・ランスロットが実際に振るった逸品である。

  無毀なる湖光(アロンダイト)。
  かの騎士王が保有する最強の聖剣とすら互角に打ち合える強度を秘めた、神造兵装。
  神威がどれだけ強かろうと、彼ではこの宝剣を破壊することは叶わないだろう。
  それどころか、この会場の誰にも不可能な筈だ。更に無毀なる湖光は、所有者に力を齎す。

 「――」

  至近距離で振り抜かれた神速の一太刀を苦もなく躱す辺りは流石というべきだが、神威の肩には、目測を誤ったかのように線が走っている。
  人間の身から繰り出されたとはとても思えない、凄まじい速度であった。
  紅桜を装備して強引に力の供給を得ている本部以蔵とはまた違う部類の強さ。
  少なくともこの坂田銀時は、武器の力に呑まれてはいない。 
  魔剣の側面こそ持つものの、所有者の精神を蝕むことのない無毀なる湖光は、かつて白夜叉と呼ばれた男へ完全に適合していた。
  人間と夜兎との間に存在する力の差は、これで幾らか埋められたことになる。

  だが、それでも勝てるという希望を抱かせないのが、この男だ。
  二度目はないとばかりに銀時の間合いを把握、その速度にもある程度の当たりを付ける。
  すると、どうだ。次に銀時が放った剣戟は、彼にあっさりと躱されてしまう。
  今度は掠り傷すら神威は負っていない。

 「……遅いね。それとも怒りで手でも鈍ったのかな? 侍ってのは、こんなものじゃないだろ?」

  普段通りの口調で挑発する神威だったが、その顔にもう笑顔はない。
  神威が見せる笑顔は、彼なりの殺しの作法だ。
  これから殺す相手を笑顔で見送るために、彼は笑いながら殺意を露わにする。
  その彼から笑顔が消えたということは、つまり、此処から先の戦いには美学も作法も存在しないということに他ならない。

  銀時は沸騰しそうなほどの怒りで脳を焦がしていたが、思考までもを炎上させてはいなかった。
  あくまで心は冷静に。ヤケクソになってしまえば最後、この男には正面からでは太刀打ち出来ないと、銀時は知っている。
  今は本能字学園の時とは違う。いや、同じだったとしても、実力の差は歴然だ。
  何せ、神威は神楽の兄。
  春雨などという恐ろしげな集団の中で、他に輪をかけて恐れられている第七師団を統率する、誇張抜きに全宇宙でも有数の実力者なのだ。
  夜兎を相手に、知性を欠いた獣が勝てるはずがない。
  戦うということにかけて地球人は、夜兎という種族に遥か劣る。
  銀時はそれをよく理解していた。何故なら彼は、夜兎をずっと側で見てきたから。

  熱気に満たされていた闘技場の温度が急激に下がっていく錯覚を、全員が感じていた。
  笑顔を捨て、作法なき殺しの領域へと入った神威。
  その存在があまりにも大きすぎる。彼はこの期に及んでまだ、この戦場を支配している。
  これまでの連戦が苦ではなかったかのように二本の足で立ち、平然と戦い続けている。
  荒事慣れしていない千夜と絵里は、その表情に深い戦慄を浮かべていた。
  光の側に立って生きてきた少女達には、少々刺激の強すぎる光景であった。

  銀時は、視線を静かに動かす。
  その方向では、明らかに自我の侵食と戦っている様子の、見覚えのある刀を担う小汚い老人。

 「……どういうことだ、神威くんよ。何だってあんなけったいなモンが此処にある」
 「俺に聞かれても知らないよ。大方、あの繭って子が復元でもしたんじゃない?」

  紅桜。過去には人斬り似蔵という男が取り憑かれ、大きな騒動を引き起こした凶悪兵器。
  文字通り死ぬ思いをして破壊したはずの紅桜が、どういう原理か復元されている。
  ……悪夢のような話だった。神威一人で明らかに手一杯なのに、脇にはあのおっかない刀が控えている。

 「……ま、ちがう、な……」

  声の主は、紅桜に取り憑かれた男だった。
  体の半分ほどをおぞましい触手と同化させながらも、どうにかまだ自我は保っているらしい。

 「俺は……アンタの、敵じゃ、ねェ…………まだ、な……」
 「本部さん……!!」

  千夜の口にした『本部』という苗字に、銀時は覚えがあった。
  チャットの一件について話した際、危険人物の候補として名の挙がっていた男だ。
  しかしこの言動と千夜の様子を見る限りでは、どうやらその推測は的を外していたらしい。
  少なくとも銀時の直感は、本部以蔵を悪人だと言ってはいなかった。
  ただ、彼は自分は敵ではないと言うのと同時に、『まだ』とも言っている。
  その意味は、一度紅桜と刃を交えた銀時にはよく分かる。
  紅桜は人を蝕む妖刀兵器だ。あれを使って、平常な人間のままでいられる輩はいない。

