錯覚CROSSROADS ◆KKELIaaFJU


「………………銀さん?」

 心配そうな声で絵里は銀時に声をかける。

「絵里、―――――――――――――」  

 何か銀時が言いかけた。
 その言葉を遮るように、絵里は先に言葉を口に出す。


「銀さん、まさか……


 ……………………電車酔い?」


「ちげぇよ!!!」
「だって、ほらさっきから顔すっごく青いし……」
「元々だよ!」
「いやいや、銀さんそんな顔色じゃなかったわよね!?」 

 明らかに様子がおかしい。
 絵里は黒カードから鞘を取り出して構える。
 問い正すように銀時に鞘を向ける。

「ねぇ、銀さん本当は何を見たの……!」
「おい、そんなもん、ここで振り回したら危ねぇって!!」
「答えてよ!」

 その時、大きく車体が揺れて―――

 電車は止まった。
 電車が駅に着いたのだ。


「えっ………」


 それと同時に絵里の小さな悲鳴が響いた―――


 止まった時の慣性の法則で――――  


 絵里のバランスが大きく崩れて―――


 思いっきり、後方に―――――



 ――――――――――すっ転んだ。



「オイィィィィィィ!?」



 後頭部を座席に思い切り打ち付けるような形で―――――

 ――――――――――すっ転んだ。

 絵里が最後に見えたのは銀時の足。

「……絵里、おい、しっかりしろ……絵里……」

 どんどんと絵里の意識が遠のいていく。
 そのまま安らかな顔で眠るように……眠った。

「どうすんだよ、これ……」

 とりあえず、銀時は絵里を抱きかかえて電車を降りた。
 そのまま駅構内で休めそうな場所を探した。

「仮眠室か……」

 駅に大抵設置してある仮眠室。
 銀時はそこに入り布団を敷き、絵里を静かに寝かせる。
 後頭部を強打したので出来るだけ静かに寝かせた。

「どうすっかな……」

 一先ず、絵里が起きたらどうするか……。
 見たことを言ってしまったら

 銀時はその間に桂たちにトランシーバーで連絡を取ろうとした。
 が、また電波が悪いのか、電池切れなのか分からないが繋がらなかった。

 そこで銀時はまたトランシーバーの電池を掌でコロコロし始めた。


 ◆ ◆ ◆


 ……う~ん、ここはどこ? どこだっけ?
 視界がぼやけてるが、見知らぬ街角がそこにあった。

 ……夢ね。
 早く起きないと。
 銀さんに心配かけちゃう……。
 いや、そんなことよりもちゃんと銀さんに聞かないと……!

『おーい、絵里ちゃん』

 え、穂乃果?
 なんでここに……?

『そんな細かいことはいいの!
 じゃ、行こっか、絵里ちゃん』

 行くって? どこへ……?
 穂乃果が私の手を引っ張ろうとする。

『? いやいや、そりゃあ帰るんだよ』

 帰る?
 帰るにしても【皆】で行かないと……

『ねぇ、絵里ちゃんの言う【皆】って? その中に穂乃果達も入ってるよね?』

 ……当然よ!
 だって、そのために……。

『そのために絵里ちゃんは何をしてきたの?』 

 ……穂乃果、そんなこと言われても……

 ―――――言い返せない。

 ……銀さんたちに守られてばかりで……
 ……私、何もしてないじゃないの……

 思い返せば、μ'sが始まってから……
 思いもよらぬ出来事や想像もしていなかった展開に振り回されて……
 皆は気がつけばいつも猪突猛進に走っていた……。

 細かいことは気にしないでいつも目の前のことのことにひたすらに――――
 がむしゃらに走り続けた穂乃果に引っ張られて……
 走り続けてたのは―――きっと、ことりもにこも……
 海未も凛も花陽も真姫も……そして、希も……

 細かいことは気にしないでひたすら前に前に……

 先回りや見通しや悲観的な考えなんて―――

 何もかも吹き飛ばしていつもμ'sは進んでいく。


 だから―――私は不安になる。


 そんなメンバーに囲まれて私は―――同じように走れてた?