  本部は一度深呼吸をしてから目を見開き、神威を目掛けて大きく猛る紅桜を振り下ろす。
  戦艦さえ斬るその馬鹿力は、もう十全に発揮されているようだった。
  流石に受けるのは不可能だと判断した神威は素早く飛び退いて、砕け散った天井の瓦礫を無造作に掴み取り、本部へと投擲する。
  ただ物を投げるだけならば猿でも出来るが、生憎神威の場合は、籠もる力が桁違いだ。
  砲弾顔負けの破壊力を帯びたそれは本部の頭へと凄まじい速さで肉薄する。
  それを、本部は眉一つ動かさずに紅桜を振るうことで、一太刀の下に両断した。
  大した力を込めた様子も、そこにはない。
  今の彼に、もとい紅桜にしてみれば、これしきのことは朝飯前だ。
  雷槍の二つ名に相応しい、傘を通り越し槍にさえ見える鋭い刺突を、刀身で全て防御。
  本部の反撃は躱されたが、神威も、本部にダメージを与えられていない。

  紅桜の力が極まるところまで極まった証だった。
  こうなれば、如何に最強の夜兎にさえ匹敵する力を持つ神威ですらも一筋縄では行かない。
  加えて、彼が相手をしなければならない敵はやはり一人ではないのだ。
  神楽が消えて、銀時が増えた。
  神造剣の斬り上げを強靭な日傘の柄で止め、紅桜の猛攻は華麗なステップでいなす。
  明らかに不利な状況だが防戦一方というわけでは決してなく、武器が弾かれたり、攻撃後に僅かな隙を見せたりする瞬間を、神威は逃さず攻撃の機として活用していた。目にも留まらぬ鋭い足技や突きが、二人の剣士に生傷を増やしていく。

  銀時の両目の寸前を、日傘の石突が通り過ぎた。
  本部の喉仏を、回し蹴りが掠めた。
  九死に一生レベルの出来事が、この僅かな時間の間に何度も繰り返されている。
  神威を相手取るのが常人だったなら、そこで死んでさえいただろう。

 「……!」

  しかし、暴れる神威の表情が変わる。
  彼の足の甲に、鋭いものが突き刺さっていた。
  咄嗟に振り返り、日傘で追撃を打ち払うも、予想外の事態を前に晒した隙は大きい。

 「ちっ――!」

  踏み入った本部の紅桜が、防御のために構えた日傘ごと神威を大きく吹き飛ばす。
  こうまで来ると、もはや刀どころか鈍器のような側面さえ持っているように思える。
  無防備に宙を舞う神威を追うのは銀時だ。
  さしもの彼とて反撃には出られない空中で、得意の剣戟を幾度となく繰り出し戦いの流れを瞬時に掌握する。
  何とかして反撃の好機を見出さんとする神威の背に、複数の激痛が走った。先程足を貫いたものと、全く同じ感触だ。

  神威に対し的確なタイミングで攻撃を加えることで、一気に劣勢の流れを覆すに至らせたのは、ファバロ・レオーネその人だ。
  いつの間にか千夜達の下から離れていた彼の手にある武器は、ミシンガン。
  ビームサーベルの方が当然殺傷力は高いだろうが、ファバロは分を弁えた人間である。
  以前痛い目を見せられた悪魔が裸足で逃げ出すような化け物ぶりを発揮しているあの神威という男に、接近戦を挑むのは阿呆らしい。
  まず勝ち目などないし、自殺に赴くようなもの。
  だから彼はこうして、安全圏からの補助に徹することにしたのだが。

  ――本当は、逃げ出すつもりだった。神楽が死んだ以上、此処に留まる理由はない。
  戦いを銀時達に任せてほっぽり出し、今度は別な島にでも渡ってみようかと思っていた。
  そうしなかった理由は、一つ。……敵が、あまりにも化け物過ぎたことである。

 (アザゼルもあいつも、身なりだけはこぞって人間様のフリしやがって……!
  お前らみたいな人間が居るかってんだ! 居てたまるかよ、こんちくしょう!!)

  神威を此処で仕留めてもらわないことには、安心できない。
  ファバロ個人の見立てだが、神威の強さはアザゼル以上。
  となれば当然、この会場でも最強クラスの実力者である可能性がある。
  放送局で見た化け物女や、『姿の見えないスタンド使い』でもなければ、相手にすらなるまい。

 (俺は賢い男なんだよ……仕留められる敵は、仕留められる時に討ち取る。
  だから頼むぜ、銀髪のオッサンに化け物のオッサン。あんたらが負けたら俺までおしまいなんだからよッ)

  銀時と本部。
  二人がかりでならば、勝機はあるとファバロは判断した。
  だから此処で、彼らには神威を倒して貰わねばならない。
  そしてその為に、自分はできる範囲で援護をする。
  首尾よく倒すことが出来たなら、儲け物だ。

  そう、だからこれはいつも通りの、お得意の打算だ。
  ファバロ・レオーネの得意技。
  頭を使って、賢く生きる。
  その一環に過ぎないのだと、彼は自分によく言い聞かせる。
  自分を守って暴走し、その末に死んだ神楽のことなど、関係ない。
  ミシンガンを握る手に力が籠もるのは緊張しているからだと、言い聞かせる。
  生唾を飲み込んで戦いの趨勢を見守りながら、動く時にはきっちり動く。
  超人同士の戦いと呼んで差し支えのない激戦を睥睨しながら、ファバロは溜息を吐いた。

  ……ついてねえ一日だと、ヤケクソ気味にそう呟いた。



 「本部のオッサン、気をしっかり保てよ! アンタがこっちにまでそのおっかねえもん向け始めたらと思うと、ゾッとしねえからな!」
 「おうよ……やれるだけ、やるぜ」

  二人の剣が、神威の日傘と鬩ぎ合う。
  それでもなお形を保っている辺りは流石だが、しかし彼の得物も決して無事ではなかった。
  紙張りはあまりの衝撃に所々が破れ、骨組みが見えている。
  中棒も随分前から悲鳴をあげており、先が永くないことを物語っていた。
  まだ健在なことが、そもそもおかしいのだ。
  神造兵装と天下の妖刀、その双方を相手にしているというのに。

 「シャアアアアアアッ!!」
 「はあああああああッ!!」

  紅桜と白夜叉が共闘するという、ありえなかったはずの光景が広がっている。
  神威という共通の敵を前にして、かつて砕き砕かれの関係を演じた者達が力を合わせている。
  担う者が違えど、その力は同じ。……それどころか、以前の担い手より上ですらあるだろう。
  趨勢は此処に来て、ようやく傾きつつあった。

  それでも神威は折れても、諦めてもいない。
  直接の破壊力で劣る銀時の刀を日傘で止めながら、全体重を込めた突進で彼を押し切り、紅桜の一撃を強引に回避。
  銀時の首根っこを掴めば大きく宙へと投げ飛ばし、追撃をさせぬとそれを見た本部が躍り出てくる、此処まで予想通り。
  紅桜と日傘で打ち合うと見せかけて必要最低限の接触に止め、再度突進。
  間合いへ踏み入れば対処する間も与えずに、本部の顔面を渾身の拳で殴り飛ばす。

  ただの一撃で、紅桜に支配されていても関係なく、意識が飛びかける。
  どうにかそれを堪えられたのは奇跡と言っていいだろう。
  復帰した銀時の刃が迸り、本部を狙った神威の拳と正面からぶつかり合う。
  神威の手の甲に裂傷が走った。夜兎の拳でも、聖剣に並ぶ誉れ高き剣を砕くのは不可能だ。
  ぐおんと大きく頭を反らして斬撃を躱す神威は、次に眼球を狙ったファバロの狙撃を掴み取る。
  怪物じみた動体視力が可能とした、まさに驚異の一言に尽きる高速対応だった。
  復帰した本部の突撃は、短くない時間戦っている相手だから尚更読みやすい。
  人間であれば確実に不可能な体勢からの跳躍で空に逃れ、落下の勢いを乗せて、石突を振り下ろす。
  狙われたのは本部ではなく銀時だ。紅桜ほど反則的な供給をもたらす宝具ではないために、流石に力で神威を圧することは出来ない。