 それは今の状況になんだか似ている気がした。

 銀さんや桂さんや鬼龍院さん、友奈ちゃんのように戦えない。
 コロナちゃんやれんげちゃんのように魔法も使えない。

 そんな私に一体……何が出来る?

『うーん、それじゃあ絵里ちゃんはこれからどうするの?』

 まだ……わからない。  
 私に出来ることは……本当にあるのかしら……?

『別にいいんじゃないかな?
 今すぐに答えなんか出さなくても!』

 ……え?

『だって絵里ちゃんは絵里ちゃんだもの。
 ……絵里ちゃんは絵里ちゃん以外の他の誰にもなれないんだよ?
 自分らしく、自分のペースで行けば!』

 穂乃果……そんな簡単に言うけど……。
 私は私にしかなれない、か……。
 それもそうよね……。



『ちょっと穂乃果、絵里をいつまでも困らせるんじゃないわよ!』
『穂乃果ちゃん、そろそろ……行かないと』
『ごめんごめん、にこちゃん、ことりちゃん今からそっちに行くね』

 えっ、ことり、にこ……?
 まさか……これって……?
 穂乃果……まさか、貴女……?
 嫌な予感しかしなかった。

『ごめんね……絵里ちゃん、私もう行かなくちゃなんだ……』

 ………穂乃果。

『絵里、最後まで諦めるんじゃないんわよ!』

 ……にこ。

『じゃあね、絵里ちゃん……』

 ……ことり。


『絵里ちゃん、ファイトだよっ!!』


 遠くなっていく三人の背中。
 目の前にいても私からはもう遠い人たちに。

 追いかけてはいけない気がした。
 追いかけても、決して手が届かない。

 ……ああ、私は立ち止まれないんだ。

 私も行かなくちゃ……
 穂乃果、にこ、ことり……ありがとう。




 ―――до свидания.(さようなら)




 ◆ ◆ ◆



「………目、覚めたか?」
「私……どれくらい倒れてたの……?」
「大体、1時間か……それくらいだ」
「……そんなに?」
「お前寝てなかったしな」

 ふかふかとはとても言えないが、それなりの布団の上。 
 絵里は目を擦り、こぼれそうな涙を拭う。

「銀さん……放送は……?」
「……………いや、まだだ」

 近くにあった時計を見る。
 もうすぐ放送開始間際だった。
 喉が渇いたので青カードからスポーツドリンクを飲む。

「銀さん、私……今、泣いてた?」
「……ああ」
「見てた?」
「…………ああ」
「……………………そう、また出発が遅れちゃったわね……」
「あんま気にすんじゃねーよ、仕方ねぇって」


 時計の秒針が静かに時を刻む音だけが響く。
 あと何分かで放送が始まる。


『――正午。こんにちは、とでも言えばいいかしら。二回目の定時放送の時間よ』


 その声で二人の身体がぴくりとなる。

 誰も呼ばれないで欲しい。
 そう、願った。
 だが、その声は淡々と試写の名前を読み上げていった。

 そして―――

『高坂穂乃果』

 その名前が呼ばれた時……
 絵里の胸の奥底から苦しくなった。
 再び涙を流した。
 泣き虫だと言われてもいい。
 そんなに強くないと自分でもわかっている。

 銀時はそんな彼女を見て、掛ける言葉を必死に考えた。
 抱きしめてあげたかったが、そんなことをしてどうなるか?
 相手は年頃の女の子だよ? 男として当然だよ。 

 放送が終わってもしばらく二人はそのままだった。
 また時計の秒針が静かに時を刻む音だけが響く。

 そんな時であった。
 つけっぱなしで砂嵐しか映らなかったテレビに女の子の映像が映った。

『─────あ、ええっと……これでいいのかしら?
 いきなりでごめんなさい、放送局から放送しているわ』
「銀さん、この娘って……」
「ああ、そうだな、にぼっしーちゃんだ」
「……三好夏凜ちゃんでしょ」

 絵里は袖で涙を拭って、銀時と共に画面を凝視する。
 テレビに映るその少女の姿は……
 友奈が言っていた特徴と一致している。
 二人は『三好夏凜』当人であると間違いないと確信する。 