  空中に留まる神威を薙ぎ払うように振るわれる紅桜。当然、神威は避ける。
  本部はそのことに苦い顔をしながら、自分の侵食された身体に視線をやった。
  こうしなければ恐らく勝負にすらならない相手と、分かってはいる。
  だがやはり、これは本部が真に得意とする戦い方ではない。
  搦め手や技の繊細さといったものが、時間経過と共にどんどん抜け落ちている自覚がある。
  この何が拙いかというと、敵である神威は、本部が力を手にするために削ぎ落としたものを平然と保有していることだった。
  つまり、釈迦の掌で躍る孫悟空のような無様を晒しかねない――
  あまり時間は残されていないというのに、自分の刀はもう二度と、彼に届かない可能性すらある。

 「その通りだよ、本部さん」

  そんな本部の考えを読んだかのように、神威は語る。

 「あんたの刀は確かに馬鹿みたいに強いが、それだけだ。それじゃあ俺には勝てないよ」

  黙れという言葉の代わりに振るった刃が空を切る。
  やはり、当たらない。
  完全に読まれている――その事実に、しかし本部は落胆しない。
  そこまでは、既に自分でも分かっている。
  そして自分は、一人で戦っているわけではない。
  彼の言いたいことを代弁するように神威へ切り込んだのは、銀時だ。

 「……手前が人のことを言えた義理かよ、バカ兄貴が」
 「何を言うかと思えば。――いいよ、なら教えてあげよう」

  銀時の接近を認識した神威の行動は、極めて迅速だった。
  彼が刃を振りかぶるよりも速く日傘を振るい、未然の迎撃で攻撃の発生そのものを無効化する。
  刀が押し返され、大きく仰け反った銀時の懐に潜り込む。此処までで、一秒かかっていない。
  ――巨大な衝撃波を伴った鋭く鈍く、何より重い鉄拳を、侍の腹の真ん中へ叩き込む。

 「そんなバカは、もうどこにもいないんだ。俺が殺したからね」

  銀時が、真後ろへと跳ね飛んだ。
  壁を凹ませる勢いで激突し、その口から赤いものが溢れる。
  肺の空気が一気に逆流し、がはっ、と思わず声が出た。
  銀さん! と叫ぶ同行者の悲痛な声も耳に入らないほどの、痛烈な一撃であった。

  神威が走る。
  追うのは本部だが、速度勝負では相手にもならない。
  神威の助走を乗せた破壊の鉄拳が、身動きの利かない銀時の頭を叩き潰す。
  ……そんな未来を紙一重で回避する往生際の悪さは、流石に白夜叉と呼ばれた武士(もののふ)。
  際どいタイミングではあったが、左に倒すことで潰れたトマトのような死体を晒すことだけはどうにか避けることが出来た。
  しかし、苛立ちを孕んだ蹴りの一発までは避けきれない。
  再びその体が滑稽に折れ曲がり、衝撃で壁の形が歪んでいく。

  更なる事態の悪化を防いだのは、またしてもファバロ・レオーネだ。
  半ば駄目元で撃ったミシンガンの鏃が、振り下ろされる途中の神威の腕に突き刺さったのだ。
  それしきでは夜兎の身体を不自由には出来ないものの、攻撃の軌道をずらすことは出来る。
  その隙に銀時は一度は取り落とした無毀なる湖光を素早く拾い、袋小路を脱する。
  ――ごぉんと、大きな音が響いた。それは、まごうことなき破砕音だった。

  神威の拳が命中したのは、銀時が背にしていた、この地下闘技場の柱の一本であった。
  それが神威の化け物じみた膂力で繰り出された拳によって、今まさに砕かれたのだ。
  すると、どうなるか。
  本部と神威の激戦で崩壊した天井から、巨大な瓦礫が降ってくる。
  一度に全部でこそないものの、銀時や本部ですら、直撃すればひとたまりもないようなサイズの石塊が、崩落してくる状況が出来上がる。

 「あらら」

  肩を竦めるのは、神威。
  彼としても、これは予期せぬ事態であったらしい。
  考えれば分かるような単純な理屈だが、それを戦いとなれば忘れるのが戦士だ。
  地下闘技場は、直に崩落する。
  数多のグラップラーが鎬を削った戦いの舞台は、土中に消える。
  それまでにあと何分、何十分必要かは定かではないが……兎角、時間制限が生まれたことは確かだ。

  当然、神威に退くつもりは微塵もない。
  銀時や本部が逃げようとすれば、彼は容赦なくその背を殴り抜くだろう。
  せめて千夜達に逃げろと振り返る本部――しかし。

 (駄目だ……腰を抜かしている)

  殺意のぶつけ合いを知らない少女達は、その顔にありありと恐怖と動揺を貼り付けていた。
  体は哀れに震えており、千夜に至っては、失禁すらしていた。
  あの有様で無理に歩かせれば、警戒を怠って瓦礫の下敷きになる可能性さえある。
  博識の本部にはそのことがよく理解できたから、逃げろと指示することは出来なかった。
  となれば動けるファバロが二人を担ぐなり肩を貸すなりして誘導するのが最も理に適っている。
  だが、それもどうやら見込めそうになかった。
  神威は、彼の方も見ていたからだ。
  ……この戦いに参戦している、戦士を見る目で。

 「興醒めはさせないでくれよ。君は覚悟があって、その銃を取ったんだろう?」
 「……クソ」

  欲をかきすぎたと、ファバロは思わず頭を抱える。
  こんな化け物は放置して、さっさと逃げておくべきだったのだ。
  いけるかもしれないと、そんなことを一瞬でも思ってしまった自分を叱責する。
  決断さえ早ければ、あの化け物に見初められることもなかったろうに。
  そしてこうなったからには、もう覚悟を決めるしかない。
  それは無論、死ぬための覚悟ではない。生きるための覚悟だ。

 「……哀れだな、お前」

  ただ一人、冷静にそう評するのは、白い侍。坂田銀時。
  この状況で何故そんな言葉が出てくるのかと、ファバロなどは真剣に問い質したくすらなったが、その目に諦めの色は微塵もない。
  言わずもがな、後がなくなってやけっぱちになっている訳でも、ない。
  そのことを最も強く理解していたのは、皮肉にも敵であるところの神威だった。
  彼は、こういう目を知っている。侍という生き物の奇怪さを、この場では唯一知っている。

 「手前の特別を手前の手でぶっ壊して、得意のニヤけ面まで放り捨てて、一体何がしたい」
 「……、俺が求めるのは――」
 「そういう話じゃ、ねえ」

  口から垂れる血を白い袖で拭いながら、侍は神威の眼を強く見据える。
  彼だけが、この男をただの敵とは見ていない。
  その内にある、彼は到底知り得ない事情すらも、見透かすように。
  数多の悲劇と鉄火場を知る夜叉の瞳は、ただ、見据える。
  神威の中に、一瞬、形容しがたい感情が生まれた。
  それを怯えということを、彼は知らない。知る由もない。

 「今のお前は、空っぽですらねえ。注いだ端から酒のこぼれ落ちる、不良品の茶碗だよ」

  来な、と、本来夜兎に敵うはずのない地球人がそんなことを言う。
  春雨の雷槍・神威に。
  いや。
  その中にある、今となってはもう息も絶え絶えの『バカ兄貴』に。

 「神楽(アイツ)の伝えたかったこと、全部テメーに叩き込んでやる」




  ――なんだ、この男は。

  彼と短いながらも行動を共にした纏流子が見たのなら、きっと笑ったことだろう。
  お前は、そんな顔もできるのかよ、と。
  いけ好かねえ笑顔よりずっと愉快なツラだよ、と。
  それほどまでに、神威は今、彼らしくない顔をしていた。
  侍という連中が、常識では測りきれない生き物だということは知っていた。
  知っていた、筈だった。
  しかし、神威の知識すらも超えるものが、銀時の目には宿っていた。

  知的生命体が自分の理解が及ばない事象に出会した時、取る行動は大きく分けて二つだ。

  それを恐れるか、好奇心を向けるか。
  神威は普段、もっぱら後者の人物だった。
  強い敵には心が躍る。
  未知とは挑み、踏破すべきもの。
  そうしてこそ、自分が求めた場所(最強)に近付ける。

  だが、今回に限っては話が違う。
  神威は確かに、坂田銀時という男に恐れを抱いた。
  理解の出来ないことを喋り、理解の出来ない目をしたこの男を、確かに恐れたのだ。

  神威は、修羅の世界を知っている男だ。
  それだけに、恐れは屈服に直結しない。
  拳は力強く握られ、地を踏む足はさながら鋼鉄か何かを思わせる。
  体には多くの傷が見られこそするものの、その全てが、彼の行動に支障を出していない。
  傷を与えた側が手緩いのではない。夜兎の体が頑強すぎるのだ。
  彼が銀時と本部に与えた深手に比べ、相対的に見て、彼の傷は明らかに程度が低い。
  故に戦いはまだ続く。止む兆しなど、一向にない。
  ――それでも。

  自ら叩き壊した『弱さ』のせいで穴が空き、中身が駄々漏れになっているその心に、一本の楔が打ち込まれたこと。
  そしてその楔は、じくじくと、だが確実に、雷槍と呼ばれた男の胸に沈み込んでいること。
  それだけは、確かだった。