『最後に―――――東郷、それに風。あんまりバカなことはやめなさい。
 友奈、私はちょっとここから動くかもしれない。また連絡するわ。

 それじゃあ、また』

「バカなこと……ねぇ、それってまさか?」
「………………多分、絵里が思っていることで合ってると思うぜ」

 それ以上言葉はいらない。
 しかし、今、その風という少女に友奈が接触しているかもしれない。
 二人は友奈を信じる。きっとまた会える、と。


「じゃあ、放送局に行かなきゃね、今までの遅れを取り戻さなきゃ……」
「………学校には行かなくていいのか?」

 ここから北に行けば最初の目的地『音ノ木坂学院』がある。
 しかし、絵里は首を横に振る。

「ええ……今は放送局に向かいましょう……
 みんなとの『約束』だから、ね……
 それにね、銀さん、ちょっと『アレ』貸して」
「『アレ』か……あいよー」

 銀時は一枚の黒カードを絵里に投げ渡す。
 黒カードから出てきたのはまたしてもカード。
 だが、ただのカードではないタロットカードであった。
 よく希が占いで使っていたのを思い出す。
 絵柄を見ずに無造作に一枚を引く。

「占いなんてやったことあるのか?」
「やった無いけど……親友の……希の真似事よ」

 引いたカードに描かれていたのは『星』。

「『星の正位置』の意味は確か『希望』『ひらめき』……『願いが叶う』だったかしら」
「随分といい引きだな」
「カードにもこう出てるしね」

 絵里はドヤ顔でカードを見せつける。
 その顔は少し笑顔を見せたような気がした。

「……それと放送局に着いたら希に呼びかけようと思うの……
 『私はここにいるわ』ってね、その時は銀さん手伝ってくれる?」
「いいぜ、けどそんときゃ追加料金もらうぜ?」
「銀さん、意外にケチね」
「商売上手といいな」
「……またパフェでいい?」
「……ああ、それで十分だ」
「…ハラショー」

 二人は南に向かって歩いていく。
 その先に何があるか分からない。
 それでも、二人は進むしかなないのだから……。



「……にしても、何かお前怪我の治り早くね?」
「そうかしら?」

 先程まで絵里の後頭部には大きなコブがあった。
 しかし、今はそんな形跡すら残っていない。
 銀時は『若いっていいなー』程度にしか思わなかった。
 絵里は『えっ、私怪我なんてしたの』程度にしか思わなかった。

 『全て遠き理想郷』

 二人はまだその鞘の効力に気づいていない。

【B-2/駅近く/日中】

【坂田銀時@銀魂】
[状態]:疲労(小)、全身にダメージ(中)
[服装]:いつもの格好
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(10/10)
    黒カード:トランシーバー(A)@現実、黒カード:不明支給品0~1枚(本人確認済み)、包帯とガーゼ(残り10分の7)、担架
[思考・行動]
基本方針: ゲームからの脱出
1:放送局に向かう
2:神楽と合流したい
3:神威、流子、DIOは警戒
 [備考]
※【キルラキル】【ラブライブ!】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※友奈が左目の視力を失っている事に気がついていますが、神威との戦闘のせいだと勘違いしています。
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。

【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(中)、髪下し状態
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:アヴァロン@Fate/Zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(8/10)、青カード(8/10)、最高級うどん玉
    黒カード:エリザベス変身セット@銀魂、タロットカード@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出。
0:自分に何が出来るか分からないが、前に進む。
1:銀さん達を信じる。
2:希に会いたい。
3:多元世界か……
 [備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。
※【キルラキル】【銀魂】【魔法少女リリカルなのはVivid】【のんのんびより】【結城友奈は勇者である】の世界観について知りました
※ジャンヌの知り合いの名前とアザゼルが危険なことを覚えました。
※多元世界についてなんとなくですが、理解しました。
※全て遠き理想郷(アヴァロン)の効果が微弱ながら発揮されましたが、本人は気づいていません。


【タロットカード@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
坂田銀時に支給。
モハメド・アヴドゥルが使っていたタロットカード。

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141:知らぬが仏 坂田銀時 170:憧憬ライアニズム Daydream
141:知らぬが仏 絢瀬絵里 170:憧憬ライアニズム Daydream