 (……あと、どれくらい保つ……)

  一方の本部以蔵は、咳と同時に血を吐きながら、苦々しげに心中そう呟いた。
  彼にはもう、神威や銀時に何か気の利いた言葉を放つ余力すらもない。
  弱音を吐くことが許されるなら、今すぐにでもこの戦いを終わらせたい。
  口ではああ言ったが、彼はもう殆ど限界の状態にあった。
  伊達に守護者を自称してはいない。
  そうでなくとも格闘家という生き物は、大概が強い精神力を持っているものだ。
  本部も勇次郎のような怪物にこそ劣れど、そういうものを有していた。
  だから、まだ耐えられている。

 「……いいや……俺は、守護らなきゃならねェ……」

  どれくらい保つ、なんてことを一度でも考えた己を、本部は恥じる。
  此処で終わるなど、論外だ。
  何故なら俺は、全てを守護らねばならぬ。
  この会場に残された全ての守護るべきものを守護るために、戦わねばならぬのだ。
  断じて、こんな場所で、こんな刀にその使命を譲ってやるつもりはない。
  破壊しか出来ない兵器などに、守護者たる己の体を渡すなど、断固御免だ。

 「早くやろうぜ、神威さん……」

  紅桜を構え、苦し紛れに笑顔を作る。
  不敵な顔で笑えているか自信はなかったが、外から見れば、ちゃんとそう見えていた。
  二重の意味で時間がない。
  紅桜の侵食の件を除いても、神威が行った破壊の為、この闘技場そのものがもう保たないところまで来てしまっている。

 「俺が全てを守護るためには……此処であんたを、超越(こ)えにゃあならねェみてえだからな」

  数多のものを失ってきた男、本部以蔵。
  本部は、気付いていない。
  その刀を渡した男が、己を内心ではどう評していたのかすら、彼は知らない。
  道化と、ラヴァレイもとい、悪魔マルチネはそう評したのだ。
  そのことに気付かないまま、彼は紅桜を使うしかない。
  そう、使うしかないのだ。

  魂が尽きるまで。
  肉が消ゆるまで。
  滑稽に、踊り続けるしかない。
  悪魔を笑わせるために。


 「じゃあ、始めようか」

  仕切り直して、第二ラウンド。
  その開戦の火蓋を切って落としたのは、神威であった。
  遅れて大きく一歩を踏み込んだ本部の下まで疾駆、日傘の刺突で胸を抉る。
  寸前で受け止めるは、やはり紅桜の刀身だ。
  こうなると、神威は力負けするしかない。
  それを嫌というほど思い知っている彼は、故に此処から体術に切り替える――

  ……のを読んでいたファバロのミシンガンが、神威の顔面に容赦ない射撃を加える。
  夜兎にかかれば素手で払い除けられる程度のものでしかないが、それでも十分だ。
  飛び込むようにして現れた銀時の刺突を、彼は紅桜の下から引いた日傘で防がねばならない。
  日傘を構成する骨の一本が折れ、形が歪にゆがむ。
  鍔迫り合いの末に両者が飛び退くや否や、攻撃される側だった本部が仕掛けた。
  地面を巻き込んだ斬り上げにより、瓦礫や粉塵を巻き上げたのだ。
  視覚を潰して強引に隙を作り出す術は、神威にも勿論有効だった。
  ミシンガンによる射撃が肉を貫く。
  それに思わず意識が向いた瞬間、頭上からは紅桜の強烈な一撃が訪れていた。

 「ちっ」

  側方倒立回転を瞬時に決めることで逃れ、追っての一振りもこれまた見事に回避。
  後退の次は俊敏に壁に取り付いての跳躍を決め、超人的なロケットスタートで銀時に突貫する。
  無毀なる湖光でこれを受け止めた銀時だが、さしもの彼も力では敵わず大きく体勢を崩した。
  その顔面を殴り付ける、神威の拳。
  地面を転がるかとおもいきや――

 「……効くねえ。こいつは、ほんのお返しだぜ」

  ――耐えた。その場で踏み止まった。
  神威の目が、驚きに動く。
  返しで振るわれたのは刀ではない。
  拳だ。拳の一撃で、銀時は神威を同じように殴り飛ばしたのだ。

  当然、夜兎が繰り出す拳と地球人が繰り出す拳の威力は比べ物にもならない。
  まして、銀時はあくまでも侍だ。決して、戦闘民族(グラップラー)ではない。
  本来、立ち上がれるはずがないのだ。
  吹き飛ばされもせずにその場で持ち堪えるなど、道理が通っていない。
  道理の通らないことをもう一つ挙げるなら、殴られた神威の方は、それに大きく仰け反った。
  地球人の拳など、大概は夜兎にとって子供に殴られた程度のダメージでしかないにも関わらず。
  同族に殴られた時のように大きく、神威は仰け反った。

 「らしくねえじゃねえか。いつもなら、涼しい顔して殴り返すトコだろ」

  銀時は笑みさえ浮かべながら、無毀なる湖光を袈裟懸けに振り下ろす。
  それは神威の肌にごく浅い傷を刻んだが、致命には至っていない。

  神威が振るう日傘を防御するために、銀時は無毀なる湖光を顔の前で構えた。
  結果は、予想通り。神威の乱舞と呼ぶに相応しい突きの連打が、一転銀時を窮地へと追いやる。  こればかりは、どうすることも出来ない。
  生まれ持ったスペックの差は、戦場に付き物だ。
  大半の世界からは鼻で笑われるだろう宇宙人、もとい天人という存在が当たり前のように罷り通る彼らの世界では、尚更のこと。
  銀時の肩口に日傘の石突がめり込み、勢いよく血が噴出する。

 「アンタには、関係のない話さ」

  流れは神威から、それに抗う三人へと移りつつある。
  だがそれでも、白夜叉と紅桜、更に妨害役の射手を同時に相手取ってまだ互角を保っている神威のことは、やはり怪物という他にない。
  紅桜の一閃を目視もせずに軽いステップで回避し、本部の斬撃を銀時に向けさせる。
  暴走の兆候が見えている彼への対処としては、最も有効な手段だ。

 「――関係なら、ある」

  勢いを止め切れず、紅桜は銀時を斬らんと迸ったが、それを止めるは神造剣の刀身。
  紅桜ほどの兵器をしても刃毀れ一つさせることの出来ない尊き幻想(ノウブル・ファンタズム)。
  歯を剥いて、全身の力を集中させて紅桜を止めながら、彼は言う。

 「お前は……神楽を殺した」

  本部が刃を引いたことで自由を取り戻した銀時が、浴衣に付着した塵を払いながら立ち上がる。
  彼がその脳裏に思い描くのは、思い出だ。
  あのちっぽけな建物の中で育んだ、従業員達との思い出。
  チャイナ服を着た大食い少女の笑顔を、思い浮かべる。もう戻ることのないその顔を。

 「同じ屋根の下で同じ釜の飯食って……
  同じもんで笑って怒って泣いてきた……ウチの従業員を殺した」

  銀時の声は、怒りに震えてはいない。 
  しかし当然、彼は怒っている。
  坂田銀時という男は、銀髪の侍は、情に厚い男なのだ。
  その彼が仲間を殺されて、平静を保っていられる訳がない。

 「―――戦う理由としちゃ、十分すぎんだろ」
 「……そうかい」

  ならお生憎だね、と神威は言う。

 「悪いけど俺は、こんな所で斬られちゃやれない。
  本当は、楽しむだけ楽しんで帰れればいいな、くらいに思ってたけど、事情が変わった」

  此処に、殺し合いを楽しむ神威はいない。
  彼は自分で、自分を壊してしまったのだ。
  『彼女』さえ殺さなければ、笑いながら目一杯楽しみ抜いていたかもしれない。
  傷だらけの妹を貫いた時。
  そこから、全てが狂った。
  笑ってはいられなくなった。

 「俺は、殺すよ。殺して帰る。そして、決着を着けに行く」
 「何のだ」
 「すべてだ」

  神威の脳裏に浮かんでいるだろう人物の顔を、銀時は容易に思い浮かべることが出来た。 
  愉快な頭をした、宇宙最強なんて仰々しい二つ名を持つ掃除屋。
  神威と神楽、二人の夜兎の胤を作った男。

 「あの日から始まった何もかも、すべての決着を」

  お喋りは終わりだとばかりに、神威の靭やかな蹴りが銀時を横殴りにして吹き飛ばす。
  それだけではない。
  紅桜を携え、鬼の形相で迫る本部以蔵への対処も、彼は同時に完了させていた。
  日傘をその眉間へ投擲。
  紅桜はそれを迎撃する――日傘が更に大きく損傷して吹き飛ぶが、知ったことではないとばかりに飛び込んだ神威が、本部の脇腹を抉った。

  それは、正拳突きだ。
  ごくごく小さな動作から繰り出され、それでいてコンクリートの壁や柱さえ容易に粉砕する威力を秘めた最速の凶器。
  本部の脇腹が歪に抉れ、そこから赤い血潮が噴き出す。

  にも関わらず紅桜は、傷を気にするよりも先に怨敵の首を刎ねんと動いた。
  神威はヒットアンドアウェイの要領で既に本部の間合いから抜けており、日傘を回収。
  ファバロの撃っていたミシンガンの鏃を全てそれで打ち払い、猛追する本部を臨むところだと迎え撃つ。

  神威の膝が腹に炸裂した。
  本部は刀を振るい、その右腕に刃を滑らせる。
  生まれた裂傷から血を噴きながら、神威は本部の顎をフックで殴打。
  ぐらりと重心が揺らいだ柔道家の腹を至近距離から、五度、六度、七度と打ち抜いた。
  とどめの回し蹴りで鼻っ柱をへし折って、向こうの壁まで吹き飛ばす。
  本部以蔵と神威の戦いのみに限ったなら、完全に、これが決着と言っていい鮮やかさだった。

 「――も。本部さん!!」

  千夜の悲痛な声も虚しく。
  本部はもう、びくともしない。

 「お……起きてください、本部さん……!!」

  駆け寄りたかったが、千夜の腰は動いてくれなかった。
  腰が抜けているというのもある。
  失禁をしたせいで、その布地はぐっしょりと濡れている。
  だがそれ以上に、隣の絵里が、ぐっと彼女を掴んで止めていた。
  行っちゃダメ、と彼女は言う。
  千夜だって、そんなことは分かっている。
  分かっていても、彼女は死んでほしくなかった。
  本部以蔵という恩人に、生きていてほしかった。

 「本部さん……!!」

  ―――その悲痛な願いに応えるように。
  沈黙していたはずの本部以蔵が、ゆらりと起き上がる。
  胸は規則的に上下し、荒いものの、呼吸の音もきちんと聞こえる。
  千夜の顔に安堵の色が生まれ。
  対照的に、絵里は怪訝な顔をした。
  彼女は気付いていたのだ、この場で、誰よりも早く。
  本部以蔵の様子が、神威の猛攻を受ける前とは明らかに異なっていることに。


「……おいおい」

  銀時の漏らした声は、乾いていた。
  冗談だろ、とでも言いたげな声色だった。
  それに本部は言葉の一つも返さない。
  大丈夫だ、の代わりは、剣豪も顔負けの踏み込みから銀時へ放たれる、重厚な一閃だ。

 「ぐお……ッ」

  重い。
  先程受け止めた時よりも、明らかに重量が増している。
  耐えかねてその場を飛び退き、後退する一瞬、銀時は確かに本部の顔を見た。
  そこには、「俺はアンタの敵じゃねえ」と答えた時の苦しげな表情すら、浮かんでいない。
  折れた鼻から滴る血、殴られて浮かび上がった青痣。
  脇腹の出血や体中の傷、幾つ正常に動いているのかすら分からない内臓の有様すら、無様を通り越して一つの悍ましさに昇華していた。


 「守護、る……」


  ――古い書に曰く。


 「俺は…………」


  妖刀の力に手を染めた者の末路は、いつだとて一つだという。


 「すべてを……!!」


  彼こそは修羅道に踏み入った守護者

  全身を出血と内出血で染め上げ、妖しく輝く刃を携える姿はまさしく『赤鬼』
  刀匠の狂気にも等しい情念が鍛えた妖刀に蝕まれたその半身、正しく『怪物』
  強靭な理性力の全てを呑まれ、変わり果てても尚剣を振るう姿、さながら『人斬り』


  本部以蔵――――これより、修羅道を抜け。    『羅刹』と相成る。


時系列順で読む


投下順で読む


170:憧憬ライアニズム Daydream 坂田銀時 170:憧憬ライアニズム Epigram
170:憧憬ライアニズム Daydream 絢瀬絵里 170:憧憬ライアニズム Epigram
170:憧憬ライアニズム Daydream 宇治松千夜 170:憧憬ライアニズム Epigram
170:憧憬ライアニズム Daydream ファバロ・レオーネ 170:憧憬ライアニズム Epigram
170:憧憬ライアニズム Daydream 本部以蔵 170:憧憬ライアニズム Epigram
170:憧憬ライアニズム Daydream 神威 170:憧憬ライアニズム Epigram